第3回旭川大学の公立化検討に関する有識者懇談会会議録

情報発信元 公立大学課

最終更新日 2017年7月6日

ページID 061890

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会議概要

日時

平成29年6月6日(火曜日)午後2時から午後4時

場所

旭川市役所 議会棟 第4委員会室

出席者

  • 参加者9人
    五十嵐、伊藤、大野、大矢、澁谷、長澤、原田、山根、渡辺(50音順)
  • 事務局5人
    総合政策部政策調整課 黒蕨部長、佐藤次長、上代主幹、森田補佐、尾形

会議の公開・非公開

公開

傍聴者の数

18名

会議資料
(PDF形式)

次第(PDF形式 65キロバイト)

資料1 懇談会参加者名簿(PDF形式 85キロバイト)

資料2_1 公立大学に関する地方交付税の状況について(PDF形式 219キロバイト)

資料2_2 公立大学の基準財政需要額と一般財源設置団体負担額について(PDF形式 199キロバイト)

資料3 公立大学の入学検定料収入について(PDF形式 183キロバイト)

資料4 公立大学の人件費について(PDF形式 287キロバイト)

資料5-1 旭川大学・同短期大学部の「公立化」に関わるいわゆる4条件への対応について(PDF形式 510キロバイト)

資料5-2 4つの条件に対する旭川大学からの回答概要(PDF形式 84キロバイト)

資料5-3 経営シミュレーションについて(PDF形式 233キロバイト)

追加資料 第2回会議における主な意見(PDF形式 98キロバイト)

会議内容(要旨)

1開会

(1)前回の懇談会で求められた追加資料について

(事務局)

 資料2-1から資料4までについて概要を説明。

(参加者)

 資料2-2にある基準財政需要額とは何か。

(事務局)

 公立大学については、国から地方交付税で財政措置されることになっており、その算定において学部の系統別に学生一人当たりの単価が定められており、それを掛け合わせた数字が基準財政需要額となる。一般財源負担額は、自治体が大学に運営費を負担しているという意味である。

2 議事

(1)旭川大学の公立化に関する学校法人旭川大学の検討内容について

(事務局)

 資料5-1及び資料5-2について概要を説明。

(参加者)

 今日の議題は「学部・学科の見直し」とあったが、「ものづくり系学部の設置」も今日の議題に入っているのか。

(事務局)

 今日は「学部・学科の見直し」を中心に意見をいただき、次回以降「ものづくり系学部の設置」を取り扱うことを考えている。

(参加者)

 旭川大学からの回答の中には公立大学の理念が見られず、理念を実現するための方法が示されていない。秋田にできた公立国際教養大学は、国際人を育て、その方法として外国語で授業を行うといった、理念と方法がはっきりしており、今や東大に次ぐ第2の人気校である。大学の運営で重要なのはまず理念であるので、高い目標、国際的に見てもユニークな大学であるなど、そうした理念を掲げ、それを実現するための学部学科とそのカリキュラムはどうあるべきかを考えてほしい。ものづくり系で想定していたのは、世界をリードするものづくりデザイン教育。これからの福祉や経済について、地域創生系への改革を意識してとあるが、意識ではなく言い切ることが新大学には必要ではないかと思う。

(事務局)

 具体的な理念はまだ固まっていない状況だが、ユニークな学部であるとかほかの大学との差別化というのは、重要な視点と認識しているので、今後そうした課題意識を持って検討していかなければならないと考えている。

 今日のところは「学部・学科の見直し」をテーマに御議論いただこうと思うが、その前に「法人分離」と「予定されている耐震化」について、市も旭川大学とほぼ同様の考えということで受け止めているが、ここについても御意見があればいただきたい。

(参加者)

「法人分離」についてだが、旭川大学の回答によると、あらかじめ新法人をつくっておき、そこに大学と短大がしかるべき形を整えて移行していきたいとある。この新法人の主体は誰なのか。市がつくるのか。器だけの状態での新法人の責任者は誰になるのか。市長になるのかわからないが、中身がない新法人について認可してもらえるのか。

(事務局)

 中身がない状態でというよりは、相当な確実さを持って認可申請をすることになるので、それを踏まえて同時平行で進めるものと思われる。高校を持っていた私大で公立大学に移行している例で、高校を分離して公立大学法人を設置していることから、同時に認可申請するという流れになると思う。

(参加者)

