令和元年度市民と議会の意見交換会報告書-5

最終更新日 2020年4月15日

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地域とともに取り組む 空き家対策(建設公営企業班)

※テーマと異なる内容の意見交換については掲載しておりません。

意見交換の前に、協力団体である東光地域包括支援センターから、テーマに関して啓明地区の取組について事例発表がありました。

  • 市民

市の現状で、空き家対策に関する予算はどのくらいありますか。空き家からも税収があると思いますが、固定資産税は幾らくらいですか。
また、空き家対策を実施するにもお金が必要だと思いますが、ほかに収入になる財源を考えているのか教えてください。

  • 議員

予算については、平成30年度で約500万円計上されています。その内容としては、財産管理人申立てにおいて、家庭裁判所に納付する予納金などです。

  • 議員

空き家の固定資産税ということでは、金額的に出てこないと思います。固定資産税は市で算定していますが、空き家の所有者にも固定資産税の請求が行きますので、今のところ、空き家の分がどれくらいなのかという把握はしていません。

  • 議員

空き家の関係費ですが、毎年増減があります。除却に対する補助金のほか、緊急措置として建物を壊した場合の費用が発生することもあります。年によってかなりバラつきはありますが、決算額は100万円台から、過去5年の最高額では600万円台まであります。これは行政代執行による解体費用として約400万円掛かったことが大きな要因ですが、その時々に応じて事業費を支出している状況です。

  • 市民

先ほど、空き家の取組についてお聞きし、素晴らしいと思いました。空き家の状態を把握することから始めるのはもちろん大事ですが、空き家の状況を確認して「持ち主が見付かりました。」、「相続人が見付かりました。」というところからいきますと、朽ち果てている物件が多いわけですから、解体を前提とした話になると思います。
私は、不動産業に勤めていますが、住宅の解体費用がどんどん高騰しています。普通の木造2階建ての一般住宅では、今まで100万円前後で解体できていましたが150万円でも足ず、場合によっては200万円掛かることもありますので、今の予算や補助の額では到底追い付きません。不足分を負担して解体すること自体がすごく大変なことですので、そのギャップに問題があると思います。それを乗り越え、相続人を見付けてみんなで不足分のお金を出し合って解体できたとしても、今度は更地の状態になり、その更地を誰が管理するのかということになります。売却できればよいのですが、昨今の状態ですと値打ちがないに等しい状況であり、欲しい人もいなければ値段も付きません。更地を手放せなければ、固定資産税が6倍になるので壊すに壊せず前に進みません。ここに二つ目の関門があります。
端的にいうと、その更地を市が引き取ってくれるのが手っ取り早いのですが、それが何かの問題でできない、又は固定資産税が取れないのでできないということであれば、朽ち果てた家があるときは非常に迷惑な存在ですが、それを解体して更地にすれば雪捨て場になります。直接接している方や近隣の方が使える雪捨て場として近隣の方に譲渡してしまえば、迷惑だった存在が欲しい存在になるかもしれません。その譲渡を無償で行い、それに関連する税金も掛からないようにするとか、6倍になってしまう固定資産税をその隣の人の敷地の一部として一緒にしてしまえば6倍にならないという解釈もできると思います。そのような形で、それを逆手にとって周囲の人たちのメリットになるようにできれば、喜んでもらえるし、近所の方から協力してもらえると思いますがいかがでしょうか。

  • 議員

私たちは除雪の関係で青森市も視察してきましたが、住宅地の中にある空き地を雪捨て場としてその地域の自治会等に無償で貸した場合、固定資産税の一部を減免し、雪捨て場を確保するといった事業をしていることを聞いてきました。旭川市は除雪に関わる課題も多い中、土地の処分もなかなか難しくなってきていますので、青森市のようなことも今後検討しながら、活用できるようにしていかなければならないと問題意識を持ったところです。
解体してしまうと固定資産税が6倍になってしまうことがネックになっていることも聞いているところであり、今後の検討課題になるのではないかと考えています。

