あさひばし 平成28年1月号 動物園からの手紙
さる山を改修して良い申年に

平成28年申年の始まりです。ヒトもサルの仲間だということを謙虚にかみしめる1年にしたいと思います。ヒトだけが他の生き物とは異なる次元にいるという錯覚の中で、未来を見ようとしているように感じてなりません。数を数えられない動物たちが調和を保てているのに、数を数え理屈をこねるヒトが調和を保てていません。
旭山的には、今年こそさる山リフォームを実現させたいと思います。安全と食べることを保障した中で、よりニホンザルらしい暮らしの実現ができる施設になるよう頑張ります。
この手紙を書いている12月中旬の時点で、ペンギンの散歩は始まっていません。年末ギリギリに始まった年もあったのですが、今年は雪が降っては解け、降っては解けを繰り返し、常に残雪のような状態です。動物舎の放飼場もグチャグチャガタガタになってしまいます。特に初めての冬を迎えているキリンの結には気を使います。べた雪は体温も奪うし…。
そんな中、年内最後の動物の引っ越しが無事に終わりました。雌1羽になっていたダチョウ舎に山口県の秋吉台自然動物公園から雄が来園し、ペアになりました。また総合動物舎で1羽での暮らしが続いていたエミューが、愛媛県立とべ動物園に旅立ちました。本来は群れで生活する鳥なので、とべ動物園で元気に過ごすことを願っています。
でも、エミューを最後にオーストラリアの生き物はいなくなってしまいました。僕が旭山に入った頃には、ウォンバットやベネットアカクビワラビー、フクロギツネなどのオーストラリアの動物がいました。動物園は短時間で気軽に地球1周ができる場所だと思っていますが、オーストラリア大陸には行けなくなってしまいました。残念です。
新年早々ですが、来年(平成29年)は開園50年を迎えます。旭山動物園が歩んできた道を、今一度しっかりとかみしめながら、この1年を歩みたいと思います。