あさひばし 平成30年2月号「特集 主役は市民一人一人 育てよう。まちなかの元気」
中心市街地ににぎわいをつくり出すことは、まち全体の元気につながります。
昨年12月に策定した基本計画と、目指す将来像に向けた取組みを紹介します。
「まちなか」の現状は?
旭川市の中心市街地には、多くの人が居住し、行政や商業、芸術・文化、医療、福祉、交通機関などの都市機能が集まっており、まちの発展を支える重要な役割を担ってきました。
しかし、住宅地や大型商業施設の郊外への進出や、ライフスタイル・消費行動の多様化などにより、中心市街地の事業所数が、徐々に減少して空き店舗が目立つようになるなど、近年は、中心市街地のにぎわいが失われてきています。
平和通買物公園の歩行者通行量は、昭和54年には1日当たり36万185人でしたが、平成29年は10万2千585人と、3分の1以下に減少しています。
これまでの取組み
市では、平成12年度から17年間にわたり、中心市街地活性化基本計画に基づき、都市基盤の整備やにぎわいづくりなど、中心市街地の活性化に向けた様々な取組みを進めてきました。
その結果、中心部の商店街は歩行者に優しく、イベントも開催しやすい空間に生まれ変わり、北彩都あさひかわ地区や常磐公園周辺などには市民の憩いの空間がつくり出されました。また、旭川駅周辺と神楽地区を結ぶクリスタル橋と氷点橋の開通により、交通アクセスが向上するなど、生活に必要な機能が整備され、これに伴い、中心市街地の居住人口も増加しています。さらに「北の恵み 食べマルシェ」には、毎年、市内外から多くの人が訪れ、一大イベントとして定着するなど、新たなにぎわいも生まれています。
しかし、平成28年度に市が行った中心市街地についての調査によると、月1回以上中心市街地を訪れる人の割合が、同22年度は回答者の約9割だったのに対し、同28年度には約6割にまで減少しています。また、中心市街地に対する満足度では、約3分の1弱の人が不満を持っているという結果になっており、中心市街地が活性化しているという実感にはつながっていない状況です。
さらなる活性化に向けて
中心市街地は、重要な都市機能が集積されたエリアであり、市民にとって、まちへの愛着や誇りを感じる大切な空間です。こうした空間を引き続き維持し、さらなる活性化を図っていくため、市では昨年12月に、新たな中心市街地活性化基本計画を策定しました。
来たい住みたいまちなかへ
計画はおおむね10年間を予定。「まちなかに来る」「まちなかの滞在時間を延ばす」「まちなかに住む」を目標に、対象区域内にある「旭川駅前」「平和通北」「大成」の3つのエリアが、それぞれの個性を生かしながら、これまで整備してきた基盤や、自然環境・人材等の資源を有効活用して新たな魅力を創出します。こうして生まれたにぎわいを、中心市街地全体、さらにはまち全体の活性化につなげていきます。
このため、市では、昨年5月に市民で構成された「中心市街地活性化協議会企画推進分科会」を設置。同会のメンバーを中心に、訪れる全ての人に魅力的な中心市街地となるように、各エリアの活性化に向けた取組みを進めます。
各エリアの魅力や同会のメンバーが取り組む活動、これからの目標などについて紹介します。
平和通北エリア 旭川の文化と食を感じて
4条以北・7条緑道・ロータリー周辺
計画目標
高齢者が憩い、若者がチャレンジでき、安心して子供を連れて来ることができる、「旭川の文化と食」を感じるエリアに
主な取組み
まちなかぶんか小屋(7の7)
ライブや演劇、映画上映、展示などに使えるイベントスペース。毎月様々なイベントを開催
イドバタ
5月から9月までの月1回、ロータリー周辺の空き店舗を利用して、地域交流を深めるイベントとして開催
水曜野菜市
旭川フードテラス(5の7)1階で、毎週水曜日11時30分から12時30分に地場農産品を販売
市民がつくる緑道
緑道の一部を市民団体「緑道ワークス」が管理し、景観づくりに取り組んでいる。誰でも参加可。申込は齊藤さん(電話 090-1307-0781)へ
高校生も参加
旭川農業高校教諭の大沼憲彦(おおぬま のりひこ)さんの話
「緑道の土壌や日照条件などを分析して、生徒と一緒にボランティアでオオウバユリを植えました。根付いたのは数株でしたが、生徒はとてもやりがいを感じています。」
平和通北エリア活性化に取り組む人たちの声
エリアの魅力
14年前に旭川に移住し、ロータリー近くで美容室「ULU(ウル)」を経営する樋口一枝(ひぐち かずえ)さんは、地域住民との交流を通して、地域の歴史を掘り起こしています。「旭橋や常磐公園など、歴史が詰まっているエリア。資料にはない歴史が、どんどん出てきます。一緒に旭川の歴史を語りましょう!」と樋口さんは話します。学生時代からこのエリアが好きで、ギャラリープルプルを運営する「かわうそ倶楽部」で働く齊藤琴乃(さいとう あやの)さんは、緑道の魅力を「緑があふれているし、子供からお年寄りまであらゆる世代が集い、映画や演劇などの文化を楽しめる環境があること。散策してお気に入りの場所を見つけませんか?」と笑顔で話します。