 短大について、多くの大学が短大を4年制にするという方向を持っていると思う。短大の価値というものも認めるところだが、旭川大学としてどのように考えているのか。大学と短大を公立化して、そのあとで4年制に移行するよりは、最初から方向性を考えておくべきでは。

(事務局)

 今のところ旭川大学からの回答の中には短大を4年制にするという記載はなかったと思うが、市としては定員充足率を最重要課題ととらえており、短大の中でも充足率が非常に低い学科があるが、定員充足率がある程度満たしている学科もあり、一定程度のニーズがあるという部分も見られるので、短大から4年制の移行については、検討していかなければならない課題と認識している。

(参加者)

 アドミッション・ポリシーやカリキュラム・ポリシー、ディプロマ・ポリシーなどこれらをはっきり明確化して学生を育てていくということが大事で、充足率が高いから残すというのではなく、きちんとポリシーをはっきりさせて、継続の可否を判断しなければならないと思う。

(事務局)

 学校の理念を具現化するためにどういう学部学科の構成が良いのか、大事な課題だと思う。

(事務局)

 資料5-2及び資料5-3について概要を説明。

(参加者)

 授業料の、基準額があるわけではないのか。

(事務局)

 基準はないが、多くの公立大学は国立大学の額を採用している。

(参加者)

 現段階では仕方が無いと思うが、実際に経営していくと、教員数や教員の年齢層など、いろいろな変動要素がある。また、公立大学という性質上、卒業生が地域に定着してもらうのにこしたことはないが、基幹産業に対する学生の進路が合っているのかを考えなければならない。これはものづくりだけの話に限らず、福祉関係でもこれから高齢化社会を迎えるに当たって、そこに関わってくる人材をどう育てていくのか、それを地域がどう求めていくのかを考える必要がある。

 充足率の低さは職業上の待遇に要因があると思うので、地域にとって有益な人材をどのように待遇改善して定着させて、どのように基幹産業に関わってもらうかを考えるべきで、そのためには地域枠も必要だと思う。学生にとって授業料は非常に大きな負担で、地域の企業から奨学金をもらうなど、大学だけではなく地域と一緒になって様々な工夫を進める必要もあると思う。旭川大学がどう考えるかというのと同時に、旭川市全体でどう連携していくかというのも考えるべきだと思う。

(参加者)

 旭川大学の今までの学部や考え方をベースとした一つのシミュレーションとして報告は分かり易く、一般論として90%以上充足すれば、経営的には大丈夫だというのはわかる。ただこれはあくまで現在の状況の延長線上の話である。入試倍率が100%前後で低迷していた公設民営の私大が、公立化した途端に500%くらいになったという例もある。ただそれをあまり楽観的にとらえないで、旭川大学の資産をどのように活用してどんな大学にしていくか、今までの延長線上にこだわらない方が良いのではないか。

 また、旭川市が出すお金には国からの交付金が含まれるので、地域貢献と日本全体に向けての貢献を50:50くらいで考えてはどうか。

 公立化によって授業料が下がれば、充足率も今と同じではないと言っていいと思うが、効果的に市民の税金などを使うためには、新しい公立大学をどんな姿にしたら良いのかを、考えることが重要かと思う。

(参加者)

 魅力ある大学をつくることがまず第一。公立大学としてつくる以上は旭川市民に対しても責任があるので、100%を切るようなことがあってはならない。先程の例にあったように、公立化した途端に倍率が一気に上がるのは普通のことであり、より多くの受験生が全国から集まるような大学をつくるべきだと思う。それが結局、旭川市のレベルの高い高校生が受験するような大学につながってくると思う。そのために、適切な学部学科の設置をお願いしたい。地場産業に根付いた、いわゆるものづくり系学部・学科というのは全く否定しない。旭川にはそうした素晴らしい産業があり、旭川として唯一無二の学部学科はあってしかるべきだと思うが、それだけでは経営的な面からも厳しいと思う。先程国際教養大学の話があったが、そうした成功例は滅多にあるものではない。立派な理念があって、オンリーワンの学部・学科をつくっていくということを追求していきたいと思う。

 今リケジョを増やそうと国の政策でやっているが、理学部に進む生徒は北大から外れた場合、道内にはほかの選択肢がない。そうした生徒達は弘前、秋田、岩手など、北海道を離れなければならないという現状がある。また、これからは日本語や外国語に関わらず、コミュニケーション系の学びができる大学というのが必要となると思っている。外国系コミュニケーション学科というのは人気が上がっており、経営的にも安定している。そうした学部学科が北海道には一つ必要ではないかと思う。北大の文学部の英語に行くのはちょっと厳しいという生徒は、英語を学ぶために小樽商大に行く。そうした高校生の選択肢の一つとして、その系統の学部をつくるべきだと思う。我々が目指す旭川の公立大学というのが単科大学ではなくて、少なくとも3学部くらいの準総合大学のような大学となれば、様々なニーズに応えることができるし、全国から質の高い学生を集めることができるのではないかと思っている。その中には、ものづくり系の学部学科も入れるべきだと思う。

