「旭川市民劇場」~文化芸術のカタチvol.23

情報発信元 文化振興課

最終更新日 2023年1月27日

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旭川の演劇文化の火を灯し続ける。「旭川市民劇場」に伺い、淺井事務局長と専従職員の鈴木さんにお話をお聞きしました。

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旭川市3条通8丁目にある事務局
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淺井事務局長(左)、鈴木さん(右)

内容

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旭川市民劇場の組織構成

-旭川市民劇場とはどのような団体ですか?-
年6回の例会を開催し、各回2ステージの演劇を上演することを主な活動内容とする会員制の団体です。道内にある同様の演劇鑑賞団体と連携しながら企画を立て、全国からハイレベルな劇団を招聘しています。会員であれば、会費以外の費用負担なく、すべての演劇をご覧いただくことができます。現在の会員数は約930名で、そのうち4分の3ぐらいは女性です。
会員には運営サークルというチームに参加いただいています。
例会開催に当たり、演目等の企画は幹事会で決定するのですが、事前準備のほか、当日の舞台設営や参加受付、会場整理等については、各サークルが年1回、いずれかの例会分を担当することで支えていただいています。会員の自主運営型の体制ですので、良い例会を開催していくためには、サークルメンバーのご協力と結束が非常に重要になります。このことから、最近はコロナのため実施できてないのですが、会員同士の交流会、劇団による講演会、ワークショップ、出演者等との交流会といった親睦を深めるイベントも行っています。
これらの活動を通じて、旭川に様々な劇団をお招きし、身近な場所で継続的に演劇を鑑賞できる機会を作っていくことを目指しています。

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      次回例会の割り当て


-どのようなジャンルの演劇を実施しているのですか?-
旭川市民劇場は、どこからも支援を受けることなく、市民有志のつながり、口コミで拡大し、会費のみで運営してきた団体なので、外部の影響を受けることなく、自分たちの好きな作品を上演してきました。これまでに80を越える団体を招聘し、全部で330本程を上演してきており、内容は多岐にわたっているので、上演する演劇の分類や傾向をお伝えするのは難しいです。
ご参考までに、毎年、会員の投票と幹事会の選考により、その年で最も良かった演劇に「旭川市民劇場賞」を贈呈しているのですが、昨年は、青年劇団さんの「きみはいくさに征ったけれど」が選ばれました。この演劇は、いじめに悩み、自殺を考える現代の高校生が、太平洋戦争に出征し、23歳で亡くなった詩人・竹内浩三の亡霊と出会い、彼の前向きな姿勢に影響を受けながら成長していくといったストーリーで、会員からの反響が大きい作品でした。
会員が楽しめる舞台にするということはもちろんなのですが、それだけではなく、作品を通じて、社会課題やそれぞれが抱える悩みなどへの向き合い方を問いかけ、会員同士が意見を活発に交わすきっかけとなるような演劇を実施していきたいと思っています。

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会員に観劇の感想を共有している。

-今後の上演予定を教えてください。-
次回の2月例会の企画は、劇団扉座の『最後の伝令 菊谷栄(きくや さかえ)物語』です。夜の部として本年(令和5年)2月21日(火曜日)18時30分から、昼の部として翌22日(水曜日)13時30分から旭川市公会堂で開催します。上演時間は2時間10分です。お子様連れの方のために、託児所も用意しています。
今回の主人公の菊谷栄は、喜劇王と呼ばれたエノケンの一座付きで、歌や踊りを取り入れた華やかなシーンを描くレビュー作家です。この作品では、彼が日中戦争に出征する直前に起こった様々な出来事を取り上げています。華やかなレビューシーンを織り交ぜながら、出征前の苦悩や戦時体制の重苦しさが描かれていて、笑いあり涙ありのとても感情が揺さぶられる作品です。
2月例会の次は、5月11日(木曜日)、12日(金曜日)に、こまつ座の『きらめく星座』を開催します。井上ひさしの作品で、1992年からの再演です。太平洋戦争直前の激動の時代を生きた浅草のレコード店一家の物語で、ロシアのウクライナ侵攻により緊張が高まる時代に生きる私たちにとって、考えさえられることが多い内容だと思います。
5月例会の後も、2ヶ月毎に例会を開催していくことを計画しています。

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2月例会の案内
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『最後の伝令 菊谷栄物語』
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5月例会の案内
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『きらめく星座』

-旭川市民劇場はいつから活動しているのですか?-
戦後、労働者の慰労のため、地方でも良い演劇を安い会費で鑑賞できるようにすることをスローガンとして、全国各地に演劇鑑賞会が発足し、1960年代後半から北海道でもこのような動きが活発になりました。旭川では、札幌の団体からの働きかけを受けた地元劇団、高校演劇部顧問、青年演劇グループの10数名の主導により、40名ぐらいの会員が集まり、 1971年に旭川勤労者演劇協議会として設立されました。

