あさひばし 平成28年4月号「インタビュー 車いすテニス選手 二條実穂さん」
私の恩返しはパラ五輪で活躍すること

車いすテニス選手 二條実穂さん
昭和55年生まれ。国内ランキング2位、世界ランキング24位(3月28日現在)。シグマクシス所属
国内外で活躍している車いすテニス選手の二條実穂さん。今年開催のリオデジャネイロ・パラリンピックへの出場を目指して戦う二條さんに、これまでの歩みや意気込みを聞きました。
不安を打ち消した車いすテニスとの出合い
深川市で生まれ育った二條さんは、もの作りが好きで、将来は大工になると決めていました。高校卒業後、旭川高等技術専門学院で学び、市内の住宅メーカーに就職。熱心に働く日々でしたが、平成15年に貧血で建築現場の足場から落下して脊髄を損傷し、車いす生活に。二條さんは「ショックというより信じられませんでした。でも、家族や同僚が変わらずに接してくれたおかげで大きく落ち込むことはなかったです」と話します。
車いすテニスとの出合いは8カ月間の入院中、自宅に1泊した夜のこと。偶然、ある選手を紹介したテレビ番組を見て、初めて競技を知りました。「中学時代からテニスを続けていたので、すぐにやりたいと思いました。それ以来、退院後の不安よりテニスができるうれしさのほうが強くなりましたね」と振り返ります。
応援と支えに感謝し世界の大舞台へ挑む
二條さんは退院の5日後にテニスコートに出て、翌年には海外遠征を開始。その後、関東に拠点を移し、今はプロ選手として活動しています。北海道を離れても旭川との絆は強く、市内で合宿をしたり、養護学校で講演会を開いたり。「以前の目標は日本一の大工でしたが、今は世界一の選手です。私の場合は、けがをして人生の目標が大きくなりました。講演では、自分の可能性を信じる大切さを伝えています」と思いを話します。
現在、パラリンピックへの出場権を懸け、世界を転戦している二條さん。「出場して活躍することが、支えてくれている皆さんへの恩返しだと思っています。それが、私がパラリンピックにこだわる理由です」と話す笑顔の中に強い意志がありました。