平成30年度市民と議会の意見交換会報告書-5

最終更新日 2019年1月10日

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子育て環境の充実に向けて~就学前保育支援について~(民生班)

※テーマと異なる内容の意見交換については掲載しておりません。

  • 市民

子どもを就学前にどのように育てるのかについては、とても重要なことだと思います。私は、いじめ問題の研究サークルを作っていますが、旭川は虐待が多いという新聞記事を見ました。虐待件数が多ければ、いじめの件数が多くなることにもつながると思いますが、虐待件数を教えてください。

  • 議員

私の手持ち資料では、本市の平成29年度の児童虐待件数は、身体的虐待34件、性的虐待4件、心理的虐待91件、ネグレクト37件の合計166件となっています。多いか少ないかについては他の自治体と比べていないので分かりませんが、平成28年度は合計で177件でしたので、平成29年度は平成28年度と比べて11件減っています。こちらの旭川市子ども総合相談センターの向かいには、北海道旭川児童相談所があり、虐待に関しては関係者、大人も含めてすぐに対応できるような体制をとっています。

  • 市民

最近、若い子育て世代が鷹栖町、東神楽町や東川町など周辺の自治体に転出している例をお聞きします。そういう若い子育て世代の方に関連する資料として「平成30年度就学前児童の関連事業の一覧」が配付されていますが、特に平成29年度、平成28年度から改定された部分はどこでしょうか。また、財政的なことも含めて、実際に若い子育て世代の方が周辺自治体に転出していることを聞く中で、市として今後、どこをどのようにしようと考えているのかについて、議員の皆さんからお聞きしたいです。

もう1点は、私は青少年の健全育成に関する活動に参画させていただいておりますけれども、子どもは親を選べない状況の中で、全ての子どもに機会を均等に与えるような施策ができるのかお聞きしたいと思います。

  • 議員

まず一番大きな変更点というのは子ども医療費の助成だと思います。周辺の自治体では、中学生まで入院、外来の医療費が無償化され、住民税非課税世帯は無料、課税世帯は1割負担というような施策が展開されておりますが、本市はそこまではできていませんでした。それが平成30年8月1日から中学生の外来の医療費まで助成を拡大しましたので、このことによって大きくアピールできる部分もあると思っています。今後どういったところを変えていけばよいのかについては、高校生まで無償化したらどうかなど、周辺自治体よりも進んだ取組を実施するとよいのではないかという議論もされているところです。

また、どのようにして子どもに機会を均等に与えるのかという御意見についてですが、確かにお話があったとおりだと思いますが、親が親らしくというところをどのようにフォローしたらよいのかということの方が重要なテーマになってくると思います。やはり、その時に地域の力が非常に重要になってくると思います。例えば学校で言うと、PTA活動等もごく一部の方が活動していると思いますが、そこで関わっていない方が取り残されてしまうことも、子どもにとって良くないですし、先ほどもありましたがネグレクトなどもそうだと思います。地域によって温度差が出てくると思いますが、飛び抜けて進んだ地域があればそこを見習い、共有することも重要だと思っています。

  • 議員

そのほかに平成30年度に改正された部分では、産後ケア事業という取組も始めています。さらには、妊産婦の出産前の健診だけではなく、新たに出産後の健診等にも取り組んでいます。しかしながら、周辺自治体でも、全国の自治体の中でも、もっと子育て支援の取組を進めているところがたくさんあります。そのような中では、それぞれの自治体間で競争のような感じになってしまうところもありますので、当然財政のことも考慮しながら、適切に取組を進めなければいけないと思っております。

今後の子育て支援という部分についてですが、本市では、平成30年度に保育所等の待機児童が解消されましたが、今後、保育施設などのハードの部分だけではなく、「旭川で子育てをして良かった。」、「旭川では安心して子どもを産み育てることができる。」と感じていただく、質の部分の充実が課題になってくると思っています。また、本市でこれから重点的に進めようとしている取組の中にも、そのような意識が強く表れていると思っています。

