旭川市暴力団排除条例
暴力団は、従来からの恐喝、覚醒剤の密売などの資金獲得犯罪に加え、社会経済状況の変化に伴い、近年では、暴力団の威力を背景としつつ、関係企業に貸金業などの事業活動を行わせ、あるいは自ら建設業などを営むことにより、巧妙に資金を獲得して、市民、事業者に多大な影響を与え、社会経済活動の健全な発展に悪影響を及ぼしております。
このような状況の下、社会から暴力団を排除することによって、市民の安全で平穏な生活を確保し、社会経済活動の健全な発展を図るためには、従来の「警察 VS 暴力団」という構図から「社会 VS 暴力団」という構図へ転換し、市民、事業者そして行政が一体となって暴力団の排除に取り組む必要があります。
このような必要性に基づいて、本市では、暴力団排除施策の基本事項を定める「旭川市暴力団排除条例」を制定しました。
条例の目的
- 暴力団の排除に関する基本理念を定めます。
- 市の責務、市民等(補足1)と事業者(補足2)の役割を明らかにします。
- 暴力団の排除に関する施策の基本となる事項を定めて、その施策を総合的に推進します。
- 市民の安全で平穏な生活を確保し、社会経済活動の健全な発展を実現します。
(補足1)市民等 市内に居住し、又は通勤し、若しくは通学する者及び町内会、市民委員会その他の住みよい地域作りのために市内で活動を行う団体をいいます。
(補足2)事業者 市内で事業を営む個人又は法人その他の団体をいいます。
条例の基本理念
- 暴力団が市民生活・事業活動に不当な営業を与える存在であるとの認識の下、暴力団を恐れないこと、暴力団に対して資金を提供しないこと、暴力団を利用しないことを基本として、暴力団の排除を推進します。
- 市・市民等・事業者・他の地方公共団体・その他の関係する機関や団体の相互の連携・協力の下、社会全体で暴力団の排除を行います。
それぞれの役割・責務
市の責務市が行うべきこと
- 暴力団の排除に関する施策の策定・実施
- 暴力団の排除に関する広報・啓発活動
- 市民等・事業者に対する情報の提供・助言・その他の支援
市民等の役割
- 基本理念にのっとり、暴力団の排除に関する理解を深めるとともに、市が実施する暴力団の排除に関する施策に協力する
- 債権の回収、紛争の解決等に関し、暴力団員を利用すること、自己が暴力団と関係があることを認識させて相手方を威圧することその他の暴力団の威力を利用することは禁止されています
事業者の役割
- 基本理念にのっとり、暴力団を利することとならないよう、暴力の排除に自ら取り組むとともに、市が実施する暴力団の排除に関する施策に協力する
条例全文
旭川市暴力団排除条例
目的
第1条 この条例は、暴力団の排除に関し基本理念を定め、並びに市の責務並びに市民等及び事業者の役割を明らかにするとともに、暴力団の排除に関する施策の基本となる事項を定めることにより、その施策を総合的に推進し、もって市民の安全で平穏な生活を確保し、及び社会経済活動の健全な発展に資することを目的とする。
定義
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 暴力団 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号。次号において「法」という。)第2条第2号に規定する暴力団をいう。
(2) 暴力団員 法第2条第6号に規定する暴力団員をいう。
(3) 市民等 市内に居住し、又は通勤し、若しくは通学する者及び町内会、市民委員会その他の住みよい地域づくりのために市内で活動を行う団体をいう。
(4) 事業者 市内で事業を営む個人又は法人その他の団体をいう。
(5) 暴力団の排除 市民生活及び事業活動に対する暴力団の介入を防止し、並びに市民生活及び事業活動に生じた暴力団による不当な影響を排除することをいう。
基本理念
第3条 暴力団の排除は、暴力団が市民生活及び事業活動に不当な影響を与える存在であるとの認識の下に、暴力団を恐れないこと、暴力団に対して資金を提供しないこと及び暴力団を利用しないことを基本として、推進されなければならない。
2 暴力団の排除は、市、市民等、事業者並びに他の地方公共団体その他関係する機関及び団体の相互の連携及び協力の下に、社会全体で行われなければならない。
市の責務
第4条 市は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、他の地方公共団体その他関係する機関及び団体と連携を図り、暴力団の排除に関する施策を実施するものとする。
市民等の役割
第5条 市民等は、基本理念にのっとり、暴力団の排除に関する理解を深めるとともに、市が実施する暴力団の排除に関する施策に協力するよう努めるものとする。
