第4回旭川市の高等教育を考える会議会議録

情報発信元 公立大学課

最終更新日 2016年2月24日

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会議概要

日時

平成27年1月13日(火曜日)午後3時から午後5時

場所

旭川市役所 総合庁舎議会棟2階 第4委員会室
出席者
  • 委員11人
    石井委員、岡田委員、小野寺委員、金谷委員、川邊委員、世木澤委員、杉山委員、高橋委員、原田委員、
    前田委員、吉田委員(50音順)
  • 事務局5人
    総合政策部政策調整課 赤岡部長、新野次長、佐藤主幹、梶山主査、矢上
会議の公開・非公開

公開

傍聴者の数 5人
会議資料
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会議内容(要旨)

1 開会 

2 議事

(1)学校法人旭川大学 理事長 山内 亮史氏から旭川市における公立大学設置に係る意見聴取

(委員長)
学校法人旭川大学理事長の山内氏から旭川市における公立大学設置についての意見を伺いたいと思います。
(山内理事長)以下発言の要点を記載

  • 人口減少が進む中、地方の持続可能性は「若者に魅力のある地方中核都市」を軸とした「新たな集積構造」をいかに構築するかが問題である。
  • 中小都市に立地する私立大学は質は高く「競争力」があっても「負け組」になる可能性があり、そのことによって地方が疲弊し、大都市圏がさらに膨張し、出生率のさらなる低下につながる。
  • 今後の大学経営は、限られたパイを奪い合う「ゼロ・サム・ゲーム」がしばらく続くことになる。現在44パーセントの私立大学が定員割れを起こしており、定員割れが50パーセントを超えると国からの補助金が停止され、そのことによって帰属収入の3割を失うことになり、経営が立ちゆかないことになる。
  • 平成17年に中教審は「我が国の高等教育の将来像」を示し、この中で大学を機能別に分化させるという考え方が示された。その中の「幅広い職業人養成」、「総合的教養教育」、「特定の専門的分野の教育・研究」、「地域の生涯学習機会の拠点」を総合的に旭川が学園都市として、既存の大学の中でどう組み合わせるのかという論議が必要だと思う。ものづくりに特化した単科大学をもう一つ市民の税金を使いながら公立大学として作っていいのかは問題があると思う。このことが旭川大学が旭川市と公立化について協議を申し入れをした趣旨である。大学があることによって旭川に若者のダムを作るには、就職まで直結した形で考えなければならない。単に学生を集めて4年間貯めておくダムではなくて、卒業生がどこに行くかが重要。したがって、雇用という形の中で地域をつくる人材とドッキングさせないとならない。ものづくりの大学を市がつくるのであれば、旭川大学にものづくり系の学部を作って総合大学化することによってダム機能が発揮されるのではないか。このことが市に協議を要望した根拠である。
  • これから大学が適応していくためには、質の転換が必要になる。これまでの学長を中心としたマネージメント改革では改革ができない。
  • これからの大学教育の在り方について教育再生実行会議の提言の中では、大学の多様性や地域の特性を踏まえた取組の必要性や学び直しの機能も必要だとも言われている。
  • 中核都市旭川に大学がある意義は、知的中間層の形成につながるものである。
  • 18歳人口は平成4年のピークを境に急激に右肩下がりになっており、現在は横ばいで推移しているが、平成33年から再び減少していくことが予測されている。大学・短大の数も平成13年をピークに漸減している。増田氏も地方の大学は再編すべきと言っている。
  • 北海道の大学進学率は34パーセントだが、進学率を上げるにはどういった大学にするかで変わってくる。日本の大学進学率は、世界的にみても低い方である。育英政策をとることによって進学率が上がる可能性がある。あと1から2割は北海道の進学率を上げる必要があると思う。
  • 北海道は大学進学時における流入・流出の割合が-3.3ということである程度均衡しているが、旭川の場合は圧倒的に札幌に行ってしまうのが大きな問題。これを何とか食い止める方策が必要。
  • 一度旭川を出た進学者が旭川に戻ってくる数は非常に少ない。旭川大学の卒業生が地元に定着する理由は、必死に就職開拓をしており、市内の中小企業と色々やりとりをしてキャリア支援をしている。単科大学だと残らないケースが多いので、就職をどう結びつけるかを考えると単科大学より総合大学のほうがよいと考えている。
  • 旭川市には大学を育てるという文化がなかった、ということの総括をきちんとする必要がある。東海大学の結末を考えるとそう思う。
  • 旭川大学を公立化して続けていきたいと思っている。これからの公立大学を作っていくという市長の公約とどう響き合っていけるか検討していきたいと思っている。
  • 市や経済界、メディアなどオール旭川で市長公約を実現できるようになって欲しい。旭川大学も協力するつもりでいる。

(委員長)
ありがとうございました。委員の方から質問は。
(委員)
公立となると税金を投入することになり、それなりの立地を考えるべきだと思う。中心市街地の再生とリンクすべきと考えるが、仮定の話として何か考えは。
(山内理事長)

