令和6年度(2024年度)市政方針
令和6年度(2024年度)市政方針(令和6年2月26日)
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令和6年度(2024年度)市政方針(新しいウインドウが開きます)
令和6年能登半島地震について
お亡くなりになられた方々にお悔やみ申し上げますとともに、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。
本市においては、1月10日から応急給水応援として水道局の職員を珠洲市及び七尾市に派遣して以降、避難所における健康管理業務応援として保健所の職員、医療支援業務応援として市立旭川病院の職員をそれぞれ金沢市に派遣し、現在も義援金の募集、義援物資の支援体制や市営住宅での受入体制等を整えております。
今後も、国や北海道、関係団体と連携しながら取組を継続してまいります。
本市では、防災拠点としての役割を果たす新庁舎を起点とし、国土強靱化の考えの下、中長期的な視点に立ったインフラ整備や災害への備えの重要性を日頃より常に意識し、確認しながら、改めて防災、減災の取組を進めてまいりますことを、まず冒頭申し上げます。
今年度の実績とこれからの課題
私は、より良い未来に向かって旭川を前進させるため、市民の皆様と約束した公約の実現に、職員とともに全力で取り組んでまいりました。その結果、昨年は市民待望の旭川空港で初めてとなるLCCによる国内定期路線の誘致が実現しました。冬まつり期間中には大変混雑し、ほぼ満席となるなど、若年層やインバウンドといった新たな人の流れを創出しました。
いじめ防止対策につきましては、全国初の組織体制となるいじめ防止対策推進部を創設したことにより、令和6年1月末現在、市立小中学校におけるいじめの認知件数は、前年同月末と比べて約3.6倍となりました。いじめ防止対策推進法では、いじめにより30日以上の欠席の疑いがあると認める事案は不登校重大事態として調査を行うこととされておりますが、昨年度まで本市では認定されたことはありませんでした。しかし、児童生徒の保護者が学校や教育委員会に加え、市の専門窓口にも相談でき、状況を把握できるようになったことから教育委員会と協議を重ね、12件の重大事態の認定に至りました。法に照らして重大事態が発生しているにもかかわらず、不適切な対応をすることはあってはなりませんし、重大事態の疑いの段階で、被害者の救済を最優先に解決に向け取り組まなければなりません。引き続き、「旭川モデル」を着実に運用し、いじめの未然防止、再発防止に努めてまいります。
子育て支援策については、中学生までの医療費無償化や大学生等への返済不要で一人当たり4年間で最大80万円の奨学金を創設しました。
健幸福祉都市の実現に向けては、昨年6月にスマートウエルネスあさひかわプランを策定し、市政アドバイザーの宇都宮啓氏によるセミナー開催など、健康寿命の延伸に向けた取組をスタートさせました。
企業誘致は、IT企業進出支援補助金を創設した成果もあり、過去30年で最多となる6件の実績を挙げることができました。
除排雪の充実については、生活道路の排雪回数2倍を実現するとともに、冬期の視界不良時においても安全に作業できるように、除雪車両の一部に映像鮮明化装置の導入や、排雪運搬車両へのETC2.0の搭載など除排雪DXの取組を進め、市民に協力を求める雪対策基本条例も制定しました。
女性活躍については、女性活躍推進部を創設し、デジタル人材の育成や就労支援、女性起業家の育成など女性が社会の様々な場面でより活躍できる環境づくりを進めました。また、今年1月から、旭川大雪圏域の1市7町の共同で
パートナーシップ宣誓制度を導入しました。複数自治体での導入は道内で初めてとなります。
新型コロナウイルス感染症対応については、北海道や医師会などと連携し、医療関係者の御尽力をいただくとともに、平岡康子感染症対策官に、主に医療機関や高齢者福祉施設等で集団発生時の指導などの対応に当たっていただいております。また、積極的にワクチン接種を進めたことで、本市の接種率は全国の接種率を大きく上回り、感染予防や重症化予防に寄与しております。