  • 議員

補助金の額については、予算との兼ね合いもありますが、実際に今後取り組んでいかなければ、空き家の数がどんどん増えていくだけなので、市にも取り組んでもらえるよう、行動していかなければならないと思います。

  • 議員

解体費のことについては確かに言われたとおりだと思いますが、例えば、特定空き家だけでも市内には何百件もあり、所有者が本当に分からなくて、最終的に行政のお金を使って解体しなければならないものも中には出てくると思います。しかし、一般的には、第一義的に所有者や相続をされた方の責任で処分していただく。ただ、お金の面を含めてネックになってなかなか進んでいかないのが現実だと思います。市の場合は、不良住宅を解体する場合の補助費が上限30万円ですが、視察した他都市の状況を見ると、国の制度も活用しながら10倍以上の補助額になっているところもあります。 本市の所管部署も努力していますが、他都市の状況も含め、我々議員としても国の制度など更に活用できるよう市に求めながら、充実した体制に少しでも近付けるよう、取り組むべきだと考えているところです。

  • 議員

視察した甲府市では、高い助成金を出して除却対策を取っていますが、特定空き家に認定されなければ補助金を受けることができません。甲府市の担当者の話では、「旭川市は甲府市に比べ助成を受けるための要件の幅が広く、不良空き家を除却をしたいという市民の意識が高まりやすいことから、その抑制につながっているのではないか。」とのことでした。
また、東近江市では、除却支援に400万円、空き家等を活用した地域の活性化に資する活動支援に500万円という高額な補助金を出してます。何とか空き家の問題を解決したいという市民の方が「住まいるバンク」(※1)に相談をしますが、除却に対しては、らちが明かず、市に対して苦情が来るという話もありました。
本市においてももっと予算を確保した上で、多くの市民に補助金を活用していただくほか、空き家を抑制するという意識を持っていただけるように、こうした課題にしっかり取り組んでいかなくてはならないと思います。

※1 補足説明 (一社)東近江住まいるバンクは、市内の不動産、建設、設計業者や司法書士などが参加している法人で、空き家の有効活用により、まちの活性化を目指して設立した団体です。平成28年2月12日には、東近江市と「東近江市における空家等対策に関する協定」を締結しています。

  • 市民

空き家は全国的に増えていますが、旭川も同じだと思います。私たちの住んでいる生活圏の町内会の状況を見ますと、各班においても町内会全体においても数が増え、班の中に一、二軒ある所、町内会全体で15軒の所もあれば20軒の所もあり、非常に寂しい状況が続いています。空き家になる原因は様々あると思いますが、高齢者になると夫婦でも最後の段階は一人暮らしになります。そうすると、一人になった場合、地域で自立生活ができなくなることがあり、亡くなって相続人が分からないとか、体調を崩して入院する、介護保険を使って施設へ入所することになります。子どもたちから一緒に住もうと呼び掛けがあった場合も、うまくいかなかった際に戻る家がないと困るので、一部家財道具を残していくこともあります。先ほど地域包括支援センターの方から説明があったとおり、リフォームして売る、他人に貸す、自分で住む又は解体する。もう一つは空き家の有効利用です。個人の所有物なので勝手にできませんが、本人が自ら町内会や地域で有効に使ってほしいと譲渡されたことがあります。その場所は蓮池公園の近くの一軒家ですが、神居まちづくり推進協議会(以下「神居まち協」という。)としては、そこを地域包括支援センター、神居まち協、管理するためのNPO法人などを含めて、みんなのお家「トクさんの家」として、多世代の人々の交流の場所、地域食堂、ふれあいサロン、子どもに夜勉強を教える場所などとして、現在、様々な活動を行っています。そのような有効利用ができればよいのですが、なかなか個人の財産ですのでそうはいきません。
先ほどから資金確保の意見が非常に大きく出ています。よく課題を整理して、限られた予算の中で空き家対策をスムーズに行っていけるように、議員の皆さんに議論していただきたいです。そして、情報も行政ばかりではなく、私たち地域住民と行政、関係機関・団体などと連携して、情報発信、情報収集、情報共有をお互いにしていかなければならないと思っています。
どんどん空き家が増えてきて、町内会加入世帯が減少し、加入率も約58パーセントという状況の中、何とか元気なまちになるようお願いします。

