あさひばし 平成30年7月号「特集 収集したごみはどう処理するの? 次期最終処分場の建設に向けて」
廃棄物処分場の埋立て期限
日々の暮らしの中で排出される「ごみ」。市内で2017年度に排出されたごみ(一般廃棄物)は、約10万6千243t。そのうち、家庭ごみは約6万9千877tです。資源として再生するごみを除き、燃やせるごみを処理した後の焼却灰や燃やせないごみ、粗大ごみなど、最終的に残ったごみは、廃棄物処分場で埋立てしています。
現処分場は、ごみの減量化や資源化により埋立て処分量が減少したため、地域の理解を得て、埋立て期間を延長しましたが、2030年3月に埋立て期限を迎えます。そのため、計画的に次期処分場の整備を進める必要があります。
検討委員会で審議
次期処分場の建設について、専門家や公募の市民などで構成する検討委員会を設置。環境に優しい、効率的なごみ処理の仕組みづくりと、次期処分場の在り方やその建設候補地について審議し、「旭川市最終処分場整備基本構想」と「旭川市最終処分場建設候補地比較評価方法」を策定しました。今年度をめどに候補地を選び、2030年4月から新処分場の稼働を予定しています。
将来のごみ処理システムは?
新しい仕組みの導入を検討
現在は、資源化できない燃やせないごみや粗大ごみは、そのまま埋め立てており、このままだと、将来も大きな処分場が必要となります。
そのため基本構想では、燃やせないごみや粗大ごみ等の破砕・選別、プラスチック系ごみの焼却、生ごみなどをガス化するメタン発酵施設の設置など、新しい仕組みの導入を検討しています。
これらを踏まえて、処分場の埋立て処分量を減らしていくとともに、廃棄物からエネルギーを回収する取組みを進め、地球温暖化に配慮した経済的なごみ処理システムによって、小規模でクリーンな処分場を目指します。
新処分場はどのような施設に?
屋根付きの処分場
次期処分場は、環境に優しい施設となることを目指し、埋立地に屋根を付けた覆蓋型を基本としています。
屋根が付いていると建設費は割高になりますが、降雨の浸入がないことから、浸出水(ごみの中を通った水)の処理経費を抑えることができます。加えて、カラスの飛来やごみの飛散が抑えられ、環境への負荷がより軽減されます。
処分場以外の利用方法
また、地域に開かれた施設を目指し、小・中学校をはじめ、あらゆる世代を対象に、施設や研修を受け入れ、環境学習の機会を提供するなど様々な利用法が考えられます。さらに覆蓋型の利点として、埋立て終了後に、屋内施設としての利用が想定されます。
検討委員になって(最終処分場整備検討委員の和田亨(わだとおる)さん)
美しい自然の中に、私たちのごみが埋められている
委員に応募したきっかけは、江丹別の処分場に、個人的な粗大ごみを初めて持ち込んだことです。処分場はそれまで思っていたのとは違い、緑に包まれた自然環境の中にありました。この自然の中に、私たち市民のごみが運ばれて埋められているということに何か複雑な思いを抱き、委員に応募しました。
迷惑施設からの脱却
委員会では科学的な言葉が飛び交い、当初は理解するのに苦労しましたが、池田町の覆蓋型処分場を見学したとき、カラスがおらず臭いも感じなかったので、これなら設置場所の選択肢が広がると感じました。また、できる限り環境に負荷を与えないプラスチック系ごみの焼却技術が進歩していることも知りました。最新の処理システム導入と同時に、私たち市民もごみ削減に取り組むことで、排出量が大きく変化すると思います。
建設場所はどのように選ぶの?
