ASAHIKAWA 100 PRIDE 最新号(株式会社キョクイチホールディングス様)

情報発信元 広報広聴課

最終更新日 2025年3月25日

ページID 081319

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株式会社キョクイチホールディングス

地域に不可欠。76年、挑み続ける市場

食の安定供給に全力!「客安信挑(きゃくあんしんちょう)」を掲げる「旭川の台所」 

 創業は昭和24年。6条6丁目で「旭一旭川魚菜市場株式会社」としてスタートした後、事業拡大に伴い、平成29年に株式会社キョクイチホールディングスを設立しました。今やホールディングスとして9つものグループ会社を傘下に置く形をとり、全国規模で事業を展開しています。
 私たちにとってなくてはならない「食」を下支えする仕事。その内容や責任感、かける思いを、主要部門責任者の方々に聞きました。

社屋
株式会社キョクイチホールディングス社屋  
4人写真
印象的な赤いロゴマークと共に

いつの時代も、お客様第一を信条に

加藤さん
株式会社キョクイチホールディングス
管理部施設管理課課長 加藤宏顕(ひろあき)さん












 

 「弊社がテーマとして掲げる『客安信挑』は、『お客様』『安心・安全』『信頼』『挑戦』など、食を支える市場として大切にしている思いを表す造語です。特に『挑戦』の言葉は、お客様が商品を召し上がった時に感じていただきたい『一口の感動。』のため、常に意識しています。未経験の業務でも「やってみればなんとかなるんじゃないか」という精神で、今では魚・青果の卸売りだけでなく水産物の加工や旭川冬まつりにも使う氷の製造、カットフルーツ製造、そして物流の一部まで自前で手掛けるようになりました」。

マグロの取扱量は道内有数!旭川で買えるマグロの多くがキョクイチ発!?

 株式会社キョクイチには、旭川から東西ほぼ同じ近さにあるオホーツク海と日本海、そして南の太平洋からも、多種多様な魚介類が入荷します。道産の魚が多い中、実は同社でもっとも取扱量が多いのが、マグロ。ちょっと意外とも思える実情を、マグロ担当の可児さんにお話しいただきました。
可児さん
株式会社キョクイチ 水産1部次長 可児昭雄(あきお)さん











 「弊社では年間約2000本の生鮮クロマグロを取り扱っています。これは道北では一番の量だと思いますが、道内全体でもかなり多いはずです。生も冷凍も扱っていて、種類は主にクロマグロ(本マグロ)、バチマグロ、キハダマグロ、ビンチョウですが、生ではクロマグロが9割と圧倒的に多いです。それもほぼ養殖モノですね。というのは昨今、天然モノは海外に流れることが多いんですよ。また弊社は取扱量が多く安定的に供給できるので、生産者様や店舗様も道北ならキョクイチに、とお考えいただいているようです」。

 北海道、しかも旭川の市場でマグロとはちょっと驚きますが、さらに天然ではなく養殖が多いというのも興味をひかれるところです。養殖の割合が多いのには、何か理由があるのでしょうか?

「今の消費者にはトロなど脂の多い部位が好まれるので、むしろ天然よりも脂乗りのいい養殖の方が人気のようです。天然モノは元々酸味が強めですし、養殖モノは餌の改良などで、以前はあった『養殖臭』がなくなりましたからね。弊社では主に九州や奄美大島、沖縄の養殖生マグロを全て空輸で入れていて、2日ほどで到着次第すぐに解体して提供するので、鮮度もいいですよ」。

 そう聞くと食べたくなってしまいます。どこで買えるのでしょうか。

「市内はもちろん道北は稚内、道東は釧路まで出荷しています。市内のスーパーでは多くのお店に入っています。東京のグループ会社経由で、旭川にも店舗がある大手チェーンの回転寿司にも入っていますよ」。

マグロ3
マグロ1
マグロぼかし後

生マグロを一気に解体する様子は迫力満点。熟練の社員がナタのような包丁を使い、力強く手際よく進めます。水産部門は中卸業者が入らないので、お店ごとの仕分けまで社員が行います。目視や手持ちの感覚を元に、注文に応じた重さを的確に切り分ける技は、お見事の一言です。

冷凍マグロ2
冷凍マグロ1


輸入モノは主に冷凍で入荷します。マイナス60度の超低温で保管されているので、新鮮なまま石のようにカッチカチの状態。切り分けるには電動ノコギリを使います。

北海道の魚といえばやっぱりサケ!現在のサケの取扱状況とは?

