旭川のさつまいも
旭川の「さつまいも」
秋の味覚としてなじみ深いさつまいも。料理やお菓子など、様々な食べ方で楽しむことができ、栄養バランスが良く食物繊維が豊富な作物です。鹿児島県や茨城県が産地として有名ですが、近年の温暖化の影響もあり、北海道でも栽培地域が広がっており、旭川でも年々生産量が増えています。
旭川での栽培の経緯
さつまいもの原産地はメキシコを中心とする熱帯アメリカです。寒さに弱い作物なので、国内の主産地は関東地方以西の温暖地となっており、中でも、鹿児島県、茨城県、千葉県、宮崎県が全国の収穫量の80%を占めています(令和4年産)。
従来は東北地方南部が農業としての栽培の北限とされてきましたが、近年の温暖化による夏の気温の上昇傾向もあり、これまで栽培に不向きとされてきた北海道でも、2000年代に厚沢部町で栽培が始まったのを契機に、その後道南から道央以北へと徐々に栽培地域が広がっており、現在は各地で産地化の動きが活発化しています。さつまいもの国内需要は堅調であり、近年は東南アジアを中心として輸出も伸びていること、ヒルガオ科であるさつまいもは、コムギや豆類等との輪作体系に組み込むことも可能であること等から、北海道で新たに産地化が期待できる作物として注目されています。
このような動きの中、旭川市内では2020年(令和2年)頃から本格的な栽培が始まって以来、令和5年には30名以上の生産者が栽培に取り組み、各農協が中心となって生産拡大に力を入れています。
旭川のさつまいもの特徴
品質について
【加熱したさつまいもはなぜ甘いの? 】 さつまいもの主な甘さ成分は、ブドウ糖、果糖、ショ糖、麦芽糖ですが、その中で最も多い麦芽糖がさつまいもの甘さに大きく影響します。 麦芽糖は生芋にはほとんど含まれず、生芋に含まれるでん粉が加熱によって糊化し、その糊化したでん粉をβ‐アミラーゼという酵素が分解することによって、甘味成分である麦芽糖が生成されます。 北海道産さつまいもは、本州産より低い温度で糊化し始める性質のでん粉を含んでおり、それによってβ‐アミラーゼが麦芽糖を一早く生成し、結果的に加熱過程における麦芽糖生成量が多くなることから、加熱により非常に甘くなると考えられています。 |
栽培について
また、さつまいもを安定して生産するには、苗を植えてから収穫までの日積算気温(一日ごとの平均気温の合計)が2,400度以上必要といわれています。旭川市でもこの条件は満たしていますが、2,500度から2,600度程度(過去3年間)であり、3,000度を優に超える関東主産地と同じ品種を栽培しても、生育の様子や芋の品質が違ってきます。
市場に出回るまでの一般的な流れ
6月 苗植え
【さつまいもの苗】 近年問題になっているのが、各地でサツマイモ栽培が増えていることにより苗の需要が高まり、種苗会社から必要数の苗を買うことが困難になっていることです。旭川市農業センターでは、その解決策の一つとして、本州主産地で一般化されている苗の自家用の栽培向け増殖技術(自家増殖技術。購入苗から生産者が自分で苗を増殖する技術)を、寒冷な旭川市に導入するための方法について令和5年度から試験を始め、「旭川版の自家増殖マニュアル」の作成を目指しています。 |
10月中旬まで 収穫
【キュアリングとは】 キュアリングとは、さつまいもを長期貯蔵する前に、表面についた傷を治し、菌の侵入を防ぐ処理のことです。 収穫後のさつまいもを高温(30度から35度)、高湿度(90%から99%)の環境に4日程度置くと、切り口や表皮下にコルク層が形成されます。 コルク層が形成されると、菌がさつまいもの内部に侵入できないため、長期貯蔵中の腐敗を防ぐことができます。 参考:農林水産省ホームページ「消費者の部屋-過去の相談事例」(外部リンク) https://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/2301/03.html |
収穫から出荷まで 貯蔵
11月頃から3月頃 出荷
旭川のさつまいもの品種
「べにはるか」は貯蔵性が高く、貯蔵中に糖度が上がり、とてもおいしい焼き芋や干し芋になります。甘味が強く、ねっとりとした食感が特徴です。
「シルクスイート」は比較的新しく登場した品種ですが、絹(シルク)のように滑らかな舌触りとしっとりとした甘さがあり、近年人気が高まっています。
また、旭川市農業センターでは、令和4年に発表された寒冷地向け新品種「ゆきこまち」の生育を調査しており、市内での適応性や品質等について生産者への情報提供を目指しています。「ゆきこまち」は、さらさらとした雪のような口どけで上品な食感があり、北海道のような冷涼な地域でも収量が確保でき、貯蔵性にも優れていると言われています。
生産拡大に向けた市の取り組み
サツマイモのレシピ
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