それから、機会均等についてですが、核家族化が進んでいますが、やはり子どもは地域の宝物であるという認識の下、地域で、あるいは行政も含めて、みんなで育てていくという環境づくりが大事ではないかと思っています。そういう中で、地域、行政、保護者、関係団体などの連携が今後、非常に大事になってくると思っています。子ども食堂などの取組もありますし、いろいろな部分で周りが目を掛けてあげることによって、子どもたちがもっともっと自分らしさを発揮しながら、この街で元気に育っていくという環境づくりが求められていると思います。

  • 議員

今ほど何点か挙げられましたが、この会場に来られている皆さんは大変関心がある方たちですが、潜在的に必要な情報が必要なところにポイントとして届いていない点では国や地方、本市においても大きな課題だと思っています。必要なところに必要な情報がアウトリーチしている良い事例では横浜市が挙げられます。例えば子育て支援分野では、あらかじめ市が得ている情報を基に月齢、年齢に応じた情報を市からどんどん発信します。市の情報以外にもNPО法人の講演会や市民開催のサークルの集まりなど具体的な情報をどんどん発信しているそうです。

産後ケアに関しては、本市においても平成30年8月から事業が始まりました。そのシステムの使い勝手の評価が肝心だと思いますが、悩みの相談のみに終わらず、産後の日常の家事ケアを求めている方たちが多いということも伺いました。そういう制度利用策に対する具体的なやり取りの機会を進めることは私たち議員の仕事でもあると考えます。情報を一方的に発信するのではなく、それをどう生かすかをキャッチボールしていくことが今後の課題と感じています。その他、平成30年度事業としては、ひとり親家庭等の医療費助成の上限が改正された点、出産後の健診などもニーズに応じた新しい施策です。

  • 議員

平成30年度から変わったところで言いますと、4月から病児保育事業が始まり、北彩都地区に新しく施設ができたと伺っています。そういう病気等で保育所等に預けられない児童の保育に対応する新たな取組の形も整ってきていますが、できたばかりですので、今後どのようにしていくのかについては、行政の皆さんと相談していくことになりますし、議会の中でもそういう議論が必要だと思いますが、大きな改善点の一つだと考えています。

  • 市民

旭川で子育てをする特徴として、これだけ自然環境が整っているので、そこを生かした保育事業があるとよいのではないかと思います。鷹栖町では、森の幼稚園という事業をしている所があります。お金がないので建物はありませんが、保育の原点に返るということを重視しています。これからの子どもたちには、あのような環境の中で心と体を健全に伸ばして、才能を広げていくことがとても大事だと思います。また、今問題となっている発達障害や特別学級が設けられていないためやむを得ず養護学校などに通っている子どもたちの可能性にもつながることだと思います。残念ながら、その幼稚園は無償化の対象外で、鷹栖町では町民がその幼稚園に通う場合の補助を打ち出しているそうです。旭川市でも、そういう園に価値を見いだすことができれば、この街の特徴にもなりますし、今後、市内の保育所で同じような取組ができるようになったときにとても参考になると思いますので、これからも続けられるようにその園に何らかの補助をしていただきたいと思います。

産後ケア事業宿泊型のチラシを見ましたが、「誰にも助けてもらえない人が利用してくださいね。」というような文言でした。頑張り過ぎていて、気付けない方たちがたくさんいます。例えば夫が「助産師もいるし、1泊できるんだったら、そこで少し休んできたら。」と気軽に言えるぐらいの表現に変えていただけたらと思います。

ある助産院では、家事育児サポートという、自宅で赤ちゃんをお風呂に入れたり、洗濯したり、掃除をしたり、食事を作ったりしてくれる事業をしていますが、1時間の利用で1,500円が掛かります。2時間から受け付けているので3,000円以上掛かりますので、夫に言い出しづらい値段です。利用している方に聞くと、例えば「今日はサポートに来てくれている人がいるから、ゆっくり運転して帰っても大丈夫。」、「今日は妻がどうしているのかという心配が薄らいだ。」などと、助けを求めることが自分のためにも赤ちゃんのためにもなるという実感を再認識したこともあるそうなので、もう少し利用しやすい料金になるような方向性だけでも示していただけると有り難いです。

