第6回旭川大学の公立化検討に関する有識者懇談会会議録

情報発信元 公立大学課

最終更新日 2018年3月8日

ページID 063419

印刷

会議概要

日時

平成30年1月26日(金曜日)午前10時00分から午後0時00分

場所

旭川市役所 議会棟 第4委員会室

出席者

  • 参加者7人
    伊藤、大野、大矢、澁谷、長澤、原田、山根(50音順)
  • 事務局5人
    総合政策部政策調整課 黒蕨部長、佐藤次長、上代主幹、森田補佐、尾形

会議の公開・非公開

公開

傍聴者の数

29名

会議資料
(PDF形式)

次第(PDF形式 65キロバイト)

資料1 第5回会議における主な意見(PDF形式 208キロバイト)

資料2-1 アンケート主要項目回答概要(PDF形式 97キロバイト)

資料2-2 市民アンケート調査結果(PDF形式 3,386キロバイト)

資料2-3 高校2年生アンケート調査結果(PDF形式 614キロバイト)

資料2-4 進路指導担当教員アンケート調査結果(PDF形式 3,293キロバイト)

資料3-1 報告書案概要(PDF形式 108キロバイト)

資料3-2 旭川大学の公立化に関する有識者懇談会報告書案(PDF形式 1,110キロバイト)

資料4 懇談会での意見を踏まえた大学像に関わる整理(PDF形式 879キロバイト)

資料5 懇談会での意見を踏まえた学部・学科の見直し、ものづくり系学部案に関わる整理(PDF形式 177キロバイト)

会議内容(要旨)

1 開会

冒頭に市長より挨拶。

2 議事

(1)アンケート結果について

事務局から資料2-1~2-4について概要を説明。

(参加者)

 資料2-1のNo.7「あれば良い、進学を希望する学部・学科等」について、高校生では「教育学」や「経済・経営学」、教員の方も「看護学」や「経済・経営学」が上位にきている。これは、教育大や医大、旭川大学といった地元に慣れ親しんだ大学がベースにあるため、こういった学部学科が回答につながっているのではと思う。もし旭川に理科系・工学系の大学があればまた違った回答も得られたのでは。

 No.5の「ものづくり系学部の案について」については、皆さん関心がある結果だと認識したところ。

(参加者)

 感想だが、高校生アンケートの「旭川に公立大学が設置された場合に期待すること」の中で、「世界でも活躍する人材の育成」が4番目だが、市民アンケートや教員アンケートには出てきていない。進路の先生の意識と高校生の意識は、これで見るとかなり違うと感じる。進路の先生は、全員を進学させなければならない、など当面の課題にどうしても目が行きがちである。IT関係にしても建築関係にしても、その生徒がその後大学を卒業する4年後社会がどうなるかというところまで見通せていないように思う。高校生アンケートには若い人の夢が正直に出ており、進路指導の先生は現状の仕事の中からの考えで、高校生や市民の方とは違うということが、資料2-1を拝見して感じたところである。

(部 長)

 設問によっては特徴がそれぞれ出ている。旭川大学ベースの公立大学の設置やものづくり系学部の案については、妥当と概ね妥当を合わせると、否定的な意見よりは大半が肯定的な意見が多いと見ることもできる。

(2)有識者懇談会報告書(案)について

事務局から資料3-1について概要を説明。

(参加者)

 報告書(案)39ページ「(2)ものづくり系学部等について」の4行目に、市民の会の案は技術を身につけるといった視点が特徴的であり、市の案は幅広い汎用的な人材を育成するといった視点が特徴的であるとあるが、市民の会の案も技術を身につけるだけではない。旭川の特徴的産業である家具といったものがあり、企業も多くあるため、連携して技術を身につけやすい。同じように機械金属についても、そうした企業と連携して技術研修を一緒にやれると思う。そうしたものをベースにはするが、あくまでも技術者を育てるのではなく、もっと幅広いニーズに対応できる、マネジメント能力のある人材を育てていきたいという思いがあるので、誤解を招かない表現にしていただければと思う。

