令和7年度(2025年度)市政方針
令和7年度(2025年度)市政方針(令和7年2月25日)
動画
令和7年度(2025年度)市政方針(新しいウインドウが開きます)
はじめに
新市政をスタートしてから早3年5か月が経過いたしました。この間、市民の皆様、議員の皆様、そして職員の皆様から御指導、御支援をいただきながら、市政運営にまい進してまいりました。改めて皆様方に心より感謝申し上げます。
3年5か月前、私は約800回にわたる街頭演説を行い、市民の皆様の声を聴き公約を作成しました。いわば私の公約は市民の皆様との協働・共創によるものであります。
公約の実現に向け全力で取り組んでまいりましたが、その結果、「市の取組が分かりやすくなった」、「子育てが本当にしやすくなった」、「良いまちにしてくれてありがとう」など多くの声を市民の皆様からいただいております。
就任から現在まで前例にとらわれず、失敗を恐れず、挑戦を続けてまいりました。
人口減少の中でも特に若者世代の社会減を最小限に食い止めるため、子育て支援の充実や教育環境の整備、奨学金の創設や女性活躍の推進を図り、進行する高齢化に対しては、恵まれた医療・福祉・介護環境の下で健康寿命を延伸して生き生きと暮らしていくことができる健幸福祉都市を目指してまいりました。
生産年齢人口を維持するためには強い経済を確立する必要があることから、歴史とともに育んできた農業、林業や家具・デザイン・鉄工等のものづくり産業の支援や企業誘致を推進し、雇用を確保し起業も促進するとともに、旭山動物園や豊かな自然環境・食を生かした観光振興、スポーツ環境やコンベンション機能を活用した合宿・大会誘致、更にLCC就航等を通じて交流人口を増加させ外貨獲得に努めてきました。
また、除排雪や防災・減災体制を強化し市民の安全を守るとともに、情報発信を格段に向上させて市政を身近なものにしてまいりました。
さらには、市民一人一人が楽しく生きがいを持てるよう多種多様な文化活動を支えると同時に、誰一人取り残すことのない全ての市民が「旭川に暮らして本当に良かった」と心から思える温かいまちを目指し、着実に実行してまいりました。
一方、それでもなお人口減少や、公共施設の更新・統合や財政の健全化、物価高騰、人手不足など大きな課題があることも事実です。
しかし、私は、市民と議会、行政、そして経済界をはじめ関係団体などが「オール旭川」で心を一つに議論を重ね、知恵を出していくことで、課題を克服し、新しい旭川を築いていくことができると確信いたしております。
ただいまから、令和7年第1回定例会の開催に当たり市政運営についての考え方を申し上げます。市民の皆様並びに議員各位の御理解と御協力を賜りますようお願い申し上げます。
暮らしの安心と未来への投資両立予算
令和7年度は、徹底した行財政改革による将来負担の軽減と物価高騰対策、未来に向けた投資を主眼に置き「暮らしの安心と未来への投資両立予算」として編成しました。
まず、物価高騰対策につきましては、国の物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金などを活用した、物価高騰の影響を大きく受ける低所得者世帯や子育て世帯への支援に加え、教育や農業、交通などについては令和7年度予算案の主要10項目においてそれぞれ実施してまいります。
以下、主要10項目について申し述べます。
主要10項目
いじめ防止・教育・子育て支援
はじめに「いじめ防止・教育・子育て支援」であります。
いじめ防止対策については、いじめ防止等対策委員会から示された20項目及びいじめ問題再調査委員会から示された29項目、合計49項目の提言を踏まえ、専門人材の活用、教職員の資質向上、不登校児童生徒への支援、情報モラル教育などを充実してまいります。
特に不登校対策については、令和5年度の不登校児童生徒数が小・中学校で585人となっており、近年は増加傾向にあることから対策強化が急務となっております。
そのため、これまでの学校での対応や教育支援センター「ゆっくらす」での学習支援等に加え、中学校2校に校内教育支援センターを設置し、支援員を配置して、何らかの理由により、自分のクラスに入ることができない児童生徒の心のケアや学習サポートなどを行うとともに、支援員は(仮称)いじめ対策官として校内の見守り巡回や子どもへの声かけなど必要に応じた取組を行っていくことに加え、フリースクールや地域ボランティアとの連携による学習支援等も新たに実施し、子どもたちの幅広いセーフティネットを確保してまいります。