障害のあるお子さんの親御さんから、「うちの子は、ほかの人には預けることができない。」という話を聞きます。はっきり診断がついてしまうと楽だと思いますが、グレーゾーンの子どもたちもいます。そういう子どもたちほど手が掛かる時期が長く続くので、親御さんが途中で息切れすることがないように、もう少し利用できる保育サービスが充実するとよいと思います。

  • 市民

「イクボス」(※1)の立場で各地を回り講演しているNPO法人代表のある男性は、御自身が育休を取り社員にも推奨しています。企業の中でも男性が育休や短時間勤務制度を利用することで、家の中のことがよく分かるだけではなく仕事の効率も上がり、ハードルは高いけれども経済的効果があるなど、プラスになるとおっしゃっています。市職員が育休や短時間勤務制度を利用することで男性、女性共に子育ての豊かな経験として政策に深みが増すと思います。なぜなら経験のない職員に説明するには一から時間を掛けて話しても全てを理解してもらえませんが、様々な経験のある方は「1で100」を理解してくださいます。また、設備や制度を充実してもらっても、現状は女性が家に帰ってきて、ご飯を作って食べさせて子どもを寝かせて、夜中はまた起こされて、朝は時間に追われながら必死に準備をしています。この日常が疲れるわけです。近年、男性も育児に対しての抵抗感が昔ほどはないというデータが出ているので、「赤ちゃんが生まれたから1か月休みます。すみません。」と言える環境づくりを市役所から進めてほしいです。市職員が休むと批判もあるかもしれませんが、市の政策に生きると考えたら意味があると思います。せめて内部からデータを把握しながら利用してもらいたいものです。教育職の方たちからも話を聞くので、そのような意見も参考にしながら進めていただきたいと思います。

※1 用語解説 イクボス ~社員が仕事と家庭を両立して活躍できるように後押しする経営者や上司のことをいいます。

  • 議員

鷹栖町の森の幼稚園には、私の孫が2人通っています。今春、長野県、鳥取県、広島県の3知事が山保育の重要性を全国に発信し、旭川市も参加表明しました。長野県の担当者から「決定していただきうれしい。」とのメールが届き、自然保育への強い思いを実感しました。もちろん鷹栖町も署名しています。森の幼稚園やそのほかの自然保育に関しては、全国的にも協議会ができていますし、専門家も子どもたちの遊び環境の整備について、その重要性を説いています。子どもたちを外に放っておくのではなく、園庭に自由に穴を掘って遊ばせるなど、屋外の資源を利用して随分広い意味で自然保育を行っています。私は、山保育の声掛けをした長野県に行き、本格的な森の中で取り組んでいる飯縄幼稚園及び戸隠等を視察しました。戸隠では一般の幼稚園も園周辺を自然散策する形で気軽に自然保育を行っており、それに対して大きな予算も付いています。道内でも安平町などが進めています。森林に囲まれている旭川は、近隣町に頼らなくても自然保育が可能です。現状として鷹栖町を始め、森の幼稚園のほとんどは旭川の子どもたちが通っていますので、何とか旭川でも進めるべきですが、経済的な点に加え新制度においても、この自然保育が助成の対象になりませんでした。しかし、助成がない中でも鷹栖町などは町独自の施策を含め進めております。これまでも市と自然保育に通う家族への助成に関して相談してきましたが、現実として旭川の子どもが通っていながらも市の施設ではない点がネックとなり、全く進んでいません。しかしながら、今回3知事が直接、旭川市長に文書で自然保育を勧め、旭川市も承諾しましたので、これから広がっていくものと考えますし、具体的に進めなくてはいけないと考えます。それには旭川にある保育園、幼稚園等で今進めている取組について情報を出し合う必要があると考えます。

