令和5年度教育行政方針

情報発信元 教育政策課

最終更新日 2015年8月30日

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令和5年度教育行政方針(要旨)

はじめに

旭川市教育行政方針を申し上げます。
令和3年6月に旭川市いじめ防止等対策委員会に諮問いたしました、いじめの重大事態に関し、まずは、亡くなられた女子生徒に対しまして、心から哀悼の意を表しますとともに、御冥福をお祈り申し上げます。本件につきましては、昨年9月、1年5か月に及ぶ調査・検証を終え、報告書の提出を受けました。教育委員会といたしましては、報告書における指摘等を厳粛に受け止め、いじめ防止対策に全力を尽くすとともに、本市の教育行政に対する信頼回復に誠心誠意努めてまいります。
さて、絶えず変化する予測困難な時代の中で、持続可能な社会の実現を担う人材を育むことが重要であり、生涯にわたって学び続ける学習者としての基盤を学校教育において培うとともに、社会や時代の変化に応じて課題を発見・解決するための学びを受けられる教育・社会環境の整備が求められております。

こうした動向を踏まえ、旭川市教育大綱の基本方針であります「主体的に学び力強く未来を拓く人づくり」の実現を目指し、関係機関等との連携を図りながら、教育行政を推進してまいります。
以下、学校教育、社会教育の順に、重点的な取組について申し上げます。

基本的な考え(学校教育)

はじめに学校教育についてであります。

子どもたちが、ふるさと旭川への愛着と誇りを持ち、それぞれの夢や目標の実現のため、生きる力を身に付け、未来へ向かってはばたくことができるよう、いじめ問題への対応を最優先の課題と位置付けながら、第2期旭川市学校教育基本計画に掲げる、3つの目標を重点的に推進し、令和の時代の豊かな学びの実現に取り組んでまいります。

子どもたちに未来を生き抜く力を育む

重点的な取組の1つ目は、「子どもたちに未来を生き抜く力を育む」であります。
新型コロナウイルス感染症は5類感染症となる見込みですが、基本的な感染対策は求められることから、児童生徒が正しい理解の下、自ら感染予防を実践することができるよう指導を継続してまいります。
確かな学力を育成する教育の推進につきましては、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を一層進められるよう、実践推進校を指定し、その成果を市内各校に普及させるよう取り組むとともに、全国学力・学習状況調査の結果を分析し、作成した「指導の改善策」についても、周知を図ってまいります。
英語教育につきましては、各学校にALT及び小学校外国語活動サポーターを派遣するほか、長期休業期間に、イングリッシュ・チャレンジ教室を開催するとともに、教員の英語力や指導力の向上を図る研修会を実施いたします。

ICTを活用した教育につきましては、児童生徒の学びの質を高めるため、指導主事による学校訪問等を通じて、教職員の指導力向上に努め、一人一人の学習状況に応じ、学習目標を達成する上でより効果的な手段として、健康面に配慮しつつ、タブレット端末の活用を一層推進してまいります。
また、モデル校において持ち帰りの試行を実施し、家庭学習における活用手法を検討するとともに、保護者や地域の方々にICT活用に対する理解が深まるよう、情報発信に努めてまいります。 

一人一人の教育的ニーズに応じたきめ細かな指導を行うことが重要であるため、国や北海道教育委員会が小学校の全学年を対象に段階的に進めている35人学級の動きを踏まえながら、引き続き本市独自に教員の確保に努め、少人数学級編制事業を進めてまいります。
いじめ問題への対応につきましては、昨年9月に答申を受けた「いじめの重大事態に係る調査報告書」における再発防止策を踏まえ、教育委員会内部の組織体制の強化を図るとともに、市長部局と連携した(仮称)市いじめ対策チームによる学校への指導助言・支援等を進めてまいります。
また、「(仮称)旭川市いじめ防止条例」の制定や、「旭川市いじめ防止基本方針」の改定により、いじめ対策の充実強化を図ってまいります。
さらに、スクールカウンセラー派遣などによる、各学校における、相談体制の充実や組織的な対応の徹底により、積極的ないじめの認知や迅速な対処等に取り組むとともに、生活・学習Actサミットの開催を通じ、いじめの未然防止に向けた児童生徒の主体的な活動を支援してまいります。
不登校への対応につきましては、教員による教育相談や家庭訪問と併せ、スクールカウンセラーによる支援を充実し、未然防止や初期対応の徹底を図ってまいります。
また、不登校児童生徒の学校復帰や社会的自立に向け、適応指導教室「ゆっくらす」における指導や、タブレット端末の活用による家庭学習の支援に取り組むとともに、教員・保護者・関係機関を対象とした講演会を開催するほか、子ども総合相談センターなど関係機関とも連携し、児童生徒一人一人の状況に応じた対応や保護者への支援を進めてまいります。
豊かな心の育成につきましては、道徳教育の一層の充実に向け、研修会を引き続き開催し、教員の授業力向上を図るとともに、「生命(いのち)の安全教育」や人権教育、SNSに関する学習を全学校で実施するなど、児童生徒に命の大切さや思いやりの心を育む教育を推進してまいります。 