ヒグマ対策については、電気柵の設置等により市街地への侵入は防げております。しかし、郊外部での出没は続いておりますので、引き続きヒグマ対策協議会で効果的な対策について検討し、関係団体と連携しながら、市民の安全確保に努めてまいります。
また、持続可能な財政構造の確立や市民サービスの向上、職員の働き方改革などを推進するため、行財政改革推進部を創設しました。RPA等のICTツールを活用することで、職員の時間外勤務について、約2千300時間の削減効果が生まれております。また、ノーコードツールを活用し、職員自らの手でアプリを開発し、庁内業務に合わせたDXを推進することで、23のアプリが本格運用されており、業務負担の軽減が図られております。さらに、AIチャットボットを導入し、市のホームページ上で24時間市民の問合せに応えることができるようになりました。引き続き、回答精度を高めるなど、ブラッシュアップを進めてまいります。
第65回旭川冬まつりは、4年振りにフルスペックでの開催となりました。私自身が株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングスの関係者の方に直接お願いしたところ、御理解をいただいて、ドラゴンクエストのキャラクターとあさっぴーが登場した大雪像、ダンジョンをイメージした巨大迷路やオリジナルグッズなどが実現しました。さらに、連日の花火では、ドラゴンクエストのオープニングテーマが流れ、観客から大きな歓声が上がり、その様子はドラゴンクエストの生みの親である堀井雄二氏がSNSでも発信してくださるなど高い評価をいただきました。雪像制作に当たっては、極寒の中、延べ8千人の自衛官の皆様に1か月にわたり御協力いただきました。陸上自衛隊第2師団の皆様には改めて心より感謝申し上げます。
あさひかわ街あかりイルミネーションは実行委員会と協力し、電球数を14万球から21万球まで増設、各種行事とあいまって、旭川の新しい冬の魅力がスタートすることになりました。
一方で、課題が山積していることも事実です。
まず、人口動態についてです。
社会減については、令和3年が542人、令和4年が314人、令和5年が110人と着実に持ち直しつつあり良い兆候が見て取れます。
しかしながら若年層の転出傾向は依然として続いており、働き手の減少や消費の低迷など地域経済の縮小に直結する重要課題であることに変わりありません。
財政面においては、財政調整基金を取り崩す予算編成が続いているとともに、財政力指数が中核市平均を下回るぜい弱な財政構造にあります。加えて、エネルギー価格、物価高騰の影響や人件費の増などにより、経常的経費が急増しており市税等の自主財源を増やす取組や、国、道の補助金等の獲得、歳出を見直す取組がこれまで以上に必要です。
また、財政規律を守った上で、廃棄物処理施設の整備や小中学校校舎等の耐震化に加え、スポーツ、文化など市民生活に関わりの深い施設の老朽化・耐震化対策等も着実に推進しなければなりません。
今年は、本格的にアフターコロナがスタートする1年になります。ニューノーマルと言われるような個人の価値観も社会の在り方も大きく変わっていく新たな時代において、国内外の潮流をしっかりと見極めながら、本市の持つ課題を真正面から受け止め、その上で旭川の力を最大限発揮し、世界に輝く北海道の拠点都市として、新時代旭川を創造してまいりたいと存じます。
このたび、子育て支援、女性活躍、人材確保などによる「人口減少対策」、中小企業支援、一次産業振興、企業誘致、新規創業などの「地域経済対策」、観光振興、中心市街地活性化、公共交通対策などの「交流人口の拡大」、働き方改革、新庁舎の利便性向上、歳入歳出の見直しなどの「DX・行財政改革」、いじめ防止、除排雪、防災、減災、感染症対策などの「市民生活の安全安心」を五つの柱として、旭川新時代・創造予算を編成しました。
ただいまから、令和6年第1回定例会の開催に当たり市政運営についての考え方を申し上げます。市民の皆様並びに議員各位の御理解と御協力を賜りますようお願い申し上げます。
旭川新時代・創造予算 主要10項目
いじめ防止・教育・子育て支援
はじめに「いじめ防止・教育・子育て支援」についてです。
