ページの本文です。

ブログ

「しいくのぶろぐ(2022年)」の記事一覧

ゆく年、くる年

 旭山動物園では12月に入り雪は降るのですが日中の気温が高い(といっても旭川基準)日が続き、感覚的には札幌圏のような気候でした。今年は冬休みに入ってからコロナ禍前のように来園者が多くなりました。3年ぶりに帰省や旅行という方も多いのではないかと思います。
 コロナ禍での3年間は、環境問題やその解決のための一人一人の行動変容につながることを期待しての活動は必ずしも積極的には行えませんでした。日常の不安や閉塞感が続く中、飼育動物たちの子育て、成長など動物の営みに関心が集まる・心が動く3年間であったように感じます。どこかでふと安らげる癒やしを求めていたのかもしれませんね。空前のペットブームを迎えているのもうなずけます。
 明日から兎年、新しい年を迎えます。コロナ禍はまだまだ続きますが、ほぼ3年間凍結状態だったボルネオでのボルネオゾウなどの保全活動も再開のめどが立ちました。新たにゼロカーボンの取り組みも始めます。空白の3年間を一気に取り戻す勢いで頑張る一年にしたいと思っています。

 今年も一年暖かく見守っていただきありがとうございました。
 来年もよろしくお願いいたします。皆様にとってもよい年になりますように。

ゆく年 くる年

写真をよーく見てね

園長:坂東 元

ニワトリのたまご

みなさんのお家の冷蔵庫を見てみると
大体のご家庭でたまごが入っていると思います。

卵焼き、ゆで卵、目玉焼き、生卵などなど…

私たちは様々なニワトリが産んでくれたたまご料理を日常的に食べていますが、たまごについて、どれだけのことを知っているでしょう?

たまご

「旭山動物園で飼育しているニワトリが産んだたまご」

恐らく多くの方は「黄身」がヒヨコになるのかな?と思うかもしれません。
ですが、「黄身」はヒヨコになるまでの栄養なんです。(ちなみに「白身」は黄身を守るためのクッションの役割があります)

では、たまごのどの部分がヒヨコになるのでしょうか?
答えは、「黄身」の中にある「白い点(胚)」です。
たまごを割った時に見えることもあるので、是非探して見てください!

また、黄身の左右には、黄身を真ん中に固定するハンモックの役割がある「カラザ」があります。生卵を食べた時に少し口に引っかかる感じがあるものです。

そして、あまり知られていないのは、赤いたまごの方が栄養があると思われがちですが、白いたまごと赤いたまごは栄養価が変わりません。
たまごを産む親の羽の色で、たまごの色の違いが出てきます。(赤い羽なら赤い卵など)

うむ瞬間

「たまごを産む瞬間。うんちと同じ場所から出てきます」

うむ

「たまごが産まれる瞬間」

たまごうんだ
「産まれたたまごを確認するニワトリのメス」

いかがでしたか?
いつも日常的に食べているたまごについて、お話しましたが、この内容を見ていただいて家畜について見つめ直すきっかけとなればいいなと思います。

こども牧場の展示エリアでは、「いただきますパネル」と呼ばれる、家畜について分かりやすく解説をしたパネルがありますので、旭山動物園に来た際はパネルにも注目して楽しんでみてください!

パネル

「いただきますパネルはこども牧場内にあります!見つけてみてね!」

こども牧場担当:志子田紗希

すっかり冬に

今年は積雪が遅いなと思っていましたが、12月に入るとあっという間に雪も積もり、すっかり冬になりました。そして今年ももう残すところわずかとなりました。
ここ数年、北海道ではヒグマの市街地への出没や人との軋轢が問題となっています。そんな中で今春にオープンした「えぞひぐま館」もはじめての冬を迎えています。
オープンからこれまでの間、少しでもこの軋轢が解消できればとの思いで、展示物を製作したり、日々ガイドを行ったりしていきました。そんな中で感じたのは、どこか人ごとのように思っていたり、動物園の動物と野生動物を同じように考えていたり、ヒグマを誤解しているような方などがまだまだ多くいらっしゃることでした。
市街地で生活していると野生動物を見たり身近に感じる機会はそう多くはないかもしれません。しかし、私たちが生活する同じ環境下には当然のことながら人だけではなく多くの生き物も暮らしています。もちろんヒグマも。
来園された一人でも多くの方が、動物園に足を運んだことで、少しでも他の生き物に目を向けるきっかけになったり、彼らとの適切な関係や周囲の環境について考えてもらえるようになればと願ってこの冬もガイド等の活動ができればと思います。
野生のヒグマはもう冬眠(冬ごもり)に入っている頃でしょう。活動期ではなくなったのでヒグマを意識する機会も少なくなってしまうと思いますが、この時期にしっかりとヒグマについて知って、考えて来春を迎えましょう。飼育している「とんこ」は野生のクマと違い冬でも毎日エサを食べることができるので冬眠をすることはありません。とんこを通してヒグマと人の未来について意識してもらえれば幸いです。
まだ少し早いですが、来年はヒグマにとっても人にとってもよい一年でありますように。

1

フクロウ・えぞひぐま館担当 大内章広

早寝早起きテナガザル

みなさん、サッカーワールドカップ楽しんでいますか?
私は楽しんでいます。

ただ一つ問題なのが、今回の舞台のカタールは日本と時差が6時間あり、試合によっては夜中から朝方になってしまいますよね。
どうしても寝不足気味で、早く寝ようとは思うのですが、その時間も注目の試合があったりで悩ましい日々です。

さて、やっと動物の話になりますが、私の担当しているシロテテナガザルはとっても早寝早起きです。元々、夕方収容後にはすぐ食べ終わって寝てしまうな、と思っていましたが、野生のテナガザルの研究でも3時頃には寝るということを知りました。
冬期は閉園後すぐに最後の餌を与えるのですが、あまり食べずに寝てしまうことが多いです。
そのかわり、とても早起きなので、朝は動物舎に入る前から歌声が聞こえることもあります。

ですので、元気なシロテテナガザルを見たい方は開園直後がおすすめです。

他の動物たちも活動時間はさまざまなので、もし動物が寝ていても静かに見ていただき、時間を変えて再度訪れると違った姿を見られるかもしれません。

テナガザル

獣医師・テナガザル館担当 中村亮平

シロザケの卵のお話

 日ごとに冬を訪れを感じる中、冬期開園しました。
 そんな中、私がお伝えするのは、12月中旬頃からほっきょくぐま館で、今年も展示するシロザケの卵のお話です。
 卵から孵化して仔魚から稚魚までの成長を観ていただけます。
 そして、4月には成長したシロザケの放流イベントも行われます。
 今年は、卵を展示している水槽の隣の水槽に前回、展示していた卵から孵化して成長を続けているシロザケを展示しています。
 皆さんもご存知の通り、シロザケは河川で孵化して、河川を降り、海に出て、3年から4年ほどかけて成長して産卵のために孵化した河川に戻って来ます。
 その習性を母川回帰と言います。
 前回、孵化したシロザケを展示している水槽は、海で成長している間の変化を観察出来るように海水に近づけた濃度の水で展示しています。
 実は、去年も同じ試みをしていたのですが、データ等も少なく、手探りでの展示で10月を越える事が出来なかったのですが、昨年の経験を活かし、今年は10月を無事に越えて、今も成長しています。
 皆さんにも河川を降り、遠い海で成長しているシロザケを少しでも感じていただけたら嬉しいです。
 そして、シロザケは陸上養殖が難しいとされており陸上養殖に成功出来たら、世界初の出来事になります。
 そこで、この水槽で展示しているシロザケを立派に成長させて、その難しいと言われているシロザケの陸上養殖の壁を打ち破る何かを得られたらと思っています。
 それでは、冬の旭山動物園にご来園の際には、暖かい服装と滑りづらい靴でお越し下さい。
 そしてぜひ、ほっきょくぐま館内で展示しているシロザケの卵とシロザケを観察してみてください。


シロザケ

ぺんぎん館:高橋太郎

サル舎近況

 先月しいくにゅーすでお伝えしたとおり、10月20日にブラッザグエノンのモモが出産しました。3年連続の出産です。
 しばらくはしっかり抱いて離さないので性別がわからなかったのですが、生後1週間くらいからときどき離して遊ばせるようになり、オスだと判明しました。
 兄たち同様なかなかやんちゃで、出窓ではよく母から離れて遊んでいます。

 あかちゃんの毛は金色で数年かけてだんだんと大人の色になっていきます。2020年生まれの「マモル」はだいぶ大人の色に近づいてきました。こどもたち3頭の毛色の違いにも注目して見てみてください。(まだ名前は考え中です)

モモとこども

モモとこども(10月31日撮影)


 8月に生まれたアビシニアコロブス(オス)は「あたる」という名前にしました。
 まっ白だった毛は黒い部分が増え、大人の配色に近づいてきています。
 最近はあたるが鳴くとあんずがだっこしようと近づき、あたるは手を伸ばして自分から抱きつくようになりました。

あたる

あたる(11月11日撮影)


 これからどんどん寒くなり、サル舎のサルたちは短時間の放飼が基本になります。出窓のヒーターがついていたら放飼のサインです。

 日々の様子はSNSにアップするのでそちらもチェックしてみてください。

 サル舎・狸狐担当:佐藤和加子

獣医のおしごと 麻酔編

 動物園の獣医には様々なおしごとがあります。その中でも今回は麻酔についてお話ししたいと思います。皆さんは麻酔と聞いてどんなイメージを思い浮かべますか?もしかすると、麻酔の注射を刺したら、すぐにバタッと倒れてグーグー寝始める。と思う方も多いと思います。でも実際はちょっと違います。