また、専門人材の更なる活用により、いじめ防止対策を強化していくため、精神科医をいじめ防止対策アドバイザーとして委嘱し、心のケアを行うとともに、警察官OBを青少年育成支援員として任用し、いじめ・非行防止教室の企画運営などを行います。
これら、いじめ防止「旭川モデル」の更なる充実のため、(仮称)旭川市いじめ防止対策推進基金を創設し、全国の皆様からの寄附を相談支援の強化、普及啓発の推進、学校の体制強化などに活用してまいります。
また、私は、役員を務めている中核市市長会において、令和7年度に子どもの学びの環境充実に向けたプロジェクトの責任者となっており、全国の中核市市長と共に、いじめ防止や不登校対策の課題などを整理し、国に対して支援策の提言などを行ってまいります。
さらに、いじめ防止対策に係る各自治体の先進事例を幅広く全国の市町村に共有するための情報交換や自治体共同による関係省庁への要望活動などを行う(仮称)いじめ防止対策首長連合の発足を目指してまいります。
子育て支援については、子ども医療費の市独自助成の対象をこれまでの中学生から高校生年代までに拡大します。令和7年8月から実施し、対象となる約7千人について医療費無償化を実現します。
学校給食費については、令和5年度値上げ分は保護者に御負担いただきますが、令和7年度値上げ分については公費負担とし、一人当たり年額で、小学生は7千800円、中学1、2年生は9千円、中学3年生は8千700円分を支援します。
教育ICT環境の充実により教員や児童生徒の力を最大限に引き出すため、令和7年度に新たなタブレット端末を約2万2千台購入し、令和8年度に全小・中学校に整備し、ICT教育を更に進めてまいります。
また、教職員の負担軽減に向け、中学校の部活動の地域移行をはじめ、働き方改革につながる取組を推進してまいります。
旭川市立大学については、令和8年4月の新学部設置に向けた施設整備を支援してまいります。また、国内外の他大学との連携など価値向上につながる取組を大学と共に進めてまいります。
様々な個性や感性を持った子どもたちが共に遊び、学ぶことができる環境づくりを推進するため、愛育センターにインクルーシブ遊具を導入します。なお、導入に当たっては、旭川未来会議2030でお聴きした、保護者、有識者、地域の方の意見を反映してまいります。また、幼稚園に対し、特別支援教育等で利用する知育玩具や療育玩具の購入経費の一部を助成してまいります。
今年4月から運営を開始する保育センターでは、市全体の保育水準の維持・向上を図るとともに、医療的ケア児を含む特別支援保育の受入れの充実など、保育を必要とする全ての子どもと保護者に最適な保育を提供する取組を推進します。
不妊治療における経済的負担軽減を図るため、先進医療に要した費用の助成に加え、受診をされた市外の医療機関までの距離に応じた交通費の助成を新たに行います。また、産後ケア事業においては、助産師によるグリーフケアを実施してまいります。
デザイン創造都市
次に「デザイン創造都市」であります。
自治体での導入では全国初となるデザインシステムを更に活用するため、各種イベントや民間利用に向けた指針を策定するとともに、職員自らがリーフレットなどの広報物をデザインできるデザインジェネレーターや職員の柔軟な働き方の一環として推進するデザインシステムポロシャツ・フリースなどの展開を通じて普及を図ってまいります。
昨年開催したデザイン都市会議の結果を踏まえ、各都市との情報共有や交流事業を通じて、世界各国の都市と連携を深めてまいります。
大阪・関西万博の大屋根リングを設計・監修した、旭川東高校出身の藤本壮介氏には昨年8月「市政アドバイザー」に、ミラノ在住でデザイン界の世界的巨匠である、ミケーレ・デ・ルッキ氏には今年1月に「旭川デザインアンバサダー」に就任いただいており、世界のデザイン都市ミラノ市との交流を深めるとともに、アドバイスをいただくなどデザインを生かしたまちづくりを進めてまいります。