体力の向上につきましては、児童生徒自らが目標を持って生活し、運動に取り組むことができるよう、教員研修を通じて、実践的指導力の向上を図り、授業改善を進めるなど、学校における体力づくりの取組の充実に努めてまいります。

学校給食につきましては、安全、安心な提供のため、給食調理施設の適切な維持管理や職員研修の実施など、衛生管理と安全管理の徹底を図るとともに、学校給食を通じ、食の大切さ、地産地消、地域の食文化について生産者との交流なども行いながら食育を進めてまいります。
学校給食費につきましては、原材料価格の高騰や円安の影響により、エネルギー、食料品などの価格が上昇していることから、一食当たりの単価は上がりますが、同時に家計の負担も増加していることを踏まえ、令和5年度においてはその上昇分を保護者負担としないよう支援してまいります。
児童生徒のふるさと旭川への理解を深め、郷土への愛着と誇りを育むため、本市の地域人材や施設のリストを拡充し、各学校における地域の教育資源を効果的に活用した特色ある教育活動の推進を支援してまいります。
特別支援教育につきましては、専門員による指導方法等に関する具体的な助言や研修により教員の専門性の向上を図るとともに、学校に補助指導員を配置し、医療的ケアや、一人一人の教育的ニーズに応じた支援や指導の充実に努めてまいります。

子どもたちの学びの環境を整える

重点的な取組の2つ目は、「子どもたちの学びの環境を整える」であります。
児童生徒が学校で安心して過ごせるよう、来年4月からの供用開始を目指し豊岡小学校の増改築工事を継続するほか、新たに永山西小学校についても着手してまいります。耐震化については、日章小学校及び明星中学校の補強工事並びに雨紛小学校の設計を実施してまいります。
また、体育館のバスケットゴール、窓ガラスなどの非構造部材の耐震化に向け、調査、設計に着手するとともに、照明のLED化を進めてまいります。
児童生徒のより良い教育環境を整えるため、旭川市立小・中学校適正配置計画に基づき、地域の実情を踏まえ、保護者や地域住民と意見交換を行い、理解を得ながら学校の統合や通学区域の見直しに取り組んでまいります。

就学援助制度につきましては、手続を簡略化するとともに、関係部局と連携し、各種制度や相談窓口についても周知するなど、支援制度活用に当たっての保護者負担の軽減ときめ細かな情報提供に努めてまいります。
また、児童生徒が気兼ねなく使用できるよう、学校のトイレに生理用品を配備します。

子どもたちをともに育て豊かな学びをつくる 

重点的な取組の3つ目は、「子どもたちをともに育て豊かな学びをつくる」であります。
地域の理解と協力を得た学校運営に向けて、各学校におけるコミュニティ・スクールの取組を着実に進めてまいります。
中学校の部活動につきましては、各競技等に関する専門的知識や技術を有する部活動指導員の配置拡充を図るとともに、市長部局や各競技団体等との連携の下、休日の部活動の地域移行に向けた取組を進めてまいります。
学校の教育力の向上につきましては、教員がゆとりを持って児童生徒と向き合い、効果的な教育活動を行うことができる環境づくりのため、旭川市立小中学校働き方改革推進プランに基づき、各学校において勤務時間の適正管理や業務改善に取り組むとともに、教育委員会においても引き続き教職員の勤務時間や学校の取組状況を把握し、必要な環境整備を進めてまいります。

教職員の資質能力の向上につきましては、一人一人の教員が社会や学校を取り巻く状況の変化に的確に対応できるよう、任命権者である北海道教育委員会が策定する教員の資質向上に関する指標の内容を踏まえ、それぞれの教員のキャリアステージに応じた研修を計画的かつ効果的に実施してまいります。
また、教職員の不祥事により学校教育に対する信頼が損われることのないよう、教育公務員としての自覚と責任を常に意識するよう啓発するなど、不祥事の根絶に向け、厳正な服務規律の保持を徹底してまいります。
「第2期旭川市学校教育基本計画」につきましては、令和5年度で計画期間の半ばとなることから、新たな教育的ニーズや社会経済状況の変化などに対応するため、見直しに着手してまいります。

基本的な考え(社会教育)

次に社会教育についてであります。
「生涯を通じた学びの振興」、「個性豊かな文化の振興」の着実な実施を目指し、市民の知識や能力の向上、生きがいの創出、また、郷土への愛着を育むことを目的に、地域の魅力や資源を生かした学びの機会の充実と文化芸術活動の一層の支援を推進してまいります。
令和5年度におきましては、旭川市社会教育基本計画に基づき、5つの重点的な取組を進めてまいります。