 先日ホッキョクグマのホクトを搬出するために麻酔をかけたので、それを例に説明すると、まずはじめに吹き矢で麻酔その(1)を刺します。ホクトの体重は400kgだろうと推測したのですが(実際は386kgでした)、麻酔(1)の量は13mlもあります。15分くらい経つと、立っているけどボーっとしてる様子になりました。そこからさらに10分経つとうつ伏せで寝ている様子になりました。ここでさらに麻酔(2)を24ml注射して深い麻酔状態にします。そこからさらに5分経つとかなり深く麻酔がかかりここでやっとホクトと同じ部屋に入ることができます。麻酔中は獣医がつきっきりで呼吸、心拍数などの状況をチェックします。今回の麻酔は問題なくスムーズに寝てスムーズに起きたので、ホッとしています。

 皆さんの中には吹き矢は痛いからかわいそうとか、麻酔自体がかわいそうと思う方がいらっしゃるかもしれません。しかし、動物の移動をするとき、検査をするとき、手術をするとき、様々な場面で安定した麻酔が必要になります。麻酔をしている所は中々見ることは無いかと思いますが、獣医の大事な仕事の一つです。

写真1

麻酔の薬が入った吹き矢がホクトの右太ももに刺さっています。

写真2

麻酔中のホクト

写真3

麻酔から醒めたホクト

獣医師・くもざる・かぴばら館担当:佐藤伸高

ライオンの子どもの愛称が決まりました

 毎年11月に入ると今年が後2ヶ月しかないことに驚いていますが、今年もしっかりと驚いている今日この頃です。

 ここ最近SNSで随時更新しているライオン一家ですが、子どもたちの愛称が決まりましたのでお披露目したいと思います。

 「フウ」「レイ」「イト」です。


フウ

フウ


レイとイト

左がレイ 右がイト


 それぞれの見分け方としては、

 「フウ」

 耳が大きい。目が丸い。今のところ1番大きい。と比較的パッと見でわかりやすいかと思います。

 「レイ」

 顔が細め。顔が少し引っ張られたような顔?疲れ顔?(職員たちの感覚的なものなのであしからず)

 「イト」

 つり目。毛の色が薄い。

といった感じで「フウ」以外は分かりにくいかと思います。私たちもなんとかじーっと見てこっちか?というような感じではあります。。。

 今回の名前の付け方は「響き」「2文字」「親しまれている歌の中にある言葉」的なところで考えました。

 カタカナ表記にはしていますが漢字では「風」「麗」「糸」となります。

 いくつかの候補の中からかなり悩み決めました。他の候補は秘密です。

 いよいよ冬期開園がスタートしますが、ライオンの子どもたちに関しては天候や体調を見て、不定期の展示になりますので、その時のお楽しみです。

 子どもの見た目や成長に目が行きがちですが、それだけではなく群れで生活し、オスも子育てに参加するというライオンらしい営みや、群れとしての成長を見ていただけると嬉しいです。

 これからも随時SNSで発信していきますので、引き続き暖かく見守っていただければと思います。

もうじゅう館・フラミンゴ担当:若山晃暉

好きな動物は何ですか?

 現在SNSを大多数の人が使うようになり、『推し』という存在の情報もかなり得やすくなったと思います。

 推しの対象はもちろん人間だけでなく、動物にも当てはまるもので、マヌルネコの『グルーシャ』だけを見に旭川まで来られる方も一定数いらっしゃいます。

 私はヘビのガイドで、贔屓目を無くすため「私はヘビが好きなわけではありません」と言うのですが、営業トークではなく本音です。

「好きな動物は何ですか」と聞かれれば、レッサーパンダともマヌルネコとも両生類とも答えません。

 私が好きな動物は『オカピ』と『オオアリクイ』と『ラティメリア(現生のシーラカンス)』です。

 少しでもシーラカンスに興味がある方は、沼津港深海水族館を訪れてみてください。

 冷凍された本物のシーラカンスを見ることが出来ますし、展示物も分かりやすくオススメです。

1

これがラティメリア

「自分の担当動物=好きな動物」ではないことに驚かれることが多いのですが、飼育員としてはそんな珍しい事では無いと思います。

 そもそも担当動物は変わるので、自分の好きな動物の仕事だけが出来るわけではありません。

 ただ、勘違いして欲しくないのは、好きな動物にその種が挙がらないだけで、個体に関しての気持ちはそれぞれの飼育員が一番に持っていることと思います。

 砕いて言うと、好きな動物がレッサーパンダではないけれど、本園のレッサーパンダは一頭残らず好きです。

 他の動物園にレッサーパンダを見に行っても、レッサーパンダそのものではなく旭山動物園のレッサーパンダのために、施設やエンリッチメント等を見ている時間の方が圧倒的に多いです。

2

マヌルロックに憧れた

 我々飼育員は、好きな動物じゃなくても、苦手な動物だろうと、その個体のよりよい生活や命のために、知識や観察力を身につけ、様々な技術も磨いていかなければなりません。

 とは言うものの、私は動物そのものが好きなので、8年経った今でも毎朝仕事に行くのが楽しみです。

 こんなにも色々な体験や新しい発見を与えてくれる動物にはしっかりと恩返しをしていきたいですね。

3

発見だらけの日々

(小獣舎・両生は虫舎担当:鈴木 達也)

【ホクト】

 しいくにゅーすでお伝えしている通り、ホッキョクグマのホクトが札幌・円山動物園に移動することになりました。

 最近しばしば来園者から「きょうはホクトを見られますか?」と質問されます。今回の繁殖成功で、ホクトとピリカはちょっとした「有名グマ」になったようです。

 ホクトはサツキ&ルルと入れ替えで半日展示しています。

 先日、園内の「どうぶつ図書館」にご家族連れが来園され、お子さんが絵を2枚渡してくれました。「ホクトに渡してください」と言伝があったそうです。

1

     ね

     ら

     か

ほ    く

く    い

とまたあいに

「ホクトまた会いに行くからね」。ちょっと前に流行った「縦読み」みたいですね。

2

 こちらは妹さんが描いてくれたそうです。兄妹でホクトへの似顔絵付きメッセージを描いてくれたのですね。

 ホクトに渡すとビリビリにされちゃうと思うんで、ほっきょくぐま館2F、階段を上がったところにある掲示板に貼らせていただきました。

3

 ホクトは今後、吹き矢で麻酔をかけ、鉄製の輸送箱に入れられて移動。円山動物園の施設に入ったらすぐにメスとのペアリングを試みられるでしょう。その運命を知らぬは本人(熊)ばかりなり。

4

 ホクトには試練となりますが、まずは無事に札幌に移動すること。さらには繁殖に成功することを、旭川の地から祈っております。

 ホッキョクグマ繁殖成功は、間違いなく私の飼育係人生で最高実績でしょう。ホクトとピリカには特別な思い入れがあります。

 ホクト感動をありがとう!札幌でもがんばれよ!

(ホッキョクグマ・アフリカ水槽担当:大西 敏文)

カイコの学校、開校(カイコう)まもなく1周年

 去年のある夏の日のことです。

 「そうだ、こども牧場でカイコの展示をしよう!」

 もちろんただの思いつきではありません。なぜこども牧場でカイコなのかというと、理由は2つあります。

 1つ目はカイコ(家蚕)が家畜であるということ。こども牧場はウサギやヤギなどの家畜・ペット種を飼育しています。カイコ(家蚕)は移動能力が低く、幼虫はほとんど移動せず、成虫は羽があるのに飛べません。人の手がないと生きていけない動物、いわば究極の家畜なのです。

<>br

 2つ目は学びの機会が平等にあるといいな、と思ったこと。本州などの一部の学校では授業でカイコの飼育をすることがあるそうですが、旭川の学校に通っていた私は存在もあまり知りませんでした。野生にいないので、機会がないとなかなか見ることができないカイコを、多くの人に見ていただきたいと思いました。

こうして始まったカイコ飼育計画。入手方法や飼育方法を調べ、去年の12月になんとか飼育展示を開始することが出来ました。

 飼育する中でも困ったことがいくつかありました。特に困ったのは温湿度の管理です。カイコは温湿度の管理がとても重要で、温度は25度以上、湿度が70%ほど必要です。しかも風通しは良くなければいけません。しかし、冬のこども牧場は20度ほどしかありませんでした。そこで、網とアクリル板で作った専用の飼育ケースを準備し、ヒーターや加湿器で温湿度をなんとか保てるようにしました。

 そしてまもなく、飼育開始から1年が経ちます。現在3代目のカイコが繭を作っているところです。展示を始めてみて、たくさんのことを学びました。例えば、カイコの繭は1本の糸で出来ていること。交尾後、人の手でオスとメスを離さなければいけないこと。思った以上にカイコが繊細な動物であること。学んだことを上げ始めたらきりがありません。

 1番の収穫は思っていたよりも多くの方がカイコに興味を持ってくださったということです。

 明治時代、日本は諸外国と対等になるために製糸業に力を入れ、たくさんのカイコが飼育されていました。そんな日本の発展に一役買っていたカイコについて、これからも多くの方に興味を持ってもらえるよう、飼育展示に取り組みたいと考えています。

 まだまだ私自身分からないことも多くあるので、皆さんと一緒に勉強していきたいです。もし詳しい方がいらっしゃいましたら是非教えて下さい!