また、多様な農畜産物・海産物の集積地という本市の魅力をデザイン思考により最大限生かしていく「フードフォレスト旭川構想」については、石川CDPの監修の下、「朝のあさひかわ」プロジェクトを令和6年度より始動しております。令和7年度は、昨年盛況だった北彩都ガーデンでの「あさいち」の複数回の開催などにより、旭川の食の魅力を高め、食産業の活性化とともに、新たな観光コンテンツとなるよう展開してまいります。
除排雪先進都市・防災
次に「除排雪先進都市・防災」であります。
除雪DXについては、新たに積雪センサー及びライブカメラを郊外12か所に設置し、パトロールの省力化や除雪の出動判断の効率化を図ります。
国や北海道との連携を更に強化し、道道、市道を一事業者が一括して除雪する「交換除雪」などにより更なる交通の円滑化を目指してまいります。
雪対策基本条例に基づく雪出し防止対策については、テレビCMなどを活用した広報プロモーションの強化やパトロールカーによる巡回など、引き続き取組を強化してまいります。
また、不当なクレームなどにより除雪関係者の業務に支障が生じるカスタマーハラスメントについては、毅(き)然と対応してまいります。
災害は、必ず起きるとの前提でしっかりと備えなければなりません。
事前防災対策の充実に向けては、洪水ハザードマップに、中小河川の氾濫や雨水等による内水氾濫の想定を加えた新たなハザードマップと、風水害や土砂崩れなどの災害時に役立つ情報を掲載した「(仮称)旭川市防災これ一冊まとまっぷ」を作成し、全戸に配布します。
また、総合庁舎屋上に屋外スピーカーを整備し、災害時において中心市街地を訪れている市民や観光客にいち早く避難情報を伝達します。
さらに、国や北海道のほか自衛隊、警察、消防団、市民の皆様などと連携し、今後も訓練等防災・減災に関しての取組を進めてまいります。
埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故を受け、本市においては、独自に今月17日から19日の日程で管径2メートル以上のマンホール及び管渠内部の腐食・破損に関する緊急点検を実施し、異常がなかったことを確認しております。引き続き上下水道管の耐震化を含め老朽化対策を計画的に進め、災害に強いライフラインを整備してまいります。
能登半島地震の復旧復興支援のため実施している石川県七尾市への技術職員派遣については、令和7年度も継続します。しっかりと被災地の方々に寄り添い貢献してまいります。
健幸福祉都市
次に「健幸福祉都市」であります。
令和6年4月から運用を開始したあさひかわ健幸アプリは、温かみのあるデザインや多種多様な協賛品の提供などにより、登録者数1万人を超えております。令和7年度は、バーチャルウォーキングコースを追加するとともに、ウォーキングイベントなどの実施により更に取組を充実してまいります。また、(仮称)第2次スマートウエルネスあさひかわプランを策定し、市民の皆様の健康寿命の延伸につなげてまいります。
補聴器購入費の一部を助成する事業については、対象人数を令和6年度の50人から、令和7年度は100人に拡大し、介護予防活動支援を充実してまいります。
帯状疱疹の発病、重症化予防のため、新たにワクチンの定期接種を実施するとともに、HPVワクチンのキャッチアップ接種が完了していない方への実施期間を1年延長いたします。
一次産業の振興
次に「一次産業の振興」であります。
農業の振興について、これまで多くの農業関係者の方々と意見交換を行い、施策に反映させ持続可能な農業を目指してまいりました。
今後も旭川農業の可能性を更に引き出すため、取組を継続・充実させてまいります。
稲作における育苗作業や畑の管理に係る作業負担の軽減を図るため、省力化資材導入支援補助金を創設します。
また、自動操舵機器や水管理システムの導入支援によるスマート農業を推進し、省力化を図ります。
旭東地区国営農地再編事業については、令和15年度までの事業期間を予定しており、令和7年度も国等にしっかりと要望活動を行い、農地の大区画化やスマート農業機器の活用実証の事業が計画的に進むよう取り組んでまいります。
ガバメントクラウドファンディングによりお米約15トンを寄贈し、全国の子ども食堂等を支援し、旭川産米をPRするとともに、子どもたちの健やかな成長を支えてまいります。