  • 議員

補助金の額が少ないことは、先ほどの質問にもお答えているとおり、増やすよう努力していきたいと思います。行政による情報収集、情報発信をしっかりとしてほしいということについては、これからは様々な関係者との連携も必要であり、それを前に進めるよう私たちも考えていきたいと思っています。

  • 市民

先ほど事例発表いただいた方に伺います。
地域包括支援センターが空き家などの対策委員会の中に入っていくのでしょうか。私どもの地域にも地域包括支援センターはありますが、介護や福祉が専門だと思うので、そのような話はしたことがありません。よろしければ教えていただき、我々の地域の包括支援センターの職員にも、取り組んでほしいという話をしたいと思います。
議員の皆さんが3か所視察されていますが、3都市とも雪は降っているのでしょうか。雪の降っている地域と降っていない地域では、空き家対策は全然違ってきますのでお聞きしたいと思います。
私たちの地域では、降雪量にもよりますが、通学路に雪庇が出てくる空き家があります。町内会には8戸の空き家があり、そのうちの2戸は持ち主不明ですが、雪庇が出るたびに、札幌や東京の方にいる持ち主に電話していたら電話代にもなりません。3~5年前であれば、自分たちで仲間と雪を下ろしたりしていましたが、この年になると、けがをされたら困りますので、やめろという方向になっていきます。そのような雪庇の問題が一つ。それと春先になると、今度はその屋根に積もった雪が道路に落ちてきます。すぐ救急車・消防に電話をしても、まず下に人が埋まっているかどうかを消防で確認した後、救急車が来るという状況です。そのようなことを含めて、議員の方が考えているほど、甘いものではないと思います。
司会者の方から、これは陳情ではないと言われましたので、何も言えなくなってしまいましたが、せめて陳情ではなくても「意見交換会は、私たちがあなた方の意見を少しでも吸い上げ、議会に反映していく場です。」というようなことを言ってほしかったです。それであれば私たちも「こういうことを言ってください。」、「こういうことに取り組んでください。」と言えますが、冒頭から「これは陳情ではありません。」と言われたら、言いっぱなしの聞きっぱなしになってしまうので、それなら時間の無駄だと思います。

  • 議員

個別のここの地域のこの空き家がというようなことが話に出始めると、収拾が付かなくなると思っていました。蓮池公園の近くの現状やお話があったような場所については、私たちも問題意識を持ち、そこを調査して、自分たちなりに空き家をチェックし対応を考えていきたいと思います。

  • 市民

まちづくりに関する課題は、複雑多様化し、課題は我々の住んでいる地域にあります。それを我々が来て市民と行政との協働のまちづくりのために一件一件、話をするわけです。市議会議員も市民の代表なのですから、陳情を駄目というのではなく、その意見を整理して行政に反映するのでなければ駄目だと思います。
まちづくりに一番大事なのは、社会的な使命感と情熱のある人材の確保、そして知恵です。どのようなまちづくりをするか、知恵と連携、そして資金の確保が大事です。皆さんは市民の代表であるという意識を持って仕事をしていると思います。そこで課題を整理し、行政に反映させることが皆さんの役目だと思います。

  • 議員

頂きました意見は、陳情ということではありませんが、皆さんから意見を聞かせていただき、今日も建築部の職員にも聞いてもらっていますが、やはり皆さんの意見を基に、行政と相談をしながら政策を進めて行くのが私たちの役割だと思っていますので、これからもしっかり対応していきたいと思っています。