令和3年4月に認定されたいじめ重大事態については、いじめ問題再調査委員会に対して真相解明と再発防止の提言を求め、諮問しております。現在、聴取、検討、提言について、着実に進められてきており、引き続き進捗を見守り、答申を待ちたいと考えております。
旭川モデルを更に推進するため、いじめ防止とともに青少年の健全育成にもつながる「(仮称)いじめ防止・青少年育成サポーター制度」を創設し、地域や団体の皆様とともに、子どもたちを見守る取組を進めてまいります。また、これらの取組については、基金の創設を検討し、全国からも御支援をいただきながら着実に推進してまいります。
いじめから児童生徒の生命と尊厳を守り、全ての児童生徒が安心して生活し、学ぶことができる社会の実現を目指し、旭川モデルが全国の自治体で活用可能ないじめ防止の仕組みとなるよう、引き続き取組を進めてまいります。
増加傾向にある不登校の児童生徒に対しては、教育支援センター「ゆっくらす」の分室を日章小学校に設置し、ICTを活用した支援拠点とするため、専任指導員を増員し、児童生徒の学びの継続と社会的自立に向けた環境を整備してまいります。
インクルーシブ教育の推進のため、小中学校に看護師2名を含む補助指導員14名を増員し、100名体制としてまいります。
また、特別支援保育実施施設を増やすための支援を継続するとともに、医療的ケアが日常的に必要な児童へ対応するため、市立神楽保育所や民間の保育所等での受入体制を整えてまいります。
さらに、医療的ケア児等コーディネーターや医療的ケア児への支援に関する知識・技術を有する看護師を配置し、医療的ケア児等の相談に対応する総合窓口を設けます。
子どもたちの教育や生活の場の環境改善も重要な課題です。今年の夏までに冷房が未設置の全市立小中学校の保健室や多目的教室などにルームエアコンを設置し、全74校の普通教室に簡易クーラーと遮熱カーテンを設置するとともに、先行して22校の普通教室や職員室にルームエアコンを設置する工事に着手します。残り52校への設置についても令和7年度以降速やかに進めていく計画としております。
加えて、放課後児童クラブ、児童センターや、市立保育所の事務室を含め、令和6年度に冷房の設置を完了させてまいります。
物価上昇による家計の負担増が続いていることから、令和5年度に引き続き、学校給食費を令和4年度と同額とし、保護者の負担増とならないよう支援してまいります。
旭川市立大学及び旭川市立大学短期大学部については、昨年、ベトナム国家大学ハノイ校日越大学やハロン大学との間で、学生や職員交流などに関わる覚書を締結しました。イリノイ州立大学とは、学長に交換留学について提案をさせていただき御理解をいただきました。今後も国内外の大学と連携し、旭川市立大学の価値を高めるとともに学生の教育環境の充実に向けた取組も進め、令和8年4月の新学部設置に向け必要な支援を行うなど、公立大学法人と連携して取り組んでまいります。
デザイン創造都市
次に「デザイン創造都市」についてです。
私はこれまで国内外のデザイン創造都市との連携を深め、あさひかわ創造都市推進協議会の方々などとも協力し、デザイン創造都市旭川の存在感を高めてまいりました。
こうした関係者が一体となった取組が実を結び、ドバイ、ソウルといった名だたる都市との競合に見事勝ち抜き、今年10月に、全世界から49都市の代表が集うユネスコ創造都市ネットワークにおけるデザイン分野のサブネットワーク会議が本市で開催される運びとなりました。
この会議は、本市の歴史、文化、自然そして、家具・木工をはじめとするものづくりやデザインに触れていただく絶好のチャンスとなります。サブネットワーク会議に加え、6月に開催される国際家具デザインコンペティション旭川や旭川デザインウィーク、更には大阪・関西万博共創プログラムのプレイベントの旭川開催といった国際的イベントを契機としてデザイン創造都市旭川が国際的に高い評価を得て更に魅力を発信することができるよう、官民が一体となってしっかりと取り組んでまいります。
デザイン創造都市としてのまちづくりを一層進めるため、新たにデザインシステムを導入します。
デザインシステムとは、デザイン創造都市にふさわしいデザインと統一感を創り上げ、市民に対しデザイン創造都市としての認識度を高めていくとともに、国内外に向け、デザイン創造都市としてブランディングをしていくための取組です。