本市と泉大津市による生産地と消費地としては全国で初めてとなるオーガニックビレッジ宣言を行い、高付加価値でクリーンな有機米を拡大させる取組などを進めてきたところであり、令和7年度は、有機農業生産に必要な農業機械導入支援の補助金を創設します。
あわせて、子どもたちに有機農業に触れる機会を創出するため、市立全小・中学校の給食に市内産の有機米を一食分提供するとともに、1歳6か月健診時に有機米をプレゼントする「(仮称)元気に育て!すくすく旭川米」をスタートします。
サツマイモやシャインマスカットなどの高収益作物についても、生産機械の導入支援や農業センターの技術支援を通じて、安定的な生産を支援します。また、サツマイモを利用した商品開発に向けて、先進地の事例調査も実施いたします。
大阪・関西万博では、「地方創生SDGsフェス」に出展し、旭川の地域材と林業、旭川家具やデザインの取組などを世界に発信してまいります。
経済・まちづくり
次に「経済・まちづくり」であります。
企業誘致については、令和5年度は6社が進出し過去30年で最多となりました。また、動物園通り産業団地への立地が続いており、令和5年は食品卸売の営業所が立地し、昨年12月には食品製造工場が竣工したことに加え、酒樽製造工場の進出が決定いたしました。今後とも旭川の魅力を積極的にPRし、更なる企業誘致を進めてまいります。
北海道と札幌市は昨年、「GX金融・資産運用特区」の指定を受け、北海道の再生可能エネルギーのポテンシャルを最大限に活用してGX産業の集積を図るとしています。
本市においても、陸上風力や太陽光といった再生可能エネルギーのポテンシャルが市内全世帯で使用する年間電力の約4倍に相当するとされており、この機会を逃さず、半導体やデータセンター関連などのDX・GX産業をはじめ、多様な産業の企業誘致の可能性について調査してまいります。
全国の企業が災害等で生産活動が停止した場合に、事業継続計画に基づいて本市の企業が代替生産などで支援するBCP連携について、PR活動や意向調査を実施してまいります。
彬子女王殿下が名誉総裁を務められる日本最大級のお菓子の祭典「あさひかわ菓子博2025」が今年5月30日から6月15日に開催されます。道北アークス大雪アリーナをメイン会場に三重県の赤福や静岡県のうなぎパイ、山梨県の信玄餅など全国の銘菓1千品の販売や工芸菓子90作品の展示とともに、大手菓子メーカー7社の体験パビリオンが設置されます。国内外からの来場者数20万人を見込んでおり、大きな経済効果が期待されます。本市としても実行委員会の一員として運営を支援してまいります。
中心市街地活性化に向けては、「まちにち計画」の効果検証を踏まえ、社会実験の期間延長や、買物公園の空間利用手続の恒常的なワンストップ化に向けた環境づくりなど買物公園エリアプラットフォームにおいて取組を更に前進させてまいります。また、中心市街地における老朽建築物の建替えの支援などを通じて、地域活力の向上を図ります。
さらに、令和5年8月に策定した旭川駅周辺かわまちづくり計画に基づき、国が令和10年度までに総額約6億7千万円の事業費で親水広場等の整備を予定しております。本市においては、令和7年度は牛朱別川左岸の河川管理用通路に旭山動物園等への誘導案内を路面標示し、市民や観光客の利便性向上を図ります。
ドッグランについては、今年度の試行実施におけるアンケート調査で、利用者の95%以上の方に満足いただくなど大変好評をいただいております。本格実施に向け、夏期・冬期の試験運用を令和7年度も継続し、併せて設置面積や設備、利用料金の検討を行います。
地域公共交通につきましては、市内バス路線の維持のため、燃料費等の高騰に対する支援に加え、不足するバス運転手の確保対策として、地域おこし協力隊員を募集し、協力隊員がバスの運転業務に従事しながら運転手確保に向けた情報発信や地域の魅力のPRなどを行います。
また、路線バス乗務員確保対策助成金の対象年齢を40歳以下から65歳以下に拡充します。
さらに、バス無料DAYを2日間実施するとともに、タクシーおでかけチケットを配布するなど、公共交通の利用促進を通じた事業者支援とともに、地域活性化や市民の健康づくりにもつなげてまいります。
観光・スポーツ・文化
次に「観光・スポーツ・文化」であります。