  • 議員

確かに市内のある助産院では日常の生活支援をなさっていますが、まだ市の補助はありません。その点も含めて市が利用者からの声を受け入れてどのように予算化するのかについても課題であり、早期に対応すべきと考えます。おっしゃるとおり市が示す産後ケア事業の文書を読んで、私も「どうしても行政に頼らなければいけない方だけ使ってください。」と受け取ってしまう表現だと感じました。本市の子育て施策としての一時預かり保育では「お母さんのリラックスのためなど理由は問いませんので、御自由に使ってください。」など、これまでの「子育てをするのが当然」という意識からは随分和らいでいます。この新しい産後ケア事業に関しては使いやすさの点で課題がありますが、今後、更に使いやすく改善されるよう子育て支援部との協議を進め、この場では断言できませんが、私たちもそのニーズに応えられる政策に向かって予算を考えていかなければならないと思います。

  • 議員

特別支援が必要なお子さんのために、保育所には専門的な能力を持つ保育士が「加配」という呼び方で配置されています。私の手元資料の児童施設一覧表を見ると、相当な人数が配置されています。特別支援のニーズがある保育園には、一つの園に3人以上、一番多い園では9人も、専門ケアができる保育士が配置されています(注:「3人以上」「9人も」というのは「1人以上」「3人程度」の誤りでした。3~9人という数は、各園の特別支援保育の対象定員でした。)。これは国の制度に基づく保育士配置にプラスして、市独自にやっていることです。私はそう捨てたものではないと思うのですが、先ほどのお話ですと、保育所に入る前のもっと小さなお子さんへの対応ということなのですね。

  • 市民

いいえ、3歳から就学までの間の子どものことです。既存の制度は利用できるのですが、預けづらいというハードルをなくさないと利用できないということです。

  • 議員

なるほど。預けられないとお母さんは働きに行けないのですから、是非そういうグレーゾーンの子どものニーズにも応えられる制度に近付けることが必要でしょう。「預ける」、「預けない」の中間的なやり方もあるかもしれません。そこは現行の政策ではフォローできていないところですから、研究して提案する作業が必要だと思います。加配という特殊な保育士さんの配置ではなく、そのような微妙なニーズに応えられる、少しハードルが高いニーズに対応するやり方がまだできていないので、そこは研究が必要ですね。新しい事業として取り組む必要があると思います。

  • 市民

一時預かりをしている保育園に勤務したことがありますので、一時預かりを行っている側から発言させていただきます。一時預かりの職員は定員が決まっています。また、1歳になったばかりの0歳児の子どもも受け入れることになりますので、初めて預かった子どもが泣くことを思うと、そこの担当職員は本当に苦労して頑張っております。最初はグレーゾーンかどうかも知らないで預かるのですが、ふたを開けたら、分かるケースがあります。1人の保育士がその子どもに手が掛かって、もう1人の保育士で9人を見なければならない状態になれば、事務室から園長がヘルプに入ったり、主任が入ったりというような状態になります。次回からそのお子さんの申込みがあった時には、ほかの子どもの受入れを制限して対応します。受け入れられる子どもの数が減るので収入が減ったり、ほかの子どもが入れなくなるので、現場では何とかしたくてもどうにもならない状態になります。

  • 議員

ありがとうございます。この市民と議会の意見交換会の良さは、市民の皆様から現場の声を聞けたり、互いの共通認識ができるところだと思います。これは真摯に受け止めていきたいと思います。

  • 市民

いつもお世話になっています。幼稚園側の代表として、参加しました。子どもの障害のお話が出ましたが、幼稚園側も大変困っているところです。幼稚園には加配ではなく、補助という形で支援がありますが、北海道に申請し、そこで認定を受けた子どもの分しか補助されません。先ほど保育園側のお話がありましたが、補助された分では到底、人を雇えるお金は賄えません。更に1人の子どもに対して職員が1人付いてしまうと、ほかの保育士は、ほかの障害を持った子どもたちを見ることができないこともあります。また、我々から見ても手が掛かるお子さんが、障害ではなかったり、障害者手帳を持ってないこともあります。札幌市や他の市町村では、幼稚園や保育園の先生方が必要だと認めるお子さんには、何らかの支援が受けられる仕組みがあるようです。それを旭川市でもしてほしいと随分と要望しています。誰がそれを認定するのかという課題もありますが、実際に先進的に導入されている自治体もあるので、旭川市でもグレーゾーンと呼ばれている子どもたちを何とか支援の対象にできるような仕組みができたらよいと常々思っています。

