東光スポーツ公園基本計画(複合体育施設)
基本計画(平成28年改訂版)
東光スポーツ公園基本計画(複合体育施設)(PDF形式 1,860キロバイト)
目次
- はじめに
- 計画見直しの考え方
- 東光スポーツ公園の概要
(1)平成21年度の基本計画見直しによる全体の概要
(2)基本理念・整備テーマ・計画内容 - 本市の屋内スポーツの状況
(1)屋内スポーツ施設の利用状況
(2)その他施設の利用状況
(3)大会の開催状況
(4)旭川市総合体育館の利用状況
(5)利用団体からの意見
(6)市民アンケートの結果
(7)屋内スポーツの状況 - 複合体育施設の機能整理
(1)整備の基本方針
(2)各施設の競技面の大きさ
(3)防災公園の拠点機能 - 基本計画(複合体育施設)
(1)敷地の条件
(2)配置計画・動線計画
(3)分割整備と整備優先機能
(4)施設計画
(5)内外装計画
(6)構造計画
(7)設備計画
(8)バリアフリーへの対応
(9)関連法規への対応 - 概算工事費
- 今後の進め方
1 はじめに
東光スポーツ公園は、本市のスポーツ振興や公園緑地の適正化を図るとともに、防災意識の高まり等に対応するため、平成11年度に基本計画を策定し、平成13年度に事業の期間を平成32年度までの20年間として事業に着手しました。
その後、基本計画策定から10年を経過した平成21年度には、社会状況や市民スポーツを取り巻く環境の変化、本市の財政状況等を踏まえ、基本計画の見直しを行い、公園の中核施設となる複合体育施設は、体育館、武道館の整備を先行し、プール、アリーナの建設を凍結することとしています。
これまで、基本計画に基づき軟式野球場、球技場、パークゴルフ場のほか、アスレチック要素のある遊具を配置した遊びの広場や緩やかな傾斜をもつ芝生、修景池のあるレクリエーション広場などの整備が進み、現在、全国、全道や市内の各種スポーツ大会の開催はもとより、日常的なスポーツ、レクリエーションの場として多くの市民に利用されています。
今回、複合体育施設の整備に向けて、体育館、武道館の内容や規模について、現在の市民ニーズや競技ルールに対応したものとするため、市民アンケートやスポーツ施設利用団体との意見交換の開催、さらに旭川市緑の審議会において東光スポーツ公園検討部会を設け検討いただき、その内容を踏まえ、複合体育施設に係わる基本計画の見直しを行いました。
2 計画見直しの考え方
複合体育施設の整備内容については、平成11年度の基本計画策定以後、施設の内容や規模などについて具体的な検討をしていないことから、「市民ニーズの変化」「各種競技スポーツの競技規則の変更や競技環境の変化」「市内のスポーツ実施環境、各種スポーツの実施状況の変化」「経済性の考慮(他施設との機能分担、多目的利用の推進、維持管理費の低減)」「防災意識の向上と機能強化」といった課題を踏まえて計画の見直しを行いました。
3 東光スポーツ公園の概要
(1)平成21年度の基本計画見直しによる全体の概要
- 場所 旭川市東光21条~26条7丁目、21条~27条8丁目及び22条~27条9丁目
- 面積 43.8ヘクタール
- 事業期間 平成13年度から平成32年度まで
- 総事業費 182億円
- 計画施設
スポーツ施設:軟式野球場3面、球技場2面、パークゴルフ場4コース、
テニスコート4面、複合体育施設
その他施設:レクリエーション広場、遊びの広場、中央広場、駐車場ほか
(2)基本理念・整備テーマ・整備方針
基本計画における基本理念、整備テーマ、整備方針は、次のとおりです。
基本理念
「スポーツを日常で身近なものにする」
スポーツの原点は遊ぶことであるが、都市化に伴い遊べる場所は少なくなり、小子化や核家族化が進行し、子ども達の自由時間(遊びの時間)が減少している。また、高齢化の進展により、スポーツ意識や機会が減少する可能性がある。このため、体力の増進や運動能力の向上に寄与するとともに、健康や生きがいを育む生涯スポーツ文化を醸成するために、スポーツが日常的に、また、身近でできるような環境を整えていく。
「誰でもがスポーツを楽しむ機会を増やす」