新たな航空路線の誘致について、令和7年度は、伊丹空港、神戸空港、関西国際空港といった関西圏への路線とアジア圏を中心とした国際路線の誘致に向けて、積極的なプロモーション活動を展開してまいります。
国内外からの観光客増加に向け、旭川市と旭川観光コンベンション協会、大雪カムイミンタラDMOで構成する(仮称)観光戦略会議を設置し、アドベンチャートラベルの充実や観光客受入環境の強化に向け、それぞれの役割や方向性について協議し、統一した戦略に基づき国内外に向けた観光誘客の取組を前進させてまいります。
開業40周年を迎えたカムイスキーリンクスは、記念コースを新設し、オーストラリアからのツアー申込みが前年比10倍の約2千人となるなど好調です。令和7年度は第5ペアリフトの改修に着手するとともに更なる来場者数の増加に向け積極的にPRしてまいります。
総合体育館の再整備につきましては、花咲スポーツ公園の再整備基本構想の下、令和6年度策定中の新アリーナ等基本計画と、官民連携導入可能性調査の結果を踏まえ、令和12年度のオープンを目指して、具体の整備手法及び事業者の選定などを行ってまいります。
東光スポーツ公園の複合体育施設につきましては、花咲スポーツ公園新アリーナ等基本計画において役割分担を図っており、令和12年度のオープンを目指して、令和7年度は実施設計に入り、施設規模や配置等を整理してまいります。
サッカー・Jリーグが2026年-27年シーズンから8月開幕になることから、夏合宿のキャンプ地として比較的冷涼な北海道が注目されており、本市においても合宿誘致を進めてまいります。
また、本年も大学野球界の名門、慶應義塾体育会野球部の合宿が開催されます。合宿が3年連続で開催されたことにより、本市の良好な野球環境について認知度が高まった結果、今年8月6日から5日間にわたり全国の社会人野球の名だたる強豪16チームが集まる第66回JABA(日本野球連盟)北海道大会が旭川スタルヒン球場で開催されることにつながりました。
北海道日本ハムファイターズ2軍戦については、昨年9月に私自身が直接球団に開催を要望した結果、今年8月17日に開催されることになりました。
さらに、パラスポーツ体験会の開催や合宿受入れなどにより、障がい者の皆様が積極的にスポーツに参加できる環境づくりを進めてまいります。
今後も北口榛花選手をはじめとするスポーツみらいアンバサダーの力もお借りし、「スポーツ王国・旭川」を目指してまいります。
科学館が開館20周年を迎えることを記念した特別展「特撮のDNA」(ゴジラ展)を開催します。開催期間は夏休みを含む7月から9月で予定しており、より多くの方々に歴代ゴジラの造形や精密なジオラマを御覧いただく貴重な機会にしてまいります。
市民文化会館の再整備に向けては、市民の皆様に長く親しまれる施設となるように、令和7年度は、広く市民意見をお聴きし、利用者ニーズをしっかりと把握しながら、基本計画の策定を丁寧に進めてまいります。
都市交流については、中華人民共和国・哈爾濱市との友好都市提携30周年、鹿児島県南さつま市との姉妹都市提携10周年を記念し、哈爾濱市から代表団や芸術訪問団を受け入れるとともに、南さつま市とは代表団等の相互訪問を通じて交流を深めてまいります。
旭川市出身の株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングス名誉会長を務める福嶋氏御夫妻より御寄附いただいたマイセンコレクションについては、デザイン都市としての価値を高めるため、私自身が寄贈をお願いしてまいりました。マイセンはヨーロッパで最古の有名な硬質磁器でありますが、特に御夫妻が収集された約150点のコレクションは世界的にも大変貴重なものであります。市民の皆様に広く御覧いただける展示となるよう取組を進めてまいります。
環境・ゼロカーボン
次に「環境・ゼロカーボン」であります。
ゼロカーボンシティ旭川を目指し、本市における再生可能エネルギー導入に適したエリアを定めるゾーニングマップを作成し、自然環境と市民生活との調和を図るとともに、適地において陸上風力や太陽光などの再生可能エネルギーの立地を促進してまいります。
また、大規模な風力発電が展開している宗谷地方の再生可能エネルギーの活用に向け、本市への広域送電ネットワークの増強について、引き続き国等に要望してまいります。