  • 議員

近いところで札幌市がやっているので参考にしてほしいということだと思います。イクボスのことについてですが、「イクボス宣言」をしている自治体も出てきています。とても有意義ですが、まだ、市内だとイクボスの考え方は浸透していないと思っています。男性の育児参加に対する考え方を学ぶ機会を一議会としてやるのは、なかなか難しいので、個別に市民の皆様にも活動していただくことが議会でも取り上げていくきっかけになると思います。市役所の男性職員で育休を取った事例は少ないですが、モデルになってくれた方がやりやすいという御意見も多方面から寄せられていますので、市としても理解している部分ではあると思います。(※2)

※2 補足説明 旭川市では、次世代育成支援対策推進法及び女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づき、平成28年4月に旭川市特定事業主行動計画(次世代育成支援・女性活躍推進統合版)を策定しています。その中で、男性職員の育休取得率の目標数値は13パーセントとなっており、平成32年度末までの達成に向けて取り組むこととしています。

  • 議員

残念ながら男性の育休の取得が続かない理由の一つに、後に続かせない、育休を取得できない雰囲気があると思います。私は、夫婦で子育てする娘夫婦の状況を見てきました。結局、強制的に「取らなければならないシステム」にしなければ、なかなか実現につながらないと考えます。徐々に各自治体、民間へ広がるとは思いますが、中核市の旭川市ですので早めにこの動きができないものかということを考えている一人です。(※3)

※3 補足説明 男性の育休取得率は長期的には上昇傾向にあるものの、現状では5.14パーセント(厚生労働省「平成29年度雇用均等基本調査」)となっています。国は2020年に男性の育休取得率13パーセントの達成を目指しており、一部の民間企業では男性の育休取得を義務化する動きも出ています。

  • 議員

そうだと思いますが、一方で、育休を男性だけではなく、女性でも取らない人がまだ結構います。育休制度があっても取らない。今ここで仕事を外れたらもうキャリアアップは認められない、勤め先の同じセクションには戻れないと、そのようなビジネスの世界の風土があります。

私には高校生と大学生の子どもがおり、育児は10年以上前になりますが、全く育休を取りませんでした。当時は民間企業に勤めていましたが、仕事は好きだし面白いし、今職場を外れたらもう次はこのセクションに戻れないだろう、もう上昇コースには戻れないだろうという恐怖感がありました。女性でもそういう人が結構いるようです。

市役所は恐らく企業の競争社会とは違う世界でしょうから、育休制度を利用する人は多いでしょう。問題は民間企業です。民間企業で、女性も含めてキャリアアップし、競争社会で勝ち残ろうという人は多い。そこに人生を賭けている人もいる。そういう人たちは制度ができたら利用するのか。どうなのでしょう。風土や社会の雰囲気を変えていくことが大事だと思います。ちょっと水を差すような意見ですが。

  • 市民

いいえ、本当におっしゃるとおりで、例えば同期の女性医師の場合ですと、子どもを産むと、もう第一線には確実に戻れないので、出産してキャリアを諦めるのか、とても悩んでいます。それは女性医師に限らずいろいろな職場で起こっていることです。休まず働き続けることがスタンダードだから起こる現象です。今、休むことへの抵抗感が薄まっている世代がいます。例えば市役所の中で親が育休を取って育てられた子どもたちは、親のそういう姿を見て社会に出ていきます。ここで風土を変えていってほしいです。

  • 市民

私は旭川で生まれ、サラリーマン時代には首都圏にも単身赴任したことがありますが、旭川と首都圏、大都市との違いがあると思います。旭川ではきちんと育休が取れる職場組織になるには、まだ課題があります。

私が社会人になったとき、中小企業、特に建設業では夏の稼ぎ時に子どもの入学式や学芸会も休まないで仕事を優先させる雰囲気がありました。今はそういう職場でも、子どもの行事にはきちんと休むという雰囲気が出ています。

