平成30年第3回定例会/意見書案第1号

最終更新日 2018年10月10日

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2019年度予算編成における教育予算の確保・拡充と就学保障の充実を求める意見書

義務教育費国庫負担金の負担率が2分の1から3分の1になったことで、定数内期限つき採用や非常勤の教職員が増加している。文部科学省は、平成30年度概算要求で、学校現場の働き方改革に関係する予算要求として、3千413人の増員を要求した。しかし、この概算要求は実現されず、1千595人の定数増となり、うち小学校3年から6年の授業増への対応として要求した2千200人についても1千人にとどまった。また、財務省の財政制度等審議会も、教職員定数を改善することに慎重な態度で、教職員の働き方改革についても、自治体の自助努力により進めるべきとの態度をとっている。

しかし、教職員の7割から8割が月80時間超えの残業に相当する勤務をしている中、教職員の多忙化や超勤の解消は喫緊の課題である。そのためには、給特法・条例を廃止するなどの法整備の見直し、「第8次公立義務教育諸学校教職員定数改善計画」の策定による教職員定数の改善、30人以下学級など少人数学級の早期実現、全教職員による協働体制による学校づくりを具現化するよう、多くの声を国に上げていくことが必要である。

昨年のOECDの発表によると、平成26年度日本のGDP比に占める教育機関への公的支出の割合は3.2%と、比較可能な加盟34カ国中、再び最下位となった。その一方、子ども一人当たりの教育支出における私費負担率は依然として高い水準にあり、日本の教育への公的支出が少ないことは明らかである。さらに、平成28年の厚生労働省「国民生活基礎調査」では、子どもの貧困率は13.9%、ひとり親世帯の貧困率は50.8%と、依然として7人に1人の子ども、半数超のひとり親家庭が貧困状態にある。しかし、教育現場では、未だに地方財政法で、住民にその負担を転嫁してはならない経費としている人件費、旅費、校舎等の修繕費がPTA会計などの私費から支出されている実態、給食費、修学旅行費、テストやドリルなどの教材費の私費負担も依然として減少せず、地方交付税措置されている教材費や図書費についても自治体でその措置に格差が生じている。

さらに、生活扶助基準の見直しに伴う就学援助制度の改悪、高校授業料無償制度の所得制限、給付型奨学金が先行実施されたものの対象者等が限定されていることから、未だに教育ローンともいえる有利子の奨学金制度を利用せざるを得ない子どもたちが、返済に悩み苦しむなど、家庭・子どもの貧困と格差は改善されず、経済的な理由で進学、就学を断念するなど教育の機会均等の原則は崩され、学習権を含む子どもの人権が保障されない状況となっている。子どもたちは、住む地域や環境に関係なく平等に教育を受ける権利を有している。その保障のためには、国による教育予算の確保と拡充が必要である。

よって、国においては、次の事項を実現するよう強く要望する。

1 国の責務である教育の機会均等、教育水準の最低保障を担保するため、義務教育費を無償化すること。また、義務教育費国庫負担制度を堅持し、当面、義務教育費国庫負担金の負担率を2分の1に復元すること。

2 30人以下学級の早期実現に向けて、小学校1年生から中学校3年生の学級編制標準を順次改定すること。また、地域の特性に合った教育環境整備・教育活動の推進、住む地域に関係なく子どもたちの教育が保障されるよう、義務標準法改正を伴う計画的な教職員定数の改善の早期実現、教頭、養護教諭、事務職員の全校配置の実現のため、必要な予算の確保・拡充を図ること。

3 給食費、修学旅行費、教材費などの保護者負担を解消し、図書費など、国の責任において教育予算の十分な確保、拡充を行うこと。

4 就学援助制度、奨学金制度のさらなる拡大、高校授業料無償化など、就学保障の充実に向け、国の責任において予算の十分な確保、拡充を図ること。

5 高校授業料無償制度への所得制限を撤廃するとともに、朝鮮学校を授業料無償化の適用除外とすることを撤回すること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

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