既存不適格建築物の改修の促進

情報発信元 建築指導課

最終更新日 2016年12月29日

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既存不適格建築物とは

建築物は、様々な法令に基づき建築する必要がありますが、建築基準法もそのひとつです。

建築基準法は、昭和25年に制定され、建築物が最低限守らなければならない基準が示されており、採光、換気、避難時における各種設備、耐震性能等が定められています。

しかし、大きな地震や火災等が発生した場合には、その都度基準が見直され改正が行われてきました。

そのため、建築した当時は基準に適合していたものの、その後に改正された法令に適合していない部分を有する建築物のことを既存不適格建築物としています。

この既存不適格建築物は、現行の建築基準法に適合していませんが、一般的に言われる違反建築物とは異なり、既存のまま継続して使用することが可能です。

しかし、法令は、過去に起きた災害や事故の教訓から改正されているため、現行の基準に適合させることで災害時等における被害を最小限に食い止めることができます。

よって、既存不適格建築物であっても現行法に適合するように改修等を行うことは、防災上、安全上極めて有効な手段です。

よくある既存不適格の項目

法令は、過去に幾度にわたって改正が行われていることから、建築物の詳細な既存不適格を把握するためには、建築物毎に調査を行う必要がありますが、よくある項目を次の表にまとめました。

よくある既存不適格の項目一覧
既存不適格の項目 基準の内容 基準が制定された年
耐震基準 建物の耐震基準が大幅に改正

昭和56年

木造の耐震基準 木造建築物の耐震基準が改正

平成12年

面積区画 一定の面積毎に耐火の壁、床、防火戸等で区画 昭和34年
高層区画 11階以上の建築物は、原則100平方メートル毎に耐火の壁、床、防火戸等で区画 昭和39年
縦穴区画 階段、エレベーター、吹き抜け等の部分は、壁、床、防火戸等で区画 昭和44年
縦穴区画の遮煙性能 縦穴区画に設置する建具等は、火災時に防火戸の隙間から煙を通過させない構造 昭和49年
昇降機の遮煙性能 エレベーターの出入り口は、火災時に防火戸の隙間から煙を通過させない構造 平成14年
排煙設備 火災時等に発生する煙を窓や機械によって排煙するための設備 昭和46年
非常用照明設備 停電時等の非常時に照明が点灯する設備 昭和46年
非常用の進入口 災害時に消防隊員が外部から侵入するための入り口 昭和46年
防火シャッターの危害防止装置 閉鎖の稼働時に障害物を検知すると一時的に停止する装置 平成17年
エレベーターのとじ込め対策 地震時に最寄りの階へ強制的に停止させる構造 平成21年
エレベーターの走行性能 出入り口の扉が開いた状態で走行させない構造 平成21年

既存不適格建築物の増改築等

既存不適格建築物の増築、改築、移転、大規模の修繕又は大規模の模様替(リフォーム等)を行う場合には、既存部分も含めて現行の法令に原則として適合させなくてはなりません。

そのため、増改築等を行うことにより、新たに耐火区画の壁、排煙設備や非常用照明装置の設置、耐震改修等が必要になる場合があります。

ただし、小規模な増改築等で一定の基準を守ることにより、既存不適格を継続したまま工事を行うことが可能です。

その場合は、既存不適格になった時期の判断や法令の様々な規定を理解した上で計画を進めていく必要があることから、専門知識を有する建築士等の方若しくは建築指導課まで御相談ください。

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