平成30年第2回定例会/意見書案第8号

最終更新日 2018年6月29日

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2019年度地方財政の充実強化を求める意見書

地方自治体は、高齢化の進行により、医療、介護、子育て支援など社会保障への対応、地域交通の維持、森林環境政策の推進など、果たす役割が拡大する中で、人口減少対策、大規模災害を想定した防災・減災事業の実施、公共施設の老朽化対策など、新たな政策課題に直面している。

一方、公共サービスを提供する人材が限られる中で、新たなニーズへの対応と細やかなサービスの提供が困難となっており、人材確保を進めるためこれに見合う財源が必要である。

こうした状況にもかかわらず、社会保障費の圧縮や公的サービスの産業化など地方財政をターゲットとした歳出削減に向けた議論が加速している。特に、トップランナー方式の導入は、民間委託を前提とした地方交付税算定を容認するものであり、地方財政全体の安易な縮小につながることが危惧される。インセンティブ改革とあわせ、地方交付税制度を利用した国の政策誘導であり、中立であるべき地方交付税制度の根幹を揺るがしかねないものである。

また、地方自治体の基金は、景気動向による税収の変動、人口減少による税収減や地域の実情を踏まえた政策課題に対応することが目的の一つであり、財政的余裕により積み立てるものではないことから、基金残高を地方財政計画に反映させて地方交付税を削減するべきではない。

このため、2019年度の政府予算と地方財政計画の検討に当たっては、歳入、歳出を的確に見積もり、社会保障予算の充実と地方財政の確立を目指すことが必要である。

よって、政府においては、次の事項を実現するよう要望する。

1 子ども・子育て支援新制度、地域医療の確保、地域包括ケアシステムの構築、生活困窮者自立支援、介護保険制度や国民健康保険制度の充実など、急増する社会保障ニーズへの対応と人材確保をするための社会保障予算の確保及び地方財政措置を的確に行うこと。

2 社会保障、災害対策、環境対策、地域交通対策、人口減少対策など、増大する地方自治体の財政需要と公共サービスの提供に必要な人員を的確に把握し、これに見合う地方一般財源総額の確保を図ること。

3 地方交付税におけるトップランナー方式の導入は、地域によって人口規模、事業規模の差異、各自治体における検討経過や民間産業の展開度合いの違いを無視して経費を算定するものであることから、廃止または縮小すること。

4 住民の命と財産を守る防災・減災事業は、これまで以上に重要であり、自治体の庁舎を初めとした公共施設の耐震化や緊急防災・減災事業の対象事業の拡充と十分な事業期間の確保を行うこと。

5 2015年度の国勢調査を踏まえ、人口急減・急増自治体の行財政運営に支障が生じることがないよう地方交付税を算定すること。

6 地域間の財源偏在性の是正のため、国税から地方税への税源移譲を行うなど、抜本的な解決策の協議を進めること。

同時に、各種税制の廃止、減税を検討する際には、自治体財政に与える影響を十 分検証した上で、代替財源の確保を初め、財政運営に支障が生じることがないよう対応を図ること。

7 地方交付税の財源保障機能、財政調整機能の強化を図り、市町村合併の算定特例の終了を踏まえた新たな財政需要の把握、小規模自治体に配慮した段階補正の強化などの対策を講じること。

同時に、地方交付税原資の確保については、臨時財政対策債に過度に依存しないものとし、所得税、法人税、酒税、消費税の対象国税4税に対する法定率の引き上げを行うこと。

8 地方自治体の基金は、2004年度の地方交付税、臨時財政対策債の一般財源の大幅削減による自治体財政危機、自治体にかかわる国の突然の政策変更、リーマンショックなどの経済環境変動下でも、災害の復旧・復興や住民の福祉向上のために必要な事業に対応できるよう、財政支出の削減等に努めながら積み立てたものであり、これを地方財政計画へ反映しないこと。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

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