旭川の可能性無限大(JAあさひかわ女性セミナー「下國シェフ地産地消料理教室」)
農業に携わる方の日頃の取組を視察するとともに、意見交換を通じて旭川産農産物の更なる可能性を探るため、JAあさひかわ女性セミナー「下國シェフ地産地消料理教室」を訪問しました。
旭川産の食材をふんだんに使用して下國シェフが作った料理を試食した後、参加者の皆様と旭川の農業の現状や課題などについて意見交換を行いました。
開催内容
日時
令和6年8月24日(土曜日) 午後1時30分から午後3時50分まで
場所
旭川市永山公民館 調理実習室、中会議室(旭川市永山3条19丁目4番15号)
参加者
JAあさひかわ女性セミナー参加者
・出席者19人
旭川市
・今津市長
・下國伸シェフ(旭川食のアンバサダー)
・杉山農政部次長
次第
(1) 調理実演
(2) 試食
(3) 市長挨拶
(市長)
皆様、こんにちは。
今日は、JAあさひかわさんの女性セミナーにお邪魔させていただき、本当にありがとうございます。
日頃から、女性部の皆様には、安全で安心で、しかもおいしい農作物を生産していただき、旭川の農業だけでなく、全国の農業、食の安全を守っていただいていますことに、心から感謝申し上げます。
また、下國シェフも、いつもテレビに出られたりして大変お忙しいのですが、地元旭川のことということで快く引き受けてくださり、いつも御協力いただいています。今日のような料理教室のほか、青年部の皆さんにも食の魅力をどうやったら発掘していけるか、それから子どもたちにも色々と教えていただいています。それだけでなく商品開発もしてもらって、旭川カレーというものを作って動物園で販売してもらっています。本当にありがとうございます。
今、4品試食させていただきましたが、あまりのおいしさに驚いています。特に、さつまいもを使ったオムレツ、クレームブリュレは本当においしく、先日、会議で水戸市長と話をした時に、北海道、しかも旭川でさつまいもを作っていることも御存知だったのですが、水戸のさつまいもにも負けないのではないかと思うぐらいのおいしさでした。米粉麺のお料理も、地元産のとうきびをスープにし、地元の醤油工場のうに醤油も使ってもらって、しかも100パーセント旭川の米粉麺ということで、旭川の農業の可能性も大きく広がっていくと思いました。
私自身も、旭川が持っている農業の底力というものをしっかり発信していきたいと思って取組をしています。今日は農政部の職員も来ていますが、市の庁舎であさがおの出張マルシェをしていただいているのも、下國さんに食のアンバサダーに就任していただいたのも農政部のアイデアです。旭川の農業でもっとこうしたらいいのではないかという色々な御希望や御不満などがあれば農政部に言っていただき、一緒に取り組んでいきたいと思っています。
私も、いつも妻に支えてもらっています。市政を進めていく上で女性の皆さんの力は必要ですし、農業も女性の力で盛り上げていただきたいと思っていますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。今日は僅かな時間ですが、皆さんと懇談させてもらって勉強したいと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。
(4) 意見交換
(市長)
今日も下國シェフのお料理は素敵なものばかりで、おいしいだけでなくおしゃれですが、さつまいもと何かを合わせたり、ラーメンのスープにコーンを使うという発想はどこから来るのでしょうか。
(下國シェフ)
料理を考える時はだいたい生産地で生産者の声を聞く中でアイデアが生まれます。同じとうもろこしでも、農家さんによって全く別な料理ができます。それは作っている人が違うからで、生産者がどういう思いで作っているかという話を聞いた時に、こんなものを作りたいとわくわくしてきて、それを形にすることが多いです。旭川でも皆さん全員のところには行けていませんが、色々なお話を聞いたりしているので、皆さんが喜ぶ顔を想像しながら、レシピを作ることが多いと思います。料理人というのはお客さんに対して一番最後にメッセージを伝えることができると思っています。生産者の方が直接お客さんに言葉を届けるのは少し遠いのですが、その架け橋が私たち料理人のはずなので、生産者の意思を汲んだ料理を作りたいというのが私の料理人としての一番の核となる部分です。生産地で色々な景色を見ながら、声を聞きながらアイデアを考えています。
(参加者)
先ほど、今津市長が妻の支えがあると言われました。私たちも家族を支えている身なので、家族の生活スタイルは様々ですけれど、日常生活の中で最も大切にされていることは何でしょうか。今日の女性セミナーについての感想も合わせて、市長と下國シェフにお伺いしたいです。
(市長)
日常生活で常に心掛けていることは、やはり市民の皆様の幸せを考えています。私は1回落選していて、その後市長になるまで3年間ありました。その間、まちに立っているのを見たことがある方もいらっしゃると思いますが、それこそ下國さんが田んぼや畑の景色を眺めて料理のイメージをするように、私も落選している時に市民の皆様から色々な御不満とか御希望を聞かせてもらって、それを施策にして当選させてもらいました。そういった市民の皆さん一人一人の思いを実現することがいわば本当に幸せで楽しくて、やりがいがあります。忙しい毎日で、次から次へと難題が来るのですが、逆にやってやるぞという気持ちで頑張るということが一番大切にしていることです。
女性セミナーについては、こういった機会がなかなかなくて、今まで個別にお話したことがある方はいらっしゃいますが、皆さんの現場に行くことができなくて、どういう気持ちで生産されているかなどなかなか聞くことができないので、今日はこのようにお話できるのはうれしいですし、まだまだこういう機会を増やしていきたいと思います。機会があれば皆さんにも市役所に是非お越しいただいて、ランチでも食べながら、一緒に語る会などができるとうれしいなと思います。