カイコ展示場

こども牧場での展示の様子

枝まぶし

枝蔟に作った繭

こども牧場担当:泉こはる

タンチョウのコウセイ

 秋を迎えて旭山も紅葉が進んでいますが、北海道で最も高い山、標高2291mの旭岳では10月5日初冠雪となり着実に冬の訪れの足音が聞こえてくるようなそんな毎日を過ごし一年の時のはやさを実感しています。

 さて、タンチョウの雄のコウセイは3月に釧路市からやってきて半年がたち初めて旭山で冬を過ごすことになります。

 コウセイは雌のノモ子が6月に亡くなりさみしくなりましたが食欲もあり元気です。食べ物は雑食性で、旭山では、ホッケ・ワカサギ・シシャモ・オキアミ・トウモロコシにペレットなど与えています。自らミミズや昆虫類など時にはネズミまで食べることもあります。冬は氷も口にします。

 私が餌をもってコウセイにもっていくと本来なら、なわばりもあるので威嚇してくるのですがコウセイは落ち着かずフェンス超しに逃げまわります。そして私がいなくなると餌を食べ始めます。

 コウセイは2017年、標茶町で他のタンチョウと争い喧嘩してしまい左羽翼は半分骨折して無い状態です。その影響で将来、空を飛ぶのもほぼできないので私に対してもおびえてしまっているのでしょうか?しかし、保護され獣医さんに手当され命は助かり、こうして元気に過ごしている姿、特に冬の雪景色のタンチョウをみなさんもぜひ見に来てください。

 新しいパートナーと将来めぐり合って鶴の舞う姿を見せてほしい願いはあります。

1

タンチョウのコウセイ

(タンチョウ舎・ちんぱんじー館担当 高井正彦)

レッサーパンダの名前が決まりました

 10月になり、レッサーパンダにとっては過ごしやすい季節になってきました。
 SNSにも随時掲載しております、仔の続報です。
 ようやく竹をかじるようになってきて、日中も外でのびのびと遊び回っている状況であり、母親の渝渝(ユーユー)も外放飼場で授乳を行うほどに落ち着いています。
 また、レッサーパンダの仔の名前が決まりましたので、ご報告させていただきます。

 【仔の名前】
 オス「菫菫(ジンジン)」
 メス「茜茜(チェンチェン)」
となります。

ジンジン  チェンチェン

左の写真「菫菫(ジンジン)」  右の写真「茜茜(チェンチェン)」


 現状の個体識別の方法に関して、菫菫は目の周りに『S』がくっきり見えます。
 茜茜は目の周りの茶色模様が顔の中央側により伸びています。
 個人的には『S』で見分けるのが分かりやすいかなと思います。
 とは言うものの、上から見るとさっぱりですが。。。


 名前に関しては、「花の名前」「音の雰囲気・呼びやすさ」「顔のイメージ」を元に決めました。
 菫は「すみれ」で、茜は「あかね」となります。
 名前は最後まで悩みっぱなしでした。
 椿(つばき)や葵(あおい)、薊(あざみ)など色々な候補が自分の中でありました。
 特に楡(にれ)が個人的に激アツだったのですが、読みがユーユーにしかならず断念でした。
 もちろん生まれる前から名前を決めておく担当者もいるでしょうし、私のように顔つきが整ってきてから最終決定をする飼育員もいます。
日本だけでなく、世界にも発信される名前なので、じっくりしっかりと時間をかけて決められて良かったのかなとは個人的には思っています。

 さて、近況の様子に関しては、まぁ菫菫が困ったものです。
 おととし生まれの蓮蓮(レンレン)はかなりのやんちゃなのですが、当時の蓮蓮よりも身体能力も高く、まだ無理だろみたいなところもズイズイ登っていくので、正直どきどきです。
 とは言うものの、本来レッサーパンダは木の洞で子育てをする生き物であり、赤ちゃんだからと我々が過保護にしているだけで、能力的にはきっとまだまだ持て余しているのだろうなと飼育員ながらに思い知らされる日々です。


 公開に関して、現在は放飼練習中であり、晴れている日はシュート(室内への扉)を開放して、半日程度の放飼を行っています。
もちろん親子の様子や天気・気温次第になりますので、あらかじめご了承ください。
一担当者としては、仔だけでなく、他の大人の個体も素晴らしい魅力があるので、仔が出ていようと出ていなかろうと楽しみに来て欲しいのですが。。。

 レッサーパンダの近況に関してはSNS等で発信していくので、引き続きあたたかく見守っていただければと思います。
 

小獣舎・両生類・は虫類舎担当:鈴木達也

最近のシンリンオオカミの様子

 朝、事務所から外に出ると温度計が10度ちょっとしかないことが多くなりました。

 北海道に住む私たちですが、冬に近づくにつれ空気が冷たくなってくると、体がまだ慣れていないため寒い寒いと言いながら外に出て行きます。

 オオカミのヌプリとアオイがいる獣舎のところにはマユミの木があります。

 この木の実が赤くなり、パカっと割れると「秋が来るなー」と感じます。

 シンリンオオカミたちは毛で覆われているためこの程度の寒さなら全く平気で、日が出ている日は気持ちよさそうにチップの上で寝ているアオイが見られます。

1

ヌプリとアオイの獣舎にあるマユミの木

 さて、最近のレラ・ワッカ・ノチウの様子はと言うと。。。

 レラがノチウのお尻を嗅ぎに行くと、ノチウはそのまま匂いを嗅がせ、その後下からペロリとレラの顔を舐めることがありました。また他の日には、投げ入れたおやつを取り合い、ノチウとワッカがケンカになりましたが、最初ノチウが尻尾を上げてアピールしていましたが、その後スッといなくなり、ワッカが残ったおやつを食べていました。

 朝様子を見に行くと3頭で寝ており、ノチウとワッカはすぐにこちらに気がついて耳をたてたり顔を上げますが、レラは反応することなく寝ていることが多いです。

2

レラ(左)とノチウ(右)

3

レラ(左)ワッカ(上)ノチウ(右)

 これからオオカミたちは冬毛に衣替えをします。保温のための毛足の短い毛とそれを覆うように毛足の長い毛で全身が覆われます。首の周りがたてがみのようになり、体が一回り大きくなったように見えます。そんな凜々しい姿への変化も楽しみながら、これからもしっかり観察していきます。

(オオカミの森・ととりの村担当:原田 佳)

9年ぶりのヤギの出産

 4月の中旬、美瑛にあるファームズ千代田さんに「こむぎ」を連れていき、オスと交配させていただきました。そして約5ヶ月の妊娠期間を経て、無事に9月10日の14時頃に出産しました。
 旭山動物園でヤギが産まれたのは、今最年長の「はなこ」と「まるこ」以来9年ぶりのことです。産まれた子どもはオスとメスの双子で、オスを「かえで」、メスを「あかね」と愛称をつけました。
 ヤギの成長はとても早く、体重は生後2週間で産まれたときの約2倍になりました。すでに他のヤギやヒツジ達と一緒に展示をしており、放飼場で兄妹で遊んでいる姿を見ることができます。
 子どもの時期はあっという間に過ぎていってしまうので、お早めにこども牧場の子ヤギの姿をぜひ見に来てください!


ヤギのこども

左:「あかね(メス)」 右:「かえで(オス)」

こども牧場担当:泉こはる

【ゴマフアザラシの体を知ろう!】

 いきなりですが、みなさんはアザラシの体をじっくり観察したことはありますか?

 正直泳いでいたり、水中にいることが多いのでじっくり観察することはちょっと難しい生き物かもしれません。

 ですが多くの方にアザラシについて知ってもらいたいと思うのが飼育担当だと思うので、私がブログ担当の時は普段見ることが難しい体の部位や、あまり知られていないアザラシのことを紹介していこうと思います!

 さて今回は1番みなさんが観察しにくい場所だと思う「口の中」を紹介します!


まずはゴマフアザラシの麦に協力してもらって撮影した口の中をみてください!

1

 どうですか?

 私たちとちょっと違うところがいくつかあったのではないでしょうか?

 全部話しているとすごく長くなってしまうので今回は2つに絞って簡単にですが話していきます。


 1つ目は歯の形が違います。

 私たち人間は前歯で物を噛みちぎったり、奥歯ですり潰したりしますよね?

 アザラシは犬歯という尖った歯で魚を捕まえてすり潰すことなく丸呑みで食べていきます。

そのため人のようなすり潰す形の歯がないんです!


 2つ目の違いは舌の形です。

 写真をみてもらえると分かると思いますが、先が少し割れています。これは魚を丸呑みにする時に喉奥へ魚を入れていく時の支えのように使うそうです。

 ちなみに丸呑みで食べるので味覚がほとんど発達していません。そのため私たちが食べて美味しいホッケも残念ながら味が分からないんです…


 今回は簡単にでしたがアザラシの口の中の紹介をさせていただきました。

 第2弾があれば違う体の場所を紹介しようと思うのでお楽しみに!!

