RI室

情報発信元 経営管理課

最終更新日 2016年2月24日

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核医学(RI)検査とは

静脈注射した放射性医薬品(RI RadioIsotope ラジオ・アイソトープ)は、頭、骨、心臓などの臓器に集まります。その臓器から発生するγ(ガンマ)線をガンマカメラという機器によって撮像します。検査によってRIは色々なものがあります。

X線検査と核医学検査の違い

下図のように、X線検査は機器によりX線を発生させフィルム上に画像を形成します。核医学検査では、体内に取り込まれたRIをガンマカメラで画像を取り込みます。この画像をシンチグラフィ或いはシンチグラムといいます。また、検査によってはガンマカメラを患者さんの周りに回転させ断層像を得ることができ、これをSPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)といいます。

X線検査

X線検査のことを表した図

RI検査

RI検査を表した図

核医学検査の目的

放射性医薬品は、病変部に強く取り込まれたり、逆に取り込まれなかったりしますので、病変の状態が良く分かります。これらのデータをコンピューターで処理することにより、臓器の働きや断層像で詳しく調べることができます。また、CTやMRIなどを組み合わせて治療の方針を決めたり、治療が有効であるかなどを判断します。

検査方法

当院で行われている代表的な検査を下記に示します。

骨シンチグラフィ

骨シンチグラフィは骨シンチとも略され、当院では全核医学検査の約20パーセントを占めています。乳がん、肺がん、前立腺がんなど各種がんの骨転移、外傷等による微小骨折など、X線検査ではわかりにくい色々な骨の状態を詳しく調べることができます。

  • 検査前の準備
    食事や飲物の制限はありません。
  • 検査の流れ
  1. 検査薬を静脈に注射します。検査は注射を打ってから十分に薬が骨に集まる約2時間から4時間後に行います。待ち時間の間はご自由にお過ごしください。
  2. 検査の直前に排尿をします。尿が衣服に付着しないようご注意ください。
  3. 検査機器のベッドの上に横になり、約20分から30分位で終了します。写真を撮っておりますので動かないようにお願い致します。また必要であればSPECT(断層)を追加撮像します。
  • 適応疾患
    転移性骨腫瘍、原発性骨腫瘍、骨髄炎、ストレス骨折、肋骨骨折、代謝性疾患、骨移植後の評価、異所性集積の検索、関節炎など
  • 症例
    肺がん 骨転移
    Th10、12、L1、仙骨にfocal uptake MRI画像と一致している
全身を写した骨シンチグラフィの写真
MRI画像で患部を矢印で2か所指している写真
ribone3.gif

ガリウムシンチグラフィ

当院では全核医学検査の約10パーセントを占めています。腫瘍或いは炎症部位や進行具合を調べます。また、治療の効果や再発の判定にも有効です。

  • 検査前の準備
    食事や飲物の制限はありませんが、余分な薬が便に混じりますので検査当日は十分に排泄して下さい。検査前日に下剤の投与や直前に浣腸が必要な場合もあります。
  • 検査の流れ
  1. 検査薬を静脈に注射します。検査は注射を打ってから2日から3日後に行います。
  2. 検査当日は十分に排泄してください。
  3. 検査機器のベッドの上に横になり、約30分から40分位で終了します。写真を撮っていますので動かないようにお願い致します。また必要であれば翌日追加撮像します。
  • 適応疾患
    悪性リンパ腫、悪性黒色種、甲状腺未分化癌、サルコイドーシス、間質性肺炎、各種感染症など

レノグラム検査

当院では全核医学検査の約5パーセントを占めています。腎臓の機能(ろ過作用)を調べます。また、血液検査では分からない左右の腎機能を比較することもできます。移植された腎臓が正常かどうかを経時的に評価するときにも有効です。

  • 検査前の準備
    食事や飲物の制限はありませんが、検査約30分前に水を摂取します。
  • 検査の流れ
  1. 検査開始前30分に水を摂取します。
  2. 検査の直前に排尿をします。尿が衣服に付着しないようご注意ください。
  3. 検査機器のベッドの上に横になり、約20分から40分位で終了します。写真を撮っていますので動かないようにお願い致します。また利尿剤を途中で投与することもあります。
  • 適応疾患
    各種腎疾患の腎機能、腎血管性高血圧のスクリーニング、腎外傷、移植腎など
腎臓の機能を表したグラフ
腎臓の様子を分単位で比べた写真

心筋血流シンチグラフィ

当院では全核医学検査の約35パーセントを占めています。心筋(心臓の筋肉)の血流状態を見ます。
心筋血流が必要に応じて増えるかどうかを調べるため、心臓に負担をかけながら検査を行います。患者様の状態に応じて運動或いは薬物による方法を選択します。
なお、ガンマカメラによる撮像は、心臓に負担がかかった状態と約3時間から4時間後の安静状態の計2回行います。

ガンマカメラによる治療前の心臓に負担がかかった状態の撮像
心筋血流シンチグラフィ 治療前
治療前の安静状態のガンマカメラによる撮像
rimyo3.jpg
心筋血流シンチグラフィ 治療後
rimyo3.jpg
冠動脈造影治療前の写真
冠動脈造影治療前
冠動脈造影治療後の写真
冠動脈造影治療後
  • 検査前の準備
    検査当日の朝食、コーヒー、紅茶、緑茶を控えて下さい。水、白湯は飲んでもかまいません。また、主治医の指示が無いときは普段飲んでいる薬を内服してください。(1回目の検査終了後から食事は取ることができます)
  • 検査の流れ
  1. 心臓に負担をかけながら検査薬を静脈に注射します。
  2. 注射してから10から15分後に1回目の撮像を行います。
  3. 一度検査室から退室していただきます。特に主治医から指示がない時は食事が取ることができます。
  4. 注射してから約3から4時間後に2回目の撮像を行います。
  • 適応疾患
    虚血性心疾患患者の診断、梗塞と虚血の判定、冠動脈バイパス手術、経皮・経管冠動脈形成術(PTCA等)の適応の決定、薬物効果の判定、経過観察、心筋症など
  • 症例
    不安定狭心症
    前下降枝に高度狭窄PCIにより胸痛発作消失。

放射性医薬品について

  • 副作用及び被ばく
    放射性医薬品による副作用は極稀で10万人当りに数人と言われています。また、一年間あたりに自然界からうける放射線の量に対して、1回のRI検査は0.1から5倍であり微量なので、安心して検査を受けられます。
  • 不妊
    一般に放射線によって卵巣或いは精巣に数百ミリグレイで一時的不妊、数千ミリグレイで永久不妊になるといわれていますが、RI検査では百ミリグレイを超えることがなく、不妊にはなりません。
  • 妊娠
    妊娠しているときはRI検査を避けるのがよいとされますが、万が一気付かず検査を受けられても心配はありません。
  • 胎児への影響
    胎児への影響は百ミリグレイ以上の放射線を受けた場合、胎児に奇形などが起こるといわれています。RI検査では百ミリグレイを超えることがなく心配はありません。
  • 授乳中の女性
    下記の表を参考にして下さい。詳細はRI担当技師までお問い合わせください。
    核医学検査を実施した際の授乳を控える期間
    3週間は授乳を控える ガリウムシンチ、心筋血流シンチなど
    12時間授乳を控える 骨シンチ、アシアロシンチなど
    4時間授乳を控える 出血シンチ、レノグラムなど