あさひばし 平成28年10月号「特集 旭川の農業 若い力で未来を耕す!」

情報発信元 広報広聴課

最終更新日 2016年10月15日

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雪をかぶった大雪山と黄金に染まった田んぼの写真

大雪山系からの伏流水に恵まれた旭川では、厳しい自然環境を克服し多くの農畜産物が生産されています。

高齢化や後継者不足などの課題がある中、情熱を持って農業に取り組む若い力を紹介します。

多くの農畜産物を生産

旭川産のトマトやチーズの写真旭川では、厳しい自然環境の中、昼夜の寒暖差が大きいことなどの特性を生かし、生産者の努力によって豊富な種類の農畜産物が生産されています。平成27年度の農業生産額は約140億円。そのうち約73%を占める水稲の生産量は、道内では岩見沢市に次いで2位となっています。かつて、寒冷地の上川地方では水稲は不可能とされていましたが、今では生産量だけでなく、味や品質についても高い評価を得ています。また、野菜は60種以上と多品目の生産が特徴。果樹や花の生産や畜産も行われ、さらには農業と他産業とが連携した商品開発などの取組みも積極的に行われています。

担い手不足や高齢化などの課題

農家の戸数と65歳以上の農業者割合の推移(平成2年に3,455戸あった農家が平成27年には1,133戸に減っている。また65歳以上の割合は14.67パーセントから51.13パーセントに上昇している)
農家戸数と65歳以上の農業者割合の推移

高品質の農畜産物が生産されている旭川ですが、農業者の高齢化と担い手不足が深刻です。平成27年現在、市内農家の半数以上が65歳以上で、後継者がいる農家は全体の13パーセント。離農が進み、ここ10年間で農家戸数は35パーセントも減っています。担い手が減少する中、農地を荒廃させず維持するために、買取りや貸借をした結果、1農家の平均経営耕作面積は25年間で5.2倍の11.22ヘクタールにまで拡大しています。このため、農家の作業負担は増加する傾向にあります。

こうした課題を乗り越えようと、若い世代の農業者が中心になって、さらに元気な旭川農業に向けて様々な取組みを行っています。

台風被害について

ペーパン川の決壊により高さの半分が泥水に浸かったビニールハウスと、土砂が流入した田んぼ
ペーパン川決壊による被害(東旭川町豊田)

8月に発生した台風7号・11号と9号による堤防決壊や河川の氾濫で、市内でも田畑の冠水や稲などの倒伏、農地への流木等の堆積、地盤流出など大きな被害が発生しました。これによって収穫が不可能となった田畑もある他、品質への影響も予想され、被災した農業者は、今後の生産に大きな不安を抱えています。

市では、国の事業なども活用し、被害に遭った農地の復旧に向けた対策を進めています。

 

マイタウンあさひかわ

「元気な人が作る元気な野菜を食べてもらって、元気になってほしい」と話す農家の方の写真

市の広報番組(9月25日放送分)でも旭川の農業を特集しました。過去の放送はマイタウンあさひかわのページで視聴できます。

 

挑戦するほど農業は面白い!

高齢化や人手不足が課題となる中、夢を描いて農業に携わる若い世代がいます。

たくましく未来にチャレンジする人たちの取組みを紹介します。

GPSシステム導入で効率的に

黄木さん、関谷さん、岡田さん兄弟の写真
黄木高善さん、関谷優太さん、岡田雅樹さん・健太さん兄弟
GPSシステムを搭載したトラクターの運転席の写真
GPSシステムが搭載されたトラクター

高齢化で労働負担の軽減が不可欠

高齢化や人手不足の状況では、1戸当たりの耕作面積が拡大し、作業時間の短縮や労働負担の軽減が不可欠です。そこで、永山地区の若手農業者が、市内の他地区に先駆けて自力でGPSシステムを導入。今年、市の補助を活用し、永山地区に基地局も設置しました。

補足:GPS(全地球測位システム)とは、人工衛星など からの電波を受信して位置を測定する技術で、カーナビなどに活用される。より正確な位置情報を得るために基地局が必要。

GPS搭載のトラクター

「GPS機能を搭載したトラクターが正確に自動走行してくれるので、70歳近い父が乗っても、体が楽だと喜んでいます。作業に無駄がなく、大幅に時間と労力が減らせます」と興奮気味に話すのは、黄木高善さん。天候や田の状態にかかわらずどこを走っているか分かり、夜でも作業可能。また、農機を扱ったことのない人でも動かせるなど、作業時間の短縮や労働負担の軽減が期待されます。

