あさひばし 平成29年11月号「動物園からの手紙」
開園50周年、動物たちから教わること
今年は開園50周年であっという間の夏期開園でしたが、大変な事態が起こっています。市民全員1回は足を運んでもらおう!を胸に秘め頑張っているのですが、市民料金の入園券売上枚数では、対前年比で約4千人減となっているのです。とほほ…。
市民に支えられての50年、そのことを身に染みて感じているのですが、旭山動物園は年間100万人の道外・海外客が訪れる観光地の側面も持ってしまいました。市民からは、今年は行っても混んでるんでしょ?という声をよく聞きます。お気に入りの散歩コースやお気に入りの公園のように訪れてほしいと思うのですが、市民に親しまれる地元の施設と観光施設の顔を両立させるのは難しいと、つくづく感じます。
動物園は、人件費も施設整備費も含めて単年度ごとに収支を取らないといけないので、まさに身を切る歳出削減に取り組んでいます。園内の売店などの民業も支えている側面もありますから、皆さん、動物園にぜひとも、ぜひとも足を運んでください!
さて、今年生まれたトナカイやアムールヒョウ、レッサーパンダの子、キングペンギンのひなは、ご覧になりましたか?皆、冬こそ元気な冬の主役です。命の誕生や成長を見守るのは心温まるものです。 一方で年老いていく命もあります。もうじゅう館建設当初からの住人、ライオンのライラとレイラ、アムールトラのノンは、いつ最期を迎えてもおかしくない高齢になりました。その日の体調や気分で、放飼場に出るのも不定期になりがちですが、旭山再生のスタートを切った主役たちです。僕たちも彼らから多くのことを学びました。ノンと目が合うと、50周年がどうだこうだと考えている自分が恥ずかしくなります。淡々とひたすらに毎日を生きること…。結果を目標にすると、追い掛けることしかできなくなるよ、そんな声が聞こえてきます。
補足:ノンは11月1日に、ライラは11月7日に死亡を確認しました。