令和元年第3回定例会/意見書案第2号

最終更新日 2019年10月8日

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  国民が安心できる年金制度の実現を求める意見書

厚生労働省は今年8月27日の社会保障審議会年金部会で、公的年金の収支や給付の見通しを示す財政検証結果を公表した。経済成長の程度が異なる6つのケース全てで、基礎年金の所得代替率が3割程度下がる結果となった。これは、物価や賃金の伸びよりも年金給付の伸びを抑制して給付水準を自動削減するマクロ経済スライドの影響があると思われる。

また、今年6月の金融庁金融審議会市場ワーキング・グループの報告書では、高齢夫婦無職世帯の収支が月5万円の赤字となり、公的年金だけでは老後30年間で約2、000万円不足すると指摘している。現在41歳以下の夫婦の場合では、将来受け取る年金は、更に1、600万円減り、3、600万円不足する計算になる。また、同報告書では、公的年金で足りない分は、元本割れのリスクもある投資制度や貯蓄による資産運用を勧めるという内容となっており、国民に大きな怒りと不安を呼び起こした。

このような状況を引き起こした背景には、政府が2004年に導入した物価や賃金が上がっても年金額を上げない仕組みであるマクロ経済スライドが影響していると思われる。実際に2019年度の年金額は、物価が前年比1.0%増だったにもかかわらず、賃金の上昇率0.6%を基準にして調整率0.5%が差し引かれたため、年金額は0.1%増にとどまった。つまり、物価は1.0%増であることから、実質は0.9%の削減である。この仕組みを続ければ、2040年代に基礎年金の給付額は、約7兆円も削減されると、政府は、閣議決定した質問主意書への答弁書で明確に認めている。

食品や日用品が値上がりしても年金はほとんど上がらず、国民の暮らしは苦しくなるばかりである。いくら制度が安定していても、国民の暮らしが成り立たなければ、公的年金の役割は果たせない。将来への不安の増大から、消費も冷え込ませるばかりである。したがって、マクロ経済スライドの影響を検証し、年金制度の改革に今こそ踏み出すべきである。

また、年収1、000万円を超えると保険料が増えない高所得者優遇の保険料については、既に厚生労働省の審議会でも見直しに向けた議論がされているが、同時に、約200兆円に上る年金積立金を国民への年金給付のために計画的に取り崩すことや、年金の支え手である働く人の賃上げと正社員化により年金保険料収入を増やして、年金財源を安定させることも検討課題とすべきである。

よって、国においては、国民が安心できる年金制度の実現に踏み出すことを強く求める。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

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