市民一人一人の主体的な学びの機会の充実

重点的な取組の1つ目は、「市民一人一人の主体的な学びの機会の充実」であります。
生涯学習フェアまなびピアあさひかわにつきましては、ウィズコロナにおける学びの手法として会場とオンライン両方で開催するハイブリッド開催方式を取り入れるとともに、市民が主体となり、学んだ成果を地域に還元する機会の一つとして開催いたします。
青少年への学習機会の提供につきましては、子どもたちが本市の魅力を感じて愛着を持つことができるよう、社会教育施設における小中学校をはじめとした団体見学の受入れ促進や、青少年向けの事業・体験活動に取り組んでまいります。
ジオパーク構想の推進につきましては、旭川市を含む構想地域の貴重な地域資源を題材としたイベントやツアーを展開し、教育・観光・地域振興につなげることで、持続可能な地域づくりを目指してまいります。

市民の学びを支える環境の整備

重点的な取組の2つ目は、「市民の学びを支える環境の整備」であります。
公民館につきましては、昨年5月に社会教育委員会議からいただいた答申を踏まえて今後の在り方を定め、その実現に向け、取り組んでまいります。
中央図書館におきましては、第4次旭川市子ども読書活動推進計画に基づき、全ての子どもが自ら読書に親しむことができる環境づくりを進めるとともに、本年2月に開始した電子書籍サービスの周知を図り、来館が困難な方への読書活動の機会の確保や、読書が困難な方への読書環境の充実に取り組んでまいります。 

施設の老朽化が課題となっている市民文化会館につきましては、にぎわいのある文化ホールを目指し、学識経験者、ホール利用団体関係者等が参加する検討会やワークショップを開催し、建替えに向けた基本構想の策定に取り組みます。 
科学館におきましては、旭川市科学館施設整備基金「サイパルみらい基金」に寄せられた寄附を活用して、AI(人工知能)などの新しい技術を採り入れた近未来を体験できるゾーンを新たに整備し、共に未来を担う子どもたちの科学の芽を育てようという皆さんからの応援を形にしてまいります。

地域における学びの循環

重点的な取組の3つ目は、「地域における学びの循環」であります。
シニア大学につきましては、学習成果を地域に還元する取組として、今後のボランティア活動に繋がる実習などのカリキュラムを充実し、地域で活躍できる人材の育成を図ってまいります。
地域学校協働活動につきましては、モデル3地域での活動を継続しつつ、モデル実施の成果と課題を整理し、他地域への展開手法等を検討してまいります。

市民の心を豊かにする文化芸術活動の充実

重点的な取組の4つ目は、「市民の心を豊かにする文化芸術活動の充実」であります。
文化芸術に関わる機会の充実につきましては、演奏会やコンクール、展覧会などを行う団体への支援を行うとともに、市民ギャラリーやリハーサルホールといった文化芸術活動のための市民利用施設の運営を継続してまいります。
文学資料館におきましては、旭川にゆかりのある作家や漫画家を紹介する企画展示や、SNS等による情報発信の拡充に取り組んでまいります。
また、北海道音楽大行進を皮切りに、駅周辺や買物公園の各所において市民が様々なジャンルの音楽に触れることができる旭川ミュージックウィークを、昨年に引き続き開催いたします。
市民文化会館及び大雪クリスタルホールにおきましては、優れた舞台公演や質の高い音楽鑑賞の機会を提供するため、魅力ある自主文化事業を実施するほか、子ども向けの音楽講座や高校生を対象とした演劇技術講習会を開催し、次代を担う子どもたちの世代から、文化芸術活動への興味や関心を高める取組を進めてまいります。
彫刻美術館におきましては、第43回中原悌二郎賞を実施し、優れた彫刻作品の鑑賞機会の充実を図るなど、彫刻のまちとしての魅力の発信に努めてまいります。

郷土文化の保存・活用と郷土愛の育成

重点的な取組の5つ目は、「郷土文化の保存・活用と郷土愛の育成」であります。
博物館におきましては、市内の縄文遺跡をテーマとした企画展を開催するなど、郷土の歴史や文化への関心を高める多様な機会の提供を通じて、郷土文化の保存・活用と郷土愛の育成を図ってまいります。
アイヌ文化の普及につきましては、国の交付金を活用して令和3年度から支援を行ってきた民間のアイヌ文化施設の整備が令和5年度の外構工事等をもって完了し、夏にオープンする予定でありますので、同施設と一層の連携を図りながらアイヌ文化の保存伝承や理解の促進を図るとともに、アイヌ施策推進基金を活用し、アイヌ団体等の主体的な文化伝承活動に対する支援を行ってまいります。
優佳良織につきましては、本市発祥の染織工芸を絶やすことのないよう、その技術を保存・伝承するための支援を継続してまいります。

むすび

以上、教育行政推進の重点的な取組について申し上げました。
社会の多様化、複雑化が進む中、様々な人々と協働しながら社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り拓くため、誰もが自分らしく学び、新たな価値を創造していく力を身に付けることが重要であります。
教育委員会は、市長部局や地域社会との連携の下、学校教育部と社会教育部が両輪となり、子どもたちが夢や目標に向かって挑戦するとともに、市民がふるさとへの誇りと愛着を持ちながら心豊かに暮らせることを目指し、教育行政を全力で推進してまいります。
市民並びに議員の皆様の一層の御支援と御協力をお願い申し上げ、教育行政方針といたします。

お問い合わせ先

旭川市教育委員会 学校教育部教育政策課

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