ただ、育児のために休暇を取るということになると、やはりその人がいないと困る職場がたくさんあるわけです。育休を取ることについて、周りが「そうだよね。」と感じる雰囲気づくりも必要だと思いますが、まだ中小零細企業の経営者はそこには至っていませんし、まして今は人手不足ですので「お前、何考えているんだ。」と言われます。旭川のサラリーマンの社会情勢は、まだ、そこには至っていないと思います。公務員に対しては、「我々の税金で働きながら、よく休み取れるね。」と言う人がいるかもしれません。それが現実だと思います。

ただ、いつまでもそれでよいということではなく、やはり周囲や社会の雰囲気を変えていくための、人々の意見と世の中づくりが大事だと思います。

  • 市民

市内で認定子ども園を運営しています。特別支援、一時預かり、妊産婦の産後ケアなど相当数の保健師さんが巡回対応しています。社会的には貧困、虐待、特別支援、発達障害などいろいろな問題が出てきていますが、制度が完備されていません。例えば、特別支援は「うちの子は普通の子だ。」と言って制度を利用しない場合や、貧困の問題でも、貧困の方々は貧困に陥った責任は自分にあると思っている傾向にあります。本当に大変さを抱えているのは制度に乗れない方、乗らない方々であり、その方々は、放っておいてよいのか、自己責任という形で進めてよいのかどうか。そういう制度に乗れない部分を市の自前でやっていかなければならない、それには行政的な手続として予算の確保ができるのかどうか。予算確保のためには、どれだけのニーズがあるのかという段取りが必要です。制度に乗らない、乗れない、制度から滑り落ちようとしている人も含め、どのようなサービスが必要なのか、行政として対応すべきことではないかということです。国の予算要求では、確か事項要求というものがあったと記憶していますが、そういう形ででも、どのようなことが質の向上につながっていくのか御検討いただきたいと思います。

もう1点は、中核市としての立ち位置ですが、旭川市の子どもが鷹栖町や当麻町、比布町などの周辺自治体の保育施設を利用することはできますが、延長保育などの付加的なサービスについては、まだ前例がない状態です。旭川市と隣接している東神楽町、東川町、当麻町、比布町では居住地と勤務地が重なっているケースもあるため、行政的・政治的な判断を行い、上川中部圏の中核市として旭川市の力量を見せていただくと有り難く、御検討いただければと思います。

  • 議員

まず保育園と幼稚園の質の向上に向けて、特に貧困や発達障害児等の制度に乗れない方の対応をどうするのか、旭川ではどう考えているのかという御指摘かと思います。実際、本市では一体どのぐらい、そういう方たちがおられるのか。そして、今後の議論も必要ですが、当然そういう支援をしていく場合には予算の確保が、一番大きな部分だと思います。現場にしか分からない貴重な御意見を頂きましたので、そういう方たちも実際には多いということを認識しながら今後、対応を検討していきたいと思います。それと2点目では、中核市として本市の保育事業に関し、力を入れていく中でしっかりと目を配りながら、最善を尽くしていくことによって、最終的に本市の出生率上昇を含め、子育てサービスの向上につながっていくと思いますので、しっかりと考えながら今後検討していきたいと思っています。

  • 議員

保育施設の広域利用に関して、現在は住民票のある自治体に登録し、行政同士がやり取りしています。これを一回の手続で済むようにできないかという相談もあり、これも課題の一つだと考えます。もう1点は延長保育における標準と短時間との新しい仕組みでの問題点です。例えば育休中の短時間保育では、今まで標準だったお子さんに対して保育料を納めているにもかかわらず延長保育料が発生するなどです。新制度が動き出してから数年ですので、御家族が直面する不合理な部分がまだまだ出てくると思います。それを「これは国のルールですから。」と一方的に押し付けるのではなく、やり取りの中で、国の制度の中で補えないものの中から、本市単独の施策・予算で賄っていかなければならない案件も出てくると思います。それは現場や利用者とのやり取り、保護者とのやり取りなどたくさんの声を受け止め、現場が求める方向に課題解決していくべきだと考えます。

