彫刻美術館だより vol.8 (2026年4月発行)

彫刻美術館だより Vol.8
館長よりごあいさつ
皆さま、日ごろより当館をご支援いただき、誠にありがとうございます。
着任から一年が過ぎました。振り返れば、彬子女王殿下のお成りや中原悌二郎賞、彫刻フェスタ、そして初の試みとなる催しなど、足早に日々を重ね、あっという間の一年でした。多くの方が作品の前で足を止めてくださる姿が、何より印象に残っています。
こうした光景に触れるたび、あらためて、美術館とは作品を「見る場」であると同時に、人と作品とが静かに出会う場なのだと感じます。一つの彫刻の前に立ち、しばし向き合う時間。その積み重ねが、それぞれの中に小さな発見や記憶を残していくのではないでしょうか。
当館は本年四月より新体制となり、新たに学芸員が一名加わりました。人員の入れ替えもあり、それぞれの技術や知識が重なり合うことで、これまでとはまた異なる魅力を持つ美術館へと歩みを進めてまいります。
当館の魅力は、近代彫刻の系譜をたどることのできるコレクションに加え、歴史的建造物「旧偕行社」、そして彫刻教室にあります。こうした場を通して、作品と出会う時間を、より身近なものとして感じていただければ幸いです。どうぞお気軽に足をお運びください。
館長 南雲貴史
館長の祝日講話「展示室の外へ ― 建具から見る彫刻美術館」
本企画では、展示作品としての彫刻に加え、建築に組み込まれた「建具という彫刻」に注目します。館長による講話と館内観覧を通して、普段は意識されにくい建物の装飾や造形に目を向け、彫刻美術館の新たな見方を体験していただきます。
当日は、館長による約30分の講話の後、参加者が館内を巡りながら建具や装飾を中心に観覧・撮影する時間を設け、建築と彫刻を一体的に味わう鑑賞体験を行います。
- 日時:令和8年4月29日(水曜日・祝日)、5月5日(火曜日・祝日)各日午前10時から(約1時間30分程度)
- 受講料:無料
- 申込:WEBから4月24日まで(定員に満たなかった場合は、定員に達するまで延長します。)
職員紹介
2026年4月より中原悌二郎記念旭川市彫刻美術館の学芸員としてお世話になります、瀬戸と申します。高校までを旭川市で過ごし、弘前大
学を卒業後、東北大学大学院で修士課程と博士課程を修了しました(弘前大学在学時にはハンガリー、東北大学在学時にはイタリアに約1年間ずつ留学しました)。
その後、同大学大学院に教員として4年間務め、約17年振りに旭川市に戻ってきました。大学では西洋美術史、特に16世紀のフィレンツェ美術について研究をしてきました。
彫刻美術館所蔵作品には、西洋の作品を出版物などを通して間接的に、あるいは現地で直接見て影響を受けたのでは、という想像が働く作品も多く、西洋美術の受容と解釈という観点から興味深く見ているところです。西洋美術史についての講演をこれから開催する予定なので、皆さまと直接お会いする機会があることを楽しみにしています。
(瀬戸はるか)

写真:瀬戸はるか
今年度から彫刻美術館でお世話になっております。学生時代から彫刻の作品制作をはじめ、今は木やテラッコッタで《ぶた》の作品を作っています。
日常の生活の中にひょっこり顔をのぞかせているようなカタチを探して素材に向き合っています。憧れていた作家の方たちの作品の近くで働くことができ、嬉しく思っています。
彫刻美術館では美術館クラブやこども彫刻教室、彫刻巡回展を主に担当します。様々な素材に触れて、作品制作に夢中になれる時間を皆さんと共有できるように、精一杯努めてまいります。どうぞよろしくお願い致します。
(岩永みどり)

岩永みどり《「Pig004」2025》
素材:楠
写真:岩永みどり
ミュージアムコンサートの様子
2026年3月20日フルートアンサンブルフルールミュージアムコンサートを開催しました。

企画展『宇宙を感じる彫刻展』に合わせ、星や宇宙をイメージした楽曲を中心にご披露いただきました。
ボランティア
みゅうず
運営を応援する目的で平成6年6月、彫刻美術館のオープンと合わせて、美術好きの市民によって結成されました。
現在は、20人程度の会員を擁し、彫刻美術館内に物販・喫茶コーナーを設置しています。
物販コーナーには、中原悌二郎関係の図書、その他の図録、マグネットアート、絵はがきなどのほか、木内克、加藤昭男制作のペンダント、池田宗弘制作の栓抜きなどを販売しています。
喫茶コーナーでは、コーヒー、紅茶、オレンジジュースなどを提供しています。
会員を随時募集しています。活動の詳細については彫刻美術館までお問い合わせください。
旭川彫刻サポート隊
野外に設置してある彫刻を良好な状態に管理するため、清掃活動や周辺環境整備、ワックス塗布など、彫刻清掃を行うボランティアの会「旭川彫刻サポート隊」が、平成14年7月に誕生しました。
現在は約110人の方が活動しています。皆さんが日ごろ目にする野外彫刻は彫刻を愛する人たちによる旭川彫刻サポート隊の手によって、より輝きを増しています。
あなたも活動に参加して彫刻に触れてみませんか。参加を随時受け付けています。
活動の詳細については彫刻美術館までお問い合わせください。
中原悌二郎の生涯(1)
― 旭川へ来るまで ―

旭川と彫刻との関わりを語るとき、「中原悌二郎」の存在を抜きにすることはできません。
現在、街なかに多くの野外彫刻が置かれ、「彫刻のまち」と呼ばれている背景には、彼の存在が原点としてあります。
中原悌二郎は、明治21年(1888年)、釧路に生まれました。父・忠四郎と母・タキのもと、八人きょうだいの五番目として育ちます。
当時の釧路は、明治2年(1869年)に開村して間もない新しい町でありながら、道東の港町として活気を帯びていました。父は函館で商いを営んだのち釧路に移り、荒物雑貨の卸小売業を営むかたわら、漁業にも手を広げていました。
荒物雑貨とは、ざるやかご、ほうき、ちりとり、おろし金、たわし、やかんなど、日々の暮らしに欠かせない道具を扱う商いです。
幼い悌二郎は内気な性格で、学校でも目立つ存在ではなかったといいます。それでも、姉が学校に通う姿にあこがれ、明治27年(1894 年)、通常より一年早い六歳で日進尋常高等小学校に入学しました。
しかし家庭の中では、必ずしも居心地のよい時間ばかりではありませんでした。後年、本人は次のように語っています。
「何しろ内気で、先生に呼ばれても返事も出来ない。運動会でも隅っこに立っていた。父や年の離れた兄は厳しく、弟が泣くと自分のせいにされた。自分の家というものが好きではなかった。」
こうした思いが、やがて一つの選択へとつながっていきます。
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お問い合わせ先
旭川市教育委員会 社会教育部文化振興課中原悌二郎記念旭川市彫刻美術館
〒070-0875 北海道旭川市春光5条7丁目
電話番号: 0166-46-6277 |
ファクス番号: 0166-46-6288 |
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受付時間:
午前8時45分から午後5時15分まで(月曜日(月曜日が祝日の場合は翌日)及び12月30日から1月4日までを除く)











