あさひばし 平成30年1月号「動物園からの手紙」
動物園、動物にとって良い年に!
今は2月の「雪あかりの動物園」に向けまっしぐらです。毎年じわじわと皆さんにも周知されてきているようですが、えっ、冬も夜の動物園やってるの!と驚く市民もいらっしゃいます。思い返せば今から30年前の開園20周年記念で始めた、夏の「夜の動物園」も、10年くらいは鳴かず飛ばずでした。もしもお客さんがいなかったら早く閉めようと園内を回ると…必ず数人のお客さんがいるのです。冬の動物園もしかりでした。
冬期間半年閉園するのが旭山動物園。その常識を覆すのには時間が必要でした。自分が新人の頃、お客さんから「あんたら冬は何してるの?失業保険もらってるの?内地に出稼ぎかい?」と真顔で心配されたものです。
継続は力なりです。我々が素晴らしいと思い続け、きっと来園者の心に届くはず!それは計算でも将来計画でもなく信念でした。ましてや「観光」でも「経済効果」でもありませんでした。それは結果として付いてきたものでした。
昨年の秋頃から、特にアジア圏の暑い地域の方が多く訪れています。どうしてこんな寒い雪の中で生きる生き物がいるのか?雪景色の中でこんなにも美しい生き物がいるのか!そんな感情を抱いてもらえるのが、日本最北の動物園の真骨頂でもあります。
地球上のあらゆる環境の中で生き抜こうとする生き物がいる。生物多様性・可能性、命の本質です。その環境を、命を不自然な形で奪い続けるヒトという動物種がいる。
地球上の生き物の中で、唯一例外的な生き方をするヒトが、自分たちを基準に地球の環境や生き物を理解した気になっていること、そのことに気付かないと、取り返しのつかない未来が訪れるかもしれない、その分岐点が今なのかもしれません。
書いていて今年一年の目標が見えてきました。他力本願ではなく自らの一歩で「動物園や動物たちにとっても、良い年」にしていきたいです。