令和4年度教育行政方針

情報発信元 教育政策課

最終更新日 2022年2月25日

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令和4年度教育行政方針(要旨)

はじめに

はじめに、教育行政方針の説明に先立ちまして、いじめの重大事態に関わりましては、多くの市民の皆様に御心配をかけており、心よりお詫び申し上げます。

現在、旭川市いじめ防止等対策委員会におきまして真相究明に向けた調査が進められており、一日も早く結果の報告ができるよう、教育委員会といたしましても、引き続き、最大限の努力を払ってまいります。

また、子どもの人権と尊厳を守るため、いじめの防止等の取組を一層強化するとともに、本市の教育行政への信頼回復に全力を注いでいく決意であります。

それでは、教育行政方針を申し上げます。

新型コロナウイルス感染症は、今なお、人々の生活や行動、さらには経済や文化など社会全体に広範囲かつ多面的な影響を与えています。

こうした様々な変化に一人一人が主体的に判断し、多様性を生かしつつ、新たな価値を創造する力を身に付け、活力ある持続可能な社会を構築していくため、ポストコロナ期に向けては、教育の役割がますます重要になっています。

教育委員会といたしましては、旭川市教育大綱の基本方針であります「主体的に学び力強く未来を拓く人づくり」の実現を目指し、関係機関等との連携を図りながら、教育行政を推進してまいります。

以下、学校教育、社会教育の順に、教育行政推進の重点的な取組について申し上げます。

基本的な考え(学校教育)

はじめに学校教育についてであります。

子どもたちが、ふるさと旭川への愛着と誇りを持ち、それぞれの夢や目標の実現に向けて、生きる力を育み、未来へとはばたくことができるよう、安全で安心な教育環境を整備するとともに、学校・家庭・地域の連携・協働を推進し、令和の時代の豊かな学びの実現に取り組んでまいります。

令和4年度におきましては、第2期旭川市学校教育基本計画に基づき、3つの重点的な取組を進めてまいります。

子どもたちに未来を生き抜く力を育む

重点的な取組の1つ目は、「子どもたちに未来を生き抜く力を育む」であります。

新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない中、学校の新しい生活様式を踏まえた感染症対策を徹底した上で、学びの保障や心のケアに努めるとともに、児童生徒が正しい理解の下、自ら感染予防を実践し、感染への誤解や偏見のない適切な行動をとることができるよう引き続き指導してまいります。また、学校での衛生管理についても、国の制度を活用しながら継続的に取り組んでまいります。

確かな学力の育成につきましては、学習指導要領の趣旨を踏まえ、各学校における主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を一層進められるよう北海道教育委員会の事業を活用し、授業改善推進チームによる巡回指導やその成果の普及を図るとともに、小学校における専科教員による指導の充実に取り組んでまいります。

また、全国学力・学習状況調査の結果を分析し、作成した「指導の改善策」について、教員研修や学校訪問指導等を通じて周知を図り、授業改善を進めてまいります。

英語教育につきましては、各学校にALT及び小学校外国語活動サポーターを派遣するほか、長期休業期間に、イングリッシュ・チャレンジ教室や教員の英語力向上を図る研修会を実施いたします。

ICTを活用した教育の推進につきましては、児童生徒の学びの質を高めるため、一人一人の学習状況に応じ、学習目標を達成する上でより効果的な手段としてICTを活用するなど、健康面に配慮しつつ、1人1台端末の活用を一層推進してまいります。

そのため、授業や家庭学習で利用できるオンライン教材ソフト等の環境整備に取り組むほか、専門的な外部人材を学校に派遣し、運用面の支援を行うとともに、各学校の授業実践の共有や教員研修を通して、指導力向上を図ってまいります。

また、家庭学習における日常的な端末の活用について、モデル校による持ち帰りの試行を実施し、その成果と課題を踏まえて今後の方向性を検討するとともに、ICTパークと連携し、地域におけるプログラミング学習の充実を図っていくほか、保護者や地域の方々にICTの活用に対する理解が深まるよう、情報発信に努めてまいります。

少人数学級編制につきましては、小学校の全学年を対象に国や北海道教育委員会が段階的に進めている35人学級の動きを踏まえながら、引き続き教員の確保に努め、本市独自の取組を進めてまいります。

いじめ問題への対応につきましては、現在、旭川市いじめ防止等対策委員会が調査を進めている重大事態の調査報告や再発防止に向けた提言等をいじめ防止対策に生かしてまいります。

また、市長部局とも連携し、「(仮称)いじめ防止条例」の制定に向けた取組や旭川市いじめ防止基本方針の見直しを進めるとともに、組織体制の強化や専門家による相談体制の充実などについて検討を行い、いじめ防止対策の強化に取り組んでまいります。

さらに、積極的ないじめの認知や迅速な対処など、各学校における組織的な対応の徹底を図るとともに、生活・学習Actサミットの開催などを通じ、いじめの未然防止に向けた児童生徒の主体的な活動を支援してまいります。