 もう一つ、昨年、旭川商工会議所で経済活性化ビジョンをまとめていて、その中で人材育成の項目の中で、旭川に工学系、理科系の高等教育が必要ではないかという意見があった。また、新しい物事を創り上げていけるような能力を持った人材の育成についてのビジョンを掲げていた。今年から会議所がそのアクションプランに入っていくと伺っているが、旭川の活性のためには、若者の教育、新たな価値観を持てる人材育成が重要であるということで、ものづくりデザイン系大学の発想と一致していると感じたところ。

(事務局)

 文言については、表現を考えてまた確認させていただきたい。

(部 長)

 活性化ビジョンについては、市もオブザーバーとして関わっている。人材育成は地域にとって重要であるので、幅広い方々のお考えも反映しながら市の検討を進めていく必要があると考えている。

(参加者)

 今までの繰り返しになるが、旭川市は道北の拠点として外から人を呼び込んで、近郊の豊かな資源を活用して人材を残していくダム機能をしっかり発揮していただきたい。

 アンケートの感想として、高校生のアンケートで公立大学設置の認知度において「このアンケートで初めて知った」が75%くらいあり、ちょっと寂しい気がしたところ。また、旭川大学をベースにした公立大学が設置された場合に進学先の対象となるかについて、「ならない」のうち「地元の進学を考えていない」が42%ほどであるので、ここを変えていくことがダム機能の強化につながっていくと思う。人材供給先である地元の企業のことを知らないで、東京へ行く学生も少なからずいると思うので、大企業ばかりは良いわけではなく、上川管内には魅力のある企業がもっとあるということを良く理解してもらう取組をしていかなければならないということを、再認識したところ。

 もう一点、これから人口減少が進む中での学生の確保や、公立化を目指しての教員確保など、大学運営が厳しい世の中になってくるので、先程の説明でもシミュレーション等の話をされていたが、そうした客観的な根拠が必要となると思う。

(部 長)

 我々も客観的な根拠が必要であると認識しており、有識者懇談会を終えたのちに3者の協議を進めていくが、その先に我々のシミュレーション自体が正しいのか、もう少し専門的な知見をいただくことも視野に入れて考えている。

(参加者)

 アンケートの結果からは、市民の期待はほどほどあるという印象。高校生(2年生)のアンケートについてだが、高校2年生ぐらいでは、あまり自分の進路ややりたいこと自体がはっきりしていないと思われる。例えば大学3年生くらいに大学がアンケートをとってみても、なぜうちの大学を選んだか、どういう動機で選びましたかと尋ねたとき、親や進路指導の先生の意見によるというのが高位を占める。勿論自分が行ける大学の難易度というものがあるので、それを前提にした上でどちらを選ぶかということだが、そうした限界があるという気がしている。

 高校の進路指導の先生については、10年くらい前に札幌のいくつかの高校の進路指導の先生と話をしたことがあるが、生徒のことを本当に親身になって考えていた。というのは、国立大学経済・経営系の入試では、センター試験5教科7科目を課し、大学自体の個別学力試験では2~4科目を課す、というように多様である。当然、入試科目数が少ない方が受験生にとっては受けやすく、大学も志願者倍率が増大する。この辺りについての高校側の受け止め方を進路指導の先生にヒアリングしたとき、「大学は入試科目数を減らすべきでない」というはっきりした意見をいただいた。高校は生徒の能力の成長を考えて教えているのであり、入試科目数を減らされると高校教育もバイアスがかかってくる、というのであった。進路指導の先生はちゃんと見ているなと思った。そこで進路指導の先生のアンケートに注目し、それを読んでみると、一点だけ気になることがあった。それは「ものづくり系は良いが専門学校で良いのではないか」であるとか、「職人養成を目指しているように感じる」、「高専の発展なのか」というような指摘であった。こうした論点はこの懇談会では明示的には議論されなかったと思う。現在ある専門学校や高専との差別化や、これからおそらくできてくるであろう専門職大学との違いについて、私ならどう答えるだろうと考えてみた。それは、専門学校と違って大学が提供できるのは広さや多様性ではないか、というのであった。この報告書の中でもあったように、T型人材であるとか、多様な視点、グローバルと地域、文理融合などは広い見方で、大学というところで提供できる強みではないかということである。