(参加者)

 充足率の議論をしているうちはいいが、少子化であと10年20年経つと大変なことになる。そこで倍率を競っていると国立もいくつかつぶれるくらいの状況になってくる。それぞれの大学で対策を考えていて、旭川大学も当然同じように苦労されていると思うが状況は同じ。将来構想は短期的にも必要だが、長期的にも考えておかないといけない。そのときに、海外から人を求めるというのはどの大学もやっている。地元に定着してくれるのもいいが、学生確保のために海外に求めるのではなくて、先程のポリシーに対して賛同を得られるような学生を世界中から集めてくるくらいのグローバル化というのが、結果的に地方創生につながっていくのではないかと思う。短期的な囲い込みだけ考えるよりは、結果的に徐々に地域が息づくという構想でいくべき。

(参加者)

 旭川大学の現在の経済学部はかなりの定員数だが、釧路にも経済学部があり、経済学のこれからというものを明確に示していかないといけない。まちの商店街の在り方も変わっている中で、従来のお店を継続していくための後継者を育てるという役割では、全国から学生は集まってこない。もう一度考え直す必要があるのでは。九州大学や佐賀大学では、一つの学部の中に理系と文系両方の専門分野があり、その中で学生が自由に学習できる。マサチューセッツ工科大学は経済学の分野においても、ITや分析能力が世界最先端である。現在のシミュレーションは今ある旭川大学の学部をベースにしているが、これを資産として活かしながら、新しい姿をつくっていく努力というのを期待したいし、楽しみでもあると考えている。

参加者: 地域のことを突き詰めていくと必ず世界に通じる。地域課題というのは世界中どこでも共通しているものがあって、必要なのは現状をとらえる力と、分析をする力と、解決する力は地域にあるので、その地域の力を上手く活用する力。ローカルかグローバルかということよりも、地域で培われたものが世界に通用すると思うので、そうした力を身につけることが大事。高大接続の2020年改革に向けて、英語を学ぶのではなく、いかに英語を使うかということを学ぶかが当たり前の時代になると思う。授業を英語で全部行うというのはあまり現実的ではないので、社会に出て英語を使わざるを得ない状況にあるような人たちを招いて、地域の課題を英語で学習することが一つの魅力となるのでは。大学の教育に地域の人たちやOBが関わって、それが英語教育でありながら、基礎学力も地域でつけるということも一つのあり方だと思う。高大接続に向けては、高校生も受け止める大学生も大変で、今度は受け入れる地域社会や企業も考えなくてはならない課題だと思う。

 大学側の回答で、「改組廃止等が条件となれば」というのは、どう理解すれば良いか。この懇談会で改組について決定するという話でもないと思うが。それとも市がそのように考えているのとすれば、ということなのか。公立化した際、看護については旭川医大にも名寄市立にもある。その周辺の道北全体での競争はどうなるのか。

(事務局)

「条件となれば」というのは、懇談会の方々にではなく、市に対してのメッセージだと思う。

(参加者)

 市が考えているような見直しの案ではなかったということは、ここは見直してほしいということなのか。であればコミュニティ福祉や生活福祉というのは実学に近くて、専門学校や短大もあれば様々な形で養成が進んでいるので、あえて大学で、公立大学でやる必要があるのかということも考えなければならないのでは。

(参加者)

 ローカルとグローバルを分ける必要性は全くなくて、社会人としてしっかりやっていける人材を育成することが重要。その結果、地域で活躍する人もいれば外に出て行く人もいて、外に出てからまた戻ってくる人もいるというような学校になればいいなと思う。学生のときに外から来た子たちが、旭川の地域・経済界とインターンシップ等でつながりを持って、旭川に対する郷土愛を持ってもらい、また出て行っても旭川のことが頭にあってこれからの人生につながっていくというような、深い意味での旭川に愛着を持つような学校が出来れば良いのではないかと思う。