市内で先駆けて導入したのは、黄木さん、関谷優太さん、岡田雅樹さん・健太さん兄弟。いずれも農家の3~5代目で、20・30歳代。それぞれ20~30ヘクタールの水田で米を作っており、代かきや防除に活用しています。基地局の設置により、今後は耕土・施肥・播種・移植・収穫などへの活用も可能になります。「作業が効率化した分、さらに良い米作りに力を注ぎたい」と4人は声をそろえます。

元気な旭川農業のために、市も応援

上で紹介した永山地区の他、旭正地区と西神楽地区で、市の補助を活用してGPSの基地局を設置しました。

市では、他に次のような支援を行っています。

  • 農業センターを核にした冬期野菜生産技術の調査研究
  • 新規就農者の受入れから経営発展までの一貫支援
  • 安全・安心で品質の高い農産物の生産を進めるクリーン農業の推進
  • 農畜産物の高付加価値化や商品開発・販路拡大の取組み
  • 市民の農業理解のための支援

厳寒期だって、おいしい野菜はできる

守屋さんの写真
守屋大輔さん
寒締めホウレンソウの写真
寒締めホウレンソウ

寒いから、甘みが増す

旭川産野菜の多くは夏に作られますが、真冬の寒さや積雪を利用して冬期野菜を作っている農業者がいます。新規就農して10年目の守屋大輔さんもその1人です。

「自然の中で農業経営をしたい」と、会社員を辞めて就農し、19棟のビニールハウスで野菜を作っている守屋さんは「最初は夏にトマトを作り、冬はアルバイトをしていましたが、1年を通して農業に取り組みたいと思って冬期野菜を始めました」と話します。現在作っている冬期野菜は、寒締めホウレンソウと越冬ニンジン。寒締めホウレンソウは、寒さの中で葉が凍らないように水分を外に出して糖分をためるので、甘みとビタミンCが増え、野菜の少ない冬に、消費者に喜ばれています。

冬しか食べられない希少性

冬期野菜は市場価格も高く、農家の経済的な安定にもつながります。「農家が減っている中で、旭川の特徴を押し出していくことが必要だと思います。冬期野菜は、冬しか食べられないという希少性があり、旭川ならではの個性を出せます。2年前から大阪のスーパーで販売していますが、市内はもちろん道外の人にも食べてもらいたいです」と熱を込めて話します。おいしさや希少性に加えて、独自のパッケージを作るなどして、店頭で目を引く工夫もしています。

安心できるクリーンな野菜

石河さんの写真
石河光芳さん
イエス クリーンのロゴマーク
Yes!cleanのロゴマーク

全道一のクリーン認証

旭川では、堆肥などを使って土作りをし、化学肥料や化学農薬の使用を最小限にとどめ、安全・安心で品質の高い農産物の生産を進めるクリーン農業に力を入れています。

北海道では「北のクリーン農産物表示制度(Yes!clean)」を設けており、旭川の野菜では、コマツナやチンゲンサイなど18品目が認証され、全道一を誇ります。

安全・安心は当たり前のこと

今年新規就農した石河光芳さんも、クリーン農業に取り組んでいます。27歳の石河さんは、首都圏の大学を卒業後、市内の農家でアルバイトをしたことをきっかけに農業への思いを強くして就農。シシトウやミニトマトなどを作っています。「口に入る物を作っているのですから、安全・安心は当たり前。いつも、食卓に並ぶまでをイメージしながら作っています」と石河さん。就農する前は生産者の気持ちにまで思いが至らなかったという石河さんですが、色々な農家と交流する中で「みんな、ものすごく真剣に作っていることを感じます」と話します。「今はまだ課題だらけで、研修先の農家にサポートしてもらいながらの日々ですが、1つずつ取り組むことにやりがいを感じます。食べた人の『おいしいね』が何よりうれしいです」と笑顔で話します。

知って欲しい旭川農業のこと

旭川産のプルーンやチーズの写真果樹栽培や酪農も盛んな旭川。

このことをもっと知ってほしいと他業種との連携や6次産業化に取り組む人たちがいます。

果樹とお菓子のコラボ

水澤さんの写真
水澤拓也さん

旭川では、リンゴやサクランボ、ナシ、ブドウなど様々な果物が栽培されています。周囲を山々に囲まれ、昼と夜の寒暖差が大きいことが果実の糖度を高め、甘くて味の良い果物ができます。旭川市果樹協会では、市内の学校給食にリンゴを提供したり、菓子店と合同で催しを開いたりして、旭川果樹のPRに力を入れています。

神居古潭で果樹園を営む水澤拓也さんは「もぎ取り園や直売所に来てもらい、旭川で色々な果物が作られていることを知ってほしいです。市内の菓子店に旭川産果物を使ったスイーツを作ってもらっていますが、店によっては、すぐに売り切れる人気です」と笑顔で話します。

