ASAHIKAWA 100 PRIDE~逸品編Vol.6

情報発信元 広報広聴課

最終更新日 2023年10月5日

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横浜ゴム株式会社 北海道タイヤテストセンター

 車好きの方以外には広く知られていないかもしれませんが、北海道には自動車のテストコースが数多くあります。その理由の1つは土地の広さでしょうが、欠かせない条件が他にもあります。厳しい寒さと雪の多さです。車両の耐寒・耐雪テストはもちろん、雪国の暮らしと産業を支える冬タイヤのテストをするにあたって、北海道はうってつけの場所と言えるのです。
 旭川空港が近く本州から出張しやすい旭川市には、日本を代表するタイヤメーカー、横浜ゴム株式会社の「北海道タイヤテストセンター」があります。世界中で販売されている同社の冬タイヤは、同センターで厳しく鍛えられ、初めて製品として羽ばたくことができます。

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  ここで初めて開発・商品化されたスタッドレスタイヤは、旭川市の公用車にも装着されています。同社が最高傑作と呼んだ「iceGUARD (アイスガード)6」。商品の広告には「冬の怪物、旭川から世界へ。」というコピーが躍り、性能の高さを「怪物」と表現しました。スタッドレスタイヤが必需品である市民にとっては、なんとも誇らしい響きです。後継の「iceGUARD7」も旭川育ちです。

iceGUARD 7
旭川の冬で鍛えられたiceGUARD 7
 

   平成27年開設のテストセンターは、旭川空港から10km、市街地から15kmほどの旭川競馬場跡地にあります。敷地面積は約90万平方m。東京ドームに換算すると約19個分にもなります。もともとは旭川市の隣接の鷹栖町にテストコースがありましたが、試験で評価すべき項目が多くなり、また高度化も求められていたため手狭になり、移転しました。旭川空港や中心街から近くなり、試験のために出張する社員にとっては便利になりました。
 テストセンターには例年12月から2月の厳冬に、本州から多くの技術者らが集まります。圧雪や氷といったあらゆる路面状況が再現され、命を守る高性能な冬タイヤを生み出すべく、妥協なき開発試験がなされています。
 屋外では直線や坂、円形の試験路が設けられ、ブレーキ、グリップ、コーナリング性能を評価。時速100kmほどから強いブレーキをかける。どの程度の斜度なら滑ってしまうかを確かめる。旋回を繰り返し、滑り始める「限界」を把握する。さまざまな条件の下で、ありとあらゆるデータを収集します。

全景
平成27年に開設した北海道タイヤテストセンター 
 

   屋内施設もあり、国内最大級の氷盤試験場となっています。直線と円形の2コースがあります。冷媒装置で氷の温度を調整でき、最も滑りやすいとされる、表面が少し溶けた路面も気象状況に左右されず、安定的に作り出せます。これにより、試験の精度と効率性は大きく向上したそうです。

屋内氷
令和5年1月5日から稼働開始した屋内氷盤旋回試験場
 


       

   冬タイヤは雪や氷の路面で安全に止まる、曲がるといった基本性能はもちろん、静粛性や乗り心地、環境負荷、ウェット(雨)路面への適応力など、近年は多くの要素が要求されるようになりました。国内のタイヤメーカー各社はしのぎを削り、スタッドレスタイヤの進化は目を見張ります。
 一方で、グローバル展開を考えると日本市場とは違った商品が必要です。アイスバーンが多く出現する日本では氷に強いスタッドレスタイヤが普及していますが、ヨーロッパでは高速道路を巡航しやすいバランス型の「ウインタータイヤ」が一般的で、北欧やロシアでは「スパイクタイヤ」も使われているといいます。横浜ゴムの事業戦略上、これら冬タイヤは重要な柱。地域のニーズに合わせて多くの種類を開発しています。最終的な試験や調整は海外の現地でも行いますが、まずは旭川のテストセンターで基礎的な試験を実施するため、まさにここは登竜門。「旭川から世界へ」と体現しています。
 旭川市民にとって悩みや苦労の種にもなる、厳しい寒さや雪の多さ。しかしそれは、日本が誇るものづくりと、世界中の安心に貢献しています。
 北海道タイヤテストセンター管理長の穴澤法次(あなざわ・のりつぐ)さんは「安全や安心を最後に確かめるのが、テストセンターの役目です。性能の向上に終わりはありません。今後も『常により良いものを作る』という思いで開発を進めます」と力を込めます。

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北海道タイヤテストセンター管理長 穴澤法次さん 

取材にご協力いただいた穴澤さんからのメッセージ

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穴澤さん、ありがとうございました!

結び

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