 現在の主力商品は養殖マグロとのことですが、北海道の魚市場となれば地魚も気になるところ。そこで北海道を代表する魚であるサケの取扱い状況はどうなっているのか、サケ担当の丹野さんに聞きました。

丹野さん
株式会社キョクイチ 水産1部次長 丹野彰人(あきひと)さん











 

 「外国産サーモンの取扱いは確かに多いのですが、やはり北海道の会社ということで北海道の秋サケにも力を入れています。5、6年前からは、輸入モノと北海道産で大体同じ数量を扱う状態ですね。秋サケの取扱量は道内でも多い方ではないでしょうか。北は稚内から東は根室まで、道内あらゆる産地から仕入れていますよ」。

 とはいえ北海道ではサケの漁獲量が年々減っています。その影響はあるのでしょうか。

 「減っていますね。10年前には10万トンくらいの水揚げがあったのが、去年は4万トン台の大不漁でした。ただ、寿司などで生食するものはほぼ100%が輸入養殖サーモンです。消費者の嗜好としても脂の多い養殖モノが好まれることもあり、秋サケの漁獲が少ないから値段がハネ上がるかというと、需要と供給のバランスからそうとも言い切れないんです」。

 では輸入サーモンを扱うようになったキッカケとは?

 「実は弊社は、輸入サーモンでは比較的全国で有名なんですよ。というのは約35年前、チリで養殖が始まったサーモンをすぐに輸入したのがウチなんです。その頃は日本の輸入サーモンの約20%を弊社が取り扱っていたので、当時の業界ではキョクイチの動向が注目されていたと聞きます。今は輸入サーモンというとノルウェー産が一番多いですが、チリ産も変わらず多いですよ」。

 今や寿司ネタに欠かせない輸入サーモン。30年以上前に、その先鞭をつけた一つがキョクイチであったとは驚きました。まさに加藤さんのお話にあった「挑戦」そのもので、そうしたマインドは秋サケの商売にも生かされているようです。

 「北海道のサケは各地から多く買い付けていますから、地元の漁協さんからはキョクイチなら、という信頼をいただいていて、ホッケやタラなど他の魚も融通してもらえています。輸入サーモンも市場で卸すだけでなく、全国の加工業者さんや商社に売ったりなど商流を広げています」。

 海外、国内と堂々渡り合うキョクイチの経営方針は、魚市場を超えてまるで商社のようでもあります。旭川市民として自慢したくなる会社ですね。

サーモン
早朝のせり場には新鮮な生サーモンが並びます

魚だけじゃない!見た目も可愛いカットフルーツにかける思い

 キョクイチグループの中でも比較的新しい事業である、カットフルーツの製造を担うのが株式会社キョクイチフーズです。同じ敷地にある工場を訪ねて、川瀧さんに聞きました。

川瀧さん
株式会社キョクイチフーズ 製造部課長 川瀧 亮(りょう)さん











 

 「キョクイチでは市場で青果も扱っているので、そこに入る果物を使い、この工場でカットフルーツを作っています。会社としても、まだ始めて10年経っていない事業です」。

 低コストで効率よく原料を調達できるのは、市場ならではのメリットです。でもなぜカットフルーツを始めたのでしょうか。

 「統計を見ると、果物の摂取量が特に若年層において減っていることがわかったんです。そこで果物の消費量拡大の一助になればと始めました。果物というのは見た目の形や大きさによって価値が変わります。味や品質が変わらなくても、規格に合わないものや皮に傷があるものはジュースなどの加工用として安く売ることが多いんです。でもカットフルーツなら、皮をむいて同じ大きさに切るので、外皮の傷や形、大きさはあまり関係なく使うことができます。そうすることで、生産者様にも比較的正しい対価をお支払いできるんです。カットフルーツ事業は、弊社の理念である『買って喜ばれ、売って喜ばれる』という精神から、生産と消費の解決策として立ち上げた形です」。

