平成30年第2回定例会/意見書案第2号

最終更新日 2018年6月29日

ページID 064269

印刷

教職員の長時間労働解消に向け、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置(給特法)の廃止を含めた見直しを求める意見書

2017年4月に公表された文科省による教員勤務実態調査(平成28年度)の集計(速報値)において、厚労省が過労死の労災認定の目安としている月80時間超えの残業に相当する教員が、小学校で33.5%、中学校で57.6%に達していることが明らかになった。

こうしたことから、文科省は、中央教育審議会に教員の勤務時間体制のあり方などについて諮問し、中教審は「学校における働き方改革特別部会」を設置して議論を進め、昨年12月に「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について(中間まとめ)」を公表した。しかし、中間まとめでは、学校及び教師が担う業務の明確化・適正化などについての検討は行ったものの、依然として、給特法の問題に踏み込んでいない。

教職員の長時間労働に歯どめがかからない大きな要因として、給特法の存在がある。給特法第6条第1項は「教育職員を正規の勤務時間を超えて勤務させる場合は、政令で定める基準に従い条例で定める場合に限るものとする。」と規定し、政令では、原則として時間外勤務を命じない、命ずる場合は、超勤4項目の業務に従事する場合であって臨時又は緊急のやむを得ない必要があるときに限ると規定している。

しかし、学校現場では、時間外勤務を行わなければ膨大な業務を消化できず、命令によらない時間外労働が常態化しており、給特法は現場の実態と著しく乖離している。その上、超勤4項目以外の業務に従事した場合については何の定めもなく、教員の自発的な勤務として時間外勤務には当たらないとされている。また、給特法第3条第2項は、労働基準法第37条を適用除外し、「時間外勤務手当及び休日勤務手当は、支給しない」と規定していることから、教育委員会や管理職による勤務時間や時間外勤務を管理する責務までも曖昧にしている。現在、教員の時間外労働は、給特法制定時の月6時間程度から大幅に増加しており、給特法の見直しは必須である。

今国会において、働き方改革が重要な課題となっており、その解消に向けて労働基準法の改正案が議論されている。長時間労働是正に向けては、時間外労働を抑制する法制の検討が肝要である。したがって、学校における働き方改革を進めるに当たっても、まず、教育職員に係る勤務時間管理の根幹をなす給特法についての議論がなされるべきである。何より、給特法は、労働条件に関する最低基準を定めた労働基準法の一部適用除外を定めた法律であることから、殊さら厳格な運用が求められるものであり、法と実態が乖離し、法の趣旨が形骸化している現状の改善なくして学校現場の働き方改革はなし得ない。

よって、国においては、教職員の長時間労働解消に向け、実態と乖離している給特法の廃止を含めた見直しを行うことを強く要望する。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

旭 川 市 議 会

お問い合わせ先

旭川市議会事務局議事調査課

〒070-8525 旭川市7条通9丁目 総合庁舎8階
電話番号: 0166-25-6318
ファクス番号: 0166-24-7810
メールフォーム
受付時間:
午前8時45分から午後5時15分まで(土曜日・日曜日・祝日及び12月30日から1月4日までを除く)