 それと関連して、実はイノベーションデザインという学部名も、私にはもう一つイメージがはっきりしなかったというのが率直なところであるが、自分なりに色々考えてみると、これは確かに良い言葉だと思った。イノベーションといったときには、技術系、テクノロジーのイノベーションは割と明瞭だが、他方で実は文系にもイノベーションと言っていいものがあって、例えばよく取り上げられる事例として、スターバックスの経営方法や店舗展開、ブランディングのやり方などが挙げられる。これはテクノロジーではないが、経営方法、ソフト面でのイノベーションで成功した事例である。そうしたものもイノベーションとして考えることができる。今後、イノベーションデザインとは、技術と経営、理と文、あるいはハードとソフトという両面を併せ持つものである、ということを宣伝していくと良いのではないか。そうした広さを持った教育こそ、大学が提供しうる強みになると思う。

 今後、三者で詰めていく際には、そうしたイメージを持って、先行大学の成功事例をヒアリングされたら有益と思う。一般に従来からの学部の専門性、そこからくる自立性を過度に守ろうとすると、他分野への広がりが難しくなるので、そこは工夫がいると思う。

(事務局)

 技術の習得の部分と文系的な要素を合わせた、社会的な課題を解決するときにイノベーションという考え方が今求められているのではないかということで、市も市民の会も同じような考え方に立っている。御意見にあったような内容で、イメージは共通していると思う。

(参加者)

 スターバックスの例は、我々ブランディングを勉強している者においては教科書的な企業である。今、スターバックスのロゴマークには「スターバックス」とも「コーヒー」とも描かれていない。これは、スターバックスというのはコーヒーショップではなく、家でも職場でもない、三つ目の居場所を提供するということを企業理念にして、ほかのコーヒーショップとかなり差別化している。コーヒーを売りたいというのが当たり前の発想であるが、違った視点からデザインするということがイノベーションデザインの教科書的な例であると言える。

(部 長)

 公立大学を考える上では、地元の教育機関と如何に上手く融合しながら全体を高められるかという視点で考えなければならないと認識しているところ。

(参加者)

 報告書を拝見して新たな発見があった。市の方で調べられた、中核市の人口に対する学生数の割合や設置されている大学数が、全国の中核市の中でかなり下の方であると認識した。旭川大学が公立化されても大学数は実際には増えないが、より努力はする必要があると思う。細かい話であるが、全国の公立大学では7割が1~2学部で学部数は少ない。3~4学部あるのは総合の国立大学や大きな私立大学で、2学部で今回のニーズを集約できるか知恵の出しどころだと思う。3学部でも経費の面でいけるということであればそれで良いと思う。

 報告書の旭川の教育の歴史によると、旭川の最初の高等専門教育に関係する学校は明治31年にできた裁縫学校である。これは旭川の歴史として大変貴重なもので、今の教育大が旭川にできたのはその25年あとである。旭川大学のルーツとして、そうした経緯があって今日まで続いているというのは、旭川大学の延長線上にものづくり系を含む公立大学をつくる、ひとつの根拠になるのではないかと思う。

 イノベーションの話があったが、私自身、自分の意識では最先端を行っているつもりだが、だからこそ今の日本の社会において、日本の歴史・風土がものを言う様になってきた。この報告書には地域貢献という言葉はあるが、歴史・風土という言葉がどこにも出てこない。何のための地域貢献かということを考えるとき、地域に貢献するということで新しい姿をつくることはもちろんであるが、今まで蓄積してきた財産を大いに評価、活用し、先人の足跡の上に私達が地域貢献するという視点も必要ではないかと思う。国際化や先端技術もあるので、歴史・風土がすべてではないが、自分たちはその先人の足跡の上に立つのなら、自信を持って進んで良いのだと思う。その意味でどこかに歴史・風土という言葉を入れてはどうか。旭川の木材家具産業が、デザイン面・品質面で日本の中で一番になった。これも貴重な歴史であり、木材という風土であるので、ものづくり系学部がなぜ必要かというところに加えていただければ、かなり厚みが増すと思う。

 専門学校でできるのではなどの意見があったが、そうした見方も一面ではできるが、服飾にしても調理にしても家事にしても福祉にしても今非常に高度化していて、全国にこの分野でも大学院ができている。家事など家庭生活を合理化するということは19から20世紀のアメリカの例を挙げるまでもなく非常に重要な研究教育のテーマである。そこにさらに木材や家具で活躍した方々がいて、その上にイノベーションという図式で、地域貢献の意味合いを述べていただければと思う。そうした厚みのある分野というのは、高校生にとって魅力のある学部につながる。旭川の家具は国際化しており、最先端の先生を呼べる。これは他の都市ではできないこと。歴史・風土という言葉をひとつの核として、イノベーションまでつなげるような手法が可能ではないかと思う。