設立当初、会員がなかなか増えず、財政難による解体の危機に直面した際には、存続を願う若い会員を中心とした熱心な議論が重ねられたようです。その結果、「合理的な会費設定で、色々な傾向の芝居を継続して観ていく」という旭川独自のコンセプトが掲げられ、会費の見直しのほか、職場単位のサークル結成といった積極的な会員の組織化や機関誌『銅鑼』の創刊、宣伝活動の強化などの今日まで至る基盤が築き上げられ、徐々に自立した組織となってきたようです。
その後、組織、財政の安定を背景に、この運動を更に多くの市民のものにするという趣旨で、1974年に「旭川市民劇場」へと改称しています。
一昨年で団体立ち上げから50年が経過したのですが、最盛期は3,600人以上いた会員が現在は1,000人を切っていて、会員の年齢層も60~70代が多く、高齢化が進んでいます。
依然として、旭川には演劇鑑賞の機会が少ないので、団体存続のために入会者数の増加に努めていかなければならないと思っています。

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創立50周年記念誌
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事務所には、これまでの例会の開催実績が並ぶ
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-入会者を増やすための対策はお考えですか?-
会員のつながりを重視しているので、極力、口コミで広がっていくことを期待していますが、思うように効果が出ていないのが現状です。
最近はインターネットで様々な情報を得られますし、コロナの影響もあり、演劇鑑賞のために劇場に集まることへの理解が広がらないところがあると思います。しかし、演劇は一作品につき2時間ぐらいの上演時間を通して、本一冊分ぐらいの情報量を得られるので、インターネットと比較しても、費やす時間に対する効果が高いです。作品の内容を知ることだけではなく、劇場にお越しいただくことで、役者の細かな動きや息づかいですとか、振動、観客も含めた会場の一体感など、特別な臨場感を感じていただけると思います。また、市民劇場特有の魅力として、様々なジャンルの演劇を企画しているので、偏りなく多様な作品に触れることができたり、運営側として舞台裏の動きなどに関われるというのもありますね。
今後は口コミだけではなく、団体として、このような演劇の素晴らしさを一度でも良いので体感いただく機会を作っていくことも考えていかなければならないと思っています。特に、将来的なことを考えると若い方に入会いただくことが必要なので、コロナが落ち着いてきたら非会員の学生を無料招待する例会を開催したり、学校の中で上演するような取組の実施も考えていきたいです


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創立15周年のシンボルマーク

-今後の展望を教えてください。-
入会数の増加を目指すことはもちろんですが、会員一人一人が主体的に団体運営に関わる機会を増やし、組織の活性化ときめ細かな会員のニーズが把握できるような体制づくりに取り組んでいきたいと思っています。
そのために、現在、例会の企画は、会員のアンケートを参考とした幹事会の決定事項ですが、会員の意見をもっと反映できるようサークル毎に運営委員を立て、幹事会と企画の協議をする場をつくっていくことを検討しています。また、コロナの感染状況を踏まえながらになりますが、現在自粛している交流会やワークショップなど会員同士の意見交換、交流の機会を設けて、積極的にコミュニケーションを取っていきたいですね。
旭川市民劇場では、演劇を鑑賞することだけではなく、例会で良い運営ができたときの達成感やサークル活動を通じた仲間との連帯感が得られます。会員に知り合いがいて、誘われて入会する方が多いのですが、特に伝手がなくても、取り合えず事務局のサークルに入って活動を続けていただき、色々なサークルのことを知った上で好きなサークルに転籍していただくという方法もあるので、問題ありません。

会員の皆さんの意見を取り入れながら、これまでの50年を今後の50年につなげていきたいと思います。
我々の活動に興味がある方は、お気軽に事務局までお問い合わせください。

まとめ

●毎年6回、会員向けの演劇を上演しており、上演に当たっての事前準備や当日運営も会員自らが行う会員参加型の団体である。
●設立から50年を越え、会員の口コミにより拡大してきた歴史のある団体だが、コロナや高齢化の影響により、会員数の減少が続いており、存続のための対策が急務となっている。
●上演する演劇のジャンルは様々だが、メッセージ性があり、会員の記憶に残る良質な内容のものを選択するために、他団体との連携により、全国各地から劇団を招聘している。

団体情報

名称   旭川市民劇場
住所

旭川市3条通8丁目 緑橋ビル1号館2階

創作・練習の日時・頻度

例会を年6回開催している。

会員の募集

あり。

会費

以下の会費で、全ての例会に参加できる。(令和5年1月時点の金額)

●入会金

 2,000円

●会費(月額)

 一般:2,500円、大学生:1,000円、中高生:500円

※会費の変更について協議中です。事務局への問い合わせ、又はホームページにてご確認ください。

連絡先

事務局:0166-23-1655

その他

ホームページ:http://www-10.potato.ne.jp/~a-enkan/(新しいウインドウが開きます) (新しいウインドウが開きます)

  • 他の団体・サークルの記事については、以下のページにまとめています。

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