2

3

 最後に気持ちよさそうに寝ているアザラシを載せておきます。

(あざらし館担当:大村 凌也)

鳴き虫を展示しています

今年のこども牧場は、夏に行っていたクワガタ・カブトムシ展が大盛況に終わり、秋の訪れを感じる身近な「鳴き虫」を展示していきます。

旭川で見られるキリギリスの仲間やコオロギの仲間を現在9種類展示しています(今後10種類に増える予定…)。


コオロギ
コオロギの仲間
キリギリス
キリギリスの仲間

 昼間でも「鳴き虫」たちの声は聞こえてきますので、どの鳴き声がどの「鳴き虫」なのか、鳴き声の解説看板を参考にしながら、 ゆっくり足を止めてご覧ください。鳴いていない場合は、看板で鳴き声を覚えてくださいね。

第2こども牧場の建物内で展示していますので、ぜひ身近な「鳴き虫」を感じに足を運んでもらえればと思います。


ハネナガ
ハネナガキリギリス
イブキヒメギス
イブキヒメギス

こども牧場・教育担当:佐賀真一
 

コロブス近況

すでにしいくにゅーすでお伝えしましたが、8月10日にアビシニアコロブスの「アビ」が出産しました。

今回はアビの過去の出産間隔よりも1ヶ月早い出産でした。

朝、室内の出血の跡を見て「ギガースとアルが大げんか?そのわりには2頭とも落ち着いてる…」なんて思いながらコロブスたちをよーく見ていたらアビのお腹にくっつく白いものが!びっくりしました…。

8月18日

                     <8月18日撮影>

こどもは生後2日目には母以外のものに興味を示し、現在は母の近くならひとりで遊ぶようになっています。ときどきアル・あんず・アクイラもこどもの相手をしていて、あんずはだっこもしています(あまり上手ではありませんが)。

アビシニアコロブスは同じ群れの他のメスが子育てを手伝います。あんずはアクイラが生まれたときよりも積極的にこどもに関わっています。「こうやって子育てを学ぶのだなぁ」と見ていてほほえましいです。

9月2日

                  <9月2日撮影 弟を抱くあんず>

きょうだい3頭(もしかしたらアルも加わって4頭?)で遊ぶ日もそう遠くなさそうです。こどもの毛色はこれからだんだんと変化して、生後4~5ヶ月頃にはおとなと同じ配色になるので、その様子にも注目しつつ観察してみてください。

ちなみに、性別はオスでした。名前は考え中です。

                            アル

<おまけ:とある日のアルの寝姿。室内では丸太の上で休むことが多く、このポーズはなかなか見られません。>

サル舎・狸狐担当:佐藤和加子

クジャクの羽が抜け始めました

 初めまして!今年の7月から旭山動物園にて勤務をしております、こども牧場担当の永澤と申します。
 担当動物はクジャクです。
 前職では、農業に携わっており、IPMという作物の病害管理をする仕事をしておりました。
 動物に関わる仕事をするのは初めてですが、毎日新しい発見があり、刺激的な毎日を過ごしております。

 さて、皆さまクジャクというとどのようなイメージがございますでしょうか?
 ゴージャズな目玉模様の羽を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?
 私もクジャクの担当になるまでは知らなかったのですが、実はこの羽は1年中見られるものではないんです。
 クジャクは派手な羽を持っている方がオス、地味な方がメスになります。オスが派手な羽を持つのは繁殖の際にメスにアピールをするためです。クジャクの繁殖期は5月~8月頃で、それを過ぎると立派な飾り羽は抜け落ちてしまいます。

クジャクのオス 羽を広げる

クジャクのオス(羽を広げた状態)

羽をとじた状態

クジャクのオス(羽を閉じた状態)

クジャクのメス

クジャクのメス

 先週あたりから、一部のオスの飾り羽が抜け始めました。ゴージャスな羽が見られるのは今時期で最後になります。また、これからは羽が抜け落ちていく様子もお楽しみにいただけると思います。
 旭山動物園にお越しの際は、ぜひクジャク舎にも足を運んでみてくださいね!

飾り羽が抜け始めているオス

飾り羽が抜け始めているオス

1日で抜け落ちた羽

とある日のクジャク舎内で抜け落ちていた羽(1日でこの量が抜けました)

こども牧場担当:永澤琴音
 

春夏の流行は・・・

 この春からもうじゅう館では新たなムーブメントが起こっています。

 それがこれ!

1

 そう、ダンボールだ。

 変な書き出しになってしまいましたが、現在もうじゅう館の動物に不定期で段ボールを与えています。

 与えているダンボールはレッサーパンダ用竹が入っていたものや餌用鶏肉の梱包ダンボールなど基本ゴミです。

2

「竹6kg」と書いてあります

 どうせ捨てるものだし試してみよう的なノリで与えてみたところ予想外の好反応でした。

 与える際には肉汁を塗ったり、肉を入れたり、何もしなかったりと様々ですが、何もしていない段ボールでも反応は変わりません。

 ダンボールの使い方はひたすらちぎっていることが多いです。おそらく、捕らえた獲物の毛や皮をむしる感覚に近いのかな?と想像しています。

3

片付けが大変です。

 ただ他にも使い方や反応は様々で、

 箱のまま運び、

4

足取りも軽く見えます

 高いところでちぎったり、

5

登って片付けるのが大変です

6

さらに上り下りが大変です

 水の中で遊んだり、

7

プール掃除が大変です

 時にはびっくりして飛んだり

8

初ダンボール、中になんかいる!?

9

何回遊んでも盛り上がる!

 といった感じで、ダンボールひとつで様々な反応を見ることができました。

 ただただ捨ててしまっていたダンボールですが思いもよらず役に立つこともあるようです。これからもちょくちょくもうじゅう館のどこかにダンボールを投入していますので見つけたら少し立ち止まって観察してみると面白いかもしれません。

 またSNS等でも随時発信していきますのでお楽しみに!

(フラミンゴ・もうじゅう館担当 若山 晃暉)

ダチョウのヒナの成長

 6月のブログで、ダチョウのひなが5月27日に一羽孵化したのを報告しましたが、その後の6月7と9日にも孵化しています。

 3羽のヒナは親についてよく動きまわり、エサもよく食べて元気です。

 体重も背丈も生まれた頃の何倍にもなり、どんどん大きくなっています。

 6月の写真と、最近の写真を載せます。

 成長しているのがよく分かりますよね。

6月19日

6月19日の様子


8月1日

8月1日の様子


ダチョウ・ヤマアラシ・ぺんぎん館担当:田中千春

レッサーパンダの近況

 先日お伝えしたとおり7月5日(火)にレッサーパンダの「渝渝(ユーユー)」が2頭の仔を出産しました。

 渝渝は今回の出産を含め11頭もの仔を育ててきたので、子育てに関しては安心して見守ることが出来るベテランお母さんです。

 例年は3日間ほど産箱に籠もりきりになってしまうのですが、今年は出産した日からエサを置くとすぐに食べに来るほど落ち着いており、生後0日の赤ちゃんを初めて生で見ることが出来ました。

 150g程度だった体重も、今では500gまで増えており順調にすくすくと育っています。

 まだ目は開いていませんが、徐々に体色も付き始め、動きもかなり活発になってきました。

 性別もすでに確認しており、おととし同様にオスとメスです。

 顔立ちや性格を踏まえた上で名前を決めていくので、もうしばらくお待ちください。

模様も出てきました

模様も出てきました

 展示に関しては親子の体調や成長具合によりますが、例年どおり10月頃になるのかなと思います。

 また、産箱内の様子が見られるモニターに関しては、出産直前に渝渝にカメラを破壊されてしまったため、準備ができ次第の公開となりますのでそちらも楽しみにお待ちいただければと思います。

レッサーパンダ・両生・は虫類担当:鈴木 達也

チンパンジーに4年ぶりの赤ちゃんが誕生しました

 4年前の赤ちゃん、メスのニコルは生後3ヶ月でオスの個体に乱暴され事故が起きてしまい大変残念な出来事がありました。(2018年6月14日しいくにゅーすより)その後、出産例はありましたが上手く育たない状態が続き、メスの高齢化や近親交配を避けて避妊など行ってきました。

しかし、今回近親交配を避けていた群れの中で、フルト(41才)が6月22日に7年ぶりの出産をしました。性別は不明です。

 複雑な心境ですが、生まれてきてくれた命には素直に喜びたいです。ベテランの母親はしっかり赤ちゃんを朝も夜も離さず抱きしめています。生まれてから3才半から5才くらいまで母親のお乳を吸っていますので母子はいつも一緒で深い絆で結ばれます。母親は約5年周期で次の出産ということになります。さて、赤ちゃんは生まれてから少し弱い子で心配しましたがひと月の間で随分大きく成長しました。

チンパンジー子ども

6月22日に産まれたチンパンジーの赤ちゃん

 赤ちゃんの生まれながらにして3つの行為が反射的にできる様子もみられます。一つ目は、腕を広げての先にある母親のおなかの毛をつかみ、しがみつきます。足の力はまだ弱いので母親が手で抱きかかえます。二つ目は、母親の乳を探します。頬に刺激があると口の方に持っていくことです。三つ目は、乳首を吸うことです。人も含めてサルの仲間に共通したことと言えるでしょう。子どもは母親にしがみつき、母親は子どもを抱きかかえて愛情たっぷりと成長していく姿が微笑ましく思います。繁殖成功と言える時期(生後半年)を楽しみに見守ってくだされば幸いです。

ちんぱんじー館・タンチョウ舎担当 髙井正彦

ぺんぎん館での3ヶ月

 はじめまして。4月からペンギン担当として勤務しております、川勝と申します。

 大阪出身で、3月までは一般企業で経理の仕事をしておりました。小さい頃から動物が好きで、学生時代に動物の生態や環境について学んでいたこともあり、飼育員として採用いただきました。飼育員となり3ヶ月が経ち少しずつ業務にも慣れてきましたが、日々生き物と接することの責任を感じております。今回は3ヶ月間ペンギンを担当して、感じたことをお話したいと思います。