スポーツは、だんだんと多様化してきており、子どもから高齢者などさまざまな人たちが参加できるものとなってきている。
このことから、年齢や性別にとらわれないさまざまな人たちがスポーツに参加できる機会を提供するとともに、誰でもが使える施設の充実と推進体制を強化していく。
「スポーツ交流の機会を増やす」
スポーツはさまざまな交流の機会を提供してくれる活動である。日常のスポーツ活動のなかで、近所の仲間と職場の仲間と、そして新たにスポーツで知りあった仲間と、共通の話題で交流できる。また、スポーツは言葉のいらないコミュニケーション手段とも言われ、言葉の違う外国の仲間とも交流を広げることが可能である。このため、地域をベースとしたさまざまな競技会による交流の機会を増やしていくとともに、国際的な交流の機会を提供していく。
整備テーマ
運動公園は、生涯スポーツや生涯学習の場として、すべての市民が参加の機会を得えられるものであり、生涯にわたり健康で生きがいを持ち、安心していきいきと暮せる社会を実現するために、スポーツ・レクリエーションの側面から支援していくものである。
ここでは、運動公園の整備テーマを次のように設定する。
「より身近に、より楽しく、より健やかに」
整備方針
- スポーツ活動拠点としての公園整備
市内の他のスポーツ施設(花咲スポーツ公園等)との連携、機能分担を図りながら、道北地域を代表するスポーツ活動の拠点として位置づける。
- 市民活動主体の公園整備
市民の活動をベースとした気軽に利用しやすい整備を目指し、また、日常の活動で充足出来ない機能を補完していく。
- スポーツ交流促進のための公園整備
地域、国内の大会およびスポーツを主体とした国際交流の推進、さまざまなスポーツ・レクリエーションイベントの開催等を推進する。
- 多様な活動空間の公園整備
スポーツ施設利用者をはじめ全ての来園者が心から休める快適な空間の整備を図る。
- 誰でも参加できる公園整備
ユニバーサルデザイン(障害者・健常者の分け隔てなく誰もが使いやすい施設設計)を心がけた施設整備を図る。
- 健康に配慮した公園整備
市民が個々の運動能力に応じ気軽に、継続的にスポーツ・レクリエーションを通して基礎体力の維持増進、日常の健康管理を行える施設の整備を行う。
- 旭川の自然を生かした公園整備
公園の景観に旭川の自然を取り込み、川のまち旭川らしい整備を進める。
- 雪を克服し、雪を楽しむ公園整備
冬期、野外における各種スポーツ・レクリエーションが行え、また、各種球技種目を対象にインドア空間を整備し、通年型のスポーツ施設を目指す。
- 環境・省エネルギーに配慮した公園整備
21世紀の運動公園を目指した省エネルギー化や環境に優しい整備を進める。
- 広域防災拠点としての公園整備
防災公園として位置づけ、国が設置する河川防災ステーション(市の総合防災センター)、災害応急対策施設などを設置し、広域的な防災拠点として整備を行う。
- その他の暫定的な有効利用の推進
運動公園や市内の公園に植栽するための緑化木の育成や堆肥の生産、雪捨て場としての利用、残土置き場としての利用など、暫定的な有効利用を推進する。
4 本市の屋内スポーツの状況
(1)屋内スポーツ施設の利用状況
旭川市には9箇所の屋内スポーツ施設があり、この中で、最も多くの競技種目が実施でき、さらに競技面を確保できるのは、旭川市総合体育館となっています。
この中で、大会等での利用が多い施設は5箇所あります。その中で利用者が多いのは「旭川市総合体育館」と「忠和公園体育館」となっており、いずれも、過去5年間を見ると年間15万人前後の利用があります。「大成市民センター体育館」については年間4万人程度、「旭川大雪アリーナ」は年間3万人前後、「勤労者体育センター」については年間2万5千人程度となっています。
これらの施設の中で「忠和公園体育館」については、市民の健康づくりを目的としており、個人が気軽にスポーツに親しむ場所として、団体の専用利用はさせず、大会利用についても限定するなどしています。
(2)その他施設の利用状況
屋内スポーツ施設のほか、学校や公民館、地区センター等のスポーツ以外の目的で整備された施設についてもスポーツに利用されています。