水澤果樹園のホームページ(新しいウインドウが開きます)

asahikawa くだもの×スイーツを開催

くだものスイーツのロゴマーク

10月29日(土曜日)から11月6日(日曜日)まで、アップルパイなど旭川産のリンゴやナシを使用したスイーツを販売。

販売店は、くだもの×スイーツのページ(リンク先のページは公開終了しました。)に掲載しています。

チーズで6次産業化

荒川さんの写真
荒川 求さん

旭川では酪農も行われています。父親の代に酪農を始めた荒川 求さんは3年前、6次産業化としてチーズ製造に取り組みました。6次産業化とは農業や水産業などの生産者が、加工や販売も行うことで付加価値を高めるのが狙いです。

荒川さんは道内外のチーズ工房で研鑽を積んだ後、自分の工房を設立。朝6時から、ときには夜10時まで作業し、1個ずつワックスでコーティングした、家庭でも熟成できるチーズを作っています。

荒川さんは「市内のチーズ生産者と協力して旭川を盛り上げたいです。旭川の風土が育てた品として、旭川の方が市外に行くときや、旭川を訪れた方にお土産として選んでいただきたいです」と話します。物産展以外では市内でしか販売していないのも、荒川さんのこだわりです。

旭川あらかわ牧場合同会社のフェイスブック(新しいウインドウが開きます)

 

旭川の農業を体感しよう

私たちのすぐそばで作られている農産品や畜産品をもっと知るために

食~地元産の食材を使った料理を提供する飲食店

高見さんの写真
高見章太さん
マイハウスの料理の写真
地元産食材を使った料理

新鮮で質の高い旭川産農畜産物を使う飲食店が増えています。東鷹栖にあるレストラン「米蔵(マイハウス)(新しいウインドウが開きます)」は、同地区の若手農業者8人で設立。夏期は米や野菜は全て東鷹栖・鷹栖産。運営者の1人高見章太さんは「食べた人の声が直接届き励みになります。シェフも農家出身ですが、自分が作った野菜がこんなおしゃれな料理になるのかと驚いています。皆さんに、農業や農家に対しても、かっこいいイメージを持ってもらえるように頑張っています」と笑顔で話します。

学~農業を体験して学ぶ場に参加してみませんか

安田さんの写真
安田美穂子さん
牛にエサをやる様子の写真
市民農業大学では酪農の他、水稲・野菜・果樹の作業体験も

市では、市民が農業や農村、食料への関心と理解を深めてもらうために、市内の農家で農作業や農産加工実習、講義などを行う「市民農業大学」を開催しています。

農業大学に参加し、荒川 求さんの牧場で学ぶ安田美穂子さんは「市内には思っていたよりたくさんの農家があり、工夫しながら農業をされていることが分かりました。作った人の顔が見えたり思いが伝わったりして、食というものをより大切に感じるようになりました」と話します。

買~新鮮な農産品をおいしくいただこう

直売所の写真

市内には、通年営業の直売所が3か所ある他、期間限定の直売所もあります。

「あさひかわ直売マップ」をご覧ください。

 

通年営業の直売所
名称・住所・連絡先 営業時間・定休日

JAあさひかわ農産物直売所「あさがお」

  • 永山店(永山2の19)電話48-7590
  • 神楽店(神楽5の8)電話63-5725

5月~10月=10時~17時

無休

11月~4月=10時~17時

定休日=火曜日

たいせつ農産物直売所(東鷹栖1の3)

電話57-2141

5月~10月=10時~18時

11月~4月=10時~17時

定休日=月曜日

地元産野菜はこのマークが目印

「旭山動物園のある街」のロゴマーク
JAひがしかぐらのロゴマーク

若い力で未来を耕す

旭川の農業は、厳しい自然環境の中で先人たちの努力によって築き上げられ、熱意を持って取り組む農業者によって支えられています。今回紹介した人たちは「農業は、自分の判断で何でも挑戦できるやりがいのある仕事。自分たちが夢を持って働く姿を見て、子供たちに『農業っていいな』と思ってほしい」と話してくれました。こうした若手農業者たちの情熱が、日本の食料基地である北海道の農業を支え、旭川の未来を切り開いていくことでしょう。

【詳細】農政課 電話25-7417


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お問い合わせ先

旭川市総合政策部広報広聴課広報係

〒070-8525 旭川市7条通9丁目 総合庁舎6階
電話番号: 0166-25-5370
ファクス番号: 0166-24-7833
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受付時間:
午前8時45分から午後5時15分まで(土曜日・日曜日・祝日及び12月30日から1月4日までを除く)