 まず、衝撃を受けたのは、エサの時間(もぐもぐタイム)でのペンギンの個性の強さです。ペンギンたちはよく人を見ており、3か月経った現在でも私からエサを食べないペンギンもいます。どうしたら食べてくれるだろう?と食べ方やタイミングなど、飼育している46羽それぞれの個性を見極めてエサをあげることができるよう、歩み寄っていきたいと思っています。

 現在の私の課題は潜水作業です。1ヶ月に数回、ぺんぎん館のプールを掃除します。具体的には水中で体勢を維持しながらガラス面を擦ったり、掃除機をかけたりします。潜水作業を行うには潜水士という国家資格が必要で、この資格は学生時代に取得していました。また、趣味で海でのダイビング経験は有りました。しかし水中で作業を行った事はなかったため、プール内で浮いたり沈んだりしてしまい、まだまだ練習中です。早く先輩方のように潜れるよう慣れていきたいと思います。

 さて、先日もブログにてお伝えしましたが、6月17日にキングペンギンのヒナがふ化しました。毎日大きな声で鳴き、元気に育っております。体重は1ヶ月で10倍以上になり、成長が早いなと感じました。是非足を運んでいただき観察いただければと思います。

1

ふ化当日のヒナ。体重は200gほどでした。

2

3

 7/17(30日令)のヒナ。体重は2,640gになりました。毎日体重を測っています。

 まだまだ未熟な点が多くありますが、日々変化するペンギンたちの魅力を伝えられるようになりたいと思っております。また、私自身お客様との会話から気付きを沢山いただいております。ぺんぎん館で見かけた際は是非話しかけてください!

(ぺんぎん館担当:川勝 優衣)

キングペンギンの雛のふ化のお話

 6月17日にキングペンギンがふ化しました。今回は、このヒナのふ化のお話です。

 毎年、キングペンギンが産卵すると卵はふ卵器へ入れ、親には偽物の卵を抱卵させます。ふ化したら、その偽物の卵とヒナを交換します。そうすると親は自分で孵したと思って、そのまま育ててくれます。

キングペンギンは、はしうちしてから雛が孵るまで48~72時間かかります。時間がすぎても卵から出てこられないと、そのまま死んでしまうので、飼育係が殻を割ってふ化を介助することがあります。ふ化できない雛は、体が十分に成長していないこともあるので、必ずしもそれがうまくいくとも限りません。

今回は72時間たってもふ化しませんでしたので、雛の状態を見て介助すると判断しました。体を傷つけないように、卵を慎重にすこしずつ割っていきます。雛は介助後も元気そうでしたので、もう少し待つと出てこられたのかもしれませんが、その判断は難しく、毎回迷います。

今は両親の元、順調に成長しています。ふわふわの茶色い綿羽が生え、愛らしさが増してきました。しばらくは室内展示場にいるのでぺんぎん館内でご覧ください。

1

(ぺんぎん館・ダチョウ・ヤマアラシ担当:田中 千春)

モカの独り立ち

 今年の4月、閉園期間中にオランウータンのモカの独り立ちを行い、3年に及ぶ兄モリトとの同居を終了しました。

1

独り立ちしたモカ

 令和元年にモカの母であるリアンが急死し、当時4歳になりたてのモカが孤児となりました。孤児となったモカですが、エサに困ることはないため、そのまま一人で暮らすこともできましたが、精神面の成長のことを考え、当時すでに独立していた兄のモリトとの同居を試みました。モリトが穏やかな性格であることや、モリトの独立後もたまにリアン親子と一緒に過ごさせていたことなどが功を奏したのか、同居は成功し、モリトは保護者のようになってくれました。あくまで母親ではないので、モカにとっては頼れる大人といった感覚でしょうか。


 オランウータンは群れを作らない動物です。仔育て期間が長く、一人の仔が独立するまでに7~10年ほどかかり、その間は基本的に母と二人だけで暮らします。仔は一人で生きていくために、エサの取り方や探し方、他の個体との距離の取り方など、「オランウータンとしての生き方」の全てを母親から学びます。母親の存在は精神的にも肉体的にも仔の成長にかかせません。野生では考えられない兄と妹の二人暮らしという形でしたが、この同居はモカの精神の安定や成長に良い影響があったと考えています。

 お互い良い遊び相手になり、寒い時には寄り添って暖め合い、モカがやんちゃをしすぎた時には怒っても、本気で激怒するようなことはありませんでした。エサの時だけはやさしさが一切無くなっていましたが、とても良い関係で同居できていたのはモリトだったからこそと思っています。


 モカは今年7歳になりました。野生のオランウータンでも早い個体なら独立しはじめる年齢になったこと、モカの性成熟まではまだ猶予があるものの、近親交配の可能性があることなどから同居を終了し、モカは独り立ちとなりました。

同居解消後、モリトは気にした様子も無く普段どおりでしたが、モカは不安そうな声で鳴いたり、イライラしたりしていました。寂しさもあったのだろうと思います。しかし独り立ちから2ヶ月以上たち、今のモカは大分おちついてきています。


 モカとモリトは今後、オランウータンらしい一人暮らしをすることになります。

 モリトは独り立ちした後にモカと同居となり、遊び相手がいる状態で長く過ごしたためか、年齢のわりに少し子どもっぽいところがあります。一人暮らしに戻り、これからは立派な大人のオスになっていくでしょう。そしてモカは独り立ちの寂しさを乗り越え、一人前のオランウータンに成長していくはずです。彼らの今後をぜひ見守っていただければと思います。

(オランウータン担当 中野 奈央也)

「55th」

 7月1日、旭山動物園は開園55周年を迎えました。1日が平日だったので「どうせなら2日の土曜日もやっちゃう?55の節目だし・・・」ということで、2日間にわたりいろんなイベントを行いました。飼育員の回顧トークや○×クイズ、あちこちで行われたマルチポイントガイドばどなど、どのイベントも盛り上がり、やってる私たちもとても楽しいひとときでした。

1

○×クイズ

2

人形劇

3

働く車大集合

 中でも初の試み、午前0時から始まる「真夜中のインスタライブ」「そんな夜中に誰が見る?」と想っていましたがフタを開ければ常に1800人くらいの人が見てくれていて、トータル1万人の方が視聴してくれたという結果にビックリです!

 みなさん、楽しんでいただけたでしょうか?

4

 個人的には、この日用に作った「55thスプレーアート看板」新境地でございます。処女作ゆえ出来はいまいちですが、腕を磨きまたトライしてみようと想っています。

 60年、80年、100年とまだまだ頑張っていきますので、これからも旭山動物園をよろしくお願いいたします。みなさん、ありがとうございました。

(副園長 あざらし館 てながざる館担当:中田 真一)

キンクロハジロのヒナが生まれました

 6月19日の朝、ととりの村の大池を見るとキンクロハジロのヒナが3羽、母鳥と一緒に泳いでいました。

 その3羽はフラミンゴとととりの村の間にある出入口の近くで卵を抱いていたキンクロハジロの卵から孵ったヒナでした。

1

 キンクロハジロは潜水が得意なカモですが、ヒナたちも卵から孵るとすぐに泳ぎ回り潜ることもできます。

 ととりの村では、鳥たちの間で闘争などもあり、ヒナが産まれても死んでしまうこともありますが、キンクロハジロのヒナたちは、母鳥がしっかりとヒナたちのことを見守っているため、順調にすくすくと成長しています。

 3羽のうち、1羽だけ好奇心旺盛ではぐれがちなので、2羽しか見つからない時にはいつもドキドキします。

2

水を飲むキンクロハジロのヒナ

 ヒナがかえると、育雛用のペレットと大人が食べるペレットを砕いたものを混ぜて池にまきます。

 最近では、陸に上がって餌台にある餌を食べようとする姿も見られました。

 クチバシがまだ小さいため、ペレットを池まで運んで食べようとする姿に、成長を感じました。

3

羽繕いするキンクロハジロの親子

 ととりの村では、今も3羽のキンクロハジロが卵を抱いています。

 3羽のキンクロハジロたちが安心して卵を温め、ヒナを育てられるように環境づくりをがんばりたいと思います。

4

 余談ですが、ととりの村では毎年野生のスズメも繁殖しているようで、少し薄い色をしたスズメの幼鳥が餌を食べたり砂浴びするのを見かけることがあります。また、網の外ではカラスが巣を作って子育てをしているようです。

 アオダイショウも細くて短い若そうな個体が多く、飼育動物以外でも新たな命が生まれているのを感じました。

(ととりの村・オオカミの森担当:原田 佳)

はじめまして

 はじめまして。今年の4月から旭山動物園にて勤務しております、こども牧場担当の紺野と申します。

 担当動物はブタです。旭山動物園に入ったばかりの時は、慣れない飼育作業に苦戦していましたが、2か月経った今は楽しみながら業務に当たっています。

 僕が担当している「ゆず」と「うめ」の様子を写真でどうぞ!

ゆず

うめ


ゆず

 ゆず


 最近、うめは泥遊びを始めまして、夏の暑さで熱中症にならないように泥だらけになります。暑い日は見事な黒豚になっているので、ぜひ見に来てください。

 また、やすらぎの森休憩所付近にある循環型農園で、毎週土曜日(雨のない日)に畑作業を行っており、サークル活動で来てくれる高校生と共に野菜を育てています。

 最後に、この仕事はとても大変なのですが、動物たちとふれあうことで自分の知らなかったことを知ることができています。これからもよろしくお願いします。

こども牧場担当:紺野 聖空

【なまえをつけてね】

 ホッキョクグマの子、順調に成長しています。ようやく自発的にプールを泳ぐようになり(やれやれ)、ダイビングして遊ぶ子熊の姿に来園者も釘付けですね。

1

  6月1日から子熊の愛称を募集しています。ほっきょくぐま館入口に貼ってあるQRコードをスマホで読み込んで応募できますので、みなさんぜひご参加ください!