 金融には、理系の方が向いているような仕事も多くあり、地域づくりの中にもそういった要素が必要なことも多い。学部学科の見直しで言えば、どんな学部を持つ大学をつくりたいかということをもっと突き詰めた上で、今の旭川大学とどうつながるのかを考える必要がある。公立大学を設置する上でのベースに旭川大学がなるのかということで話があったが、確かに一から設立ではなく、ある程度ベースにするという要素が必要だろうし、こうした検討をすることも必要だし、市としてどのような公立大学をつくるのかというのは同時並行的に考えていくべきだと思う。

(参加者)

 経済に関係して、例えば、大雪山などの自然資源は世界に冠たる観光資源だと思うが、自然と一体となった暮らしや楽しみ方は現代の日本ではヨーロッパやアメリカに比べてまだ手がついていない状態である。旭川にはそうした資源がある。農業についても、運営、経営面や地域社会づくりという面からでも研究できると思う。理念をつくるときには、旭川の地理的・歴史的な資産が当然大前提になってくるのではないか。その上で、IT技術や海外の様々な知恵を集めていくということになると思う。帯広畜産大学も地域資源との関係が建学の理念になっているのか。

(参加者)

 なっている。ほとんどの大学が創設時にそうしたきっかけがあってできあがっているはず。それが社会の変化とともに薄れてしまって、文科省からはミッションの再定義という、創立の理念から今どう変わっているか、改めて存在意義を問われた。

 なぜここに大学があるのかということは重要。なぜ旭川の地に大学があるかということを考えたときに、例えば経済学や語学といったものが、地域にどのように関わっているのかというのは明確にするべき。

 国立大学だけかもしれないが、今の大学では実務家教員を採用する動きがある。大学の先生は卒業してからずっと大学に残っているため、あまり社会の状況がわからない。狭い専門性で学生を教えているので、教えられた学生が卒業して社会に出たとき、中々対応しきれないという状況があり、実務家教員に入ってもらい、社会情勢をきちんと学んでもらおうということである。大学の先生は専門性に特化して論文を書き、研究を進めて人材育成に使っていく。そういう役割で連携していくべきだと思う。先程のインターンシップもそうだが、実務家教員を入れることで教育全体が充実していくので、実務家教員というのは一つキーワードになる。

(参加者)

 今回の話は、東海大学の旭川キャンパスがなくなったというところから始まっている。東海大学の卒業生が旭川の家具メーカーの社長、あるいは従業員でなかったら、旭川家具が全国の中でこれほど優位な地位にいられなかったろうと思う。その延長線上で考えるときに、必要なのは機能的なものづくりではなくて情緒的なものづくりで、社会的ではなく身体的な、一般的にデザインといわれるような領域を教える学部が必要だろうと思う。こういった会議では、地域のために大学がないといけないという議論に終始しがちだが、大学は学生のためのものであって、彼らにとって大切なのは旭川の経済ではなく、カリキュラムや先生、環境だと思う。この地域にどういう強みがあるのか、家具業界の中で考えると、日本は主要国で言うとフィンランド、スウェーデンに次ぐ森林国であって、北海道の森林資源をいかに活かすかが重要だと思う。例えばバイオマス発電の材料に使うと考えたときに、木材1立方メートル1、000円~1、500円くらいで、パルプで使おうとするともう少し高い。建築用材だと数万円で、家具メーカーが使うと製材ベースで数十万円。同じ1立方メートルの経済効果を考えたときに、燃やしてしまうのと家具に使うのとでは50~100倍違う。

 アメリカでは、大都市の過密化が進み住宅の高騰が進んでいる一方で、エコロジーへの関心が強い。家具もシンプルでモダンな北欧家具が再びトレンドになりつつあるが、北欧家具はコストが高くなってしまうので、中国やアジアで作る物を欲しがるアメリカ人にとって、旭川は極めて優位な生産地になり得る。そうしたとき、デザインを軸にして魅力のある製品を生み出し、それをプロモーションする力を養うのが大切。旭川というフィールドが全部大学だと考えれば、極めてユニークな教育ができると思う。実際に森林に入って、あるいは職人と一緒にものづくりをするなど、今ある資源を有機的に活用してユニークな教育ができれば、旭川あるいは道北エリアにしかないユニークな大学ができる。留学する学生が増えるぐらいでないと学校の魅力につながらないので、まさにオンリーワンの光るものがいい。

(参加者)