我が国を代表するデザイナーの下、デザインを作成し、段階的に進めていきます。まずは、市役所の取組としてホームページやポスターなどの様々な広報媒体のデザインルールを定め、このルールの下、統一されたデザインの広報物などを制作し、市役所及び市内の様々な場所で発信してまいります。
除排雪先進都市
次に「除排雪先進都市」についてです。
昨年12月は、24時間降雪量が観測開始以来最高となる41センチメートル、また、1週間の降雪量が過去20年間で最大の102センチメートルと、記録的な大雪となり、暖気によりザクザク路面が発生するなど、除排雪事業者の皆様には、年末年始も返上し最大限の対応をいただいたものと改めて感謝申し上げます。
令和6年度の除排雪予算は、労務単価・資材単価の上昇、働き方改革に対応するため、前年度を上回る約36億2千万円を確保します。
除排雪作業の安全確保や人材不足の対策として、映像鮮明化装置の増設、積雪センサー・ライブカメラの本格導入などによるDXの推進、官貸除雪車両の増強などに加え、除雪車両の運転免許取得支援金を取得希望者の増加に合わせて拡充します。
除排雪の向上には市民の皆様の協力が不可欠であり、昨年雪対策基本条例を制定しましたが、道路への雪出し行為や違法駐車への対応を強化するため、テレビCMやSNS、広報車、街頭放送などの多様な手法を検討し、効果的な周知、啓発を進めてまいります。
加えて、持続可能な除排雪体制の構築のため、北海道と連携し、中心市街地などで、道道、市道の管理区分を交換して効率的に除雪する交換除雪の導入を検討してまいります。
また、例えば、デジタルツールを活用し、市民の皆様から地域の除排雪状況の写真データを送っていただき、位置や状況を作業中の除雪車両に伝達し、対応する取組等も検討してまいります。
健幸福祉都市
続いて「健幸福祉都市」についてです。
本市の高齢化率は、令和6年1月現在で35.1%と全国や北海道よりも高くなっており、高齢の方々をはじめ全ての市民の皆様が生き生きと暮らしていけるようスマートウエルネスあさひかわプランを着実に実行して、健康寿命の延伸につながる様々な取組を進めてまいります。
4月にリリースする「あさひかわ健幸アプリ」では、毎日の歩数やイベント参加等で健幸ポイントを貯めていただき、抽選で健康に関する商品や地場産品などが提供される取組を実施するなど、歩くことをきっかけに、気軽に楽しみながら健幸づくりに取り組めるよう支援してまいります。
また、ヘルスケア向上のため、市有施設に設置する体組成計を2台増設し、総合体育館には、体水分量や筋肉量等を測定できる高精度の体成分分析装置を設置します。
さらに、旭川未来創造ポストに寄せられた御意見を反映し、がん患者の就労や社会参加を支援するため、がん治療に関わるアピアランスケア用品の購入費用を助成します。
地域共生社会の実現に向けては、地域まるごと支援員を2名増員し、ひきこもりやごみの処分などの複合的課題を抱える方への個別支援に加え、除雪ボランティアの調整など地域づくり支援を充実してまいります。
また、民生委員・児童委員の負担軽減と人材確保のため、タブレット端末の配付台数の増加に加え、専用ポータルサイトにAI機能を付加し、活動の効率化を支援してまいります。
新たに介護職員初任者研修を市の主催により開催し、更に、研修受講料への補助制度を創設することで、介護人材の確保と支援に取り組みます。
また、介護予防活動の支援の充実に当たっては、高齢者の補聴器の購入費用を助成するとともに、介護予防インストラクターの派遣回数を拡充し、高齢者における要介護状態の発生をできる限り抑制してまいります。
福祉タクシーの利用料金等の助成については、身体障害者手帳の個別等級から総合等級に見直すとともに、精神障がい2級の方を対象に加えるなど、対象者を拡充した新たな制度の運用を開始します。
全国手話言語市区長会手話劇祭を9月下旬に本市で開催し、手話文化や魅力を広めてまいります。また、開催に向けて、宿泊施設等と連携を図りながら筆談対応など参加者の受入準備を進めてまいります。
食・一次産業
次に「食・一次産業」についてです。
旭川市の農家戸数は、令和2年度までの10年間で約35%減少し、同年には65歳以上の農業者割合が約58%となるなど、担い手の減少・高齢化による労働力不足が深刻となっています。