公共施設の脱炭素化に向けた取組も進めてまいります。
旭山動物園ではゼロカーボンZOOに向けた取組として太陽光発電等の再生可能エネルギー設備導入の基本設計に着手します。
また、次期最終処分場管理棟において、地中熱エネルギーの活用に向けたボーリングを実施し、エネルギー効率が高い建築物に与えられるZEBReady認証の取得を目指します。
市民向けの制度では、太陽光発電設備やペレットストーブ、薪ストーブなどに係る導入費用の一部補助を継続してまいります。また、市内事業者向けにCO2排出量を可視化するシステムの導入を支援してまいります。
令和6年度に開始した旭川市地域材活用住宅建設補助金は道内で最も充実した住宅補助制度として大変好評をいただいております。利用者の8割以上が旭川産材を利用していることから、CO2削減と市内林業、住宅建築業の活性化を同時に達成するGXの取組として充実してまいります。
女性活躍・若者・市民参加
次に「女性活躍・若者・市民参加」であります。
女性活躍については、「みんなのキャリアの保健室」を本格設置するとともに、若年女性向けのキャリアデザインを考えるワークショップなど、就労の選択肢を拡大する取組も実施してまいります。
また、中小企業診断士が企業に対し、女性のニーズに係る情報提供やアドバイスを実施するなど、女性の就労環境の向上に努めてまいります。
若者の地元定着につなげるため、奨学金返済補助や地域中小企業の魅力発信を支援するとともに、スタートアップを目指す若者の創業から成長に至るまでのプロセスを支援します。
高校生や大学生を含む若年層が起業を体験し、地域課題の解決に取り組む実践者等と出会う機会を提供することで、若年層の将来に地域で起業するという選択肢が増え、人口流出緩和につながるだけでなく、地域の未来を担う人材の創出を目指してまいります。
地域経済の担い手確保という観点から、外国人材を受け入れていくことも必要である一方、日本文化や言語への理解不足などコミュニケーションの問題が指摘されております。
昨年11月には、旭川未来会議2030で市内在住の外国人の方々から直接御意見を伺っており、引き続き、旭川での暮らしに関わる情報提供や相談に対応するとともに、市内企業向けに外国人材活用に係る相談窓口を開設し、多様な人材が活躍できる環境づくりを進めてまいります。
協働のまちづくり事業において、市がまちの活性化につながるテーマや企画を提案し、応募のあった民間企業や市民活動団体などと協働で事業を実施する行政提案型の制度を設けます。
DX・市役所改革
次に「DX・市役所改革」であります。
庁内DXの推進では、次世代窓口グランドデザインに基づき、「行かなくてもいい」「行っても簡単」な日本一の窓口の実現に向けて森本CDOと共に取組を進めてまいります。
また、都市計画図や住宅地図、道路台帳などこれまで各部署で作成していた地図データを統合し、一元管理することで業務の効率化に加え、今後10年間の地図情報に係る初期投資費用やランニングコストの削減を図ります。また、作成した洪水ハザードマップや公共施設マップなどは市民や事業者に公開してまいります。
図書館においては、図書貸出システムを更新し、アプリやマイナンバーカードでの本の貸出しを可能とすることに加え、LINEなどの通信アプリを利用して予約図書をお知らせする機能や、中央図書館内の読書室にフリーWi-Fiを導入するなど、市民の皆様にとって、より快適で利用しやすい図書館といたします。
また、学校施設スポーツ開放事業について、これまでは地域住民の方々などに体育館の施錠や解錠をお願いしておりましたが、利用予約のオンライン化とともに、スマートロックを導入し、事前登録した利用者自らが実施できるようにします。令和7年度は小・中学校30校での導入とし、将来的には対象となる全50校に拡大し費用削減を進めます。
さらに、マイナンバーカードの電子証明書の有効期限を迎える方々が令和7年度から増加するため、総合庁舎と各支所に加え、市内13局の郵便局でも更新可能とすることで、市民サービスの向上を図ります。
職員の働き方改革の推進では、テレワークやフレックスタイム、時差出勤の試行実施を予定するとともに、福祉や農業、建築などの各分野で新たに約100個の業務アプリを作成し、柔軟な働き方、長時間勤務の削減、業務の効率化を同時に推進します。