学校の体育館やグラウンドは、学校開放事業により、平成26年度は81校の開放が行われました。過去5年間の年間利用人数は、34万人前後となっています。
屋内スポーツでは、バドミントン、バレーボール、バスケットボール、剣道、ミニバレー、フットサルでの利用人数が多く、いずれものべ3万人を超えています。
公民館や地区センター等には、住民のコミュニティ活動に役立てるため会議室や講堂などが整備されており、スポーツ、レクリエーションにも利用されています。公民館では、卓球やミニバレー、ダンスや健康体操などの軽スポーツ、レクリエーションが行われており、地区センターのコミュニティ体育館では、ミニバレーやバドミントンの利用が多くなっています。
(3)大会の開催状況
(公財)旭川市体育協会が把握している平成27年度の大会予定は、のべ551件、そのうち屋内の大会は287件でした。その内訳は、「全国(実業団等含む)」が4件、「全道」が44件、「地区」が210件、「市内・市民」が29件となっています。また、「全国」のうち1件は、女子バスケットボールの実業団リーグのリーグ戦です。過去5年間を見ても、毎年300件程度の大会が開催されていますが、旭川市体育協会に加盟していない団体の大会もあるため、相当数の大会が開催されていると考えられます。また、「実業団等」では、過去に「JBL日本バスケットボールリーグ戦」も旭川市総合体育館で行われました。
旭川市体育協会では、指定管理者となっている「旭川市総合体育館」及び「大成市民体育センター」の利用調整をおこなっていますが、大会開催の需要が大きく、「忠和公園体育館」も対象として、3施設での大会の利用調整を実施しています。忠和公園体育館については、先に述べたとおり市民の健康増進を目的に整備された施設ではありますが、大会等の需要に対応するため、月に2件程度の利用を認めています。利用調整では、「全国」「全道」「地区」の順に優先順位をつけており、希望日が重なった場合には、利用者同士の協議により予定日を決定しています。この利用調整にあたっては、平成27年度については23件、また過去5年をみても毎年20数件の大会が希望する日時がとれず、場所や日時を変更しており、この中には、市内で開催場所を確保できず周辺の町の施設での実施となった大会もあります。
また、全国規模の大会では、必要競技面が確保できず、初めから開催を断念している場合もあります。
(4)旭川市総合体育館の利用状況
本市の屋内スポーツ施設の中核となっている旭川市総合体育館について、過去5年間を見ると年間約15万人前後の利用人数がいます。利用人数の内訳を見ると、「大会」及び「専用」の利用者が5割以上となっています。
また、開館日当たりの大会開催の割合を見ると、6割前後となっており、ほかの施設では、大会開催件数及び大会規模から推測すると大成体育センターで3割程度、忠和公園体育館では1割程度と考えられることから、大会利用が多い施設となっています。
総合体育館において最も大きなメインアリーナの専用状況を見ると、夏期については5割程度、冬季に入ると8割近くが大会又は専用利用となっています。冬は、屋外スポーツ(テニス等)が屋内に移動するため、さらに混み合う状況となっており専用利用での予約が取りづらい、一般利用がしづらい状況となっています。
(5)利用団体からの意見
本年9月から11月にかけて、体育施設利用団体にアンケート調査を実施しました。その中で、現施設への感想をお聞きしたところ次のような意見がありました。
施設の不足
- 多数の団体で利用しているため使用日数が限られる。(総合体育館)
- 大会開催に際しては、他団体との調整で決定されるため施設の不足を感じている。(総合体育館)
- 他の競技と重なり、希望日の確保が困難。(総合体育館、大成市民センター)
競技スペースの不足
- 正規の競技面が1面しか取れず全道大会のような規模の大会開催が難しい。(総合体育館)
- コートが2面しかとれず、総合体育館と大雪アリーナを併せても、全国規模の大会開催は厳しい。(総合体育館、大雪アリーナ)
- 大会のたびに畳の移動が必要。常設のスペースでは大会開催は困難。(総合体育館)