  • 議員

広域的な取組のお話がありました。例えばDVを受けていて、周辺の自治体からシェルターがある旭川に逃げてきたことを旦那さんに知られたくないので、住民票をそのままにしたいという事例も実際にお聞きします。そのような施設や取組が進んでいる旭川だからこそ、周辺自治体をリードしながら、広域的な取組も進めていかなければいけないという立場にあると思います。そのような中で、例えば定住自立圏形成協定(※4)という制度もありますので、周辺自治体も巻き込んで、いろいろな議論をしながら、制度に乗りたくても乗ることができない方や、乗せたくても乗せることができない方など、多様なニーズがあると思いますので、柔軟に対応できるように我々も積極的に行政側に働き掛けていかなければならないと思います。

※4 用語解説 定住自立圏形成協定 ~中心市宣言を行った中心市と、その周辺にある市町村が、人口定住のために必要な生活機能の確保に向けて、それぞれ1対1で締結するもので、その締結又は変更に当たって地方自治法第96条第2項に基づく議会の議決を経たものをいいます。現在、旭川市は、鷹栖町、東神楽町、当麻町、比布町、愛別町、上川町、東川町及び美瑛町とそれぞれ上川中部定住自立圏形成協定を締結し、1市8町で事業連携をしています。

  • 議員

これまでお話を聞かせていただき、男性の育休は非常に勇気がいる行動だと思いました。それでも女性として、是非とも育休は取っていただきたいと思います。子どもを産むことはとても大変です。子どもは、やはりみんなで育てていくべきです。経済的な保障があるのであれば当然、育休は取れると思いますが、経済的な部分を始め、様々な問題が絡んでくるので、実態は一民間企業でできることと国でできることがあると思います。少子化だからこそ子どもをみんなで大事に育てていく仕組みづくりというのは、これからもっと重要になるのではないかと思っております。お母さんの大変さは、私たち女性議員もみんな経験していてよく分かりますので、私は日頃から職員には「育休取った?」とよく聞きます。男性職員の皆さんは大体取ってないので、これからは職員に「育休取ってほしい。」と声掛けの仕方を変えていこうと思います。

それから、先ほどお話がありました保育の質という部分についてですが、今の保育現場、保育士不足は全国的な問題です。全国で初めて待機児童ゼロにした横浜市を視察させていただきましたが、横浜市でも保育士は東京に流れているそうです。北海道においては札幌市へ、というふうに大都市圏に保育士が流出していくことから、保育士の確保の面でも旭川市は新事業を起こしました。これは画期的なことだと思います。保育現場の皆様の声を聞いて、旭川市が何かそれに応えることはできないか。当然、国の課題でもあったので、合致して新たな事業をすることができました。このことによって保育士になりたくても経済的になれない方がいなくなるように取り組んでいますし、主任保育士を配置するための環境整備も市で応援しています。今度は、子どもに関わることと、子どもを育てる保護者側の問題も含めて、保育所、幼稚園に預けている間、子どもは幸せだけれども、家に帰ると急に不幸を感じるような、そういう格差があるようなことがないようにするために政治があり、保育現場があると思いますので、政治は政治としてできること、例えば、幼児教育の無償化や高等教育機関までの無償化などを考えています。教育格差があってはならないので、国は角度を付けて様々な施策を考えて実施しようとしてくれています。これらが現実となるのかどうか。消費税が上がった時に間違いなく幼児教育の部分に充てられるかどうかも含めて、私たち国民はしっかり監視をしていかなければいけない責任があると思っています。質の向上はそれぞれ求める部分が多々あると思います。保育現場で求める質の向上、保護者の立場で求める質の向上、これらを全部きちんと押さえていかなければならない行政と私たち議会。それぞれの立場を持って今後取り組みたいと思っています。是非とも市長に直接お手紙を書いていただいてもよいですし、意見交換会を利用して声を出していただきたいと思っていますので、今後ともよろしくお願いします。頑張ってまいります。