  • 協力団体

地域包括支援センターについて、少しだけ説明させていただきます。当センターは、介護保険法の改正により設置することになっています。民間委託が全国で7割、自治体直営は3割となっており、旭川市では11か所の全てが民間委託です。そのため、かなり融通が利きます。業務内容としては、65才以上の方を対象に介護予防、権利擁護、消費者詐欺の防止や総合相談、認知症の方の家族の支援などの項目で、契約を結び業務を進めているほか、空き家対策は、高齢者の総合相談の一環として進めています。
最初は高齢者からの「町内の空き家が非常に古くなって困っている。落ち葉も落ちてくるし、住民みんなで掃除しないとならない、どうしたらいいだろうか。」という話から始まりました。高齢者の総合相談の一環として取り組んでいますが、かといって空き家問題は高齢者だけには限りません。今、8050問題が強調されていますが、例えば、最近対応した事例では、80才の方が入院されたのですが、実はその家には40代と50代の2人の引きこもりの方がいました。私たちは80代のお年寄りは支援しますが、40代や50代の息子さんを支援しないというわけにいきません。空き家問題は高齢者だけの問題ではないという指摘もありますが、そこは線引きをせずに関係機関と連携しながら進めていきたいと考えています。

  • 議員

地域包括支援センターでは、医療・介護・住まい、実際に生活支援という部分も含め、窓口として努力していただいています。住まいの関係も含め、特に啓明地区では同センターが中心になって取り組んでいただいていますが、地域まちづくり推進協議会(以下「まち協」という。)は市内に15地域ありますので、まち協の事業でも空き家対策に取り組めたら素晴らしいと思います。
東近江市の空き家の調査は、行政が自治会、本市でいう町内会に担っていただいています。その中で「ここは空き家になっている。」という情報を全て行政が聞き、その後に行政が空き家の状態をチェックして、空き家の数を把握するという取組を行っています。「ここは誰が住んでいて、施設に入って空き家になった。」というようなことは地域の方が一番よく分かっている部分だと思いますので、本市でもそのような取組を進めていかなければならないと思います。特に報告いただいた啓明地区のような取組を地域に広げていきたいと思います。
先ほど、「視察した3都市では雪が降りますか。」という質問がありましたが、本市のような豪雪地帯ではありません。そうした部分でいくと、空き家の老朽化という部分では全然違いますが、その地域によっては空き家を解体するにも道が狭いというような様々な地域事情がある中で、それぞれが工夫しながら対策を作っているという部分は見させていただきました。先ほど東近江市が400万円の除却費を出していると話しましたが、本市の危険空き家の数は相当あります。約700戸の特定空き家があり、危険度の高いものはその半分近くだと思います。そこへ仮に400万円の予算を付けると相当の金額になってしまいますが、これも本市の地域事情だと思っています。いずれにしても豪雪地帯ですので、近くに住んでいる方、歩いている方、そういった方々に危険が及ばないようにしていかなければならないということは、市としても認識しているところですが、それぞれの財産、資産ですので、なかなか前に進まないというのが現状です。いずれにしても、頂いた意見を参考に私たちも考えていきたいと思っています。

  • 市民

答弁の中で東近江市の行政と自治会の話がありましたが、去年はできたけど今年はできないというのが我々町内会の役員の現状です。少子高齢化になって人は少なくなっていますが、市役所には結構人がいますので、町内会や市民委員会に何事も丸投げしないように極力歯止めを掛けてください。このことは議会なり専門委員会の中で意見として吸い上げ反映してください。

  • 市民

啓明地区の取組は、まち協の事業の一環です。モデル事業は、予算が付かない事業として行っています。今日はまち協のメンバーの方も東部まちづくりセンターの方も来られていますので補足させていただきました。