(事務局)

 イノベーションには、地域を背景としてという考えがベースにあるので、御意見にあったような文言も含め考えていきたい。

(参加者)

 有識者会議には高校現場、大学に送る側という立場で話をしてきた。一方で、納税者、旭川市民という立場で話をさせていただいた。あるいは保護者としての立場でも話してきたつもりである。報告書については、膨大で緻密な報告書であり、お疲れ様とともに感謝している。その報告書の中で1点だけ私に関わる部分として、38ページの公立大学における学部像の高校2年生アンケート結果について感想めいたことを話す。

 再三、会議の中で話されてきたが、旭川市が設置する公立大学において魅力ある学部構成をどうするか、ということが本当に大事だと思っている。高校2年生アンケートの結果について、先程、高2で自分の道を決められるのかという話もあったが、ここ10年くらいはキャリア教育ということで、どういう生き方をしていくかと言う面を重点に、高校で進路指導を行っている。その中で、高校1年生、2年生であっても、自分の進むべき方向性を真剣に考える高校生が増えているが、高校によっては取り組み方が全く違うし、一概には言えないが、高校2年生の時点で、ある程度の方向性は見えてきているのかな、と思う。ただし、先程おっしゃっていたが、具体的にどこの大学のその学科というのを決めるのは、高校3年の4、5月以降、部活動が終わってからという傾向である。したがって、今回の高校2年生アンケート結果については、経済が23%、医療・介護で15%と、このとおりなんだろうというわけでもないのだが、これくらいなのかなという受け止め方を、現場の方では思っていると思う。視点として大事なのは、高校生がこれくらいの割合で希望しているから、現在ある旭川大学の学部構成と似ているので、旭川の公立大学の学部もこれでいいかな、ということとはまた違うと思っている。やはり、旭川から札幌や本州に出て行く生徒がいて、積極的に出て行く生徒もいるが、旭川に残りたいが出ざるを得ない生徒もいる。そういう生徒にとって本当に魅力的な学部構成の大学が旭川にできることが私は大事だと思う。やはり、旭川の高校生が、旭川に残ることのできる選択肢を提供してあげることが、高校生にとっても保護者にとっても、地域にとってもすごく大事なことだと思う。

 そもそも論になるが、旭川に公立大学ができました、公立大学だから充足率が100%になりました、倍率も上がりました、ばんざい、ということではない。我々が、旭川がせっかく作る公立大学なのだから魅力のある大学にしないとダメである。充足率が100%だからOKではなく、より高いレベルの大学を作っていくことが大事だと思う。そのためには、質の良い学生、レベルの高い先生方を集めることができるということが大事なことである。そういう方向で、魅力ある大学を如何に作るかという方向で、これから具体的な大学の案を作ってほしいと思っている。

 最近報道されているが、千歳科学技術大学が公立化の方向性が示され、すぐ具体化していくと思うが、あの大学は、高校の立場、現場の立場から言えば、たぶん成功するのではないかと思う。それは成功する環境があるからである。まず一つは、非常にきれいな校舎、二つ目に千歳空港から近く本州からも学生を呼べる、さらに道内で数少ない公立の理系学部を持つ大学になる、また、札幌に近いということも含め、良い条件が全て揃っているので、たぶん成功するのではないかと思っている。一方で、旭川の、これから作るであろう公立大学について言えば、厳しい言い方をすれば、千歳のような好条件はない。だからこそ、これからできる公立大は、本当に、高校生にとっても親にとっても、魅力ある大学にしていかなければならないという使命感を持って作っていくべきと思っている。

 感想めいた話、今後の方向性も、こういうことでお願いしたいという要望も含め話させていただいた。

(部 長)

 当初私どもも4つの条件のうち、特に「学部・学科の見直し」「ものづくり系学部」について懇談会の議論の中心に置いて進めてきたところでありますが、公立大学の大学像や理念、使命などを描くべきであるといった共通の意見をいただいた。その部分は報告書案にも加えさせていただいているが、魅力あるものにしなければ、一過性で終わってしまうというのは、大事な論点であると思っている。

