Q&A(核医学検査について)

情報発信元 経営管理課

最終更新日 2016年2月24日

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中央放射線科

核医学検査について

この質問と答えは、日本核医学会、日本核医学技術学会および日本アイソトープ協会の3団体が共同で作成したものを抜粋しました。

中央放射線科の核医学(RI)検査のページもご覧下さい。

核医学検査はどんな検査なのですか。

答え

ひとことで言いますと、放射線を放出するアイソトープを含んだくすりを使って、ガンマカメラで体内の状態を調べる検査です。
ガンマ線という放射線を放出する少量のくすり--これを「放射性医薬品」といいます--を静脈から注射し、検査用のベッドの上で静かに横になっている間に、ガンマカメラで体の中の様子を画像(シンチグラム)にする方法です。
多くの場合、受診する方が検査用のベッドに20~30分静かに横になっている間に、検査は終わってしまいます。ですから、患者さんにとって大変苦痛の少ない検査法なのです。静脈から注射するほかに、くすりによっては、カプセルを飲んでいただくものや、呼吸によって吸入していただくものなどがあります。 多くの場合はガンマカメラで、体の中の状態を画像にして診断しますが、他の装置で測定することもあります。

放射性医薬品とはどんなくすりですか。

答え

放射性医薬品は、体の外からは見えない病気の場所や臓器の状態を、放射線という信号を出して知らせてくれるくすりです。
このくすりの特徴は、放射線を放出するアイソトープを含んでいることです。注射された少量の放射性医薬品は、外部から見えない病気の場所や臓器の状態を、放射線という信号を出して知らせてくれます。この大事な信号を受け止める役目が、ガンマカメラという装置です。またこの信号は、臓器の形の異常のあるなしにかかわらず、機能の異常を早期に知らせてくれるのです。多くの場合、注射されたくすりは、一度は目的の臓器や器官に集まりますが、早いものでは数時間で、遅くても数日で信号(放射線)が弱くなって、やがてなくなってしまいます。これは、くすりが体から排泄されたり、放射線を放出するアイソトープそのものの能力が弱くなってしまうからです。

核医学検査はどのような手順で行われますか。

答え

基本的には、検査の予約→検査に必要な準備→検査の実施→検査結果のお知らせの順で行われます。
放射性医薬品の有効期限は極めて短いため、検査予定日の朝に病院に届いたくすりを、その日のうちに使わなければなりません。多くの場合が静脈から注射しますが、カプセルを飲んでいただいたり、ガスを吸入していただくこともあります。
検査の性質上、目的の臓器にくすりが集まるまで、1から3時間待っていただいたり、朝の絶食、服用中の薬の一時中止などが必要な場合もあります。検査は、専用ベッドに静かに横になっている間に行われることが一般的です。待ち時間を含めて2~3時間で終了する検査が多いのですが、注射をして1日または2~3日後にもう一度来院が必要な検査もあります。核医学の専門医が診断いたしますので、検査結果の説明が後日になる場合も多いと思われます。

CT、MRI、超音波などの検査とどう違うのですか?

答え

画像を使って病気を診断する検査には、核医学検査のほかにCT、MRI、超音波などの検査があり、それぞれに特徴があります。
体のどこかに具合の悪い部分がありますと、それが原因で病気になります。病気を治療するためには、具合の悪い部分の機能やその形、大きさを知ることが大切です。その全てがわかって、はじめて、適切な治療方法が決められます。また、治療を続けている間は、治療の効果を確かめることも大切です。
検査は、治療の方法を決めるためと治療の効果を確かめるための二つの目的で行われますが、核医学検査は、おもに臓器の働き具合(機能)を調べます。CTやMRIや超音波検査は、形(位置)や大きさを調べます。必要な検査を組み合わせて行うことで、具合の悪い部分の機能やその形、大きさがわかります。その結果、治療の方針を決めたり、効果的な治療が行われているかを判断したりすることができるのです。核医学検査は、放射性医薬品がどのような速さで、どこに、どれだけ集まってくるかを調べることで、病気の状態を、形の異常が現れる前に診断できます。

核医学検査で副作用はありませんか。

答え

放射性医薬品による副作用はごくまれで、最近の5年間の調査で、10万人あたりに1.3から2.7人と非常に少ないのが特徴です。
2005年度の副作用調査(社団法人日本アイソトープ協会医学・薬学部会放射性医薬品安全性専門委員会)によりますと、放射性医薬品の投与件数は126万人に対して、19件の報告がありました。副作用の程度は、非重篤が19件となっており、重篤なものはありませんでした。また、副作用の内容は血管迷走神経反応7件、アレルギー10件、その他2件で、症状としては、顔面紅潮、悪心、吐気、めまい、気分不良、皮膚発赤、発疹、そう痒感、脱力感、動悸、発汗などでした。
検査用の放射性医薬品に含まれるアイソトープの量はわずかですから、放射線影響の点から見ても心配はありません。投与されるアイソトープの種類や量は、放射線治療の成績や広島、長崎の被爆者のデータ、動物実験の結果などから国際放射線防護委員会の詳細な検討に基づいて、患者さんの利益ができるだけ大きくなるように決められます。