  • 議員

言われたとおり町内会、自治会、まち協、市民委員会に、いろいろな意味で行政がお願いすることは非常に増えていると思いますが、本当に地域の力が必要な部分もあると思います。その中で「この部分までは手を付けられない。」、「この部分は自分たちも考えている。」ということは、それぞれの地域と行政との話かもしれませんが、丸投げは全て止めようというよりも、行政は責任を持ってまちづくりを進めていかなければなりませんし、住んでいる私たちも地域課題を地域で解決できるように考えていかなければならないと思います。そのようなこともまち協の一つの事業ですので、全て丸投げするという意味ではありませんが、できることとできないことをしっかり考えながら、地域とともに進めるまちづくりというのが理想だと思っています。

  • 市民

いろいろなことを切り取ってこのような話し合いが行われていますが、やはり共通する中に旭川の人口減少の問題があると思います。多分、減った人数でいうと旭川はトップレベルだと思います。ピークより3万人減少しています。過去5年を遡ると、東北以北では一番多いです。その人口減少の問題が大きいと思います。
空き家の話ですが、もし住むことができて持ち主が分からないのであれば、生活保護ギリギリの方に無料で貸してはどうでしょうか。私は最近よく8条通8丁目のフードバンク旭川に顔を出しますが、話を聞いていると非常に大変そうです。そのような方に持ち主が分からない空き家を無料で貸し、その代わりに固定資産税をもらう方法もあると思います。
市の予算については、いろいろなところで聞きます。市民一人当たり幾らになるかは分かりませんが、例えば、市立病院のことが雑誌に掲載されましたが、もう二十数年前から赤字を垂れ流して、借金が200億円以上になっています。その200億円以上のお金があれば、空き家対策だけではなくもっといろいろなことで住民サービスができると思います。行政の怠慢です。それができるのはあなたたちです。そのようなことに具体的に取り組んでください。生活するのが大変な人たちは、驚くほどたくさんいます。そういう意味で、空き家だけではなく、周りのことも含めて様々な対策をしていただきたいと思います。

  • 議員

今の御意見については、所有者が分からない状態で勝手に使うことになってしまうので法律上難しいと思います。ただ、行政的な手続を行った上で進めることは検討する価値があると思います。所有者が分かっており、まだ使えるのに放置されているような住宅などをそのような形で使っていくことを検討することはとてもよいと思いました。
市の借金等の件に関しては、これからもしっかり取り組まなければいけないところですが、そういう観点から、経済的な問題でほかの事業と合わせることによって解決できることもあると考えています。今後は様々な面で財政の問題も考えながら取り組んで行かなければならないと考えています。

  • 市民

(公社)宅地建物取引業協会(以下「宅建協会」という。)旭川支部は、旭川司法書士会と旭川市とで空き家対策に関する協定を結んでいます。皆さんの意見を聞いて、啓明地区では本当に活発に行動されていること、また、町内会長の方も言っていましたが、やはり行政単独では大変だと思います。私たち宅建協会旭川支部の会員数は約400社であり、市内だけでも約300社あります。この数をうまく利用していただけるように、協定を結ばせていただきました。
先ほど他都市の事例として、宇都宮市、東近江市、甲府市、それと青森市も視察したと聞きましたが、各地域全てに宅建協会の支部があります。4市を視察した際に、NPOなどの団体ばかりではなく、宅建協会との提携を結んでいるのかどうか聞きましたか。他都市の取組を聞かせてもらえれば、今後、私たちも役に立つのではないかと思いますので、お聞きしたいと思います。

  • 議員

私たちは2市を視察してきました。各市とも宅建協会と連携協定を結んでおり、合同セミナーや相談会などを開催しています。旭川市も無料相談会を開催していますが、東近江市の場合は、合同セミナーに50人の参加者があり、20組の相談があったとのことでした。合同で開催していますので、連携協定を結んでいる団体の方にも来ていただき、それぞれの相談に乗っていただいているとのことでした。

