あさひばし 平成30年1月号「特集 優れた技術を旭川から発信」

情報発信元 広報広聴課

最終更新日 2018年1月15日

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国内外から評価されている旭川のものづくり。それを支える確かな技術力にも注目が集まっています。

技術開発や販路拡大に取り組む企業と、市の支援体制を紹介します。

旭川の技術をまちの力に

「旭川のものづくり」というと皆さんは何を思い浮かべますか? 家具や木工クラフト、加工食品などは普段の生活の中で目にする機会が多いですが、旭川にはそれ以外にも、高い技術で製造され、国内外で活躍する工業製品があります。

また、海外で技術そのものを生かしている企業があります。

市では、これらの企業を広くPRし、販路拡大や新規市場開拓につなげるため、「旭川元気ものづくり大賞」で表彰しています。また、新たな技術開発や製品開発に挑戦する企業に対して、技術指導や助成金の交付など、様々な側面から支援しています。

今回は市内の企業の取組みと、市の支援体制を紹介します。

立体的な加工を簡単な操作で~旭川機械工業

3D(スリーディー)ターニングマシン

コンピューター制御により、簡単な操作で複雑な立体加工を可能にした木工旋盤機械。平成23年度「旭川元気ものづくり大賞」準大賞、同29年度「日本木工機械展」技術優秀賞など受賞多数

障害がある人も使える機械に

3Dターニングマシンは、チップソー(丸のこ刃)・ルーター(切断等の工具)の高速回転や、木材を押さえる主軸の回転等をコンピューターで制御することによって、複雑な造形を、誰でも簡単な操作で作れることが特徴です。高い性能を持ちながら、従来の工業機械の重々しさがないコンパクトさが特徴です。3Dプリンターは普及していますが、木材の立体加工ができる製品はまだ多くありません。

製造した「旭川機械工業」は、昭和22年の創業以来、主に受注生産で食品加工・農業機械を開発し、高い技術力を発揮してきましたが、同社の関山真教(せきやま まさのり)さんは「受注生産だけでなく、当社のアイデアと技術で作った製品を、市場に積極的に売り込んでいく時代だと考えました」と、3Dターニングマシン開発のきっかけを話します。

関山さんが考えたのは、旭川の木工技術の継承に役立つ機械であること、障害がある人も扱える機械であることでした。林産試験場で木について学び、工業技術センターで3DCAD(キャド)の使い方などの指導を得て、第1号機が完成したのは平成21年。その後改良を重ね、現在は旭川家具のメーカーや九州の玩具メーカー、障害者就労施設など全国各地で使われています。関山さんは「当社は旭川で創業し、旭川の皆さんにお世話になってきたので、恩返しがしたいです。旭川から全国へ出荷できることに誇りを持っています。さらに多くの方に製品を知ってほしい」と、全国を飛び回っています。

工業技術センターに気軽にご相談ください

機械金属や関連工業の技術指導、研究開発、情報提供を行っています

事業内容

試験・検査・測定

工業材料の強度試験、非破壊検査、工業計測等

技術指導、新技術の導入促進

技術相談や指導、センターにある機器の開放、先端技術の普及促進

技術情報の提供

工業技術に関する専門書の閲覧

技術開発、共同研究

先端技術による研究開発、異業種交流の促進、企業との共同研究

人材育成支援

工業技術に関する講習会や研修会、高校生を対象とした工場見学・インターンシップなどを開催

【詳細】工業技術センター(工業団地3の2 電話0166-36-3111)

安全で効率的な除雪のために~オノデラ

スノーバケットOSB

従来の鉄製フレームに開口部を設け、さらに透明な素材を用いることで、運転席からの可視化を実現した除雪・農作業用のバケット。平成26年度「旭川元気ものづくり大賞」大賞受賞

寒冷で雪が多い旭川だからこそ

1年の半分は雪に覆われる旭川で、日々の除雪は大きな課題です。こうした環境の中で生まれた製品が「スノーバケットOSB」。除雪機やトラクターなどに取り付ける「バケット」といわれる鉄製の籠に新たな発想を加えた製品です。特徴は、バケット内部の表面にプラスチックの一種である透明なポリカーボネートを使うことで、運転席からもバケットの内部が見えると同時に、軽量化を実現したことです。