これまでの活動
樋口さんは地域住民と一緒に「イドバタ」を開催し、歴史を通してエリアの魅力を発信。調べた歴史をまとめた小冊子「常盤物語」の配布や、昨年は常磐公園の開園100年を記念した手拭いの販売を行いました。齊藤さんは、学生や地域住民と一緒に緑道での植栽活動や、パラソル等を置いた憩いの場「緑道カフェ」の管理、子供たちが楽しめる「緑道文化まつり」の企画・運営などを行っています。
将来に向けて
「市民は、長い歴史を持ち、今も変わらずここにある旭橋や常磐公園を守り、未来に残していくことが大事だと思います。その魅力を再発見してもらえるように発信していきたい」と樋口さん。
齊藤さんは「進学などで旭川を離れても、また帰ってきたいと思える場所でありたい。人と人、人とまちのつながりを深めていきたい」と思いを込めて話します。
大成エリア 多世代が楽しく集う
銀座仲見世(なかみせ)通り周辺
計画目標
高齢者には懐かしく、若者には新鮮な、多世代が集い、つながり、笑顔になれる、旭川の中心市街地の古さと新しさが同居するエリアに
主な取組み
高齢者の集いや寄り合いの場
福祉団体などが母体となって、高齢者の集いや交流の場が多く設けられている
銀座七夕まつり
銀座商店街では、子供から高齢者まで幅広い世代が楽しめる盆踊りや銀座食べマルシェなど様々なイベントを開催
温もりに魅力を感じて
Clover Ginza Base(クローバー ギンザ ベース)の江口美和(えぐち みわ)さんの話
「ブライダルショップとカフェをオープンして3年になります。結婚は人と人をつなぐことであり、温もりのあるこの場所がぴったりだと思っています。」
みんなの銀座now!(ナウ)写真展
第一市場のシャッターが閉まった店に、市民が持ち寄った、昔の旭川の様々な写真を展示。3月末まで開催予定
大成エリア活性化に取り組む人たちの声
エリアの魅力
「気取らず飾らず、下町情緒あふれる独特の雰囲気が魅力です」と話すのは、このエリアで85年の歴史を持つ「三番舘」を経営する大蔵謙造(おおくら けんぞう)さん。また、障害者の生活支援を行う「ゆいゆい」を運営し、このエリアをこよなく愛し、様々なイベントを開催している野々村雅人(ののむら まさと)さんは「地域やお店の人たちの温かさが魅力です。イベントでは、障害がある人たちも、とても楽しんでいました。高齢者も若者も、障害があっても なくても、みんなが楽しめるエリアにしたいです。」と話します。
これまでの活動
大蔵さんは「店では、世間話も含めて、親身にコミュニケーションを取ることを大事にしていますが、このエリア全体がそうあるように努めています。健康・長寿をキーワードにエリアづくりに取り組んでいきたいです」と話します。野々村さんは、障害者の浴衣ショーや、高校生と障害者が一緒になって書道などを披露するパフォーマンスイベントの他、現在は「みんなの銀座now!写真展」を開催。「高齢者は懐かしいと感激し、若い世代はレトロな雰囲気に新鮮さを感じるようです。イベントが、銀座仲見世通りに足を運ぶきっかけになればうれしいです」と、やりがいを話します。
将来に向けて
「商店街や街並みなど、今まで大事に育んできたものを守りながら、幅広い層の人が集うエリアにしたい」と大蔵さん。野々村さんは「最近は若い世代がカフェやゲストハウスなどの店を開く動きもあります。高齢者と若い世代がつながれるよう、橋渡しができる場にしていきたい」と熱を込めます。
旭川駅前エリア 訪れる人に期待感を
旭川の玄関口
計画目標
行政機能や交通機能、商業機能などが集中している旭川の顔。市民も観光客も、訪れる全ての人が期待感を持ってわくわくできるエリアに
主な取組み
旭川駅前広場
年間を通じ、食やダンスのイベントなど様々な催しが行われている
駅前オープンカフェ
旭川駅北・駅南広場に設置する憩いの場。自由に休むことができる
まちゼミ
商店街の店の人から、生活に役立つ専門知識を学ぶ講座。3月末まで開催。詳細は同実行委員会(電話 0166-22-0005)へ
対面販売の魅力を
西田薬局の藤田弥生(ふじた やよい)さんの話
まちゼミでお通じの悩みについて話し、体質や生活習慣の改善方法を説明しました。「大型店では話しにくいことも相談できて良かった」との声をいただき、うれしかったです。
旭川駅前エリア活性化に取り組む人たちの声
エリアの魅力