(参加者)

 付け加えると、高校2年生アンケートの数字の面で、文学・史学が15.9%、外国語・国際関係学、13.8%の希望である。これまでの懇談会でも、実は人文系の学部が必要ではないかと言わせていただいたが、この2つを合わせると約30%近い高校生が希望している。北海道の国公立でこれを学べるところは少ない。そういう面でも抜本的な、旭川大学を公立化するという観点では非常に難しいと思うが、そういう人文系学部のある学部構成も考慮に入れるべきではないかと考える。

(参加者)

 千歳の話が出たが、科技大は公設民営であるが民設民営の大学が公立化した例はまだ無い。民設民営の旭川大学の公立化ははじめてのチャレンジで、心新たにしてつくっていかないと、ただ今あるからという理由で公立化を申請しても、これは文科省の審査委員および関係者を説得しきれないと思う。旭川市が将来に向けての確たる展望があって公立化するという意思表示をしないと、本邦初になるかも知れない民設民営の公立化は難しい。

(参加者)

 私は経済、金融の立場で参加させていただいた。どんな大学をつくってどんな学部をつくるのかというのは、裏を返すとどんな人材を育成する学校になるのかということなのだろうと思う。市民アンケートにおける「公立大学が設置された場合に期待すること」のダントツは「地域が必要とする人材育成」であるが、地域が必要とする人材育成とは何かと思ったところ。これには色々な意味が含まれていると思うが、例えば今回のものづくり系学部を中心に言うと、家具を中心にしたデザインの能力を高めるための学部に小さく限定すると、それからどう広げていくか。学校経営をするにあたって、地域が必要とする人材育成だけで良いのかということで、地域の人口が減少して、経済の基盤も多少なりとも弱まっていく中で、地域が必要するだけの人を育てる学校では、地域から人はやってくるかもしれないが、外からは厳しいだろう。地域からだけで無く、外から見ても独創的な魅力のある学部がないと旭川には来ないだろうと思う。それが何かということで、先程からあるように、連携してまちづくりや社会の課題を解決する力というのが、これからの人材育成のポイントというのはほぼ間違いないと思う。これは言い換えると、変化を創造してデザインする、現状の課題を捉まえてそれを変えていく力、まさしくイノベーションデザインという言葉が適していると思う。家具センターも改装されデザインセンターになり、家具の展示会もデザインウィークに名称変更したり、限られたものに対するデザインだけではなくて、社会全体に関わるようなデザインということでそうした名前にしたと聞いている。まさしく、新しい社会をデザインするというような力、その中にもののデザインであるとか、社会的なソフトの面のデザインなどがあるのだろうと思う。理系と文系両方の能力を持っていないと変革していくというところにつながらないと思うので、魅力ある学部という意味ではそこがポイントであると思う。

 もうひとつは、ほかの経済学部であるとか、既存の学部のことについて、求められる人材である、新しいものを創造する、変革していく人も必要であるが、現実に働く人を見ると、引っ張っていくリーダーも当然必要であるが、その下に、現状を踏まえて現状の中で精一杯最後までやり遂げられる人も育てられるような学校になったとしたら、企業側から求める意味でも、人気は上がると思う。

(参加者)

 細かい話だが、「意見聴取」という言葉が報告書の中にある。調べられているようでちょっと違和感がある。また、38ページの下から6行目の「学生や教員側」という表現だが、これは高校生と高校の進路指導教諭をさしているので、生徒と教諭とした方が良いのではないか。

 アンケートについては妥当な結果という印象である。先程、地元に残りたくないというのは寂しいとの発言もあったが、自分もそうだったが、昔から地元から離れたいというのは真っ当な考えだと思う。ただ、今は経済的な理由で外に出すのが厳しいという親の思いもあって、できれば地元の大学に行かせたいというのも増えていると思う。