この課題の解決を図り、持続可能な農業の実現に向けて、スマート農業・省力化技術の導入支援による効率化の促進や販路拡大に対する支援に加え、新たに慣行栽培より高付加価値となる有機農業への転換に対して支援してまいります。また、サツマイモやシャインマスカットなどの新たな可能性を秘めた農作物の導入支援や六次産業化等にも取り組んでまいります。
有機農業の取組として、大阪府泉大津市とオーガニックビレッジ宣言を行います。生産地である本市と消費地との共同宣言は全国初となる試みです。この宣言の下、泉大津市の学校給食への有機米提供、米だけでなく旭川産食材も取り入れた給食の日、グリーンツーリズムの受入れといった取組を実施します。
旭川は多様な農産物の産地であるとともに、北海道一円から様々な農畜産物や海産物が集まる集積地でありますが、これまでその魅力を十分に発揮できていたとは言えません。
フードフォレスト旭川構想は、地域に集積する素材の付加価値向上や新たな食の体験を創出することで、料理人や料理研究家、食にまつわる事業者、家具やクラフト職人などを呼び込み、地場の農産物はもとより、旭川で加工される食品や食に関わるサービスの価値向上に取り組むもので、生産から流通、食の提供に至るまでの過程を有機的に連携させる取組です。
この具体化に向けては、石川俊祐CDPが市内の食産業などを探求した結果を踏まえ、ファーストステップとして朝ごはんを中心とした「朝のあさひかわ」プロジェクトを開始してまいります。
まず、朝のあさひかわをブランディングしていくことで、最終的な目標として、新たに「Designed in ASAHIKAWA」として生み出される商品やサービスを国内外に発信して域外から資金を得ることで、地域活性化を目指します。
経済・まちづくり
続いて「経済・まちづくり」についてです。
交流人口や関係人口を増加させることによる地域経済の活性化も進めます。
昨年12月のジェットスター・ジャパンの就航に続く新規就航路線の獲得に向けて更に積極的にプロモーション活動等を展開します。
今年1月に株式会社星野リゾート代表取締役社長の星野佳路氏に市政アドバイザーに就任いただいており、アドバイスをいただきながら、大雪カムイミンタラDMOと連携し、欧米豪からのスキー客誘致に向けた取組や、日本航空、全日本空輸、エア・ドゥとも連携した情報発信などを通じて、交流人口の更なる拡大を図ります。
これらの取組を進めるには、旭川空港の人材確保も急務であることから、保安検査業務や地上支援業務に従事する新規採用者を対象にした奨励金制度を空港が所在している道内の自治体で初めて創設いたします。
JR北海道については、令和元年度から2期にわたって取り組んできたアクションプランの総括的検証報告会が、先月に実施されたところであり、今後国から示される予定の支援の方向性等を踏まえ、国や北海道、沿線自治体と連携して路線の維持に向けた取組を引き続きしっかりと進めてまいります。
中心市街地の再生に向け、今年度設置された買物公園のあり方検討会議での議論を踏まえ、買物公園エリアの将来像を描いた未来ビジョンが今年3月に策定される予定です。
この未来ビジョンを実現するための第一歩として、買物公園内に滞在できる空間の設置やモビリティ運行などの社会実験を実施し、その効果検証や本格実装に向けた検討などを進めてまいります。
また、市民文化会館の建替えについては、今年度中に策定する基本構想の下、基本計画の策定に着手し、検討を進めてまいります。
さらに、新・道の駅については、今年度に実施したアンケート調査結果を踏まえ、庁内関係部局による協議を行うとともに、他都市の事例を調査し、課題の整理や設置の可能性等について検討してまいります。
観光・スポーツ・文化
次に「観光・スポーツ・文化」についてです。
一昨年までのコロナ禍にあっては大幅に落ち込んでいたインバウンド需要が回復しつつあり、今月開催された旭川冬まつりも多くの外国人観光客でにぎわっていました。
アドベンチャー・トラベルやスノーリゾートなどをはじめ四季折々の観光資源を生かしたインバウンド需要の増大が見込まれることから、外国人の満足度やリピーター率の向上のため、観光施設等でのWi-Fi設置状況の調査や、ウェブサイト、案内表示、飲食店のメニュー、更には医療提供時等の多言語対応の検討を進めてまいります。