 私の担当動物の愛称を公募するのはこれが7度め。もう慣れたものです。手書き看板を準備します。

2

まずは絵のモデルにする写真を選ぶ。これがいいかな。

3

レイアウトを紙にざっくり下描きします。(雑すぎ?)

4

カラーパネルには下書きなしで直接描きます。

5

完成!

 後輩の中には驚くほど絵の得意な「画伯」がいてビビります。がしかしオジサンも負けてられません。17年も絵を描き続けてればちょっとは上達するってもので・・・。うん、我ながらいいデキだ!

 看板を描きながら、改めてホッキョクグマ繁殖に成功したのだなーとしみじみ感じました。気を抜かずに子熊の成長を見守っていきたいと思います。

 2016年に繁殖したアムールトラやユキヒョウは、搬出先の園ですでに父親になり、命が次の世代に受け継がれ始めています。

67

あのチビどもが今では父親か~。

 ホッキョクグマの子熊もいずれ立派な母親として子育てしてくれる事を期待しています。

 そんなわけで、良い名前の応募待ってます!

(ホッキョクグマ アフリカ水槽担当:大西 敏文)

はじめまして

 四月から新人飼育員として働いている土井と申します。担当動物はキリンです。新人といっても、昨年までは旭山動物園で広報の仕事をしていたので他の新人飼育員と比べてフレッシュさが足りません・・・

 さて、飼育員として働き始めて約2ヶ月となりますが、事務職の頃とはまったく違う仕事に最初は悪戦苦闘していました。広いキリンの寝室を慣れない道具(ほうきやホースなど)を使いながら掃除をするのですが、あまりの時間のかかりっぷりに悲しくなりました。

 最近では作業のコツがわかってきたのか、少しずつですが慣れてきて楽しみながら業務にあたっています。

 キリンたちを日々観察していると、様々な疑問が生まれてきます。先輩職員に聞いたり、専門書等を見てわかることもあれば、わからないこともたくさんあります。そのような気づきや発見を大切にしていき、もぐもぐタイム等でみなさんにお伝えしていければと思っています。

 最近のキリンたちとペリカンの様子を写真でどうぞ!


あさひ

あさひ すっかり大きくなりました。身長は3m近くになります。


ゆい

結  メスの頭はつるっとしています。


ゲンキ

ゲンキ オス特有の頭のゴツゴツがあります。


ペリカン

 モモイロペリカン キリンたちがいなくなると自由に放飼場内を動き回ります。


 最後に、キリンを飼育するという仕事はやりたいと思ってもタイミングや運がないとなかなかできないことだと思います。担当動物に責任を持ちをしっかりと観察し様々な知識を身につけていきたいと思っています。

 これからよろしくお願いします!


きりん舎担当 土井尚哉

マガモ・カルガモのヒナが孵りました

 5月30日ととりの村で3羽のマガモのヒナが孵りました。

 翌日からも次々と卵が孵り、ととりの村の大池はまるでカモの幼稚園のようです。

 1

眠るカルガモのヒナ

 4月末に鳥たちを外放飼場に出し、すぐにメスたちが卵を産み始めました。

 それからヒナが孵るまで、何度もカモたちの巣にヘビが入り、捕まえてはととりの村の外に放していたので、無事ヒナが泳いでいる姿を見たときは嬉しかったです。

2

泳ぎ回るヒナたち

 ヘビやネズミ、時にはカラスなどの天敵から親鳥に守られながら、よく食べよく泳ぎ、秋になる頃には親鳥と同じくらいの大きさになって、鳴き声もピーピーからグエーグエーと変わり、成長していくヒナたちのを見るのは感慨深いです。

野生では、キツネなど他にも外敵が多いカモたち。

厳しい自然界で親鳥は外敵の目につかない場所を探し、巣材を集め、自分の羽を抜いたりして巣を作り、たくさんの卵を産みます。

たまに巣材をかぶせて卵を隠し、餌を探しに行ったり水を飲みに行ったりしながら、雨の日も風が強い日も卵を温めます。カラスが近づいて来た時には卵を守るために羽で叩いて戦うこともあります。

3

卵を抱くマガモ

母鳥たちが産み大切に大切に温める卵の中には、孵るとすぐに自力で泳ぎ、餌を探し回ることができるたくましい生命力が詰まっています。

ととりの村のヒナたちも少しずつ大きくなっています。

これから半年間、その成長を見守っていきたいと思います。

4

カルガモのヒナ

(ととりの村・シンリンオオカミ担当 原田 佳)

ダチョウが孵化しました。

 5月27日にダチョウが一羽孵化しました。孵化3日目から室内の巣から離れ、親と屋外へ出るなど行動範囲も広がってきています。

1

初めて屋外に出た日

 ヒナは1.4キロくらいの大きな卵から、体重1キロくらいで孵化します。親と比べると100分の1以下です。小さなヒナが身長2メートルの親と一緒に歩くのを見ると、踏まれないかと心配になってしまいます。

 これから1年もすると、大人と同じくらいの大きさに成長します。これからどのように成長するのか、楽しみにしています。

 親子の屋外と室内の出入りは自由にしていますので、どちらかでご覧下さい。

(ぺんぎん館・ダチョウ・ヤマアラシ担当:田中 千春)

「動物のことを少しだけ考えて暮らしてみた」

 ブログ読者の皆様、はじめまして。

 今年の4月から旭山動物園に配属され、エゾシカ及び教育を担当している上江と申します。


 私の動物飼育経験としては、昔実家にいたネコやイヌの飼育を少し手伝ったことがあり、最近はSNSでかわいいネコの動画をよく見る、といったくらいで、多くの方々とほとんど同じか、少し乏しい経験からのスタートだったと思います。


 そんな私ですが、この約1ヶ月間で担当のエゾシカについて感じたことをお話します。


 エゾシカは、北海道にたくさん生息していて身近な動物である一方、「車とぶつかった」「農作物を食べられた」などの被害がクローズアップされており、一般的にはあまり良いイメージがない動物かもしれません。私自身もそうでした。


 私が給餌の際に初めてエゾシカと同じ空間に入った時には、そうした先行イメージと実際の体の大きさに驚き、「いつ襲ってくるのだろうか」と、非常に緊張しました。怖いばかりで、ウサギやリスといったかわいい小動物の担当の方が良かったと思いました。


 しかし、ほぼ毎日顔を合わせている今では、エゾシカはかしこくて、かっこよくて、勇ましいけど臆病で、少しのんきな一面もあり、旭山動物園で1番魅力的な動物だと感じています。(まるで親バカですが、距離感に関して油断しないよう肝に銘じております)


 自分が一生懸命掃除しているのに、ゆったりと座って、まるでガムをかんでいるかのように反芻したり、あくびをしてこちらを見ていたときは、少しイラッとして笑ってしまいました。


 これまでエゾシカは、肉や皮などを目的とした乱獲や天敵であるオオカミの駆除などにより、絶滅寸前まで追い込まれたり、現在では数が増えすぎて年間10万頭以上駆除されるなど、ヒトの行いに振り回されてきた動物といえると思います。

 だからといってエゾシカは、ヒトを威嚇したり襲ったりするわけではありません。生きるために必死に食べて、時にはのんきに暮らしたいだけなのです。私たちと同じですよね。


 エゾシカと接していると本当に多くの気づきがあり、家に帰っても動物のことをを少し考える時間ができて、環境や動物に関するニュースなども注目するようになりました。

 これから、私自身もっと多くのことを学び、展示や教育活動を通じて皆様にエゾシカや動物の魅力を伝えていきたいと考えています。


 さて、エゾシカの森では、5月におびひろ動物園からメスのエゾシカを迎え、繁殖を目指しています。また、今年もエゾシカとの共生を形にした野菜農園をつくる予定です。

 皆様もぜひ、私と一緒に楽しみながら動物のことを知ってもらえたら幸いです。

エゾシカ1

岩山でたたずむエゾシカ


エゾシカ2

角が片方落ちたエゾシカ

エゾシカ3

おびひろ動物園から来たエゾシカのメス


エゾシカ・教育担当:上江昌弘

シマフクロウの仔、順調に成育しています

 4月14、18日に2018年以来2回目のヒナの誕生がありました。2018年以来となります。

前回の繁殖時とは営巣場所(巣箱)が違うため、どうなることかとワクワクドキドキしながら観察を続けていましたが、無事に産卵、孵化を迎えることができました。

 抱卵中からモニターを設置し、来園者の皆さんに見てもらえるようにしていましたが、最近では何度も通って見てくれていた方もいるようで、「ヒナ大きくなってるねー。」なんて声も聞こえてきます。嬉しい限りです。

 途中メス親に巣内のカメラを翼で叩かれ、ズレて見えなくなってしまいましたが、奇跡的にまたメス親がカメラをいじったことで修復され見えるようになりました。

 野生下では165羽程度しか生息していないシマフクロウ。野生のシマフクロウの子育ての様子はまず見ることができないと思いますが、それが動物園だとずっと観察することができます。動物園で希少種を飼育する意味はまさにこういったことで、少しでも来園者の皆さんに野生動物の生態や現状を知って興味を持ってもらい、その気持ちを彼らの保全に繋げていくことだと思います。道内では今まさに同じように子育てをしている野生のシマフクロウのペアもいると思います。動物園の子育てペアを見ながら野生に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。


シマフクロウ

左からメス親、ヒナ1、ヒナ2(頭だけ)。オスは巣の外で見張っている。

巣内の奥に写っているのは叩かれてズレてしまったカメラ。


フクロウ・えぞひぐま館担当:大内章広

はじめまして!