事業者の役割
第6条 事業者は、基本理念にのっとり、暴力団を利することとならないよう、暴力団の排除に自ら取り組むとともに、市が実施する暴力団の排除に関する施策に協力するものとする。
公共事業等に係る措置
第7条 市は、その発注する建設工事その他の市の事務又は事業(次項において「公共事業等」という。)の執行により暴力団を利することとならないよう、暴力団員又は暴力団関係事業者(暴力団員が実質的に経営を支配する事業者その他暴力団又は暴力団員と密接な関係を有する事業者をいう。次項において同じ。)について、市が実施する入札に参加させない等の必要な措置を講ずるものとする。
2 市は、公共事業等に係る契約の相手方に対し、建設業法(昭和24年法律第100号)第2条第4項に規定する下請契約その他の当該公共事業等に係る契約に関連する契約の相手方から暴力団員又は暴力団関係事業者を排除するために必要な措置を講ずるよう求めるものとする。
公の施設に係る措置
第8条 市は、その設置する公の施設(地方自治法(昭和22年法律第67号)第244条第1項に規定する公の施設をいう。)が暴力団の活動に利用されないようにするために必要な措置を講ずるものとする。
市民等及び事業者に対する支援
第9条 市は、市民等及び事業者が暴力団の排除に関する活動に自主的に、かつ、相互に連携協力して取り組むことができるよう、市民等及び事業者に対し、情報の提供、助言その他の必要な支援を行うものとする。
広報及び啓発
第10条 市は、市民等及び事業者の暴力団の排除に対する理解を深め、及び暴力団の排除に関する活動に取り組む気運を醸成するため、必要な広報活動及び啓発活動を行うものとする。
暴力団の威力利用の禁止
第11条 市民等は、債権の回収、紛争の解決等に関し、暴力団員を利用すること、自己が暴力団と関係があることを認識させて相手方を威圧することその他の暴力団の威力の利用をしてはならない。
利益供与の禁止
第12条 市民等は、暴力団の威力を利用し、又は暴力団の活動若しくは運営に協力する目的で、暴力団員又は暴力団員が指定した者に対して、金品その他の財産上の利益の供与をしてはならない。
委任
第13条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
附則
この条例は、平成26年4月1日から施行する。
(施行期日)
1 この条例は、令和5年4月1日(以下「施行日」という。)から施行する。
暴力団等の排除に関する協定
旭川市暴力団排除条例(平成26年3月25日制定、平成26年4月1日施行)では、本市が発注する建設工事その他の市の事務又は事業及び本市の設置する公の施設(地方自治法(昭和22年法律第67号)第244条第1項に規定する公の施設をいいます。)から暴力団等を排除するために必要な措置を講じるものと規定していますが、本条例の実効性を確保するためには暴力団等を確実に排除する必要があります。
そこで、平成26年3月31日、情報を保有している旭川方面旭川中央警察署及び旭川方面旭川東警察署と本市との間において暴力団等の排除に関する協定を締結しました。(平成26年4月1日効力発生)
暴力団等の排除に関する協定書
旭川市(以下「甲」という。)、旭川方面旭川中央警察署(以下「乙」という。)及び旭川方面旭川東警察署(以下「丙」という。)は、旭川市暴力団排除条例(平成26年旭川市条例第16号。以下「条例」という。)第7条及び第8条の規定に基づく、甲が発注する建設工事その他の事務又は事業(以下「公共事業等」という。)及び甲が設置する公の施設(地方自治法(昭和22年法律第67号)第244条第1項に規定する公の施設をいう。以下同じ。)からの暴力団排除措置を実現するため、相互の連絡協議体制を確立し、運用が図られるよう取り組むことについて、次のとおり協定を締結する。
趣旨
第1条 この協定書は、甲が条例第7条及び第8条の規定に基づく暴力団排除措置を講ずるに当たり、甲、乙及び丙が緊密に連携するために必要となる事項を定めるものとする。
用語の定義
第2条 この協定書において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 暴力団 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号。以下「法」という。)第2条第2号に規定する暴力団をいう。
(2) 暴力団員 法第2条第6号に規定する暴力団員をいう。
(3) 役員等 法人にあっては役員並びに支配人及び支店又は営業所を代表する者、法人以外の団体にあっては法人の役員等と同視できる者、個人にあってはその者並びに支配人及び営業所を代表する者をいう。