  • 議員

私も同じく東近江市と甲府市を視察しました。東近江市の「住まいるバンク」は、元々業界の関係者が立ち上げたもので、現在は、外郭団体として活動しています。この「住まいるバンク」は、住宅の所有者と住まいを求めている方、需要と供給のマッチングをする趣旨で、空き家を市のホームページに掲載しています。行政はマッチングをしても契約はできませんので、そういうところに連携協定を結んでいる宅建協会の不動産会社に入ってもらっています。また、2市とも司法書士会が入っており、取引の際に協力してもらっています。
なお、このような活動は利益を求めるわけではないので、業界の中には一回入ったけどもうからないので辞める方もいるようです。

  • 議員

宇都宮市の報告も併せて行います。宅建協会にはかなり重要な役割を担っていただいているようです。これは旭川市と同じです。一つだけ具体的な数字を紹介しますと、マッチング事業で宇都宮市の宅建協会が、売却、賃貸、買取り、レンタルの4業種にわたり、全部で41件の取次ぎを行い、その中の9件が売買等の成約に至っているとのことでした。

  • 市民

司法書士会は、宅建協会と市とで空き家対策に関する協定を結び活動しているところです。司法書士会では、主に本当に困難な特定空き家についての相続人が誰であるのかの調査の相談を受けています。困難事例の中でも一番困難なのは、相続人が誰もいない場合です。相続人全員が相続を放棄したため法律上相続人が誰もいない、誰にもどうしようもできないというような案件の場合、家庭裁判所に相続財産管理人の選任を申立て、相続財産管理人が選ばれれば、その人が相続財産の法律上の代理人になるという制度があります。
市が条例に基づき利害関係人となって申立てを行う場合、その申立ての相談を受けています。また、市では条例に基づく緊急措置という行政代執行より重くない、とりあえず緊急に危険を回避するという措置を2件ほど行っていると思いますが、実際それを行うことに対して「これはどうしたらいい。」、「調査したらこんなものがあったけれど、これは法律的にどうなんだ。」というような相談も受けています。
行政代執行も1件ありましたが、それも担当者から相談を受けており、一番困難な案件について相談に乗っているところです。空家等対策の推進に関する特別措置法(以下「特措法」という。)が平成27年に施行されましたが、市はその前年の平成26年に空き家に関する条例を施行し、翌年には緊急安全措置を1件実施していると思います。全国的に見ても危険な空き家に関する対応は早く、ほかの自治体では特措法ができてからと様子見だったところを早く取り組まれたと思います。
しかしながら、今日の皆さんの話からすると、やはり対策が追い付かないほど危険な空き家がどんどん増えているということで、今後はそこに対し、これまで以上にマンパワーや予算を注いでいただければと思います。
空き家の政策と住宅政策は連動しています。人口が減るので空き家が生まれるということで、私も生まれてからずっと旭川にいて、先ほどもありましたが人口が36万人から33万人に減ったのはかなりショックです。危険な空き家を除却するためにも全力を注いでいただきたいですし、人口減少は止められない部分はあると思いますが、その中で住宅政策と魅力的なまちづくりというところも両輪となってやっていかないと、なかなか増えていく空き家を止めることもできないと思います。

  • 市民

先ほど宅建業者の方が、すごく良いアイデアを出していただいたように、私たち宅建業者は365日空き地空き家を含めて不動産を見ています。
運用や活用の仕方はプロとして自負していますので、「ただ壊す。」、「ただこれしかできない。」というのではなく、新しい活用法が出る場合もあると思いますので、是非相談していただきたいと思います。