ふるさと納税については、就任後より、特に取組を強化してまいりました。令和3年度は約19億2千万円でしたが、令和6年度は約33億8千万円の寄附を見込み、約1.8倍の増加となっております。令和8年度の50億円を目標に掲げ、令和7年度は43億円の寄附額を確保するべく更なる返礼品の強化や分析、PRに取り組んでまいります。
企業版ふるさと納税については、令和6年度は過去最大の約7千万円の寄附を見込んでおり、地域振興施策の実施に寄与しております。今後も関係機関等との連携を深め、更なる寄附受入れにつなげてまいります。
行財政改革の推進
以上、主要10項目を中心に令和7年度予算について申し上げてまいりました。
旭川市民文化会館は築50年、総合体育館は築45年と老朽化により更新時期を迎えています。これらは市民の皆様がいきいきと暮らし、活躍していただくため、また国内外から多くの人々を呼び込み、外貨を稼ぐためのスポーツや文化の拠点施設として、整備を計画的に進めていく必要があります。
また、築28年の近文清掃工場や築21年の最終処分場などは、市民生活の維持に直結する重要な基礎的インフラであり、着実に整備を進めなければなりません。
そのような中で、エネルギー価格や物価高騰に伴う施設の管理費、人件費や扶助費など義務的経費の増加などにより、このままの状況が続けば必要な行政サービスを維持できない可能性があります。そのため、未来を見据え行財政改革の徹底による歳入と歳出の両面の見直しが急務であります。
まず、歳入の確保では、ふるさと納税は令和8年度寄附額50億円を目標に取り組みます。また、企業版ふるさと納税による財源確保を図ってまいります。
さらに、令和8年度に予定している使用料・手数料の改定を念頭に、令和7年度は全市の施設使用料、入場料金、各種手数料等について見直しを進めます。
国費等の獲得については、これまでと同様に、中核市市長会や北海道市長会、上川地方総合開発期成会の自治体と連携するとともに、単独要望においても国等への要望を行い、交付金獲得などに取り組んでまいります。また、防衛省所管の補助金については、令和8年度からの次期最終処分場への活用に向けて、要望してまいります。
市税収入の確保では、令和8年4月からの宿泊税の円滑な導入に向けて令和7年度に準備を進めます。また、更なる観光・スポーツ振興、コンベンション誘致による宿泊客や交流人口の増、中心市街地における老朽建築物の建替促進、企業誘致や農業・産業振興などを通じて、市民所得や不動産価値を増加させ、市民税や固定資産税の増収につなげてまいります。
歳出の削減では、将来見込まれる財政負担を的確に分析し、事業の効率化や事業費の抑制に取り組むことが重要です。
庁内DXを更に進め、働き方改革とともに業務効率化による時間外勤務等の削減を図り、また、業務の見直しと合わせて職員の配置などについても適正化を図ってまいります。
公共施設については、旭川市公共施設等総合管理計画の施設再編計画をより具体化し、統廃合を含め必要な機能やサービスの在り方を検討していくとともに、学校の統廃合については、旭川市立小・中学校適正配置計画に基づき着実に推進してまいります。
行政サービスについても、全事業見直しを継続し、類似事業の統合や既存事業の見直しを徹底して進めるとともに、負担金、補助金等の更なる適正化を図ります。
令和7年度は以上の取組を通じて、旭川市行財政改革推進プログラム2024で掲げている歳入確保と歳出削減の取組を着実に進めることで、未来への投資に係る財源をこれまで以上に確保してまいります。
市民の皆様と共に
振り返ってみますと、3年5か月前、旭川は閉塞感と停滞感に覆われていました。しかし、今はどうでしょうか。
「まちが大きく変わってきた。」という市民の声に代表されるように、正に「変化を実感」されていることと思います。
この歩みを更に確かなものにしていかなければなりません。
令和7年度も市民の皆様の安心安全、そして、夢と希望の持てる旭川を創るためまい進してまいります。
市民の皆様と議員各位におかれましては、市政推進に格別の御理解と御協力を賜りますようお願い申し上げますとともに、ますますの御健勝と御活躍を祈念申し上げ、令和7年度の市政方針といたします。