必要な施設、備品の不備
- 控え室スペース、観客席が無く大会開催は困難。(大成市民センター)
- 移動式のひな壇が不足。(総合体育館)
- 観客席が無い。(忠和体育館)
- 大半の器具が旧式のため全道大会での使用が不可。大会時は札幌から運搬が必要。現行ルールの器具で練習したい。(総合体育館)
- 競技用具が老朽化しており、調達持ち込みが必要な場合がある。(総合体育館)
- 音響設備を充実させて欲しい。(勤労者体育センター)
その他
- 冬季に利用できない。(大雪アリーナ)
- 利用料金が高い。(大雪アリーナ)
- 駐車場の不足。(勤労者体育センター)
- 冬季にテニス、フットサルなどが利用するため専用利用ができない。(総合体育館)
(6)市民アンケートの結果
本年9月から10月にかけて、市民アンケート調査を実施し旭川市民1、164人から回答を得ました。
屋内スポーツの実施状況
過去1年間で実施したスポーツについては、「筋トレ」が最も多く「フィットネス」と合わせて民間施設の利用が多くなっていました。次に多い「ミニバレー」や「バドミントン」は、学校開放事業や忠和公園体育館での利用が多くなっています。利用している施設に対しての不満は、民間施設へは「利用料金が高い」、市の体育施設については「予約が取りにくい、混み合う」といった意見がありました。
屋内スポーツの観戦状況
過去1年間に観戦したスポーツについては、「バレーボール」「バスケットボール」「フットサル」が多く観戦されており、小中学生の大会が多くなっていました。見に行った施設としては「総合体育館」が最も多くなっており、「見る場所が少ない」との不満が上げられています。また、自由記載していただいた中に、総合体育館は、「出入口が少ない」「靴の履き替えで出入口が詰まる」といった意見もありました。
新たなスポーツ施設に対して望む姿
スポーツを実施される方では、「気軽に立ち寄れて日常的にスポーツに取り組める施設」が最も多く選ばれており、次に「スポーツ以外でも体力作りに利用できる施設」「全国大会や全道大会が開催できる競技スポーツの拠点施設」が続きます。一方、スポーツを実施されていない方からは、「競技スポーツの拠点施設」は少なく「スポーツ以外にも休憩などに気軽に立ち寄れる施設」が多く選ばれていました。
どのような利用をしたいか
利用については、「トレーニングマシンの利用」「ランニング、ウォーキング」が最も多くなっており、「スポーツの観戦」も期待されています。実施したいスポーツの種類としては、「バドミントン」「卓球」「バレー」が多くなっていますが、30代、40代の方では「フットサル」、50代では「ミニバレー」が多くなっていました。
自由意見
駐車場不足への不満や公共交通機関の確保といった意見が多くありました。このほか「小さい子どもが安全に遊べるような施設」「高齢者が気軽に使える施設」といった誰でも使いやすい施設への意見が多くなっています。
(7)屋内スポーツの状況
- 旭川市内にはスポーツ施設のほか、公民館、住民センター等を含めるとスポーツを実施する場所が多くあります。しかしながら、大きな面積を持つ施設が少なく、また、施設の備品の関係上、スポーツの種類によっては実施できる施設が限られています。
- 旭川市内では多くの市民がスポーツを実施しています。施設の利用から見ると、市内には多くのスポーツ団体があり、ほとんどの施設は団体による専用利用がされています。
- 健康づくりへの関心の高まりを受け、団体スポーツ以外にも筋トレやフィットネスといった個人で実施できる運動に対するニーズが高まっており、民間のスポーツジムが受け皿となっています。
- 旭川市は、北海道第2の都市であり、道北地域の中核都市であるため、大会の開催への需要が多い都市です。しかしながら、屋内スポーツは、種目が多くあり、また、大会が開催できる規模の施設が限られているため、大会実施の需要に応えられていません。
- 旭川市で最も広い面積と多くの体育室を持つ総合体育館では、年間の開館日数のうち6割が大会で占められており、団体の専用利用も多いため、一般の利用がしづらい状況にあります。
