教育行政方針

情報発信元 教育政策課

最終更新日 2024年2月26日

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令和6年度教育行政方針(要旨)

はじめに

教育行政方針の説明に先立ちまして、令和6年能登半島地震により亡くなられた方々に心からお悔やみを申し上げるとともに、被災された全ての方々にお見舞いを申し上げます。
最初に、令和4年9月に、調査報告を受けたいじめの重大事態に関わりまして、亡くなられた女子生徒に対しまして、心から哀悼の意を表しますとともに、御冥福をお祈り申し上げます。現在、再調査が行われているところですが、教育委員会といたしましては、旭川市いじめ防止対策推進条例の制定を始め、いじめの防止対策を最重要課題として取組を進めてまいりました。引き続き、市長部局と一体となって、いじめの未然防止や早期発見、重大化防止の徹底を進めていく所存であります。
さて、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行となり、社会が以前の活動を取り戻しつつある中、教育においては、様々な制約を受けたコロナ禍での経験を踏まえて、持続可能な社会の創り手の育成と、多様な個人それぞれが喜びや生きがいを、地域が幸せや豊かさを感じられる社会の実現に向けた取組が一層求められています。
このような動向を踏まえた上で、旭川市教育大綱の基本方針であります「主体的に学び力強く未来を拓く人づくり」の実現を目指し、関係機関等との連携を図りながら、教育行政を推進してまいります。
以下、学校教育、社会教育の順に、教育行政推進の重点的な取組について申し上げます。

基本的な考え(学校教育)

はじめに学校教育についてであります。
子どもたちが、ふるさと旭川への愛着と誇りを持ち、それぞれの夢や目標の実現に向けて、生きる力を育み、未来へとはばたくことができるよう、安全で安心な教育環境を整備するとともに、学校・家庭・地域の連携・協働を推進し、令和の時代の豊かな学びの実現に取り組んでまいります。
令和6年度におきましては、第2期旭川市学校教育基本計画に基づき、3つの重点的な取組を進めてまいります。

子どもたちに未来を生き抜く力を育む

重点的な取組の1つ目は、「子どもたちに未来を生き抜く力を育む」であります。
確かな学力の育成につきましては、各学校において健康面に配慮しながら、ICTを活用した「個別最適な学び」と「協働的な学び」を一体的に充実することにより、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を進めてまいります。そのため、教職員向けの研修会や学校訪問等を通して、本市の先進校による実践事例を普及させるとともに、全国学力・学習状況調査の結果分析に基づき作成した「指導の改善策」や、日々の授業づくりの要点をまとめた「授業ポイント集」の活用促進を図ってまいります。
また、タブレット端末の持ち帰りを、かばんの重さ等に配慮しながら、全ての小中学校で実施してまいります。
英語教育につきましては、各学校にALT及び小学校外国語活動サポーターを派遣するほか、長期休業期間に児童生徒を対象としたイングリッシュ・チャレンジ教室を実施するとともに、教員の英語力や指導力の向上を図る研修会を開催いたします。 
いじめ防止対策の充実につきましては、旭川市いじめ防止対策推進条例や旭川市いじめ防止基本方針に基づく施策を推進し、学校・教育委員会と市長部局が一体となったいじめ防止対策「旭川モデル」の一層の充実を図ります。
また、いじめの未然防止に向け、関係機関や団体と連携した人権教育等の実施や、生活・学習Actサミットの開催を通じ児童生徒の主体的な活動の支援に取り組んでまいります。
さらに、スクールカウンセラーの派遣により、各学校における相談体制の充実を図るとともに、いじめ対策に係る研修や学校訪問の実施により、いじめの積極的かつ幅広い認知や迅速な対処等の組織的な対応を徹底してまいります。
不登校への対応につきましては、教員による教育相談や家庭訪問と併せ、スクールカウンセラーによる支援を継続し、未然防止や初期対応の徹底を図ってまいります。
また、不登校児童生徒の登校再開や社会的自立に向け、教育支援センター「ゆっくらす」において、通室できない児童生徒に対し、オンラインによる対応などICTを活用した支援に新たに取り組むとともに、教員や保護者等を対象とした講演会を開催するほか、関係機関とも連携し、児童生徒一人一人の状況に応じた対応や保護者への支援を進めてまいります。
豊かな心の育成につきましては、道徳教育の一層の充実に向け、引き続き研修会を開催し、授業改善を図ってまいります。
また、児童生徒に命の大切さや思いやりの心を育成するため、「生命(いのち)の安全教育」やSNSに関する学習を全学校で実施するとともに、パラアスリートを講師とした体験活動等を実施してまいります。
健やかな体の育成につきましては、児童生徒自らが目標を持って生活し、運動に取り組むことができるよう、教員研修を通じて、体育授業の改善を進めるなど、学校における体力向上等の取組の充実に努めてまいります。
学校給食につきましては、安全、安心を確保するため、給食調理施設の適正な維持管理や職員研修の実施など、衛生管理と安全管理の徹底を図ってまいります。
また、学校給食を通じ、食の大切さはもとより、地産地消、地域の食文化などについて幅広く学ぶことができるよう、生産者との交流なども行いながら食育を進めてまいります。
物価上昇による家計の負担増が続いていることから、令和5年度に引き続き、令和6年度においても、学校給食費を令和4年度と同額とし、保護者の負担増とならないよう支援してまいります。
子どもたちの多様な個性を伸ばす教育の推進につきましては、児童生徒のふるさと旭川への理解を深め、郷土への愛着と誇りを育むため、キャリア教育等で活用できる地域人材や施設のリストを拡充し、各学校における地域の教育資源を効果的に活用した特色ある教育活動の推進を支援してまいります。
特別支援教育につきましては、増加傾向が続いている特別な支援が必要な児童生徒の教育的ニーズにきめ細かに対応するため、専門員による具体的な助言や研修により教員の専門性の更なる向上に努めるとともに、補助指導員を増員し、医療的ケアを含めた児童生徒の支援体制の充実を図ってまいります。