不登校への対応につきましては、教員やスクールカウンセラー等による教育相談や家庭訪問等を充実し、未然防止や初期対応の徹底を図ってまいります。

また、不登校児童生徒の学校復帰や社会的自立に向け、適応指導教室「ゆっくらす」における指導や、タブレット端末の活用による家庭学習等の支援に取り組むとともに、子ども総合相談センターなど関係機関とも連携を図りながら、一人一人の状況に応じた対応を進めてまいります。

豊かな心の育成につきましては、道徳教育の一層の充実に向け、道徳科研修会を開催し、教員の授業力向上を図るとともに、全ての学校で「生命(いのち)の安全教育」の授業を実施するなど、命の大切さや思いやりの心を育む教育を推進してまいります。

体力向上に向けた取組につきましては、児童生徒自らが目標を持って生活し、運動に取り組むことができるよう、教員研修等を通じて、実践的指導力の向上を図り、授業改善を進めるなど、学校における体力づくりの取組の充実に努めてまいります。

児童生徒の健康の保持増進に大きな役割を果たしている学校給食については、安全、安心の確保が重要であることから、給食調理施設の適正な維持管理や職員研修の実施などにより、衛生管理と安全管理の徹底を図ってまいります。

また、学校給食を通じ、食の大切さはもとより、地産地消、地域の食文化などについて幅広く学ぶことができるよう、生産者などとも連携した食育に取り組んでまいります。

児童生徒のふるさと旭川への理解を深め、郷土への愛着と誇りを育むため、本市の地域人材や施設等のリストを拡充し、各学校における地域の教育資源を効果的に活用した学習活動を支援してまいります。

特別支援教育につきましては、新たに専門的な知識や経験を有する特別支援教育専門員を配置するとともに、特別支援教育補助指導員を増員し、一人一人の教育的ニーズに応じた支援や指導の充実に努めてまいります。

子どもたちの学びの環境を整える

重点的な取組の2つ目は、「子どもたちの学びの環境を整える」であります。

児童生徒が校舎内で安心して過ごせるよう学校施設の耐震化に向け、豊岡小学校の増改築工事に着手するとともに、千代田小学校については、来年4月からの供用開始を目指し工事を継続してまいります。また、永山西小学校の増改築工事の実施設計、日章小学校及び明星中学校の耐震補強工事の設計についても実施してまいります。

また、全国的に子どもたちが巻き込まれる登下校中の事故が発生している中、関係機関や地域と連携し、通学路の危険箇所の合同点検を行い、安全確保に向けて必要な対応を行ってまいります。

児童生徒のより良い教育環境を整えるため、旭川市立小・中学校適正配置計画に基づき、地域の実情を踏まえ、保護者や地域住民と意見交換を行い、理解を得ながら学校の統合や通学区域の見直しに取り組んでまいります。

子どもの貧困は社会的な課題であり、就学援助制度等の実施により、引き続き保護者の経済的負担の軽減を図るとともに、関係部局と連携し、各種相談窓口や支援制度についても周知するなど、きめ細かな情報提供に努めてまいります。

子どもたちをともに育て豊かな学びをつくる

重点的な取組の3つ目は、「子どもたちをともに育て豊かな学びをつくる」であります。

地域の理解と協力を得た学校運営に向け、各学校におけるコミュニティ・スクールの取組を着実に進めてまいります。

学校における働き方改革につきましては、旭川市立小中学校働き方改革推進プランに基づき、教職員が勤務時間を意識した働き方を実践するとともに、業務改善や環境整備を進めることなどにより、時間外勤務の縮減を図ってまいります。

また、教員が社会や時代の変化に的確に対応できるよう資質能力の向上を図るため、それぞれのキャリアステージに応じた研修を計画的かつ効果的に実施してまいります。

教職員の服務規律の保持につきましては、学校教育に対する信頼を損なうことのないよう、教育委員会と学校が危機感を共有し、教職員一人一人に教育公務員としての自覚と責任を強く促すなど、不祥事の根絶に取り組んでまいります。

基本的な考え(社会教育)

次に社会教育についてであります。

「生涯を通じた学びの振興」、「個性豊かな文化の振興」の着実な実施を目指し、市民の知識や能力の向上、生きがいの創出、また、郷土への愛着を育むことを目的に、地域の魅力や資源を生かした学びの機会の充実と文化芸術活動の一層の支援を推進してまいります。

令和4年度におきましては、引き続き新型コロナウイルス感染症対策の徹底を図りながら、旭川市社会教育基本計画に基づき、5つの重点的な取組を進めてまいります。

市民一人一人の主体的な学びの機会の充実

重点的な取組の1つ目は、「市民一人一人の主体的な学びの機会の充実」であります。

生涯学習フェアまなびピアあさひかわにつきましては、オンライン形式などの手法を取り入れ、市民の学習活動への関心を高め、その成果を発表する機会として開催いたします。

青少年への学習機会の提供につきましては、子どもたちが本市の魅力に触れ、愛着を育むことができるよう、地域資源を生かした体験活動などの事業を実施してまいります。

家庭教育支援の推進につきましては、保護者が家庭教育を学ぶ機会を提供するとともに、子育て世代へのアンケートを実施し、本市における家庭教育の現状や課題を整理してまいります。