 進路指導教諭の意見も読ませてもらったが、よく現状を把握していると思った。以前、道内高校の校長や進路指導の先生らと意見交換させてもらった。その中で、高校側には大学に対する理解がまだまだ足りないと感じた。同時に、大学側の広報活動が足りないことを反省した。大学で何を学べるのか、教育理念や内容が伝えられていなかった。再三、この場でミッションやビジョン、理念が大事と発言したが、それらの理解が進めば、生徒もその大学に行ってみよう、進路指導の先生も勧めてみようという気持ちになる。そうでないと、やはり偏差値や生活面での経済的な状況が大きな要素になると考える。報告書全体はよくまとまっている。特に最後の方向性の部分は懇談会の議論を的確に要約していると思う。

 改革が大事と発言したが、その定義が重要である。改革のイメージや中身は色々だが、私の改革のイメージは、抜本的に考え直すということである。国公私立を問わずどんどん改革をしないとダメという考えで、帯広畜産大学では法人化以降、教授会を開催しなかった。それは、教授会で審議していたら社会の情勢に間に合わないからである。学長のリーダーシップで決め、その後、構成員との意見交換、コミュニケーションを取りながら、必要なら修正していくというスピード感であった。旭川大学がどんな改革のイメージを持っているか?今のままでは良くないということは聞かせてもらったが、どういうイメージなのか、定義を共有し、共通認識を持って話を進めないと結果として違う方向に進むのではないかという懸念がある。

 懇談会に参加して、特にデザインの考え方については持っていたイメージと全然違い、本当に勉強になった。従来の物のデザインだけでなく、色々な分野でデザインの考え方が必要である。今後、社会情勢が変わって職業分類が大きく変わっていくことは、キャリア教育の中で既に取り入れられている。AIが発達し、職業分類が変わる中、それに対応できる人材を大学が育てるということになるが、ちょっと予想がつかない。この状況に対応できる人材育成となると、学際や文理融合の考え方も必要になるし、対応能力をいかに高めるかという教育も必要になる。そのような共通認識を持って、大学のミッションとビジョンを作ることが重要である。単純にイノベーションデザイン学部が良いという話ではなく、デザインの考え方を理念に取り入れることは非常に良いと思う。

 市長の挨拶にもあったが、地方創生を考えるとき、大学は地方創生の要になるべきである。地元出身の学生が地元に定着するだけではなく、外から迎えてこの地域に定着させるという意味でも地方創生の要であり、知の拠点としても要になるべきものである。教育機関としての大学は、知の拠点として研究の場であったり、民間と学生の交流の場であったり、国際協力活動の場であったり、様々な機能が想定される。学生が起業し、ここに定着し、雇用が生まれ、そして人口が増えていくことが地方創生に繋がるものと思う。新しい大学も是非そうあってほしい。

 最後に、今、道内国立7大学は、アンブレラ方式や再編統合といったことが議論されている。連携によって教育の質を上げて、少子化に対応するという考えである。今後、新しい大学を考えるとき、旭川医大や旭川教育大、近隣の大学との連携をどうするということも必要と思われるので、次の段階の協議の場ではより広い視点で議論してほしいと思う。

(参加者)

 千歳の話について、優位性はそのとおりだが、現在の旭川大学のキャンパスは街から離れたところにあるので、余剰気味の中心市街地の建物を活用するなど、キャンパスは必ずしも一箇所にまとまらなくてもいいのではという視点も必要だと思う。

(参加者)

 ダム機能の話について、全国から学生に来てもらって、4年間学んでもらって、残る人には残ってもらう。旭川を第二のふるさとと思ってもらえればそれで良くて、ダム機能には拘りたくないというのが個人的な思い。

 デザインを広義的に捉えてもらえると、まちや仕事、人生をデザインするなど、ものの価値や可能性を高めるための行為だと思っているので、これはこれから求められる理念だと思う。

3 その他

 今後は、一部報告書を修正の上、旭川大学に対して報告書の内容を説明し、学部・学科の見直しなどに関する対応を求めるとともに、ものづくり系学部等については、市民の会、旭川大学、市の3者で内容を整理するなど、検討を更に進めていきたいと考えている。

4 閉会 

関連ファイル

お問い合わせ先

旭川市総合政策部公立大学課

〒070-8525 旭川市7条通9丁目 総合庁舎6階
電話番号: 0166-25-9794
ファクス番号: 0166-24-7833
メールフォーム
受付時間:
午前8時45分から午後5時15分まで(土曜日・日曜日・祝日及び12月30日から1月4日までを除く)