  • 市民

将来の旭川の人口ビジョンを見ると、15年後には約10万人減るという計算になっています。現在、持ち家又は借家に住んでいる人の一世帯あたりの居住人数は2.12人です。そうすると人口が10万人減ると単純に4万8,000戸の空き家が物理的にできることになります。これは、「地域とともに取り組む空き家対策」で解決するような問題ではありません。
例えば、冷蔵庫やテレビを購入する際にリサイクル料を払っています。建物も財産ではありますが、先ほどローンを組むときに解体費も含めてという話がありました。これは金融機関からすると担保価値はどうなるのかなど様々な問題が出てくると思いますし、解体する建物の所有者のほとんどは高齢者なので、ローンを組めと言われても実際に金融機関が認めてくれるかというと非常に疑問を感じます。
例えば、建物を建てる際に、解体費用として市にリサイクル料を納付してもらうことを義務化していかなければならないと思います。
また、所有権の移転登記が義務化されていませんが、親が持っていたものを相続放棄したり、子どものいない世帯の場合は、所有者が分からなくなります。所有者不明の土地が九州一つ分ぐらいあるといわれていますが、日本の人口がピークの状態からどんどん減っていく中で、旭川に限らず日本の全体の社会問題として、国全体で考えていかなければならない政策です。ここを直さないと、家を解体したくても150万円や200万円も掛かるし、更地になれば土地の固定資産税が6倍になるので、家を壊す人はいないと思います。それに、市内の住宅地では解体費に見合うような額で売れる土地はほとんどない状況だと思います。
町内会で空き家を活用するといっても、コミュニティの場所としての使い道という面はあるかもしれませんが、一つの町内会で20戸や30戸ある中で一、二戸使用したとしても、この空き家対策という全体の問題からすると全く解決策になっていないと思います。
市議会も超党派で国に陳情などをしないと空き家はなくなりませんし、全自治会や北海道とも一丸となって取り組まないとこの問題は解決しないと思います。ましてや、古い家をリフォームして住むといっても、建築の技法や使っている資材・設備は10年前や20年前とは全然違います。私も建築に携わっているので分かりますが、その家をリフォームして若い方が住むかといえば多分住まないと思います。そういったことも含めて、親から譲り受けた家をリフォームして住むという状況にはないと思います。

  • 議員

もっと抜本的に制度を変えていくことが必要だという御意見だったと思います。国に対して意見を出すことは必要だと思いますし、超党派で取り組めるように頑張っていきたいと思っています。

  • 市民

私の地元の東旭川地区では、奥に行くと空き家が多く、車上荒らしやタイヤ泥棒などが頻発しているようです。
3都市に視察に行ったということですが、訳の分からない無駄なお金の使用は国民の皆さんから批判を受けなければならないと思います。政党や会派などあると思いますが、視察しなければならない都市に行っていただき、超党派で市が抱える問題を一つ一つ解決してほしいと思いますので、よろしくお願いします。

  • 議員

3か所の先進都市の報告をさせていただきましたが、その選定の仕方もしっかりとしたものにしなさいということだったと思います。視察先については、我々も事前に調査をした上で行っています。いろいろと批判はあるかもしれませんが、私たちは視察に行って、他都市の状況を適切に捉えてきたという実感を持っていますので、この後の市政に生かしていきたいと思います。

  • まとめ

建設公営企業班は、全国的に大きな課題となっている「空き家」をテーマに「地域とともに取り組む 空き家対策」として市民の皆様との意見交換会を開催しました。
空き家といっても、まだ居住、利活用が可能な空き家がある一方、老朽化が激しく豪雪地帯である旭川では、落雪など危険性の高い不良空き家も多く存在します。今回は地域で空き家問題に取り組まれている啓明地区の活動と、建設公営企業常任委員会視察で学んだ他都市の事例について報告をさせていただき、市民の皆様から貴重な御提案・御意見を頂きました。
その中で、「超高齢社会に加え人口減少が進む中で、空き家の発生を防ぐためには人口減少などへの対策が必要ではないか。」との御意見を頂き、空き家だけに目を向けるのではなく、全ての市の施策による魅力あるまちづくりが空き家防止につながることを再認識しました。
悪天候の中、御参加いただいた皆様と関係団体の皆様に感謝を申し上げます。
当日頂いた御意見やアンケート内容を今後の議論の参考にさせていただきます。

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