子どもたちの学びの環境を整える

重点的な取組の2つ目は、「子どもたちの学びの環境を整える」であります。
児童生徒の安全の確保につきましては、昨今の猛暑対策として、令和6年夏までに保健室、多目的室等にエアコンを整備するとともに、令和9年度までに、小中学校全ての普通教室及び職員室にエアコンを整備することを目指します。
学校の増改築につきましては、令和7年度2学期からの供用開始に向け、永山西小学校の工事を継続するほか、新たに豊岡小学校の体育館についても令和8年度からの供用開始に向け、工事を実施してまいります。
耐震化につきましては、日章小学校及び明星中学校の補強工事を継続するほか、雨紛小学校についても実施してまいります。
また、体育館のバスケットゴールの落下防止対策や、窓ガラスの飛散防止措置等の非構造部材の耐震化に着手するほか、校舎内照明のLED化及び防犯カメラにつきまして、令和7年度の全小中学校への整備完了を目指し、順次工事を進めてまいります。
小・中学校の適正配置につきましては、児童生徒のより良い教育環境を整えるため、旭川市立小・中学校適正配置計画に基づき、地域の実情を踏まえ、保護者や地域住民の理解を得ながら学校の統合や通学区域の見直しに取り組んでまいります。また、令和6年度で第2期の計画期間が終了することから、これまでの経過や児童生徒数の推移などを踏まえ、次期適正配置計画の検討を進めてまいります。
就学援助制度につきましては、関係部局と連携し、各種制度や相談窓口についても周知するなど、支援制度活用に当たっての保護者負担の軽減ときめ細かな情報提供に努めてまいります。

子どもたちをともに育て豊かな学びをつくる 

重点的な取組の3つ目は、「子どもたちをともに育て豊かな学びをつくる」であります。
地域の理解と協力を得た学校運営に向けて、各学校におけるコミュニティ・スクールの取組を着実に進めてまいります。
中学校の部活動につきましては、休日の部活動の地域連携や地域クラブ活動への移行に向け、各競技等に関する専門的な知識や技術を有し、部活動を単独で指導できる部活動指導員の配置拡充を図るとともに、市長部局や各競技団体等と連携した取組を進めてまいります。
グローバル化や情報化の進展で社会が急速に変化する中、全ての教員が教育を取り巻く環境の変化を前向きに受け止め、自律的かつ継続的に新しい知識や技能を学び続けることができるよう、研修機会の充実に努めるとともに、研修履歴を活用した受講奨励を行うことにより、教員の資質能力の向上を図ってまいります。
また、一人一人の教員が持っている力を高め、発揮していくためには、教員がゆとりを持って子どもたちと向き合うことができる環境を整えることが重要であることから、保護者や地域の方々の理解と協力を得ながら、旭川市立小中学校働き方改革推進プランに基づき、学校における働き方改革を推進してまいります。
服務規律の遵守につきましては、教職員一人一人が教育公務員としての自らの責任の重さを再確認し、不祥事根絶に向け強い危機意識を持って職務の遂行に当たるよう、徹底してまいります。

基本的な考え(社会教育)

次に社会教育についてであります。
「生涯を通じた学びの振興」、「個性豊かな文化の振興」の着実な実施を目指し、市民の主体的に学ぶ意識の向上、学びの成果を地域に還元できる環境の整備、また、郷土への愛着を育むことを目的に、地域の魅力や資源を生かした学びの機会の充実と文化芸術活動の一層の支援を推進してまいります。
令和6年度におきましては、旭川市社会教育基本計画に基づき、5つの重点的な取組を進めてまいります。 。

市民一人一人の主体的な学びの機会の充実

重点的な取組の1つ目は、「市民一人一人の主体的な学びの機会の充実」であります。
多様なニーズに対応した学習機会、学習情報の提供につきましては、社会教育施設において児童、生徒向けの体験学習やイベントの充実に努めるほか、公民館でのスマートフォン講座や情報モラル講座などICTを活用した事業を実施してまいります。
ジオパーク構想の推進につきましては、地域おこし協力隊の配置により体制の強化を図るとともに、貴重な地域資源を題材とした学校向けの講座やジオツアーを開催することで、教育や観光振興につながる事業の充実を図ってまいります。
開館30周年を迎える彫刻美術館におきましては、幅広い世代を対象とした彫刻教室を開催するほか、無料開館日を設けることで、多くの方々に彫刻に親しむ機会を提供してまいります。