増田氏は都心回帰がベストであると言っている。永山は4万3千人いて、副都心化されているので、今の場所で再編していくことが1つ。新しい学部を考えると緑が丘地区の施設をオール旭川で取得して活用していくのも手だと思う。地方創生の観点とこれからの地方大学の役割からすると現実化しやすいと思う。永山に軸を置きながら、中心部に近いところにサテライトキャンパスを置くこともあり得る。
(委員)
既存大学を公立化するとして旭川市としてどのようなアピールができると考えるか。新設する場合、旭川大学としてどのような考えがあるか。
(山内理事長)
新設する場合は相当危機感がある。高校の進路指導は、進学指導になっていて国公立に何人入ったが一番優先される。医大、教育大、市立大学と学部が競合しないとまだいいが、競合しなくても授業料負担などを考えると相当厳しいと思う。通過点としての旭川ではない旭川を考えたときには、公立化は旭川大学の理念の今後の展開の上で必須条件だと思う。
(委員)
既存の旭川大学と新しい学部を一体化した公立大学を作るとある種のシナジー効果があるということか。
(山内理事長)
そういうこと。経営の危機意識からだけでなく、むしろプラスの部分を考えている。
(委員)
現在の旭川大学の教育の中軸になるものは何か。
(山内理事長)
地域貢献である。地域密着型大学としての実績があるから、これまで持ちこたえてこられたと思っている。
(委員長)
本日は、お忙しい中ありがとうございました。

(2)旭川に公立「ものづくり大学」の開設を目指す市民の会 会長 長原 實氏から旭川市における公立大学設置に係る意見聴取

(委員長)
続きまして、旭川に公立「ものづくり大学」の開設を目指す市民の会の長原会長から旭川市における公立大学設置に係る意見を伺いたいと思います。
(長原会長)以下発言の要点を記載

  • 家具製造業を営んでいるので、ものづくりという現実的な立場から意見を述べたい。いま一番重要なのは地球温暖化という問題がどれほど大きな問題かと言うことを認識する必要がある。ものづくりというと工業生産であり、産業革命から200年に及ぶ歴史が温暖化の問題を引き起こした面もある。私の言う「ものづくり」は20世紀型のものづくりを抑制しなければならないという立場にある。
  • 温暖化の問題が人類・地球の最大の課題であるという前提からすると持続可能であるかどうかが問題。現状では、エネルギーや温暖化からすると持続可能な状態とは言えない。これに対して誰からも確実な未来は答えられていない。旭川でこれからつくろうとする大学は、持続可能性について真剣に議論する大学であって欲しいと考えている。
  • これからの教育は、大量生産・大量販売に求めるのではなく、もっと文化的な価値、知的社会をつくるという方向に行くべきと考えている。
  • 戦後の復興に要する外貨取得のために北海道の広葉樹が徹底的に伐採され、30年足らずで枯渇してしまった。広葉樹の跡には成長の早い針葉樹を国策で植えた。樹木が使えるようになるには80年、100年の時間がかかる。現在、北海道では広葉樹がほとんどとれない状況である。針葉樹の取引単価と広葉樹の単価を比較すると広葉樹の方が3から4倍高く取引されている。広葉樹が失われたことによってそれだけの付加価値が失われたことになる。これは70年前に見通せたかというと、そうはならない。ここに大きな誤謬がある。
  • 20年にも及ぶデフレによって、賃金は減り、雇用状態も大きく変わり、不安の中で生活している。特に若者は、将来に希望を持てない時代であり、これでは世の中が明るくなることはない。規制緩和によって大型店が全国に広まり、このことによって東京に資本が集中してしまった。居酒屋でさえ全国チェーンが広がり、非正規雇用、低賃金、長時間労働というビジネスが作られてしまった。これも誤謬である。
  • これから旭川で作ろうとする大学は、基本的には北海道の自立に資する大学でなければならない。そこで北海道の特性を考えると1次産業であり、その6次産業化が要になると思っている。
  • これまでは現役世代を対象に様々な話をしてきたが、これからは20から30年先を見越して若者を教育していく必要がある。現役の人たちにモチベーションを与えるよりは、未来に向かう人たちのために教育を始めることが結果的に成果につながると思う。これがこれから進める大学の基本理念になると思う。地球温暖化や資本主義に係わる問題、今日的な問題を考えると新たな思想が必要である。その実現のためには、長期間のスパンで戦略を構築しなければならない。戦略が長続きするには、その根底に思想がないとならない。その教育をするのがこれからつくる大学の使命だと思う。
  • 大学では、単にものを作るだけではなく、経営的なセンス、流通、サービス、マネージメントを学ばせたいと思っている。それが私の考える「ものづくり」である。ものをたくさん作ろうというものではない。
  • 100年前の1918年にドイツにバウハウスが生まれた。思想の裏付けは必要だが、「21世紀のバウハウスを作る」という言葉だけでも世界にアピールできる。そうすることによって、世界から教授が集まり、学生も集まることになる。そういったものを基本的な考え方として練り上げて欲しい。
  • 開学のための資金や学生のための奨学金などについても地域社会が支えるという覚悟も必要だと考えている。これまで4年間活動してきたが、実現しそうな感覚を持っている。地域社会としての盛り上げをしていきたい。

(委員長)
ありがとうございました。委員の方から質問は。
(委員)
どうして旭川でなければならないのか教えて欲しい。
(長原会長)
グローバリゼーションは地域から出るものであると考えている。旭川でなければならないことはないが、ここから発信していきたいという思いである。
(委員)
長原会長が考える思想が地域から生まれ、人材が形成されるのであれば、ものづくりという単科大学にこだわらないということでよいか。
(長原会長)
特にこだわりはない。新しいものを創造するには、小さなことにこだわれば思想そのものが矮小化してしまう。旭川大学との整合性をどう図るかは、市と旭川大学の協議によると思う。
(委員)
長原会長の言う考え方や思想は色々な場で必要だと思うが、大学にこだわる理由は何か。
(長原会長)
必ずしも大学でなくてもよくて、「大学」という名称も使わなくてもいいと思っている。
(委員長)
お忙しい中ありがとうございました。

(3)その他

(委員長)
次回の会議は最終会議とし、2月19日(木曜日)午後3時からということでよいか。
(委員)
了承

3 閉会

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