スポーツ環境の充実に向けては、花咲スポーツ公園について、今年度中に策定する再整備基本構想の下、総合体育館の再整備に向けた基本計画の策定に着手するとともに、花咲スポーツ公園全体についても、基本計画の策定に向けて庁内で検討を進めてまいります。また、東光スポーツ公園については、令和12年度までの事業完了を目指してまいります。
今年開催されるパリオリンピックには、旭川スポーツみらいアンバサダーの北口榛花選手が、陸上女子やり投げ日本代表に内定しております。北口選手をはじめ旭川ゆかりの選手が出場する際には市民一丸となって応援していきたいと思っております。
また、9月に開催予定の旭川ハーフマラソンは、将来のフルマラソン化も視野に、旭川大雪アリーナをスタート、ゴール地点とし、プラタナス並木や北彩都を巡る新コースでリニューアルスタートします。
文化の振興については、旭川ミュージックウィーク2024の開催に加え、市民文化会館が開館50周年、中央図書館と彫刻美術館が開館30周年を迎えるため、それぞれ周年事業を開催し、文化芸術の発信と市民が文化に触れる機会を創出してまいります。
国際交流については、大韓民国・水原市との姉妹都市提携35周年を記念し、水原市での記念行事に,代表団や文化芸術団、市民訪問団等とともに訪問し、交流を深めてまいります。
ゼロカーボン
次に「ゼロカーボン」についてです。
地球温暖化の影響による気候変動を誰しもが自分事と捉え、多くの方が日々の生活の中で脱炭素に向けた行動に結び付ける、正に「1人の100歩より、100人の1歩」の取組が必要です。
市民の意識向上を図っていくとともに、「世界に貢献するサステナブルデザイン都市旭川」を目指すための象徴的な取組として、旭山動物園においてゼロカーボンZOOの実現を更に進めます。現在は、園内の剪定枝(せんていし)等を燃料としたペレットストーブの導入等を行っており、令和6年度は、脱炭素に向けた取組内容を整理します。将来的には、電力の自給自足など、温室効果ガスの排出量と吸収量の均衡が図られた施設として、世界への発信を目指してまいります。
また、市としても率先して対策を進めるため、総合庁舎の室温を19度に設定する「ASAHIKA.WARM BIZ」の取組を継続することに加え、全市立小中学校の照明のLED化を進めるとともに、公用車に電気自動車を導入します。
市内中小企業が排出する二酸化炭素量の見える化を支援する補助制度を新設し、省エネルギー化とコストの削減などに向け、産学官金が連携して取り組んでまいります。
地域木材の地元利用は輸入材に比較して運搬等に係るCO2が削減でき、併せて住宅の省エネルギー化を促進することで更なる削減効果が認められます。また、林業、木材産業の活性化による新たな産業クラスターの創出にもつながります。
そのため、地域木材を活用した高性能住宅の新築工事に対する補助制度を大幅に拡充し、旭川産材を一定以上活用した場合には使用量に応じて補助額を加算するとともに、子育て世帯又は二世帯住宅には更に加算することで1戸当たり最大500万円の支援を実施し、ゼロカーボンの推進、子育て支援、経済活性化などにもつなげてまいります。
女性活躍・若者・市民参加
次に「女性活躍・若者・市民参加」についてです。
女性活躍を推進するためには、女性の抱える様々な悩み、課題に、より積極的に対応していかなければなりません。そのため、特に、本市の女性相談窓口への相談実績が全体の1%未満と少ない20歳未満の女性などにも支援を届けるため、SNSを活用した相談窓口を開設するとともに、旭川未来会議2030の提言を踏まえ、働く女性が抱える多様な悩みや課題に対応し、キャリア形成を実現していくために、対面式での相談窓口及び退勤後にも相談できるよう夜間にオンライン相談窓口を試行で設置するなど、若年層や働く女性がより活躍できる環境づくりを進めます。
若者がとどまるまち、一度市外に出て経験を積んだ若者が戻って来られるまちの一助として、市政アドバイザーの岸博幸慶應義塾大学大学院教授に御協力いただき、地元の企業、あるいは旭川市立大学などの高等教育機関や産業支援機関とも連携した起業体験プログラムを中学生等に提供するなど、若者たちに地域産業の魅力を伝え、起業やまちづくりへの意識を醸成し、将来的には、旭川から第2のグーグルやアップルなど、GAFAのような企業が生まれることを目指してまいります。