製造した「オノデラ」は、建設機器の付属装置の開発・製作・修理を行っており、創業以来、地域に根差した、暮らしに役立つものづくりに取り組んできました。

同社の小野寺直道(おのでら なおみち)さんは「自分で除雪をするたびに、もっと効率よく作業できる装置はないかと考え、また、除雪作業中に子供を巻き込むなどの事故が報道されるたびに、バケットの中が見えれば事故を防げるのに、と思っていました」と、製品開発のきっかけを話します。中が見える素材の選定やポリカーボネートと鉄の接合の強度の確認等は、旭川産業創造プラザがコーディネーターとなって関係機関と連携し、一つ一つ課題を乗り越えました。

小野寺さんは「寒くて雪の多い旭川だからこそ、厳しい環境に耐えられる製品を生み出す高い技術が培われてきました。そのことを全国にアピールし、メイドイン旭川の実力をもっと広めたいです」と、力を込めて話します。

旭川産業創造プラザに気軽にご相談ください

新製品・新技術の開発や新分野への進出などについて支援します

事業内容

相談・コーディネート

製品開発や販路拡大等様々な企業の課題に対し、情報提供やアドバイスなど、関係機関と連携して支援を行う

ものづくり応援ネットワーク

金融機関、産業支援機関、行政機関などと連携し、産業活性化を図る ためのネットワークを構築

創業支援

創業相談に応じると共に、シェアオフィスを賃貸で提供

産学官の連携の推進、新産業創出支援

新たな製品や技術を生み出すために、企業や機関などの連携によりノウハウを提供

ものづくり支援

助成金交付、専門家の派遣指導等販路拡大支援

販路拡大支援

展示会や商談会への出展支援やアドバイス等

人材育成支援

最新技術を学ぶセミナー等を開催

【詳細】旭川産業創造プラザ(緑が丘東1の3 電話0166-68-2820)

旭川の技術をベトナムへ

活力ある地域づくりに貢献したい

市内の中小企業などがメンバーになり、昨年9月に「北海道ベトナム交流協会旭川」を設立。同年11月にはベトナムを訪問し、事業展開に向けて一歩を踏み出しました。

旭川の企業が一丸となって

現在、優れた技術を持つ市内の中小企業が力を合わせて取り組んでいるのが、ベトナムでの事業展開です。中小企業の事業展開を後押しするために、昨年5月には、旭川市、旭川商工会議所、ベトナムのクアンニン省が農業・産業分野における技術協力に関する覚書を交わしました。

また、昨年設立された「北海道ベトナム交流協会旭川」には、農業や土木など、様々な分野から72の企業や個人が加盟。11月には会員など20人がベトナムを訪問し、企業進出や販路拡大などについて、クアンニン省と、旭川市・大学・企業が連携して取り組むことを確認しました。

日本の農業技術に高い関心

北海道ベトナム交流協会会長で農業・環境関連会社「グリーンテックス」の佐藤一彦(さとう かずひこ)さんは、協会設立前からベトナムを訪れ、技術指導を通してベトナムの人たちと信頼関係を築いてきました。佐藤さんは「ベトナムでは化学肥料を使った農業が一般的ですが、これでは環境に負荷がかかります。日本の安全安心な農業技術で、ベトナムの意識を変えたいと思いました。実際に化学肥料を使わない自社の堆肥作りを指導すると、目を輝かせて知識や技術を吸収しようとします。日本の農業技術への関心の高さを感じました」と手応えを話します。

将来はASEANへ販路拡大を

農業用機械メーカー「エフ・イー」は、近く、ベトナムの日系企業の工場で野菜洗浄機の現地生産を始めます。同社社長で交流協会副会長の佐々木通彦(ささき みちひこ)さんは「ベトナムは国全体の平均年齢が若く、安定した情勢の中で発展に向かっています。日本各地の企業だけでなく、様々な国がベトナム進出をうかがっていますが、こうした中で旭川が連携を強化できたのは、これまで築いてきた人間関係の成果だと思います。旭川の技術は優れているからと押し付けるのではなく、ベトナムの人たちが今までやってきたことを尊重しながら、『この部分は旭川の技術が役立つよ』と提案する形で進めていくべきだと思っています」と話します。さらに、「旭川の企業が持つ多様な技術は、必ず現地で生かせると自信を持っています。ベトナムを軸足に、ASEAN(東南アジア諸国連合)へ販路を拡大したい」と将来を見据えます。


旭川には、今回紹介した企業や製品以外にも、高い技術力で優れた製品を作り出している企業がたくさんあり、様々な人たちの生活を豊かにしています。

市では、これからも企業の技術力向上や製品開発、販路拡大に向けて様々な支援を行い、活力あふれるまちづくりを進めていきます。

【詳細】産業振興課 電話0166-65-7047

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旭川市総合政策部広報広聴課広報係

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