(4) 暴力団関係事業者 次のアからオまでのいずれかに該当する者をいう。
ア 役員等が暴力団員である事業者又は暴力団員がその経営に実質的に関与している事業者
イ 役員等が、自己、自社若しくは第三者の不正な利益を図る目的又は第三者に損害を加える目的をもって、暴力団員を利用する等している事業者
ウ 役員等が、暴力団員に対して資金等を供給し、又は便宜を供与する等直接的若しくは積極的に暴力団の維持、運営に協力し、若しくは関与している事業者
エ 役員等が、暴力団員と社会的に非難されるべき関係を有している事業者
オ 役員等が、暴力団員であることを知りながら、これを不当に利用する等している事業者
排除対象者
第3条 暴力団排除措置の対象者(以下「排除対象者」という。)は、暴力団、暴力団員及び暴力団関係事業者とする。
(公共事業等からの排除に係る照会等)
第4条 甲は、公共事業等から排除対象者を排除する措置を講じるために必要があると認めるときは、排除対象者に該当するか否かについて、乙又は丙に対し、様式第1号により照会するものとする。
2 乙又は丙は、前項の規定による照会を受けたときは、甲に対し、速やかに様式第2号により回答するものとする。
3 乙又は丙は、第1項の規定による照会を受けた場合のほか、排除対象者に該当すると認める事実を確認した場合には、甲に対し、速やかに様式第3号により公共事業等からの排除の要請を行うものとする。
4 甲は、排除対象者を排除する措置を講じたときは、乙又は丙に対し、速やかにその旨を連絡するものとする。
5 乙又は丙は、第2項の規定による回答又は第3項の規定による要請を行った当該排除対象者が、その後の事情の変更により、排除対象者に該当しなくなったと判断したときは、甲に対し、様式第4号により排除の取消しを行うものとする。
(公の施設からの排除に係る照会等)
第5条 甲は、公の施設から排除対象者を排除する措置を講じるために必要があると認めるときは、乙又は丙に対し、次の各号について様式第5号により照会するものとする。
(1) 使用承認の申請者、使用承認を受けた者、使用承認に係る行事等に参加する者等が排除対象者に該当するか否か。
(2) 使用承認に係る行事等の主催者、協賛者等が排除対象者に該当するか否か。
2 前条第2項から第5項までの規定は、公の施設からの排除について準用する。この場合において、同条第2項中「様式第2号」とあるのは「様式第6号」と、同条第3項中「様式第3号」とあるのは「様式第7号」と、同条第5項中「様式第4号」とあるのは「様式第8号」と読み替えるものとする。
(個人情報の管理)
第6条 甲、乙及び丙は、この協定書の運用により取得した個人情報を適正に管理し、甲の公共事業等及び公の施設から排除対象者を排除する措置を講じる目的以外に使用してはならない。
相互の連携
第7条 甲、乙及び丙は、排除対象者の排除の徹底を図るため、相互に情報交換を行う等、連携の強化に努めるものとする。
2 甲は、排除対象者を排除する措置を講じるに当たり、排除対象者からの妨害等が予想されるときは、乙又は丙に対し、様式第9号により支援を要請することができる。
3 乙又は丙は、前項の規定による支援の要請その他必要があると認めるときは、甲に対し、必要な支援を行うものとする。
4 乙又は丙は、当該排除対象者から甲に対し、不服申立て、訴訟の提起等の紛議が生じたときは、第4条第2項又は第3項(第5条第2項において準用する場合を含む。)の規定により甲に回答した内容又は通知した情報その他の乙又は丙が甲に提供した情報に関する正当性の立証等への協力等、紛議の解決に必要な協力を行うものとする。
(急を要する場合の措置)
第8条 甲、乙及び丙は、照会若しくは回答又は排除若しくは支援の要請を文書により行ういとまがないときは、口頭によりこれを行うことができるものとする。
2 甲、乙及び丙は、前項の規定による口頭の照会等が行われたときは、事後に関係する文書(各様式)を作成及び送付するものとする。
効力発生日
第9条 この協定書は、平成26年4月1日からその効力を生ずる。
(現に効力を有する暴力団等の排除に係る照会等の取決めに関する取扱い)
第10条 平成26年3月31日時点において、現に効力を有する甲、乙及び丙との間における公共事業等及び公の施設からの暴力団等の排除に係る照会、支援その他の行為の取決め(平成20年3月26日締結済みの暴力団員による市営住宅の使用制限に関する協定を除く。)は、この協定書の効力発生により、その効力を失うものとする。
その他
第11条 この協定書に定めのない事項又は疑義が生じた事項については、その都度、甲、乙及び丙が協議の上、決定するものとする。
この協定を証するため、本書3通を作成し、当事者は署名押印の上、各自1通を保有する。
平成26年3月31日