 夏期開園初日は咲き乱れていた薄紅色も散り、あっという間にみずみずしい緑色が辺りを染める季節となって参りました。

 四月から新人飼育員として働いている高橋と申します。担当はワシ・タカなどの猛禽類、それからカバです。

 小さい頃から動物が好きで、「いつか旭山動物園に関わる仕事がしたい」という思いで、単身十勝からこの旭川に出てきた私にとって、今回このように飼育員として(しかも大好きなカバ担当として)働けることが未だに夢のようで、毎日楽しみながら業務にあたっています。

 1

寝室での百吉。放飼場の掃除が終わるのを待っています。

2

旭子と凪子。あっという間に顔を覚えてくれました。

 とはいえ、前の部署ではもっぱらパソコンに向かって仕事をするのが常でしたから、猛禽たちの餌を配り歩き、カバのうんちを運び、餌を運び、プール掃除をし…。たくさん身体を動かす動物園の仕事に、ひゃ~!!となりながら頑張る毎日です。

3

 水中凪子。凪子は私の姿を見つけるといつも近くに寄ってきます。

 ところで、この時期は猛禽たちの産卵シーズンでもあります。

 先輩飼育員に教えてもらいながら、私も採卵した卵を孵卵器(卵をあたためる機械)に入れてお世話しているのですが、表情豊かな成鳥たちと違いぴくりとも動かない卵と向き合う時間は、孵化するかどうか期待や不安でなかなか形容しがたい気持ちになります。

 無事に孵化したらいいなあ……。


 知識も経験もまだまだ先輩方の足下にも及びませんが、新鮮な気持ちを大切に、一歩一歩成長していけたらいいなと思います。

 小さい頃夢見た旭山動物園の飼育員さん。

 次は私が、誰かの夢になるような、誰かに夢を届けることのできる素敵な飼育員になれるよう、精進していきたいです。

 これからどうぞよろしくお願いします!

(猛禽・かば館担当:高橋 ひな)

サル舎近況

気温が上がってきてサルたちが外で過ごす時間が長くなってきた今日この頃です。

サル舎で暮らす3種のサルたちは寒さに強くないので、冬期は基本的には「展示していません」なのですが、放飼場にはヒーター付き出窓があるのでコロブスとブラッザは冬の間もほぼ毎日放飼することができました。気温・天気・サルたちの様子を見つつ短時間の放飼でしたが、ずっと出窓にいるわけでもなく、体が温まると動き回ったりと外でも元気に過ごしていました。

(ワオは体温調節が上手ではないので放飼しない日が多く、放飼中もシュートを開放していつでも室内に入れるようにしていました)

1

<出窓でくつろぐ兄妹>

7月に生まれたコロブスの「アクイラ」と10月に生まれたブラッザのこども(まだ性別確定できず、名前を決めかねています…)は順調に成長しています。それぞれ1歳年上の姉・兄がいて、きょうだいで楽しそうに遊んでいます。

2

<ブラッザのこども>

冬の間に、古くなった丸太を交換したり、台を増やしたり、消防ホースを編んだ遊具を設置したりしてきました。

個人的には遊具がなかなかのヒットで、ワオとコロブスに同じものを設置してみました。最初、ワオの遊具の下のほうにエサかごを付けたら横の台の上からエサかごをひっぱり寄せていたので高い位置に付け替えました。コロブスは主にあんずとアクイラが使って遊んでいます。

3

<アクイラ、アクロバティックな遊び方です>

4

<そうじゃない…>

5

<正しい(?)使い方>

あとは、体重測定を行いました。

こどもたちとワオは以前から量っていましたが、もっと重たい個体も量れるようにいつもと違う体重計を借りてきました。見慣れない体重計でもコロブスたちはあまり警戒せずに乗ってくれて、無事に量ることができました。ブラッザは警戒心が強く、どうにか体重計に触れずに大好きな落花生を取ろうとします。マキャベリはこどもの頃に経験したことがあったそうなので何回か試すうちに乗れるようになったのですが、モモはいまだに乗ってくれません。

今後は定期的な測定を継続しつつ、モモの練習を続けます。

6

<ギガース、10.8kgでした>

7

<マモル、慣れたものです>

最後におまけの写真を。

父のしっぽに自分のしっぽをからませるマモル。夕方、電気を消しに行くとよく見られる光景です。

8

<仲が良い父と息子>

サル舎・北海道産動物担当:佐藤 和加子

【まゆだま と 植物たち】

 大西です。

 いまや盛り上がっている私の担当動物をご紹介します。

 さっそく生まれた子の写真からご覧いただきましょう!

1

 じゃじゃーん!

 ウガンデンシスオオツノカナブンの幼虫です。

 昨年4月に購入した成虫ペアは夏に死亡し、昨年10月に購入したペアもメスが死に、現在生きている成虫はオス1頭だけです。

2

エメラルドに輝く成虫オス。美しいです。

 でもご心配なく!4月ペアの幼虫世代が成長し、とうとう繭玉(まゆだま)を作りました。

3

カナブンの繭玉です

 カナブンはカブトムシと同様に地中で蛹になりますが、周囲の土をカチカチに固めます。

「繭玉」と呼ばれるそうで、私もはじめてお目にかかりました。想像以上にカチカチで、簡単には壊れなさそうです。

 計6頭が繭玉を作っています。待望の羽化までもう少しです。


 10月ペアの幼虫も大量に生まれています。彼らが成虫になるのは秋~冬でしょうか。

 このように羽化時期が異なるふたつのサイクルの個体群を飼育することで、成虫を展示できる期間を増やそうという試みです。果たしてうまくいくか、乞うご期待!


4 

 マダガスカルゴキブリ(以下マダゴキ)の水槽には「ゴキゴキルーペ(要は虫メガネ)」を再設置。マダゴキたちの姿をじっくりと観察できます。

 また、マダゴキ水槽にはマダガスカル原産の植物たちを植えてあります。

5

 奥にひっそり植えてあるのはパキポディウム・ゲアイー。観葉植物マニアから愛される珍奇植物。鋭いトゲをもつ特異な姿はマダゴキにもキャラ負けしません。

6

 鉢植えしてあるのはマダガスカル・ジャスミン。きれいな白い花をつけます。つる植物で、伸びた新芽に次々と花を咲かせる・・・はずなのですが、新芽が出たそばからマダゴキに食べられてしまい、一向に伸びませんでした。

 樹液に弱毒があるはずなのですが、マダゴキたちは気にせず葉を食べます。おそるべき生命力。

 しかしここに来て急に新芽が伸びてきました。

7

待望の新芽が。

 このままマダゴキに食べられずに生長すれば、念願の開花をご覧いただけるかもしれません。


 まだまだご紹介したい点はたくさんありますが、今回はこのへんにしておきます。

 見どころいっぱいのアフリカ水槽、みなさんお見逃しなく!

P.S.私のもう一つの担当動物(白くて危険なヤツ)も繁殖がうまくいってるらしいです。そちらが気になる方は公式YouTubeの方をチェックしてみてください。

(アフリカ水槽 ホッキョクグマ担当:大西 敏文)

ジェンツーペンギンが来園しました

 しいくにゅーすでお知らせした通り、ジェンツーペンギンが1羽来園しました。

 来園後すぐは隔離スペースで飼育していましたが、エサを食べるようになり、少し慣れた様子だったので9日から他の個体と合流させました。

 合流した時も他の個体はあまり気にすることなく穏やかな様子でひと安心です。

 このまま少しずつ旭山の環境に慣れてくれると良いと思っています。

新入り

新入りは左の個体です


ぺんぎん館・アフリカタテガミヤマアラシ担当:田中千春

箱、箱、箱。

 動物の移動たびに悩むことがあります。今回は移動用の輸送箱はどうしようかと。

 輸送箱の条件ですが、まずは動物園にはいろいろな大きさの動物がいるので、それぞれの大きさに合った箱でなければいけません。そして当たり前ですが輸送中に動物が逃げないようにすることが重要です。そして、輸送中にある程度中で自由に向きを変えられたり、横になったりできる広さがいります。ただし、あまり広過ぎるのもよくありません。  

 例えば鳥などはあまり広いと、翼を中で広げることで怪我する可能性もあります。限られた時間での移動ですから、少し窮屈かもしれませんが怪我をさせないための広さということも考えないといけません。猫やイヌを飼っているかたはキャリーケースを想像してもらうと良いかもしれませんね。動物の大きさに対してそんなに大きくないと思います。

 大体の大きさが決まったら次は箱の調達です。大体調達方法は三つ。

 一つ目は特定動物といわれる飼育に登録が必要な動物たちを移動する場合。このときは許可を受けた檻を使う必要があること、動物の大きさが様々なため、動物輸送業者や他の動物園から借りることが多いです。最近だとライオンの移動に使った檻は業者に借りました。

 2つ目は、園にストックされている各種大きさの輸送箱でなんとかなる場合。

 そして3つ目は、園で自作する場合です。自作だと大きさは自由に作れるので良いのですが、輸送中に絶対に壊れないことが必要なので、なかなか気を遣います。他園から輸送用に送られてきた箱に補強をすることもあります。

 動物の移動は箱のことが気になるお仕事でもあるのです。

箱

箱のストックはありますが、なかなか合うものはありません

主幹:池谷優子

はじめましてと新アイテム

 はじめまして!
 昨年11月より旭山動物園にて勤務しております、こども牧場担当の志子田と申します。

 自宅でイヌ1頭、ネコ4頭に、鳥1羽、そして魚を飼育している大の動物好きです。

 現在、こども牧場の中でも「ニワトリ・アヒル舎」を担当しております。
 小さい頃から慣れ親しんだ、大好きな旭山動物園で働くことができ、毎日楽しく過ごしています。
 見かけた時は気軽に話しかけてみてくださいね!