DX・市役所改革
次に「DX・市役所改革」についてです。
昨年11月6日に新庁舎がオープンしました。
これで終わりではなく、ここからがスタートです。4年後に「行かなくてもいい」「行っても簡単」の日本一の窓口を目指すとともに、職員の働き方改革をセットにした庁内DXを推進することで、9年後にデジタル行政日本一を目指し、市民の利便性向上と業務効率化の両面から取り組みます。
特に、職員の残業時間については、DXの推進などもあり、令和5年4月から12月までの累計で、前年比約1万4千時間の削減となっておりますが、令和6年度は更に時間外勤務の削減を図り、ワークライフバランスの推進に努めてまいります。
また、令和2年度の全庁業務量調査の結果、職員の業務のうち42.3%は専門性が不要で定型的な作業、いわゆるノンコア業務であることが判明しています。よりクリエイティブな業務に職員が取り組むことができるよう、また、同時に時間外勤務の削減にもつながるよう業務効率化を図るため、ノンコア業務の外部委託の導入可能性調査を行ってまいります。
先日、若手職員による働きがい改革ワーキンググループの活動報告会に出席し、提言を受けました。引き続き、全ての職員が働きやすい環境づくりを進めてまいります。
さらに、休止となっていた旭川市史につきましては、デジタルアーカイブの手法により再開いたします。
加えて、オンライン予約が可能な市有施設の増加や電子決済の導入により、市民の利便性を向上させます。
地域のDX推進に向けては、地域情報共有プラットフォーム「くらしのアプリ」を、4月から運用が開始される「あさひかわ健幸アプリ」と連携させ、地域での健幸づくりを推進することで、ダウンロード数の増加を目指します。また町内会等と連携し、高齢者の見守り機能や小中学生のアイデアをアプリに実装する取組を進めることで、地域活動の活性化や課題の解決につなげてまいります。
財政状況の改善に向けては、DXや外部委託の推進による業務の効率化や職員の時間外勤務の削減に加え、公共施設保有量の最適化や施設の管理運営手法の見直しなど、歳出削減の取組とともに、財源確保が必要です。
ふるさと納税については、基準が厳格化された制度改正に的確に対応しながらも、より旭川の魅力を生かした商品の発掘や開発、プロモーションを実施することで、令和6年度には寄附額35億円を、令和8年度には寄附額50億円を目指します。
また、企業版ふるさと納税については、今年1月から旭川信用金庫や一般社団法人旭川青年会議所と連携するなど、寄附見込企業を開拓していくとともに、企業の皆様と事業構築を進め、より多くの寄附を募り、旭川活性化の財源としてまいります。
責任と挑戦
以上、旭川新時代・創造予算の主要10項目について申し述べました。
100年使える庁舎に続く、大規模事業や買物公園の在り方等に関する計画は、正に「新時代旭川」の象徴となる施策にほかなりません。新たなまちづくりの拠点としていくために、市民の皆様や議員各位、更には、専門家の声を聞き、優先順位を考慮しながら、民間活力の導入や公共事業の平準化を図るなど、公共施設のマネジメントにしっかりと取り組んでまいります。
あわせて、市税等の自主財源を確保し、財政規律をより確かなものにするため、地域経済の活性化を着実に推進することはもとより、国や道の補助金の積極的な活用や、ふるさと納税の推進、受益者負担適正化の取組、DXによる業務の効率化を実行し、将来負担の軽減と必要な投資の両立を責任を持って進めてまいります。
同時に、アフターコロナへと大きく時代が変わっていく転換点においては、前例にとらわれず、失敗を恐れず、まちの力を信じて挑戦していく気概こそが、未来を切り拓(ひら)くと確信しています。
世界に輝く北海道の拠点都市旭川の未来を想像し、真に持続可能な旭川の礎を創造するため、「旭川新時代・創造予算」を力強く進めていく決意です。
市民の皆様と議員各位におかれましては、市政推進に格別の御理解と御協力を賜りますようお願い申し上げますとともに、ますますの御健勝と御活躍を祈念申し上げ、令和6年度の市政方針といたします。