市民の学びを支える環境の整備

重点的な取組の2つ目は、「市民の学びを支える環境の整備」であります。
施設の老朽化が課題となっている市民文化会館につきましては、令和5年度に策定する整備基本構想における施設のコンセプトや機能を踏まえ、建替えに向けた基本計画の策定に取り組んでまいります。
科学館におきましては、ドローンやAIといった近未来のライフスタイル変革につながる新しい技術を体験できる展示「10TOWN(イチマルタウン)」を新たに公開するなど、魅力ある常設展示の充実に取り組んでまいります。
公民館におきましては、ICTを活用した事業を展開するとともに、多くの方に利用していただけるよう、インターネット環境を整備し、活用してまいります。
開館30周年を迎える中央図書館におきましては、幅広い世代を対象とした講演会や、図書館の歴史を振り返るパネル展示を実施することで、改めて図書館の魅力を伝えるほか、旭川市子ども読書活動推進計画に基づき、全ての子どもが自ら読書に親しむことができる環境づくりを進めるとともに、電子書籍サービスの活用により読書環境の充実にも取り組んでまいります。

地域における学びの循環

重点的な取組の3つ目は、「地域における学びの循環」であります。
シニア大学につきましては、学生が社会の担い手として学習成果をそれぞれの地域で還元できるよう、地域共生社会の実現に向けたカリキュラムの充実を図ってまいります。
生涯学習フェアまなびピアあさひかわにつきましては、生涯学習に取り組む市民団体等で構成される実行委員会が企画・運営することで、より市民が主体となり学んだ成果を地域に還元する機会の一つとして開催いたします。
地域学校協働活動につきましては、新たにモデル地域を設定するとともに、地域と学校をつなぐコーディネーターを発掘、養成してまいります。

市民の心を豊かにする文化芸術活動の充実

重点的な取組の4つ目は、「市民の心を豊かにする文化芸術活動の充実」であります。
北海道音楽大行進を皮切りに開催する旭川ミュージックウィークでは、「空港で結ぶ友好都市提携」による文化交流により、豊中市から演奏者を招へいするほか、開館50周年を迎える市民文化会館におきましては、オーケストラ公演や子ども向けのミュージカル公演などの記念事業を開催し、多くの方が様々な音楽に触れ、鑑賞することができる機会を創出してまいります。
文化芸術団体への支援につきましては、演奏会や展覧会などを実施する団体に対し経費の一部を補助するとともに、市民ギャラリーやリハーサルホールの運営を継続し、文化芸術活動の場の確保に努めてまいります。
文学資料館におきましては、旭川ゆかりの文学作品や漫画家等の紹介を引き続き実施するほか、SNSの活用など情報発信の更なる充実に取り組んでまいります。

郷土文化の保存・活用と郷土愛の育成

重点的な取組の5つ目は、「郷土文化の保存・活用と郷土愛の育成」であります。
博物館におきましては、ヒグマと人との関わりや上川盆地の自然と人々の関わりをテーマにした企画展を開催し、郷土の歴史や文化のほか、環境への関心を高める機会を提供してまいります。
アイヌ文化の普及促進につきましては、国の交付金やアイヌ施策推進基金を活用し、民間アイヌ文化施設を周知する取組を行うほか、「アイヌ神謡集」の著者である知里幸恵について、その業績やゆかりの地等を紹介することで、アイヌ文化への理解を広げるとともに、観光の振興につなげてまいります。
また、博物館においてアイヌ文化を紹介するイベントや市内小中学校向けのアイヌ学習プログラムを実施するなど、引き続きアイヌ文化の保存と伝承に取り組んでまいります。
優佳良織工芸につきましては、認知度向上や織子のスキルアップを図るため、織子が講師となって行う市民、観光客向けの織体験を支援することで、技術の伝承と普及促進を図ってまいります。

むすび

以上、教育行政推進の重点的な取組について申し上げました。
変動性、不確実性、複雑性、曖昧性などのVUCAといわれる時代において、児童生徒や市民のニーズに対応した新たな施策を進めながらも、学校における学びや生活、文化芸術に親しむといった日常の取組を着実に推進していくことが重要であり、その積み重ねが、旭川市に関わる人々の将来にわたる持続的な幸福や豊かさ、地域に対する愛着の形成につながるものと考えます。
教育委員会は、市長部局や地域社会との連携の下、学校教育部と社会教育部が両輪となり、教育行政を全力で推進してまいります。
市民並びに議員の皆様の一層の御支援と御協力をお願い申し上げ、教育行政方針といたします。

令和5年度教育行政方針(要旨)

令和5年度教育行政方針(要旨)

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