ジオパーク構想の推進につきましては、ジオパーク活動を持続可能な地域づくりのツールとして活用し、将来的な日本ジオパーク認定に向け、更なる普及や活動主体の多様化に取り組んでまいります。

科学館におきましては、科学への探究心を育む契機として、ロボット恐竜やカムイサウルスの全身骨格レプリカを展示する特別展「恐竜ワールド」を開催し、併せてジオパークの関係者と連携して、恐竜がいた時代の旭川の様子を紹介する展示を行うなど、魅力ある学習機会を提供してまいります。

市民の学びを支える環境の整備

重点的な取組の2つ目は、「市民の学びを支える環境の整備」であります。

公民館におきましては、ICT機器を活用した事業を展開するため、インターネット環境の整備を進めてまいります。また、令和6年度に予定されている地域集会施設の見直しの第2段階に向け、公民館の位置付けについて考え方を整理してまいります。

中央図書館におきましては、第4次旭川市子ども読書活動推進計画に基づき、全ての子どもが自ら読書に親しむことができる環境づくりを進めるとともに、ホームページやSNSを活用した資料提供や広報活動の充実に取り組んでまいります。

Web所蔵絵画作品展につきましては、展示作品の対象を広げ、内容を充実させてまいります。

施設の老朽化が課題となっている市民文化会館につきましては、学識経験者等で構成する市民文化会館の在り方に関する検討会を立ち上げ、市長部局と連携して、整備の方向性について検討してまいります。

地域における学びの循環

重点的な取組の3つ目は、「地域における学びの循環」であります。

シニア大学におきましては、主体的に学習成果を還元し、地域で活躍できる人材を育成するため、実践的なカリキュラムの充実を図ってまいります。

地域学校協働活動につきましては、モデル地域において研修会等を実施し、地域住民の理解を深めるとともに、地域の人材や資源の把握、地域住民が安心して活動できる環境の整備などに取り組んでまいります。

市民の心を豊かにする文化芸術活動の充実

重点的な取組の4つ目は、「市民の心を豊かにする文化芸術活動の充実」であります。

文化芸術活動がより身近なものとなるよう、文化芸術事業への補助金交付や後援のほか、市民ギャラリーやリハーサルホールなど活動の場を提供することで、市民の活動を支援してまいります。

文学資料館におきましては、より多くの方に関心を持っていただけるよう、旭川にゆかりのあるマンガ家や作家を紹介する企画展示を開催いたします。

令和4年に生誕100年を迎える三浦綾子氏の功績を称え、三浦綾子記念文学館が実施する「氷点」などの図書を学校等に贈呈する事業に対して支援いたします。

また、第90回北海道音楽大行進を契機に、市民が様々なジャンルの音楽に触れることができる旭川ミュージックウィークを開催いたします。

彫刻美術館におきましては、市制施行100年に合わせて中原悌二郎賞創設50周年記念講演会を開催し、本賞の認知度を高め、彫刻のまちとしての魅力を発信してまいります。

市民文化会館及び大雪クリスタルホールにおきましては、質の高い舞台公演や文化芸術の素晴らしさを体験できる機会を提供するため、幅広い世代を対象にした魅力ある自主文化事業を実施いたします。

郷土文化の保存・活用と郷土愛の育成

重点的な取組の5つ目は、「郷土文化の保存・活用と郷土愛の育成」であります。

博物館や中央図書館をはじめとする社会教育施設におきましては、市制施行100年に合わせて、これまでの旭川のまちの歩みや暮らしの移りかわりに関する企画展を幅広く開催するほか、博物館では、市内の縄文遺跡をテーマとした企画展を開催し、郷土の歴史や文化への関心を高める多様な機会を提供してまいります。

アイヌ文化の普及につきましては、国の交付金を活用し、民間アイヌ文化施設の新館整備に対する支援を行うとともに、「アイヌ神謡集」をまとめた知里幸恵氏没後100年を記念する事業を実施するほか、文化伝承活動の促進や博物館が所蔵する交易品を紹介する企画展の開催など、アイヌ文化の保存と伝承、理解の促進を図り、産業や観光の振興につなげてまいります。

コロナ禍で発表の機会が減少している獅子舞等の郷土芸能につきましては、保存伝承に向けて伝承団体の活動に対し支援してまいります。

優佳良織につきましては、本市発祥の染織工芸を絶やすことのないよう、その技術を保存・伝承するための支援を継続してまいります。

むすび

以上、教育行政推進の重点的な取組について申し上げました。

先行き不透明な時代を豊かに生きていくためには、学校教育に加え、生涯にわたり学び続けることを通じて、夢と自信を持ち、自らの可能性に挑戦するために必要となる力を身に付けることが重要であります。

教育委員会といたしましては、市長部局や地域社会との連携の下、学校教育部と社会教育部が両輪となり、子どもたちが心身共にたくましく成長し、市民が生き生きと心豊かに暮らせることを目指し、新しい時代の教育行政を全力で推進してまいります。

市民並びに議員の皆様の一層の御支援と御協力をお願い申し上げ、教育行政方針といたします。

お問い合わせ先

旭川市教育委員会 学校教育部教育政策課

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