5 複合体育施設の機能整理
(1)整備の基本方針
平成11年度策定の運動公園基本計画において、当時のスポーツに関する上位計画や市内の現況調査、スポーツ施設利用団体との協議により各スポーツ施設の整備規模、整備水準が整理されていました。
これを基本的な考え方として、現在の屋内スポーツの状況、今年度実施したアンケート調査やスポーツ施設利用団体との意見交換、さらに、検討部会での検討を踏まえ次のとおり整理します。
体育館
北国旭川において屋内スポーツを積極的に促進していくための、その主導役となる体育館を整備します。整備規模は、市民が多種のスポーツ・レクリエーション活動をゆとりを持って行える規模を確保するとともに、各種スポーツの大会誘致が可能な規模とし、床面積約2、800平方メートル、観客席は、競技実績等から固定席を、約2、000席、プロ等の試合誘致も想定し仮設なども含めて約5、000席を確保します。
また、小体育館を整備し、体育館と連動させることでより規模の大きな大会開催の実施につなげると共に、市民スポーツ・レクリエーションの利用も図っていきます。
武道館
武道の推進とそれに伴う心身の向上を目指し、武道館を整備します。整備規模は、日常の練習や地域の大会が開催できるよう、床面積約1、100平方メートルを確保します。
なお、平成11年時は、種目ごとに専用施設を整備することとしていましたが、施設の有効活用と一定規模の床面積を確保することで大会への対応が可能なことから1室とし、日常の練習時には、利用の状況に合わせて分割利用ができるようにしていきます。
トレーニング室
気軽にスポーツを楽しみたい、健康づくりに取り組みたいという市民ニーズに応えるため、また、競技スポーツを行う人のトレーニングのため、トレーニング室を整備します。
トレーニング室には、レクリエーションおよび各種競技のための基礎体力づくりに対応したトレーニングマシンを導入し、また、トレーニングやスポーツで疲労した体を癒せるリラクゼーション設備も導入します。
その他施設
東光スポーツ公園の中核施設として、パークゴルフ場などの屋外施設の利用者やスポーツ以外での公園利用者が気軽に利用できるレストコーナーを導入します。また、様々な年齢層が利用できる施設として、小さな子どもが利用できる幼児室を整備します。
(2)各施設の競技面の大きさについて
スポーツ施設利用団体へのアンケートに基づき、市内で大会を実施する種目と競技面積を次の表のとおり整理しました。その中で、できるだけ多くの種目において規模の大きな大会が開催できるよう、体育館については、65m×44m(バスケットボール3面)、小体育館については、38m×25m(バスケットボール1面)、武道館については、44m×25m(柔道3面)を基本に整理します。
(3)防災公園の拠点機能
東光スポーツ公園は、防災公園としても計画されており、旭川市地域防災計画においても広域避難場所として指定されています。また、公園内には旭川市総合防災センターも設置されており、センターと一体となった本市の防災拠点としての役割も持っています。
この複合体育施設は、公園の中核となる施設であることから、防災の面でも拠点機能を整備します。
避難所としての機能
冬季の寒さが厳しい本市では、屋内の避難所の確保が課題となります。複合体育施設については、体育館、小体育館、武道館といった大きな空間があり、さらには、会議室やトレーニング室等についても、室内の備品を整理することで、避難者を収容することができます。
施設の整備にあたっては、避難生活に必要な設備(給水や暖房、照明等)や避難者に対する情報伝達機能、食料、生活必需品等を収納するための備蓄倉庫を整備します。
避難場所の中核施設としての機能
複合体育施設は、災害時においても東光スポーツ公園の中核施設の役割を担います。公園内の軟式野球場スタンドや球技場管理棟についても避難所として計画しており、また、冬季以外は屋外の芝生広場も避難場所となるため、これらを運用するための情報伝達の機能等を整備します。
旭川市総合防災センターとの連携