 旭川大学の報告書には今考えている最も現実的なイメージが出されていると思うが、今の経済学部・経営経済学科をまず経営経済学部・地域政策学科に名称変更し、経営というより実践的な名前を前に出すとともに「地域政策」を押し出す。これは旭川大学にとっては新しい一歩なのだろうと思うが、ほかの大学の取組に比べかなり遅れているようだ。既に国立大学の経済学部にとっては地域というのは当たり前になっていて、さらにただの地域だけではなくグローバルと併せ、グローカルという言葉を使い、両者を合わせてこそ意味があるという認識だ。

 旭川大学は異分野連携を挙げていたが、これも殆どの大学は考えていて、文理融合などはこれから高等教育のキーワードになると思う。地域政策学科を拡充させていき地域デザイン学部をつくるという話になっているが、この新学部の中身は経済と経営と地域政策になると思われる。地域政策というと、地域企業や地域産業論、地域行政やコミュニティ論、都市政策などと考えられるが、これらもたいていの経済学部・経営学部は多かれ少なかれ取り入れている状況。旭川大学にとってはスムーズに移行しやすい形だと思うが、従来の主要な議論、すなわち旭川ならではのものづくり、木工、工芸、家具などをデザインしていくという考えはこの新学部の中に入っていくのか。旭川大学が地域政策と言っている中にものづくり・デザインがどのように入っていくのか非常に気になる。この点で、市がものづくり系学部を考えてほしいと言うときに、デザインという言葉だけを使い、その中身を明確に伝えていなければ、その内容は別のものになってしまう。例えば帯畜大は全国から学生を集め、帯畜大ならではのカリキュラムや十勝ならではの人材育成を見事に展開している。旭川大学の報告書では旭川ならではという魅力が薄いので、ものづくり・デザインと言ったときに、市側が何を期待しているのかをより強く出していく必要がある。

(参加者)

 ものづくり系学部に関しては次の懇談会で話したいと思うが、皆さんの意見を聞いて、5年前に長原實が言っていたことがまさにそういうことではないかと思っている。経済学部は全国に似たようなところがあり、地域性、特徴、オリジナリティなどをどう出していくかという点で、今の学部見直しというのは非常に難しいところだと思う。

 ものづくりやデザインというのはクリエイティブで、ゼロから完全にオリジナルなものを創造していくというのがクリエイティブの意味だと思っている。そうした人材が、東海大学の卒業生にはいっぱいいて、私の会社にもいる。若手のデザイナーが大学を出て、うちの会社に入ってくるが、そうした若手のデザイナーは優秀であり、先程実務家的な先生の話があったが、デザイン専門学校はほとんどが現役のデザイナーが講師として入っていて、そこの卒業生は即戦力になるが、2~3年もたつと大卒のデザイナーが追い抜いてしまうことが多い。そうしたことも含めて、デザイン系というのは、相当の可能性もオリジナリティも秘めていて、またコミュニケーション活動の原点でもある。今の学部学科の見直しに関しては非常に難しい問題で、皆さんの意見を聞いていると、どこにでもある経済学系や看護福祉系というのは見直して良い方向ではないかと思う。

(参加者)

 社会科学系の教育とデザイン系の教育の大きな違いは、創造教育があるかどうかである。経済の勉強というのは、ものをつくった結果の社会の経済状態を分析していくが、ものづくり系デザイン系の教育はゼロからあるものを生み出すので、教育方法としては創造訓練とか創造的なものが中心になる。

 経済にはミクロ経済とマクロ経済があるが、作るという上でも、一品製作と大量生産、マスプロダクションとプロトタイプのプロダクションがある。手づくりと量産は違う世界のように思われるが、ものを創り出すという意味では全く同じ世界である。この一品製作と大量生産の両方が出来るのはアメリカの教育の優れた点であり、日本のこれからのものづくりや経済とは何なのかということも考えなければならないと思う。

 経済学部の中にデザインを含ませるという発想は全く不可能で、インプットされるものによってアウトプットが決まってくる創造性を教育にしなければならないので、社会科学系とデザイン系というのは分けて考えなければならない。そのかわり、例えば短大の生活福祉とか栄養とか幼児といったキーワードはデザインにとっては大変魅力である。デザインというのは使う人のことを思って考えるので、福祉や食べ物の分野でもデザインが今大きな課題になっている。それから幼児、子どもは大人と違うので独自のニーズがある。どういう形になるかはわからないが、そうした専門の先生が総合的な学部の中に入ってもらうことで、様々な情報がこれらの先生から得られると思う。それが非常にユニークになると思う。

(参加者)

 実際の旭川大学の学部名称を変更した方が早く開学できるのか。今の経済学部の名前を変更して2学部制でスタートさせて、後からデザインをくっつけるという発想に見える。

(参加者)

