平成30年第3回定例会/意見書案第3号
キャッシュレス社会の実現を求める意見書
世界各国のキャッシュレス決済比率を比較すると、キャッシュレス化が進展している国では40%から60%台であるのに対し、我が国では約20%にとどまっているのが現状である。
日本でキャッシュレス支払いが普及しにくい背景として、治安のよさやにせ札の少なさ等の社会情勢に加え、消費者が現金に不満を持っておらず、キャッシュレス支払いに漠然とした不安を持っていること、さらには、店舗における端末負担コストやネットワーク接続料、加盟店手数料等のコスト構造の問題等が挙げられる。
しかし、近年は実店舗における人手不足やインバウンドへの対応、スマートフォンを活用した支払いサービスの登場等、キャッシュレス化推進の追い風となる動きも見受けられる。
政府も平成26年に閣議決定された「日本再興戦略」改訂2014において、2020年東京オリンピック・パラリンピック等を踏まえ、キャッシュレス化に向けた対応策を検討するなど、これまで4回にわたりキャッシュレス化推進の方針を打ち出してきた。また、平成29年に閣議決定された「未来投資戦略2017」では、「今後10年間(2027年6月まで)に、キャッシュレス決済比率を倍増し、4割程度とすることを目指す」としている。
キャッシュレス化の推進は、事業者の生産性向上やインバウンド需要の取り込み、消費者の支払いの利便性向上に加え、データの蓄積を通じたイノベーションの実現にもつながるなど、経済全体に大きなメリットがある。
よって、政府においては、次の事項について実現するよう強く要望する。
1 実店舗等がコスト負担している支払い手数料のあり方を見直すなど、ビジネスモデル変革のための環境整備を行うこと。
2 地域商店街等と連携したポイント制度などのインセンティブ措置を検討し、消費者に対する利便性向上を図ること。
3 QRコード等のキャッシュレス支払いに関する技術的仕様の標準化を行うなど、サービスの統一規格等を整備すること。
4 産官学が連携して必要な環境整備を進めていくとともに、キャッシュレス支払いを通じて新たに生み出されるデータの利活用によるビジネスモデルを構築すること。
5 キャッシュレス化の推進に当たっては、停電時のバックアップ体制を構築すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
旭 川 市 議 会