 清潔な工場では、スーパーなどで見かけるきれいで可愛い盛り合わせが次々と作られています。

 「カットフルーツは今のところ、全国展開しているスーパーや大手コンビニに出荷しています。品目はパインやリンゴ、キウイ、メロン、スイカなどで、ミックスもあります。原料は国産、輸入問わず使うので、年中供給できていますね。私自身はUターン組なんですが、旭川からこれだけの規模でお客様に届けられる商品を作っているという部分では、旭川が誇らしく感じますね。今後は、季節ごとの旬の商品を増やして、もっと楽しんでいただければと思います」。

イチゴカット
カットフルーツぼかし
 
 
 

 洗って皮をむき、切って詰めるシンプルな作り方。それだけに食品衛生を何よりも重視しており、工場内は清潔そのものです。カットから盛り合わせまで熟練のスピードで行われる様子を見ていると、同社のカットフルーツの信頼性と品質の高さがよくわかりました。

マイナス60度の冷凍庫に、冬まつりの氷まで!旭川の未来にキョクイチが目指すものとは?

 市場を超えた広範な事業を紹介しましたが、まだまだ注目すべきポイントがあります。再び加藤さんにお話を聞きました。

 「平成30年に起きた胆振東部地震のブラックアウトの際、お客様からの声で多かったのが水の確保でした。弊社では水は扱っていないので困りましたが、食料なら貢献することはできる。そこでその後、食料備蓄基地にもなる低温センターを設置したんです。道北随一となるマイナス60度の超低温の冷凍庫を備えていて、これはマグロなどの鮮度保持に役立ち、加工場が隣接しているので新鮮なまま加工することができます。カニなど甲殻類用の冷凍庫は、品質を下げる要因になる風が当たらないように作りを工夫しました。超低温の冷凍庫は、停電になってもドアの開閉にさえ気をつければ1週間程度は温度が保てるんですよ。他の冷蔵庫も含めて、魚なら2週間分くらいの備蓄量があります」。

 災害時にも頼もしい施設ですが、低温というと、実は旭川冬まつりには株式会社キョクイチロジが大きく関わっているといいます。

 「平成18年に製氷工場を作りました。バラ氷という、魚の発泡ケースに入れたりブロッコリーの鮮度保持に使う小さい氷を作っていたんですが、大きな角氷は他から買っていたんですよ。でも挑戦の一環で角氷も自社製造することになり、透明で品質のいい氷を作るために試行錯誤を重ねました。やっと透明で硬い氷が作れるようになって、旭川冬まつりの氷彫刻世界大会に使う角氷を提供できるようになったんです。冬まつりでは氷の滑り台にも使っていただいています」。

冬まつり氷
準備期間中の冬まつり会場にずらりと並ぶ角氷
 









  
 

 まちの一大イベントにも一役買っていたとは、キョクイチグループはまさに、あらゆる意味で旭川にはなくてはならない会社といえるでしょう。最後に、加藤さんに今後の展望について聞きました。

 「弊社は『食のライフライン企業』になることを目指していて、そのためにいろんな挑戦を続けています。人口減が続く現状では、弊社のような地方卸売市場の役割は徐々になくなっていくのかもしれません。でも市場に限らず色々な基盤を作ることで、皆様に安心安全な食の供給を安定的に続けていくのが、弊社の使命だと思っております」。

カフェコーナー
明るく開放感あふれるオフィス。市場の性格上24時間稼働していますが、一角にはカフェコーナーもあります。コミュニケーションを重視する社風の中、社員の皆さんはイキイキとした表情で仕事をこなしていました。
 

取材時の様子をYouTubeで公開中!

youtubeサムネイル

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結び

あさひばしでは、ASAHIKAWA 100 PRIDEを不定期連載しています。

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