「新ロマン派美術協会」~文化芸術のカタチvol.11

情報発信元 文化振興課

最終更新日 2022年6月10日

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自由なアート作品を世に送り続ける。「新ロマン派美術協会」の富田事務局長にお話をお聞きしました。

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富田事務局長

内容

-新ロマン派とは、どのような作風の美術なのですか。-

名称を「新ロマン派」としていますが、いわゆる耽美的な「新ロマン主義」を指すものではありません。18世紀末頃のヨーロッパにおいて、それまで古代ギリシャやローマの神話などの描写を理想としていた画壇に対し、自由な感性を尊重する芸術様式として興った「ロマン主義」に倣い、ここ道北地域でも新たに自由な芸術活動を行っていこうという理念のもと、名付けられたものと聞いています。

1945年(昭和20年)の敗戦直後、社会情勢が混乱する中から、それまで戦争や治安維持法等により抑圧されていた自由な芸術活動を求めて、当協会が設立されました。

以後、旭川を拠点として、広く一般に開放した公募展の開催を通じ若手作家の育成に尽力するとともに、多くの市民の皆様に美術作品を鑑賞する機会を提供しています。当協会の活動の意義が認められ、平成29年に旭川市文化賞(功労賞)を、令和2年に旭川ななかまど文化賞を受賞しています。

 


-公募展はどのような内容で開催しているのですか?-

絵画、工芸、彫刻の各分野から応募いただいた多数の作品のうち、事前に会員の投票と審査により決定した入賞・入選作品を、例年秋頃に旭川市民文化会館で展示しています。

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審査会の様子
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審査会の様子

例年100点以上の作品が展示されますが、概ね半数は会員・会友の作品で、残り半数は一般の方の応募作品です。展示されるのは絵画が最も多く、100号という大人の身長ほどの高さのある大型のものや、それ以上の特大サイズのものもあります。油彩、水彩、アクリル、版画、日本画などのバラエティに富んだ絵画作品とともに、工芸・彫刻など絵画以外にも様々な作品が並ぶので、毎回とても見応えがあります。

次回は、「第77回ロマン派展」と題して、今年(令和4年)11月24日(木曜日)から12月1日(木曜日)までの期間に、旭川市民文化会館の展示室で開催します。是非一度足をお運びいただき、作品の迫力や多様性を感じていただきたいです。

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協会賞受賞作品『life』(アクリル 100号)
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 市長賞受賞作品『牛の群像』(油彩 100号)
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『時を刻む(ソリ遊び2)』(油彩 100号)
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『かぼちゃ』(塑造 23×28×70)
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『現実の向こう側には』(陶芸 25×36×46)
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『樹恵 (No.5)』(木彫 17×40×85)

-公募展以外にも作品のお披露目の機会はあるのでしょうか。-

毎年6月~7月頃に、会員・会友小品展を開催しています。ここでは、公募展とは異なり、10号前後の比較的小さな作品を展示しています。

次回は今年(令和4年)の6月29日(水曜日)から7月4日(月曜日)に旭川市民ギャラリーで開催予定です。小品ながら会員・会友の素晴らしい作品がたくさん展示されるので、落ち着いた雰囲気で作品の色や質感、立体感などをじっくりと鑑賞いただき、作品に込められた制作者の思いや世界観を堪能いただければと思います。

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旭川市教育長賞受賞作品『もう一つの世界』(アクリル 60号)
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ヌーベル賞受賞作品『揺れる想いagain』(油彩 50号)
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『蔵の刻』(水彩 60号)

-会員・会友には誰でもなれるのですか?-

当会の会員・会友となるに当たって、必ずしも美術関係の経験や経歴が必要となるわけではないですが、公募展での入賞・入選等の実績を踏まえた会員・会友資格の審査があります。このため、一般の方に入会いただくためには、先ず、公募展への作品のご応募が必要となります。

公募展への出品を目指し、地域の教室やサークルで日頃から創作活動を行っている方が多いですが、個人的な趣味で作成されたものも含めて、幅広く応募を受け付けています。

これまでの傾向として、ご応募いただければ入選の可能性は低くはないですし、続けていけば、協会賞や旭川市長賞など毎年10点が選定される入賞作品となるかもしれません。

良いものが出来たと思ったら、自宅に眠らせておくのではなく、一度公募展に応募してみては如何でしょうか。

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新会員 作『サーカスの詩』(油彩 130号)
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 新会員 作『秋のひととき』(水彩 50号)
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新会員 作『洛陽』(陶芸 28×28×40)

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富田会員 作『星の行方』(版画 60×90)

-会員・会友は何名在籍しているのですか?-

現在、95名の方に会員・会友となっていただいておりますが、高齢化の影響で、人数が減少傾向にあります。広く一般の方が芸術に親しみ、創作活動に参加する足がかりとなるよう、公募展や小品展の開催を続け、もっと裾野を広げていく必要性を感じています。

ここ数年、コロナ禍のために自粛を余儀なくされてきましたが、会員・会友の創作活動の継続を応援するために、技術向上の研修会や親睦を深めるイベントも再開していきたいと考えています。

私は、元々、油彩画を制作していましたが、協会の活動の中で色々なジャンルの作り手と交流し、様々な作品に触れるうちに、版画作品に興味が湧いてきました。現在は、おもに一版多色刷りという一枚の板で様々な色を重ね合わせて制作するカラフルな版画を制作しています。

協会の会員・会友には、指導者としても活躍する方もいるので、それぞれが交流を通じて技術や知識を学び合うことで、創作意欲が刺激され、新たな作品づくりのきっかけになったり、視野が広がり、色々なジャンルの芸術に興味が湧いてくるということも珍しいことではないと思います。


-長きにわたる活動の中で、変化してきていることはありますか?-

表現の方法が多様化していると思います。

絵画でいうと、昔は抽象的な表現をする方が多かったのですが、最近は写実的に描く方が多くなっています。工芸でも前回の公募展では、初めて織物が出展されました。

今後も活動を継続していく中で、若い方を中心にこれまでの風潮にとらわれない、自由で多様な表現がなされていくことを楽しみにしています。

人と人との交流が制限される世の中ではありますが、人間が人間らしく生きるために必要不可欠な文化芸術活動の一端を担う団体として、これからも会員・会友とのつながりを大切にしながら、アートを趣味にする方との輪をさらに広げていきたいですね。

公募展への多数のご来場と、作品のご応募をお待ちしております。

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会友賞受賞作品『薄暮』(アクリル 40号)
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 会友賞受賞作品『爽やかな朝』(水彩 40号)
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『夜の光』(染織 170×56)
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上川総合振興局長賞受賞作品『2021鼓動「脈」』(染90×164)

まとめ

  • 終戦直後から現在に至るまで、自由な芸術活動の活性化のため、誰もが参加可能な公募展を開催し、様々なジャンルの芸術作品の評価、発表の場を提供している。
  • 公募展では、大型の絵画作品や高い技術を使用した工芸作品などが100点以上出展され、普段見られないような芸術作品を鑑賞できる貴重な機会となっている。
  • 会員・会友の技術習得や交流を深めるための取組を継続することにより、市内の文化芸術活動の振興に寄与している。

団体情報

名称 新ロマン派美術協会
住所

公募展

作品募集

例年展覧会の数か月前より、ポスター等で作品募集を行っている。

会員の募集   例年秋頃に開催する公募展の入選・入賞歴等の実績を基に入会の審査を行う。
会費 会員:年間15,000円、会友:10,000円
連絡先

080-1897-6797 富田会長

その他
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