核医学検査で子供ができなくなることはありますか。

答え

男性も女性も子供ができなくなることはありません。
妊娠していると思われる女性の核医学検査は、できるだけ避けるのがよいとされていますので、検査予約のときに必ずお話しください。しかし、万一気が付かないで検査を受けてしまった場合も心配はありません。
男性の場合も女性の場合も、核医学検査を受けたことが原因で子供ができなくなることはありません。また、核医学検査を受けたときに、仮に妊娠していたとしても、核医学検査で受けた放射線が原因で胎児に影響が現れることもありませんので、心配はありません。
放射線を受けたかどうかに全く関係なく、子供が欲しいと思っている夫婦の約一割は、いろいろな原因で不妊であると推定されています。

骨の核医学検査を受けるのですが、何がわかるのですか。

答え

骨シンチといわれるこの検査は、がんが骨へ転移していないかを確認するためにもっとも多く行われます。また、骨の炎症、骨折、その他多くの骨の病気を診断できます。
この検査に用いられるくすりは、骨の代謝や反応が盛んなところに集まります。この性質を利用して、骨腫瘍や骨の炎症、骨折の診断ができます。
骨の核医学検査は、乳がん、肺がん、前立腺がんなど各種のがんの治療前や治療後の経過をみる上で欠かせません。エックス線検査よりも早期に、しかも患者さんの苦痛も少なく骨の異常を見つけられます。また、エックス線検査では診断が困難なスポーツ選手の疲労骨折や、骨粗しょう症に伴なう骨折の診断でも、核医学検査は大変役立っています。

ガリウムシンチとはどんな検査ですか。

答え

悪性腫瘍が疑われたときや、高熱が長く続いて炎症の部位が判らないとき、この検査が行われます。
ガリウム-67というアイソトープを含んだくすりを用いた核医学検査が、ガリウムシンチです。このくすりは、腫瘍や炎症に集まる性質があります。この性質を利用して腫瘍や炎症が、どの部位にあり、どの程度の進行具合かを調べます。通常は、全身の画像(シンチグラム)をとり、くすりの集まり具合により診断します。
この検査や他の検査の結果から総合的に判断して、治療法が選択されます。また、治療を開始した後には、治療の効果を確かめるためや、再発していないかどうかを知るために、この検査が行われます。骨シンチは骨が対象ですが、ガリウムシンチは骨以外の部位も対象となります。

心臓の核医学検査を受けるのですが、何がわかるのですか。

答え

血液の足りない心臓の筋肉がどこで、その筋肉は治療で治る見込みがあるかを調べるのが、この検査の主な目的です。
心臓は筋肉のかたまりで、からだ全体に血液を送り出すポンプです。常に働き続けているため、たくさんの栄養や酸素が必要です。この酸素や栄養は、冠動脈と呼ばれる3本の血管を流れる血液によって運ばれます。狭心症や心筋梗塞は、この冠動脈が動脈硬化などで狭くなったり、血液が流れにくくなっておこります。治療は、細い管(カテーテル)で血管の狭くなったところを拡げたり、別の血管をつなぐバイパス手術を行うなどして、心筋細胞に血液が十分運ばれるようにします。
治療の前に知っておかなければならないことは、血液の流れが足りない心筋の場所がどこか、そこの心筋細胞は生きていて、治療で治る見込みがあるかどうかです。この目的に心筋シンチグラフィが大変役立ちます。また、血管造影検査と比べて患者さんの負担が小さいので、治療した後の経過を見るためにもよく利用されます。この他、心臓のポンプとしての働き具合も検査できます。

腎臓の核医学検査では何がわかるのですか?

答え

腎臓の核医学検査では、ふたつの腎臓のろ過機能に異常がないかどうかがわかります。
腎臓は体に不要な成分をろ過する働きをしています。このろ過作用が正常に働いているか、ろ過の速さはどの程度かを核医学検査で調べることができます。腎臓は左右に二つありますから、この二つを比較する際にも核医学検査はとても大切です。腎移植の後に移植された腎臓が正常に働いているかを知るにも、核医学検査が必要です。

副腎の核医学検査では何がわかるのですか。

答え

副腎のはたらきや、副腎に腫瘍ができていないかどうかを調べます。
副腎も同じようにホルモンを調整しており、ここが病気になると血圧が非常に高くなることがあります。ここでも、ホルモンの原料になる物質にアイソトープをつけた放射性医薬品で核医学検査を行うと、副腎の働きを把握できます。副腎にできているかもしれない腫瘍を見つけることもでき、その結果、治療方法を決めることができます。