ASAHIKAWA 100 PRIDE~企業・団体編Vol.12
株式会社きしだ Studio BACU
世界的コンテンツを技術と情熱で支える、最北の映像クリエイター集団
あの名作も!?旭川発のCG映像が人気アニメを彩る!
国民的アニメと称される「名探偵コナン」シリーズをはじめ、新海誠監督の「すずめの戸締まり」、さらに「呪術廻戦」「うたの☆プリンスさまっ♪」「アイドリッシュセブン」「すみっコぐらし」などの大ヒット作まで…
有名アニメ作品の一部がここ旭川でも作られていると聞けば、驚く方も多いのではないでしょうか?
アニメ制作に約20年携わっている「Studio BACU」は、旭川の土木・建築の老舗「株式会社岸田組」が、不動産業などのために設立した「株式会社きしだ」の、映像制作部門という位置づけです。行っているのは主に、CG映像制作とアニメの撮影。昨今のアニメではロボットやメカのみならず、さまざまなシーンにCG(コンピューターグラフィックス)が多用されますが、そのようなCGを多くの作品で担当しているのが、Studio BACUなのです。
高い技術を、ネット環境の進歩が後押し
そんな中、なぜ旭川でもアニメ制作ができているのでしょうか?映像制作業務を統括する松倉大樹さんに聞きました。
「最初は、少人数でアニメのCG映像制作や撮影を始めました。当初は地方に割り振られる仕事が少なかったのでより丁寧な仕事と、スケジュールを守ることを確実に行ってきました。それが評価され人とのつながりが広がり、大きなオファーをいただけるようになってきました」。
世界が驚くクオリティを誇る日本アニメ。その中にあって高い技術が認められ、テレビ、劇場版問わず多くの作品に携わるというのは本当にすごいこと。とはいえ東京から遠く離れた旭川では制約もありそうですが…
「約20年やってますが、当初は成果物を東京に送る関係でウチだけ締め切りが早いこともありました(笑)。また、一昔前は北海道の人がアニメ業界を志すと、東京か札幌に出るのが当然でしたが、地元を離れるのは大きな決断で勇気がいりますよね。人材確保も含めて地方でアニメ制作ができる環境が整ってきたのは、インターネットが進歩し、リモートワークなど働き方が多様になったことが大きいです。距離の問題がほぼなくなりましたからね」。
何よりも大切なのは人材。地元採用も視野に
「社員の男女比はほぼ1:1。ほとんどが道内出身者で、札幌圏からが半分、旭川や道北、道東が半分です。映像制作の学校が札幌に多いので募集は札幌主体、ありがたいことに定員以上の応募があり、倍率は年々上がってきていますね」。
北海道の会社としては理想的な社員構成ですが、旭川の企業という意味においては、社長なりの夢や展望があるようです。
「やはり旭川でやってる限りは、もっと旭川に貢献できる形になりたいという思いは当然あります。地元出身者の比率を上げたくても、まだ旭川の方に弊社が知られていない現状があるので、メディアさんなどの協力も仰ぎながら少しずつ広げていければと考えています」。
どうなる?未来のアニメ制作現場
最後に米嶋社長と松倉さんに、会社やアニメの未来について語っていただきました。
(米嶋社長)
「まずは多くの方に弊社を知っていただきたいですね。この仕事を引き受けさせていただいた時の夢は『自分たちの映像を作る』こと。そのためにもっと多くの人に集まっていただき、さまざまな仕事に携わる中で『旭川発信のアニメ』を作れるようになりたいです」。
(松倉さん)
「クリエイターとしては『挑戦的な映像を作る集団』が理想です。いろんな仲間が集まり、新しい映像表現を模索するステージに立てるようになってきました。ネットの進歩やリモートワークが根付いたことで、海外に出ていた業務が国内に戻っているとも感じます。制作の主体は東京でも現場は地方という動きは、もっと進むでしょうね」。
取材を終えて
手掛けた作品のポスターやグッズに囲まれた明るい雰囲気のスタジオは、旭川や北海道らしい開放感。アニメ制作といえば首都圏や海外という状況は縮小傾向で、確かな技術を持つ地方の会社こそが、日本アニメに不可欠な存在になる可能性を感じました。
松倉さんに次の新作をこっそり聞くと「劇場版『名探偵コナン』の次回作の制作も開始され、Studio BACUでも作業中です 」とのこと。これからアニメを見るときは制作に「Studio BACU」の名前がないか、エンドクレジットにも注目です!
取材時の様子をYouTubeで公開中!