平成30年第3回定例会/意見書案第2号

最終更新日 2018年10月10日

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全ての子どもに豊かな学びを保障する高校教育を求める意見書

北海道教育委員会は、2006年に策定した「新たな高校教育に関する指針」に基づき、毎年度「公立高等学校配置計画」を決定し、望ましい学校規模を40人学級で4学級から8学級として、高等学校の募集停止や再編、統合を行ってきた。これによって、2007年からの10年間で、道内の公立高校は統廃合により42校が閉校となり、公立高校のない市町村は50へと増加した。2019年度から2021年度の「公立高等学校配置計画案」においても、再編、統合によって、1校の募集停止を初め53校で54学級の大規模な削減を行うこととなっている。

配置計画で地元の高校を奪われた子どもたちは、遠距離通学や下宿生活等を余儀なくされ、精神的・身体的な負担は増大するとともに、保護者の経済的負担の増大も報告されている。また、子どもの進学を機に地元を離れる保護者もあらわれ、過疎化が進み、経済や産業、文化などに影響を及ぼすなど結果的に地域の活力をそぐこととなっている。

これらを解消するため、通学費、制服代、教科書代の補助や、やむなく町立に移管するなど、地域の高校を存続させるため努力している自治体が数多くある。これらは本来、北海道教育委員会が行うべきことであり、各自治体に責任を負わせることは、全ての子どもたちに等しく後期中等教育を保障しなければならない教育行政としての責任を放棄していると言える。

北海道教育委員会は本年3月に、「これからの高校づくりに関する指針」という新たな指針を公表した。新指針では依然として、望ましい学校規模を4学級から8学級として再編整備を進めることを基本としており、地域の要望や実態を全く踏まえたものとなっていない。旧指針の問題点を一切改めない新指針によって、今後も統廃合が進むことは明らかであり、都市部への一極集中や地方の切り捨てにより地域間格差が増大するとともに、北海道地域全体の衰退につながる。

したがって、広大な北海道の実情にそぐわない新指針を抜本的に見直し、中学卒業者数の減少期だからこそ、学級定数の見直しを行うなど、地域に高校を存続させ、希望する全ての子どもに豊かな後期中等教育を保障していくべきである。そのためには、地域の意見・要望を十分反映させ、地域の経済・産業・文化の活性化を展望した新たな高校配置計画、高校教育制度をつくり出していくことが必要である。

よって、北海道及び北海道教育委員会においては、次の措置を講じるよう強く要望する。

1 「これからの高校づくりに関する指針」は、地域の教育や文化だけでなく、経済や産業など地域の衰退につながることから、撤回すること。または、これまでの指針による序列化、高校間格差、地域間格差などの問題点を改善させる事項を盛り込むなど、抜本的に見直すこと。

2 全ての道内公立高校の学級定員を30人以下に引き下げること。

3 教育の機会均等と子どもの学習権を保障するため、遠距離通学費等補助制度の補助期間を募集停止後5年間とする基準を撤廃するとともに、以前より高校が存在しない町村から遠距離通学している子どもたちも制度の対象とすること。

4 地域連携特例校及び農業、水産、看護または福祉に関する学科を置く高校については、所在市町村を初めとした地域における具体的取り組みとその効果を勘案して、5月1日現在の第1学年の在籍者が2年連続して10人未満となった場合も再編整備を行わないこと。

5 障害のある、なしにかかわらず、希望する全ての子どもが地元の高校へ通うことのできる後期中等教育を保障するため、地域合同総合高校の設置など、豊かな高校教育を実現するよう検討を進めること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

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