建設地の選定方法
最終処分場は、市民生活にとって必要不可欠な施設です。建設地に対する市民の関心も高く、選定については客観性・透明性が求められます。そこで、最終処分場整備検討委員会では、客観的に建設候補地を選定するために、評価項目や配点・評価の過程を明らかにした「最終処分場建設候補地比較評価方法」を策定。どのような条件や方法で建設候補地を選ぶのかをまとめました。
候補地から除外する地域
関係法令の規制により、最終処分場の建設を避けるべきとされている次のような地域は、候補地から除外します。
- 土地利用計画
- 防災
- 環境保全
- 文化財保護等に係る地域
様々な視点からの評価
検討委員会で策定した基本構想における基本方針「環境負荷の低減」「地域社会との融和」「経済性」を踏まえて、評価項目と配点を設定しました。
住居系用途や水源への影響などに配慮した上で、市内全域から、最終処分場を建設する地域を絞り、下にあるように、温室効果ガスや生活環境などの7項目によって評価を行います。
今年度をめどに候補地を選定
評価結果により、今年度をめどに建設候補地を選定しますが、単に合計得点の順位ではなく、項目ごとの得点を比較検討して選定を進めます。
候補地選定の評価項目
- 温室効果ガス(温室効果ガスの発生量)
- 生活環境(住宅や公共施設との距離、住宅数など)
- 自然環境(環境・動植物への影響、河川類系、農業水源等への影響)
- 建設維持管理(建設維持管理費)
- 法令規制(法令による規制ほか)
- 環境教育・跡地利用(アクセス性、跡地利用の可能性)
- 用地(用地取得の容易性)
整備スケジュール
2016年
施設整備基本構想を策定
2017年
候補地比較評価方法を策定
2019〜2022年
地域協議を進める
2023〜2025年
基本計画を策定・環境影
響評価・基本設計・用地
取得・測量・地質調査
2026年
実施設計を予定
2027〜2029年
建設工事を予定
2030年
施設供用を予定
一人一人の取組みが大きな減量につながります
積み重ねが大きな力に
市では、これまでも循環型社会の形成を目指し、ごみの減量・資源化に向けた取組みを進めてきました。さらに、次期処分場の建設に当たっては、最終埋立量を大きく削減することを目的に、新たなごみの分別方法の導入などを目指しています。
それとともに重要なのが、市民のごみ減量に対する意識の向上と実践です。一人一人の小さな積み重ねが、ごみ減量に大きな影響を与えます。
できることから、ごみ減量に取り組んでみませんか。
簡単にできるごみ減量
コーヒーがらは脱臭剤に
コーヒーがらを冷蔵庫や灰皿に入れておくと脱臭効果あり
生ごみは水を切ってから
生ごみの80%は水分。水分が減ると、焼却費用やCO2の削減に
繰り返し使える容器に
ごみになるラップより、何回も洗って使える容器の使用を
分別してリサイクル
空き缶・瓶、ペットボトル、プラスチック製容器包装は分別を
ばら売り・量り売りの利用を
必要な量だけ買えて無駄がなく、容器のごみも減らせます
料理は食べられる分だけに
無理なく食べられる分を作って、食べ残しを出さないように
ごみの減量 私も実践しています
啓明町内会 ごみ適正排出協力員 髙森末春(たかもりすえはる)さん
町内会のみんなで協力し、安全・衛生・利便性を考えて、ごみステーションを改修した結果、町内会の違反ごみが激減しました。適切な分別によって、ごみは資源になります。清潔で住みよい町内会のモデルになるように取り組みたいです。
神楽岡4区北町内会 神楽岡地区市民委員会総務部長理事 佐藤郁弘(さとういくひろ)さん
最初は数人で始めた瓶や缶の仕分けやリングプル収集ですが、徐々に参加者の輪が広がっていき、環境への貢献だけでなく、地域のつながりにもなっています。学生服や自転車など、まだ使える不用品を持ち寄って、地区センターでのリサイクル運動も行っています。
全てのごみを資源化できない限り、将来にわたって、処分場が必要になります。次期処分場は、環境負荷の低減や経済性を十分考慮し、地域社会と融和した施設となるよう整備を進めます。豊かな自然を次代に引き継げるよう、環境に対する意識を高め、安心・安全なまちづくりを進めます。
【詳細】廃棄物処理課廃棄物処分場 電話0166-59-4646