東光スポーツ公園内に設置されている旭川市総合防災センターは、災害時の防災情報拠点や緊急消防援助隊及び、災害ボランティアの活動、滞在拠点、さらに支援物資の収集や配送拠点など本市の防災拠点と位置づけられています。公園側は避難者を受け入れる避難所及び避難場所として役割分担がなされていますが、隣接する施設のため情報伝達などで連携を図ります。
また、体育館の整備の際には、避難所としての役割と調整を図りながら、物資集配センターの一部機能も分担していきます。
6 基本計画(複合体育施設)
(1)敷地の条件
複合体育施設は、市街化調整区域内に都市計画公園として指定された東光スポーツ公園に整備されます。都市公園内に建設可能な建築物の面積は、都市公園法により、建ぺい率12%までと定められています。公園面積が43.8haであるため、東光スポーツ公園において建設可能な面積は、約52、000平方メートルとなります。
現在、東光スポーツ公園には、第1軟式野球場のスタンドや球技場の管理棟、各トイレなどの建築物があり、さらに、今後整備を予定している建築物を含めると、約10、000平方メートルの建築面積となることから、複合体育施設については、約42、000平方メートルが建築可能面積となります。
- 計画地:旭川市東光24・25条7丁目
- 用途地域:無指定
- 防火指定:なし
- 敷地面積:約43.8ha(東光スポーツ公園全体)
- 基準建ぺい率:60%(建築基準法)、12%(都市公園法)
- 基準容積率:200%
(2)配置計画・動線計画
- 建設地と施設機能
本施設は、東光スポーツ公園のほぼ中央のエリアを建設地とします。
施設機能として、体育館、小体育館、武道館を計画します。また、同じエリアには、テニスコートが計画されています。
本施設においては、防災機能、公園全体の休憩スペース、トレーニング室を付加機能として計画します。
- 利用者の主動線
本施設へは、自動車が主な移動手段になると考えられます。駐車場が公園内に分散して設置され、それぞれを結ぶ園路が公園のメイン園路となります。特に公園の中央を南北方向につなぐ園路は、大きな駐車場と公園内のスポーツ施設や遊びの広場、中央広場をつなげるメインストリートとなっています。本施設へは、メインストリートからアプローチさせる計画とし、メインストリート側に建物の正面を作ります。また、利用が多いと考えられる南側駐車場からは、体育館を利用する大規模な大会開催時等の関係者の出入りや資材搬入搬出を想定するほか、災害時の支援物資の搬入搬出についても検討します。
- 公園全体の休憩場所
建設地のメインストリートを挟んだ東側には、中央広場が計画されています。この中央広場を公園全体の憩いの空間としてとらえ、本施設では、中央広場と一体的に利用できる室内の空間としてレストコーナーを計画します。
- 大雪山への眺望
東光スポーツ公園の東側は大きな建物がなく大雪山、十勝岳連邦への眺望が開けています。この特徴を生かし、本施設からの眺望が確保できる計画とします。
(3)分割整備と整備優先機能
- 分割整備
本施設は、建設規模が大きいため分割して整備することも考えられます。先に整備を行う施設については、早期に開放し市民利用を進めることとします。
- 整備優先機能
先に整備する施設には、トレーニング室と公園全体の休憩場所としてのレストコーナーを計画します。また防災機能として、公園西側の園路やトイレの非常用電源設備や備蓄倉庫の設置も検討します。
(4)施設計画
体育館
- 体育館は、バスケットコート3面が設置可能な65m×44m程度(約2、860平方メートル)の広さを確保します。天井高は、12.5m以上を確保します。
- 出入口付近に下足スペースを確保します。
- 2階に固定観客席2、000席程度、1階に移動席と仮設席合わせて3、000席程度を計画し、計5、000席を確保します。また、車椅子利用者の観覧スペースを確保します。
- 2階観客席の後方周囲に、2人がすれ違える幅のランニングコースを確保します。
- シャワー室、トイレを併設した更衣室を男女別に設置し、それぞれに身障者用の設備を導入します。
- 器具庫については、利用する競技に合わせて必要な規模を確保します。