「大型店がある一方で、商店街には、様々な職人技を持つ専門店が多いことが魅力です」と、子供の頃からこのエリアで育った日専連旭川営業部副部長で、中央地区市民委員会の佐々木裕一郎(ささき ゆういちろう)さん、緑橋ビルで、化粧品とエステサロンの店「ビューティーコバヤシ」を経営する三輪由里子(みわ ゆりこ)さんの2人は声をそろえます。
これまでの活動
緑橋ビルでは、空き店舗を利用してフリースペースをつくり、安い金額で貸し出しています。手作り品の販売や、ユニークな靴磨きなど、様々なイベントが開催されています。三輪さんは「イベントを通して、商店街に関心を持ってもらえればうれしい」と話します。また、三輪さんも佐々木さんも、専門技術や知識を生かして、まちゼミの講師をしています。三輪さんは参加者にエステの体験や美容についての話を、佐々木さんはクレジットカードの仕組みや正しい使い方などを話しています。2人は、「少人数制なので、人との触れ合いが人気です。お店を知ってもらう機会になるし、リピーターが生まれるなど、効果が出ています」と手応えを話します。
将来に向けて
「買い物だけでなく、憩える場をつくったり、商店街にはどんな専門店があり、どんな職人がいるのかを情報発信したりしていきたい。まちゼミで一緒に学びましょう」と話す三輪さん。佐々木さんは「まちなかの利便性を生かして、居住する人を増やしていきたい。また、あそこに行くと何か楽しさがあると思ってもらえるエリアにしたいです」と意欲的に話します。
お得に、便利に中心市街地へ
ラクラクチケット
加盟各店で一定金額の買い物をすると、加盟駐車場の料金の割引を受けられます
バスキタ!
旭川電気軌道・道北バスの市内の運行状況を、バスキタ!のページ(新しいウインドウが開きます)から閲覧できます
まちを知り、良さを伝えていくこと
にぎわいがもたらすもの
中心市街地を活性化させるために、各エリアでは、それぞれが持つ特徴や基盤を生かした様々な取組みが行われています。さらに、にぎわいをつくり出すためには、どうしたらよいのでしょうか。
福吉カフェを経営し旭川の魅力発信に取り組んでいる、企画推進分科会座長の海老子川雄介(えびしがわ ゆうすけ)さんは、「まちなかのにぎわいは、そこに住む人の自信や誇りにつながります。だから、市民が主体的に関わって、にぎわいをつくり出すことが大事だと思います」と話します。大学卒業後に旭川に移り住んだ海老子川さんは、「日本で最初に、恒久的な歩行者天国である平和通買物公園を実現した旭川のエネルギーはすごい」と力説します。昭和47年のオープン当時は日本中から注目された平和通買物公園も、当時と比べて通行量が大きく減少。海老子川さんが所属する旭川青年会議所では、そうした現状に危機感を持ち、昨年、中心市街地についてのアンケートを実施。それによると、高校生など10代の若者は中心市街地に関心を持っており、もっとにぎわいをつくり出したいと、熱い思いを抱いていることが分かりました。一方で、30代以上の人は、あまり関心を持っていないという現状も見えてきました。
まちの魅力をつくるのは、市民
海老子川さんは「市民ができることは、自分のまちに関心を持ってよく知ることだと思います。当たり前でつまらないと思っていたことの中に、感動的なドラマを発見することがあります。それを身近な人に伝えていく。それがやがてまちの元気につながっていくのではないでしょうか。まちの印象や魅力をつくるのは、結局はそこに住む人です。未来を変えようと思ったら、今が大事です。まちの歴史や魅力を知って、今、行動することで、まちをさらに活気づけていけると思います」と、熱を込めて話します。
フェイスブックで、取組みを発信
企画推進分科会では、各エリアのイベント情報などを、随時フェイスブックで発信していきます。
旭川市中心市街地活性化協議会企画推進分科会のページ(新しいウインドウが開きます)
観光客にまちなかの魅力を伝える
星野リゾート 旭川グランドホテル(6の9)と、旭川大学吉田勝弘ゼミが共同で作り、宿泊客限定で配布している小冊子「500歩マップ」。同ホテルから500歩程度で行ける、飲食店など約60店舗を紹介。吉田ゼミの学生が取材を行い、観光客にまちの魅力を伝えています。
中心市街地は、市民生活に必要な都市機能が集まっているエリアであり、訪れる人に旭川を印象づけるまちの顔でもあります。中心市街地を盛り上げるために、これからも、市と市民が連携して、様々な取組みを行っていきます。
皆さんも、何か楽しいことを見つけに、まちなかへ出掛けてみませんか。
【詳細】地域振興課 電話 0166-25-5316
マイタウンあさひかわ
市の広報番組「マイタウンあさひかわ」でも中心市街地の魅力を紹介します
放映 HBC 2月25日(日曜日) 午前6時30分から45分まで
※番組は放送終了後、マイタウン旭川のページでご覧になれます。