「読みもの」のページ 木のはなし「ミズナラ」
実はすごいんです
日本は、外国から多くの木材を輸入(ゆにゅう)しています。輸入量は世界でもトップクラスです。
その中で、日本から木材を輸出(ゆしゅつ)しているなんて聞くと、ちょっとびっくりするかもしれませんね。
残念ながら、現在はミズナラの木材の量そのものが少なくなってしまったので、ほとんどないのですが、北海道産のミズナラの木材は、近年まで日本から輸出されているめずらしい例です。
ミズナラの木材が好かれる理由

これが虎斑が表れている
ミズナラの木目です。
トラもように
見えるでしょうか。
ミズナラの木材は、はっきりした木目と親しみやすい色が好まれて、家具や建物(たてもの)の内装(ないそう)などによく使われます。
木材にあらわれる木目には、年輪(ねんりん)によるものと、年輪の中心から放射状(ほうしゃじょう)に入る組織(そしき)によるものがあります。後者が斑(ふ)と呼ばれます。
ミズナラの特徴(とくちょう)のひとつがこの「斑(ふ)」が入ることです。
特に、柾目(まさめ)面にあらわれる斑(ふ)がトラの毛皮のもように似ているので「虎斑(とらふ)」と呼ばれ、美しいと言われています。(このように木目の装飾(そうしょく)的に特徴(とくちょう)的なものを杢(もく)と呼んでいます。)
落ち着いた色と美しい木目を持つミズナラは、海外で高級な材料として好まれました。特に高級なひつぎ(かんおけ)の材料として使われていました。
また、洋酒との相性(あいしょう)がよく、ウイスキーやワインの樽(たる)を作るのにも使われています。
ミズナラってどんな木。

ミズナラは、北海道では、森はもちろん、公園などでも、ふつうに見られるどんぐりの木の一つです。たぶん、旭川地域(ちいき)に住んでいる人がどんぐりの木と言って思い出すのは、ミズナラではないでしょうか。
葉っぱは軸(じく)のとびでた部分(葉柄:ようへいといいます)がほとんどなく、とんがった大きなギザギザがあることがポイントです。

似た種類にカシワがあるけど、カシワの木のどんぐりは丸くて、ぼうしはフサフサ。葉っぱのギザギザはもっと丸くなっているよ。
家具とミズナラ
北海道産のミズナラやセンの木材は、高級な木材として、イタリアやデンマークなど海外に輸出され、家具に加工されていました。
一方北海道では、かたくて加工がむずかしいミズナラはあまり利用(りよう)されていませんでした。

木という素材を
大事にした製品作り
「北海道にはこんなすばらしい木があるじゃないか。木材として輸出するだけではもったいない。この木を使って外国に負けないくらいの家具を作ろう。」そんな思いで、道産材を使った家具作りが始まりました。
旭川家具でも、道産材(どうさんざい)を使った家具が高い評価(ひょうか)を受けるようになりました。特にミズナラを使った家具が全国優良家具展(ぜんこくゆうりょうかぐてん)で最高(さいこう)の賞(しょう)である内閣総理大臣賞(ないかくいそうりだいじんしょう)を受賞(じゅしょう)したことは大きな自信(じしん)と実績(じっせき)になりました。
そして、旭川では特に木という素材(そざい)を大事にした家具づくりが行われています。
ただ、ミズナラをはじめとする道産材は量が少なく、近年では、外国産の樹種(じゅしゅ)が多く使われています。
木に触れて

家具やクラフトなど、木の製品をみつけたときに、ミズナラを探してみてください。オーク系の木(ナラ材)は、木目が特徴的なので、きっと見つけやすいと思います。もしかしたら、あなたが見つけた木は、あなたが住んでいる町の近くで育っていた木かもしれません。