- 大会利用時を想定して、選手控室150平方メートル程度、役員室30平方メートル程度、審判室15平方メートル程度を確保します。選手控室については、可動間仕切りにより2~3室に分割利用できるようにします。
- プロスポーツや実業団の試合開催を想定し、興行可能な施設計画とします。
- 興行時の有料ゾーンと一般ゾーンの区分やイベント関係者と観客の動線分離、チケット等のもぎりの位置の想定を行います。
- ホールの大きさは、5、000人の観客に対応できるよう類似施設から想定し、0.2平方メートル/人の大きさを確保し、興行終了時のスムーズな動線処理に配慮します。
小体育館
- 小体育館は、バスケットコート1面が設置可能な38m×25m程度(約950平方メートル)の広さを確保します。天井高は、12.5m以上を確保します。
- 出入口付近に下足スペースを確保します。
- 固定観客席を200席程度とし、車椅子利用者の観覧スペースを確保します。
- トイレを併設した更衣室を男女別に設置します。また、身障者の利用も想定した設備とします。
- 器具庫については、利用する競技に合わせて必要な規模を確保します。
武道館
武道館は、柔道の競技場3面が設置可能な44m×25m程度(約1、100平方メートル)の広さを確保します。可動間仕切りによる分割利用や弓道のための的場など、各種武道の使用に対応させます。天井高は、4m以上を確保します。
- 出入口付近に下足スペースを確保します。
- シャワー室、トイレを併設した更衣室を男女別に設置します。また、身障者の利用も想定した設備とします。
- 大会利用時を想定し、控室を確保するとともに、観覧スペースを検討します。
- 器具庫については、利用する競技に合わせて必要な規模を確保します。
管理部門
- 管理事務所については、複合体育施設の管理だけでなく、東光スポーツ公園全体の管理事務所としての機能も持たせます。
- 幼児室は、総合体育館幼児体育室84平方メートルと同程度の大きさとします。
- レストコーナーは、本施設及び公園全体の休憩場所として想定し、200平方メートル程度の広さをメインストリートに面して設置します。また、利用者の利便性を考慮して、自動販売機の設置や売店機能の追加を想定します。
- 大会開催時の利用を想定し、会議室150平方メートル程度(スクール形式で約150人)を確保し、可動間仕切りにより分割利用をできるようにします。
- 多目的に利用できる部屋として、研修室150平方メートル程度を確保し、可動間仕切りにより分割利用をできるようにします。
- トレーニング室は、総合体育館トレーニング室の大きさ341平方メートルと同程度の大きさを確保します。
- 発電機室、受水槽室、備蓄倉庫は、防災公園としての拠点機能と関連計画に基づき整備します。
これらの諸室について、平成11年時の基本計画と比較すると次のとおりとなります。管理部門については、整備手法によって配置や規模の検討を行っていきます。
※プール、アリーナについては、平成21年度見直しにより建設を凍結しています。
(5)内外装計画
外装仕上げ
- コストパフォーマンスに優れ、耐久性、防汚性に優れた仕上げとします。本施設の周辺には、他の施設整備も想定されるので、原則、屋根からの落雪がない計画とします。
内装仕上げ
- 体育館、小体育館、武道館の床は、弾力性、滑り抵抗を加味し、想定される競技に最適なものを選定します。
- 体育館の床は、大会開催時の搬入や災害時対応を考慮し、床荷重5t/平方メートルに耐えられるものとします。
- 武道館は、静粛さを要求されることから、遮音性、吸音性に配慮した内装仕上げを検討します。柔道は、可動畳で対応します。
(6)構造計画
本施設は、多くの避難者を収容する避難所として、次の耐震安全性を確保する計画とします。
構造体:2類
建築非構造部材:A類
建築設備:乙類
この分類は「官庁施設の総合耐震計画基準及び同解説P15」(H18、社・公共建築協会)により、部位ごとの目標が設定されています。
耐震安全性の目標
- 基礎構造は、ボーリング調査を実施し基本設計において決定しますが、過去の周辺ボーリングデータから直接基礎を想定しています。
