彫刻美術館だより vol.13 (2026年10月発行)

彫刻美術館だより Vol.13
館長よりごあいさつ
「美術館」とは
今年度も、上半期が過ぎようとしています。昨年度も多くの方にご来館いただきましたが、今年度はさらに来館者が増え、昨年度と比較して約 50%増となっています。
その要因を一つに絞ることはできません。さまざまな催しを行ったことに加え、「ぬいぐるみお泊まり会」によって、これまであまり美術館に目を向けることのなかった方々にも関心を持っていただくことができました。
また、いつでも体験できるワークショップなどを通して、小学生や親子連れの来館も増えています。
こうした取り組みを一つひとつ重ねた結果、全体として、美術館に触れていただく機会が増えたことが、主な要因ではないかと考えています。
美術館として、来館者を増やしていくことは重要です。しかし、私がもう一つ大切にしていることがあります。
美術館の核となるのは、「収集・保存」「調査研究」「展示」です。ある目的のもとに作品を収集・保存し、調査研究を重ね、その成果を展示として広く伝える。
さらに、展示をより深く楽しんでいただくために、イベントや教育普及活動を展開していく。私は、こうした循環が美術館の基本的な役割だと考えています。
旭川市では、長きにわたり「彫刻のまち旭川」として、多くの人々が力を尽くし、彫刻文化を育んできました。
旭川を訪れる方から、野外彫刻が大切に維持されていることや、美術館のコレクションについてお褒めの言葉をいただくことがあります。
一方で、旭川が積み重ねてきたものの価値を、もう一歩、市民の皆さまにも知っていただき、共有していくことも大切です。美術館が、そのための場所の一つでありたいと思っています。
時代の移り変わりとともに、作品の鑑賞の仕方や、美術館に求められる役割も多様になってきました。
だからこそ、さまざまな方に美術館を身近に感じていただく取り組みを進めながらも、美術館が本来持つ役割を見失わないようにしたいと思います。
館長 南雲 貴史
企画展
みゅうず
催し・講座
映画『甘露水』上映会
中原悌二郎らが活躍した日本の近代彫刻の黎明期に、台湾出身者初の東京美術学校(現・東京芸術大学)留学生として彫刻を学び、活躍した彫刻家・黄土水の代表作《甘露水》をテーマにした映画作品の鑑賞会を行います。
日時:令和8年11月1日(日曜日) 13時30分~16時00分
定員:30名(先着) 申込:10月15日(木曜日)9時よりWEBにて
観覧料:無料
主催:合同会社ジルサンズ
共催:中原悌二郎記念旭川市彫刻美術館
職員紹介
2026年9月より中原悌二郎記念旭川市彫刻美術館でお世話になっております、井沢と申します。
旭川市で生まれ育ち、本州の大学でオランダ美術と博物館学を学び、学芸員資格を取得後、本年、旭川市に戻ってきました。子どもの頃から美術館・博物館が大好きだったので、美術館で働くことができ、ご縁に心から感謝しています。
大学を卒業したばかりで、学芸員としても市職員としても、日々学んでいるところです。
市内の小中学校で出前授業を行う機会もあります。子どもたちが家に帰った後も、今日見た彫刻のことを思い返してくれるような、心に残る時間をつくれるよう頑張ります。よろしくお願いいたします。
中原悌二郎の生涯(3)
旭川での悌二郎 1
旭川村が設置されたのは、明治23年(1890年)9月20日のことです。釧路より20年ほど遅く生まれたこの町は、港町とは異なる顔を持っていました。
内陸の盆地に位置する旭川は、夏は暑く、冬は深い雪と厳しい寒さに閉ざされます。醤油瓶が凍って割れた、電線のスズメが凍死した――そんな話が語り継がれるほど、冬の厳しさは格別でした。
そこへ悌二郎がやって来たのは、明治30年(1897年)、9歳の秋のことです。
転入した忠別尋常小学校は、明治26年(1893年)に開校した、当時の旭川でただ一つの小学校でした。3条通8丁目に建つその校舎で、悌二郎は尋常科3年に加わりました。
釧路では8人兄弟の5番目でしたが、旭川では一人っ子として、養母・ヨシのもとで育てられることになります。ヨシは悌二郎をとてもかわいがり、勉強もそばで
見てくれました。学校の先生もまた優しく、悌二郎はしだいに学校へ行くことを楽しみにするようになっていきました。
温かな環境の中で、何かが変わっていきました。もともと本を読むことは好きでしたが、勉強には自信がなかったといいます。しかし、その年、悌二郎は学年一番の成績で進級します。
釧路の日々に影を落としていた「できない」という感覚が、旭川の土地でそっと溶けていくようでした。算数も国語も好きになり、唱歌も得意で、全校生徒の前で歌うこともよくあったといいます。
そして、絵を描くことにも、悌二郎は静かな喜びを見出していきました。
内気で隅に立っていた少年の中に、表現することへの芽が、少しずつ育ち始めていたのかもしれません。

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お問い合わせ先
旭川市教育委員会 社会教育部文化振興課中原悌二郎記念旭川市彫刻美術館
〒070-0875 北海道旭川市春光5条7丁目
電話番号: 0166-46-6277 |
ファクス番号: 0166-46-6288 |
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受付時間:
午前8時45分から午後5時15分まで(月曜日(月曜日が祝日の場合は翌日)及び12月30日から1月4日までを除く)