  • 市民

主任児童委員をしています。私は子どもの貧困という言葉にとても引っかかっています。国の政策として出ているので仕方がないと思いますが、私は子育てサロンもやっていますし、多くの主任児童委員さんの声も聞いています。一生懸命に子ども食堂をされている方もいる一方で、子どもの貧困という言葉を前面に出してくる主催者もいます。私は、子どもが貧困などではなく、貧困なのは大人だと思いますし、本当に貧困を感じている子どもは子ども食堂や、子育てサロンには出てきません。貧困だということを見られたくないとか、そう思われたくないのです。市議会や行政でやっている会議に出席したり、広報誌などを見る中で、子どもの貧困という言葉がとても多く出てきます。貧困をテーマにすればみんなが関心を持つかのような話になっていますが違うと思います。現場でお母さんや子どもと接している中で一番引っかかってくる言葉、ぶしつけな言葉だと思いますので、議会でも議論する中で、もう少し言葉の使い方を考えていただきたいと思います。

  • 市民

現役子育てママという立場でのお話になるかと思います。私は、旭川は子育てしやすい街だと感じていますが、妊娠して出産したお母さんはどこに行ったらよいか分からないようで、その良さが全然伝わっていません。教育委員会が作っている「わくわくカレンダー」を見ればどこに行けばよいか分かりますので、もっとママたちに情報発信してほしいと思っています。母子手帳と一緒に配れば、妊娠時から見られますし、産後すぐに行けるところが分かると思います。それ以外にも産後に民生委員さんが絵本を配ってくださる「うぶごえへの贈りもの」がありますので、そういうときや4か月健診のときなどに配っていただけるととても有り難いと思います。情報は必要なときに受け取れないと伝わらないです。産後に子育てガイドブックなどの資料を受け取りますが、お母さんはヘトヘトで文字を読んでいられません。(※5)

また、旭川には「あさひかわこどもーる」や「カスタねっと@旭川」というサイトもあるので、それらが連携をして、上手に情報発信していただきたいと思います。千葉県浦安市がとても良いサイトを作っていますので、是非参考にしていただきたいと思います。

※5 補足説明 「わくわくカレンダー」は、母子手帳発行時や健診時に配付していませんが、窓口である母子保健課に常時配置しています。また、「子育てガイドブック」は、出産後の出生届時に市民課等窓口で配付しているほか、母子手帳発行時にも配付しています。

  • 市民

この市民と議会の意見交換会は民主主義を大事にしており、仕組みも良いです。中身を更にきちんとしていただき、いろいろな市民からの質問や意見を聞いてほしいと思います。議員の役割としてとても良い仕事をしているし、効果を上げる仕事です。

学びの質を高め、同時に平等を求める教育が大切です。一つの例ですがフィンランドでは少人数学級でも先生が2人います。フィンランドは移民の国ですから、5分の1は、ほかの国の子どもです。このためフィンランド語を同時に通訳、翻訳して、ほかの子どもに教えるのです。そこまですると予算も掛かります。教育の大切さやそういうことを含めて考えた方が様々な点でよいのではないかと思います。そして、集団においては、できるだけ全ての決め事や規範についてお互いに話し合って納得し、理解し、大体似たような知識にして価値を認め合うこと、また、違う価値を認め合う集団規範づくりが大切だと思います。

  • まとめ

民生班では、「子育て環境の充実に向けて~就学前保育支援について~」をテーマとして、旭川市子ども総合相談センターで意見交換会を開催しました。

平成30年旭川市では待機児童ゼロを達成しましたが、本市における子育て環境の整備には、まだまだ課題があるものと考えており、実際に子育てに携わる市民の皆様からの御意見を伺い、今後の市政に反映したく、このテーマを設定しました。

意見交換会では、「全ての子どもに支援を均等に受けてほしい」、「旭川市は自然環境が整っているので自然を生かした保育事業があるとよい」、また、「発達障害児の教育環境と利用しやすい産後ケアの整備」、さらに「男性の育児休暇について」など、たくさんの御意見を頂き、充実した意見交換会を行うことができました。

民生常任委員会として、今後も議会で議論し、子育てしやすい環境づくりのための施策に取り組んで参ります。最後に御参加いただいた皆様、関係団体の皆様に心より感謝申し上げます。

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