(下國シェフ)
私は料理を作るのが日常なのですが、ものにはすべて生産される方がいるので、どれだけ生産地を巡れるか、生産者の方に触れられるかというのはものすごく大事にしているところだと思っています。休みがあれば、生産地に行くというのがライフワークのようになっていますが、そればかりでは疲れてしまうので、お酒を楽しむ、音楽を聴くといった息抜きの時間も上手に作りながら、生産地を巡るということが私の今の一番やるべきことだと思っています。
女性セミナーについては、またこの季節が来たなと思っています。今年はまだ暑いですが、色々なものを収穫できる夏の終わりの時期に、野菜をこれだけ使わせてもらって色々な提案をできるというのは、私のライフワークの一つになるのではないかと気合いが入ります。来年も是非呼んでいただきたいと思います。
(参加者)
下國シェフを私たちのような小さなグループにお招きできるなんて去年は夢のようでした。それが2年続いて、今年はシェフと市長が目の前にいるのは信じられないです。私たちは今日は色々なことを勉強させていただきました。市長と初めてお会いする方もたくさんいると思うのですが、市長には市政を担っていただいていますし、下國シェフを私たちに派遣していただくというのも市長の配慮がなければあり得ないことだと思います。市長もシェフも本当にありがとうございます。今日は色々なことを教えていただき、市長のお話も聞けて、私たちもより一層農業に励んでいいものを作りたいと皆勇気づけられたと思います。
(参加者)
私たちは農業にも自信を持ち、地産地消にも自信と責任を持って取り組んでいます。下國シェフが地元の生産現場に行って生産者に会うことをものすごく大事にしているとお話しされた時は胸が熱くなりました。現場のことを熟知されてそのように言っていただいて、自分がやってきた農業に誇りを持てると思いました。私たちが下國シェフをお迎えしてお料理を習うということは普通はできないことだと思いますが、なぜできたかと言うと、一つには農政部の計らいがあったということだと思います。そこには指揮官である市長の理解もあったと思いますので、私たちはしっかりと自分の胸に刻んでおきたいと思います。農業者は一日一日を大事にして、明日を頑張ろうと思いながら暮らしています。以前、市長との懇談でお話しましたが、決して農業を悲観的には考えていません。是非、前向きに希望を持って私たちに眼差しを向けていただければ、それに応える努力は惜しまないと思っていますので、よろしくお願いいたします。
(参加者)
今、さつまいもを栽培しているのですが、さつまいもの加工施設の望みはあるのでしょうか。どんどん生産が増えていますので、干し芋を旭川で作るのが私たちの夢なのです。自分たちで試すのですが、やはり難しく、加工施設が必要なのではないかというのは実感しています。
(市長)
まず、これから生産量がどうなっていくかということは注視していかなければなりません。水戸市長は旭川がこれからライバルになると言ってくれるのですが、干し芋には二大工場があるそうで、旭川でさつまいもを作って、茨城の工場に送って加工するというのも、スタートとしては良いかもしれません。そして、旭川産のさつまいもの干し芋はおいしいと評判になってきた時に、初めてどのように旭川で作るかを考えるというように段階的にやっていくということです。最初から機械を入れると赤字になってしまうかもしれませんし、作ったはいいけど売れなかったらどうしようという心配もあります。
米粉もそうです。我々も何とか米粉を売っていきたいと思っています。単純なことを考えたら、ヨーロッパなどでスパゲッティが食べられていますが、やはりアレルギーの方もいらっしゃると思います。また、今シェフに聞いても、アスリートの人たちは小麦を摂取する方が少ないということで、そうであれば、米粉100パーセントのものを食べていただければいいと思うのです。食べ方は色々考えられると思うのですが、私たちも米粉の情報をこれまで発信していなかったので、そういう情報をどんどん出しているところです。私も海外に行くことがありますが、旭川に米粉があって、グルテンフリーであるということをPRして回っています。今日試食した麺や、あるいは米粉を小麦粉みたいにパッケージできれば、それをどんどん輸出できるようになると思うので、そういうことをやっていきたいです。お米そのものもおいしいですから、おいしいお米も自慢しながら売っていきたいと思っています。そして、ふるさと納税でお金が入ってくれば、また農業の支援にも回していけるので、そのように良い循環をさせていきたいと思っています。
(下國シェフ)
今日は本当に楽しく料理できたと思います。正直、通常の家庭料理よりは作り込んだものになってしまっています。ただ、こんな使い方ができて、だから野菜が主役になれるということなので、ちょっとした一手間を加えるだけで味の広がり、ふくよかさが出るということは提案したいことでした。あくまでもこれは一レシピですが、これをバリエーションとして持っていてもらえれば、絶対じゃがいもで作らないといけないというわけでもないですし、とうきびでなければいけないというわけではないので、皆さんが余った食材や、畑で余った野菜などで作っていただければいいと思います。それをベースに色々考えてもらって、今後の家庭での料理などに生かしてもらえればと思います。
私ができる範囲ではありますが、旭川の食材などのPRをしています。今年も食べマルシェに出店させてもらいますが、旭川産の野菜だけで構成した料理ができそうです。去年は100パーセントにはできなかったので、今年はそれもクリアしながら去年以上に売れるように、そしてPRもしていこうと思っていますので、是非食べに来てください。