 さて、先日よりアヒル舎室内へ新アイテムとして子供用プール(人間用)を導入しました。

 冬場だとどうしても凍結が避けられないため、外のプールへは水を入れず、室内になる小さいプールでの展示を行っています。
 アヒルは「水鳥のマガモ」から作られた家禽です。そのため、小さいプールでは水鳥としての本来の動きを制限されてしまうのでは?と頭を悩ませておりました。

 冬場でものびのび羽を広げ、思いっきり水浴びを楽しんでほしいという思いがあり、この度、子供用プールの導入を決意しました。

 結果は、と言うと…………見事大成功でした!

アヒル水浴び

 「周りなんてお構いなし!」
 派手に水しぶきをあげるアヒルたち。見ていてこっちも楽しくなりました(私もビチャビチャになりました)。
 驚くほど撥水する羽や、目を開けたまま水中に潜る姿等を観察し、アヒルのことをもっと知ることができる絶好のチャンスですので、ご来園の際は、ぜひとも「ニワトリ・アヒル舎」へお立ち寄りいただければと思います。

アヒル

ゆったりと泳ぐ3羽のアヒル


アヒル2

外の放飼場へ歩いて遊びに行くこともあります

こども牧場担当:志子田紗希

【今も変わらない大切なこと】

 先日SNSで北九州にある到津の森公園の岩野園長が退任されることを知りました。

 岩野園長で思い出すことがあります。私が動物園で働き始めた16年前、到津の森公園で行われた動物園水族館獣医師の研究会に参加した時のことです。懇親会の挨拶で「これからが本番です、ぜひ親睦を深めて下さい」とおっしゃっていました。

 私は先輩飼育係から、当時園長だった小菅前園長と同じ研究会に参加した際に、前泊の夜に電話がかかってきて「今何をしているんだ!」と聞かれ、「○○動物園の人と飲んでいます」と答えると「よし!!なら良い」と言われたというエピソードを聞いていたので、同じようなことをおっしゃるなぁと思ったものです。その夜は二人の言葉を実行して、朝まで親睦を深めました。

 昔は今ほど海外や他園館の情報も得ることが難しかったこともあり、横のつながりを作る大切さを教えてくれたのだと思います。昨年末、円山動物園から旭山動物園に研修に来ていた飼育員に「小菅前園長は旭山で何を見てこいとか言っていましたか?」と聞いたところ、「とにかく飼育係とつながりを作ってこい!と言われました」とのことでした。時代は変われど、今もその大切さは変わりませんね。


 岩野園長が退任すると、当園の小菅前園長や上野動物園の小宮元園長、富山市ファミリーパークの山本前園長、天王寺動物園と宇部市ときわ動物園の宮下前園長など、いわゆる団塊の世代前後の名物園長たちが園長という一線を退くことになります。動物園の役割が変わっていく時代のなかで、動物園を支えていた世代の皆様のおかげで今の動物園があると思います。コロナ禍で動物園も大変な時代ではありますが、私たち現役世代には動物園をよりよいものにしていく責任があると感じています。

私が言うのもおこがましいですが、岩野園長長い間お疲れ様でした(旭山動物園一同)

1

お近くにお住いの方ぜひ参加してみてください。

(獣医師・トナカイ・テナガザル担当 中村 亮平)

【もうじゅう館の近況】

 なかなかもうじゅう館全体のことをお伝えする機会もないので、今回は近況をお伝えしようと思います。


 まず、1月中旬にユキヒョウのジーマが繁殖のために引越しをしました。それまで一緒に生活していた娘であるユーリはジーマがいない環境にまだ戸惑っているようですが、徐々に今の状況に慣れてもらい、ゆくゆくはジーマのように立派な母親になってもらえればと思っています。


 昨年新しく仲間入りしたライオンのイオ。今のユーリのように新しい環境に戸惑いを隠せない様子でしたが、今ではすっかり慣れてくれたようで、雪が降り積もる放飼場に出て遊んだりしています。寒さには強くはないので、外に出てる時間はまだ短いですがたくましくなっています。


 アムールトラは、あっという間に大きくなった3頭の仔が今の悩みのタネで、もう親から独立させてそれぞれ単独で分けてやりたいのですが、部屋数や放飼場の関係から父、息子2、母と娘の3グループで展示しています。これがなかなか大変で両親を合わせて5頭のトラをどうやって部屋を入れ替えたり順番に放飼場に出してあげられるか?という点に苦労しています。


 ヒグマのとんこはもうじゅう館での生活も残りわずかとなってきました。新施設では土の地面や小川があったりするようなので今まで出来なかった新しい行動を見せてくれると思います。「えぞひぐま館」での活躍を期待しています。


 そして最後にアムールヒョウ。メスのみらいはアムールヒョウの個体数がとても少ないこともあり、繁殖相手が現れるのを待っているような状況です。そして昨年からバックヤードに移動したキン。まだまだ元気はありますが、やはり股関節は徐々に思うように動かなくなってきているようで、後肢を引きずることが当初よりも増えてきました。なるべくキンの思うように過ごして欲しいので放飼場と寝室は開放したままで自由に行き来できるようにしていますが、寒さのためか最近はすぐに寝室に戻りたがっています。

 1

 また機会をみて近況をお伝えしていければと思います。

(もうじゅう館担当:大内 章宏)

冬のカメたち

 今回は冬の間展示できていない、こども牧場のカメたちについてお伝えします!


 こども牧場にはホルスフィールドリクガメという種類のカメが4頭います。
夏など温かい季節は日光浴をするために、外に出ていることが多いのですが、寒い季節は温かい室内で過ごしております。

 特に冷え込む日には、温かいライトの下から動かないことも多く、先月よりほんの少しですが、みんな体重が増えてきました。

リクガメ

ライトの下で温まるカメたち


 また春には外を元気に歩き回るカメたちを見ていただけると思いますので、お楽しみに!

こども牧場担当:鈴木彩音

【シンリンオオカミの近況】

 昨年の5月に母親のマースが死亡し、3頭の子どもたちだけの生活が始まったオオカミの森ですが、夏にレラが顔をハチに刺されて腫れたり、ワッカがジャンプした際に足を怪我したり、外の放飼場内に3メートルもの長い穴が掘られたり、色々あり心配しましたが、現在は3頭ともケガもなく元気で平和に暮らしています。

 昨年の旭川は雪が多く、除雪をたくさんしなければならなかったため、今年は雪対策として、いつでもオオカミたちが獣舎に帰ってこられるよう、朝と夕に分けて獣舎で給餌をしています。

 今のところ、朝も夕も3頭とも獣舎に入り餌を食べるのですが、たまにワッカが警戒して入ってこない時には、ノチウが出て行き、その後ワッカが入って来て餌を食べたりします。

 その時ノチウは餌を食べずに獣舎の外の放飼場で柵越しにエゾシカと追いかけ合っていることが多いです。


 また、私がメインの放飼場で作業をしている間、オオカミたちは小さなサブ放飼場で過ごすのですが、作業が終わり戻るとノチウがレラの隣で並んで休んでいる様子が見られるようになりました。

 レラは順位が一番下位の立場で、よくワッカに追いかけられたり監視されることが多かったのですが、徐々にそれが少なくなり、10月にはノチウがレラの隣で寝ていたり、11月に一度ワッカに強く当たられ隠れていた時期があったものの、12月にはワッカがレラのすぐそばで休んでいる様子が見られました。また、メインの放飼場内を点検していると、猛獣館側の奥の隅っこに、3頭分の雪の跡がついており、夜の間ここで3頭で寝ていた様子も確認できました。

1

ノチウ(左)とレラ(右) 10月撮影

2

ワッカ(左)とレラ(右) 12月撮影

 最近では、私が片手におかし(血を凍らせたもの)が入ったバケツを持ちガイドを始めると、ワッカが「ウオオン」と鳴き、ワッカとノチウが顔をすり寄せた後、2頭でレラにすり寄っていくことがあります。

 おかしを投げると、レラはキャッチできなかったり、できても他の2頭に遠慮して口から離してしまうことも多かったのですが、最近はキャッチした後にしっかり掴んで離さず、自分の分を食べ終えて横取りしようとするノチウとワッカに追いかけられても、かなり長い時間エサをくわえて走って粘る様子が見られます。


 全てのことがどのような意味を持つのか、言葉が通じないオオカミたちのことを決めつけることはできませんが、飼育下で生活するオオカミたちにとって何が幸福なのかを考えながら、これからも様々な表情を見せてくれるオオカミたちを楽しく観察して行きたいと思います。

 3

ヌプリ(左)とアオイ(右)も元気です

(シンリンオオカミ・ととりの村担当:原田 佳)