- 体育競技施設として柱のない大きな空間の確保が必要であるため、主構造を鉄骨造として計画します。
(7)設備計画
電気設備計画
- 電気設備は、省エネルギー、環境配慮、長寿命化に配慮するとともに、施設の維持管理を容易にするなど、施設整備と維持管理を合わせた費用全体の低減を図ります。また、将来の設備機器更新も考慮します。
- 太陽光発電など自然エネルギーの利用については、整備費用と維持管理費や経費削減効果とのバランスを考慮し検討します。
- 照明設備は、LED器具等の採用や照明点滅区分の細分化等に配慮し、省エネルギー化を図ります。JIS規格と各競技規則の基準を参照しつつ、最適な明るさの設定を行います。
- 音響設備は、日常の利用のほか、各種大会等での使用を想定し、操作しやすい設備システムとします。
- 災害時には、公園内への情報伝達の中核施設となることから、園内の各施設への通信設備や園内放送設備を整備します。
- 本施設を分割して整備する場合には、整備スケジュールにより規模の調整を行います。
- 自家発電気設備については、公園西側の防災設備(園路照明、放送設備等)の非常用電源としての役割も合わせて検討します。
機械設備計画
- 機械設備については、快適性、安全性、管理性、経済性等を考慮します。また、本施設を分割して整備する場合には、整備スケジュールを考慮して、それぞれの施設での運用も想定し、適切な方式とします。
- 空調設備については、熱源機器を集中設置する中央式空調を前提としますが、本施設を分割して整備する場合には、それぞれの施設において熱源を持つ計画とし、施設整備と維持管理を合わせた費用全体の比較等を行い、最適な熱源を採用します。
- 衛生設備についても、本施設を分割して整備する場合には、施設毎に単独の運用が行えるように、給水、給湯、排水、消火設備等について建物規模に応じた設備を検討し採用します。
(8)バリアフリーへの対応
- 様々な方々が利用する施設であるため、バリアフリーの考え方に基づき整備します。
- 2階への移動を確保するためエレベーターを計画します。
- 観客席には、車いす対応スペースを設けます。
(9)関連法規への対応について
本施設の設計、整備にあたっては、次の関係法令に基づくと共に、他の法令についても法令遵守を行います。
- 建築基準法
- 旭川市建築基準法施行条例(第6節 劇場、映画館、演芸場、公会堂及び集会場に該当)
- 旭川市建築基準法令運用基準
- バリアフリー法
- 旭川市福祉のまちづくり要綱
- 省エネ法
- 旭川市テレビジョン放送受信障害防止指導要綱(高さ10mを超える建築物)
- 旭川市景観条例(高さ10m、又は建築面積500平方メートルを超える建築物)
- 消防法(旭川市火災予防条例含む)
- 都市公園法
7 概算工事費
複合体育施設の総床面積を約16、000平方メートルと想定しています。概算工事費は、近年整備された類似の施設を参考に単位面積当たりの建設費を50万円と設定し、約80億円を想定しています。
ただし、ここ数年、建設費等の高騰が見られ、今後もこの傾向が続くと想定されることから、今後も推移を確認し慎重に検討していきます。
8 今後の進め方
複合体育施設については、計画している体育館、小体育館、武道館を一度に整備することが機能上望ましいのですが、建設規模が大きくなるため、本市の財政状況も考慮しながら分割整備による段階的な供用についても検討します。
震災復興や東京オリンピック開催に向けて、建設費の高騰が見込まれることから、今後実施する基本設計において、経済性を考慮しながら建設費を精査し、事業スケジュールを検討していきます。
資料編
- 屋内スポーツの現状
- 旭川市 新たな屋内スポーツ施設の整備に向けた市民アンケート調査
- 旭川市におけるスポーツに関するアンケート調査(団体アンケート)
- 東光スポーツ公園複合体育施設の整備内容についての意見交換会 実施結果
- 東光スポーツ公園基本計画見直しの経過
- 見直しの検討経過
- PFI導入検討結果
東光スポーツ公園基本計画
複合体育施設以外の施設は東光スポーツ公園基本計画(平成21年改訂版)を参照ください。