あさひばし 平成28年9月号「動物園からの手紙」
気候の変動とポケモンGOによる異変

さる山から見た夜の旭川
旭川には生息していないはずのアブラゼミを園内で目撃しました。数年前から数日間だけミンミンゼミの声を聞くようになったのですが、アブラゼミとはびっくりでした。本州ではクマゼミの分布域が北上していますが、北海道でも、道南から分布を広げている生き物がいるのかもしれません。ただ、アブラゼミもミンミンゼミも複数で鳴いているのは聞いていません。
夏休み期間中は、本州から自家用車で北海道旅行をする途中で旭山動物園に足を運ぶ方もいます。過去には、旅行者の方が北海道に来る途中の東北地方で傷ついた野鳥を保護して旭山に持ち込み、我々が保護をしたアオゲラやフクロウなどがいました。
もしかしたらアブラゼミもミンミンゼミも、本州や道南で旅行の途中に子供が捕まえたんだけど、死んじゃうから放しなさいということで、あるいは、たまたま車の中や荷台の中に入って運ばれたものが放たれたのかもしれません。神楽岡公園などではどうなのでしょう?市内には定着していて、飛んできたのかもしれません。もっと調べなければいけない気がしてきました。
旭山は市内とは環境が違うようです。20年以上前に、市内で生まれ育ちフィラリア感染症で死亡したイヌを見たことがありますが、旭山ではフィラリアに感染してもおかしくない動物たちの中に、感染した症例を見たことがありません。
気候の変動は、ここ旭川でも旭山でも確実に起こっていることなのかもしれません。
そうそう、なんと言っても今年の夏の異変はポケモンGOです。この手紙を書いている夜9時を過ぎても東門を上る車の音が絶えません。夜の動物園の期間中、顔がほんのり緑色に照らされている人の多いこと!オオカミが遠吠えをしても全く反応もせずに、ひたすらスマホの画面を見詰める人の多いこと!ちょっと寂しいやら悔しいやら複雑な思いでした。
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