「旭笑長屋」~文化芸術のカタチvol.10

情報発信元 文化振興課

最終更新日 2022年6月10日

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旭川に笑いの文化を根付かせよう。「旭笑長屋(きょくしょうながや)」の中川さんにお話をお聞きしました。

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中川さん

内容

-旭笑長屋では、どのようなことをしているのですか?-

旭川に笑いの文化を根付かせようと、市内の落語好き仲間が集まり昭和61年12月に発足しました。

毎年1月2日の「新春寄席」、初夏の「寿芸無寄席」を主催するほか、札幌、函館、室蘭の落語愛好家団体とともに「北海道素人落語協会」(北海道アマチュア落語協会)として、4年に一度の持ち回りで「北海道素人落語迷人会○○大会」を開催しています。「北海道素人落語迷人会」は、次回、第30回記念大会として室蘭で行われる予定です。

また、旭笑長屋では、市内はもとより全道の学校、病院、福祉施設、町内会、百寿大学等に出前寄席のボランティア活動を行っています。

出前寄席では、お寺、神社、教会などにも伺いました。究極の出前寄席は、旭川刑務所の受刑者の前でなどということもありました。お客様の入場が「前へ進め、ピッピッピ着席!」で厳つい顔のお客様、その周りにはもっと厳つい刑務官という感じで、ここの寄席を経験すれば、もうどこでも平気で演じられる度胸がつきましたね。

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高座に設置する座布団と毛氈(もうせん)
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コントやマジックも披露する
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学校への出前寄席

-どのように技術を身につけていくのですか?-

落語の台詞の量は膨大で所作も色々とあるのですが、自分の声で聴くと意外と早く頭に入りますので、「散歩の途中や浴槽につかりながら、ぶつぶつと話す」、「ドライブ中に大きな声で頭に叩き込む」といった各々の好みのスタイルで稽古します。私は、落語の音源を書き込み、それを自分の声で録音して何度も聴いて覚えるということもしています。

演じ方や間の取り方については、好きなプロの噺家の落語をじっくりと聴いて勉強します。長屋の各自の一門の師匠から指導を受けながら身につけていきます。

毎月の寄り合いや落語会後の打ち上げの場面などで店子(会員)同士で楽しく意見交換するのも良い機会になると思います。

あとは、十分に稽古を重ねて自信をつけることに加えて、場数を踏むことが重要ですね。うちの長屋でも、見習いや前座の頃は、まずは大きな声を出せるようになることを目標として短い小噺から入り、次に古典落語や個性のある新作噺に挑戦していき、二つ目、真打と上がっていきます。

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扇子と手ぬぐいを使った動きについて
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落語会後の打ち上げ

-旭笑長屋ではこれまでどのような活動をされてきましたか?-

昭和61年の発足当時は、プロの落語家を呼び、落語会を開催していました。大きな活動内容は、柳家小三治師を中心とするバイク仲間の「転倒蟲(てんとうむし)」の口演「ライダーロード笑」を4年にわたって開催し、落語でも滅多に聴けない大ネタを披露していただきました。また、常呂出身で当時二つ目だった橘家升蔵を真打まで応援しようと「升蔵週間」なるものを立ち上げ、みごと真打・橘家富蔵師匠になるに至りました。

この頃から、自分達も落語の稽古をしようと「笑集団 寿芸無」を立ち上げ、素人による落語会や出前寄席を始めていったという経緯です。

長屋の立ち上げから30年以上が経ちますが、平成14年に旭川ななかまど文化賞(市民文化会館等で発表された優れた芸術・芸能などに送られる賞)団体の部を受賞しました。また、東日本大震災の被災地での落語会開催など、社会貢献活動にも力を注ぎ、平成25年にはソロプチミスト日本財団の「社会ボランティア賞」を受賞しました。

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旭川ななかまど文化賞の授賞式
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-現在、どのような方が所属しているのですか?-

三代目の大家(代表)である私のほか、20代から80代までの幅広い年代の店子が20名おり、大学の落研出身者だけでなく、未経験者も多いです。

職業は国家公務員、歯科医、外科医、寺の住職、市議会議員、漫画家、パチプロと様々で、まさに長屋です。

店子の職種が様々なので、ときには海外転勤もあり、大手食品メーカー勤務者のペルー勤務が決まった際には、直ちに「旭笑長屋南米支部の支部長」としたところ、彼の呼びかけでペルー口演が開催されることとなりました。その後、その店子には容赦のない辞令が出て、ブラジルを経て、アフリカのナイジェリアと移っていったので、「旭笑長屋アフリカ支部長」として任命しています。

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アフリカ支部

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被災地支援に関する表彰

-落語の魅力を教えてください。-

一番は、自分の話で人を笑わせることができることですね。「楽しかった。また来てくださいね。」と言われたときの嬉しさはひとしおです。

東日本大震災が発生した2011年の7月には被災地を巡り、避難所の小学校や仮設住宅で落語会を行った際には、段ボールの手作りの高座を使用するような状況でしたが、終了後、おばあちゃんが「久しぶりに笑った。ありがとう」と言って着物をたたんでくれたときは、本当に落語をやってきて良かったと思いました。

このように人を笑顔にするということもそうですが、落語を通じて話す技術を磨くことは、仕事や生活全般で役立つものであり、自分自身の人生も豊かにすることができると思います。


-今後の旭笑長屋の活動予定を教えてください。-

コロナで落語会の開催、口演依頼のキャンセルが続いており難しい状況ではありますが、1月の新春寄席、初夏の寿芸無寄席等を今後も継続していくほか、依頼があればどこへでも出かけていく出前寄席で沢山の人に笑いを届けたいです。

落語会に参加したことのない方も会場にお越しいただければ魅力をお伝えできると思いますので、ぜひ一度見に来ていただきたいですね。

次回、令和4年7月16日(土曜日)の13時から、旭川公会堂にて第29回寿芸無寄席を開催します。開場は1時間前の12時で、木戸銭(入場料)は500円です。

ご来場をお待ちしております。


まとめ

  • 毎年1月2日と初夏に旭川市内で落語会を開催している。
  • 上手に演じられるようになるためには、台詞を覚えることや師匠の指導を受けることのほか、高座に上がる経験を沢山積んでいくことが必要となる。
  • 小中学校や百寿大学などにおける教育や被災地支援、受刑者の慰問など、社会貢献にもつながっている。

団体情報

名称 旭笑長屋
住所 旭川市旭町2条2丁目9-135 中川さん宅

創作・練習の日時・頻度

会員の募集 あり
会費 入会金10,000円、年額6,000円
連絡先

0166-51-7421 中川さん

その他

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