 入れ物は変わらず、教育方針も入学から卒業までのポリシーも変わらなければ、工夫しながら地域政策などを展開し、その先に地域デザイン学部を提示しても、その中にものづくりを入れるというのは難しい。これだとそういう道しかないように感じる。

(参加者)

 経済学部とデザインは融合するが、必要な要素と教育の基本が違う。

(参加者)

 望ましいのは、旭川ならではの新しい学部をもう一つしっかりつくるということだが、その際に設置審議会にかかるので、その時に教授陣をそろえていくというのは大変な作業。他方で、経済学部の中に地域という要素を入れて、その中に木工とか家具とか工芸に関するデザインを入れ込めるかというと、それは難しいと思う。

(参加者)

 まったく難しいと思う。そこが融合した例は日本ではない。それぞれの根っこがあってそれがお互いに協調することがとても重要。

(参加者)

 もし既存の経済学部を活かす道があるとすれば、例えば、人文社会学部というより大きな枠組みにすればあり得るかもしれない。人文科学は人間精神の様々な営みを包括し、精神科学とも言われ、文学、文化、思想、美術や芸術も入りうる。

(参加者)

 社会学とも違うと思う。デザインはむしろ工学に近く、現実に工学部デザイン学科はたくさんある。両者の融合というのは、学生が両方を見ることができるという意味での融合であって、一緒になった組織では専門性も薄れるし、研究も不可能だと思う。経済ではマーケティングとか、商品企画とかは当然あると思うが、デザインでもマーケティングや商品企画を勉強している。それに加え人間工学とか感性工学も勉強しなければならないので、両者を上手く融合するというのがいい。そうした認可は佐賀大学などいくらでもある。

(参加者)

 経済学の中でやっていくのと単独でものづくり系学部を作るのは、認められる難しさの度合いは違うのか。

(参加者)

 学部を一つ新設することは大きなハードルだという理解でいるが、どれくらいの認可手続きがいるのかということまでは把握していない。

(参加者)

 やはり我々が考えるべきことはどういう大学をつくるのか、もう一度原点に戻るべきでは。旭川大学のこの改革案が、新しい旭川の公立大学のベースになり得るかというのは、相当難しいと思っている。一方、旭川市が全く旭川大学と別の形で大学を新設するということも相当難しい状況と聞いている。今の経済学の件を見ても難しいと思う。結局看板の掛け替えに過ぎないのならば、それは我々が思い描いている大学づくりの理念とは相当ずれている気がするので、次回以降、そこも踏まえて議論したい。

(参加者)

 地域の国公私立や専門学校、これが一体となって人材育成に取り組む、そういった構想はあるのか。

(事務局)

 一つの共同体としてはウェルビーイングコンソーシアムという高等教育機関の連携組織がある。各大学の先生方が協力して地域に貢献していこうという大きな組織がある。一方で本当の大学間の連携というと、今少し話題になっている私大と国立大学が連携するアンブレラ方式など、国の方で進んでいるが、具体的な動きとしては今のところない。

(参加者)

 新しい学部を作ろうとすると、設置審に諮られるわけだが、教員の実績や教育カリキュラムなど審査が非常に厳しい。既存の旭川大学以外からもどれだけ講師陣を集められるのか。

(参加者)

 デザインという名前がついた場合には、当然デザインの専門家が審査する。ある大学で、名前だけ変えてデザインを名称に付けたというケースがあるが、実際にはデザインの専門家集団はいなかったため、デザインという名前に惹かれて入った学生が詐欺だと言い出した。新規につくるのであれば文科省の段階での判断になる。

(参加者)

 急に少子化が改善されるわけではないので、そういった意味で、地元定着の割合が高くダム機能を果たしているこれまでの旭川大学の取組の方向性はそういった意味で適っていると思う。

 旭川市は柔軟な奨学金制度を持っていて、市外の方でも就職するときに市内に住んでもらえれば使える。こうした奨学金の制度や先程の地域枠の制度など、充足率だけではなくてほかの要素も含めて検討していただけたらと思う。

 また、旭川市は道北の中核的な存在なので、旭川市だけではなくて、地域全体のものを考えてもらうときに、釧路の経済学部の話もあったが、同様に看護学部についても、今まで地域間の均衡がとれていたものが公立化によって今後どうなるかというところも考えていただきたい。

3 その他

次回の会議については、日程調整の上、決定することとなった。

4 閉会 

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