あさひばし 平成28年7月号「動物園からの手紙」
ユキヒョウの子の成長を見守る
6月13日に、第1回日本サービス大賞の授賞式があり、旭山動物園は地方創生大臣賞を受賞しました。受賞された方々と話をする中で、それぞれの分野で熱意を持って前向きに進もうとしている姿勢を感じ、義務的にではなく、誇りと喜びを持って受け取るべき賞であることを痛感しました。皆、旭山動物園にも敬意を払ってくれました。公務員が運営する施設としては唯一の受賞でした。公共でやる意味はお金で計れない物や心を還元していくことなんだと常々思っていて、その結果が地域の経済にも貢献できることや、まちの知名度・イメージにも大きな影響を及ぼすことなど、客観的に旭山動物園を見詰め直すことができました。
7月1日は49回目の開園記念日です。今年は旭山動物園にとっては初めてとなるアムールトラとユキヒョウの繁殖に成功しました。ユキヒョウに関しては、もうじゅう館ができたときには先代のゴルビーとプリンのペアを飼育していました。国際的には絶滅危惧種として飼育下での繁殖が期待される種なのですが、当時日本で飼育しているユキヒョウはゴルビーとプリンの血統しかなく、繁殖させても子供の行き先がないことが分かっていたので、薬による避妊をせざるを得ませんでした。子供の行き先が確保できたら繁殖をと考えていたのですが、結局そのチャンスは巡ってきませんでした。現在のペアは円山動物園生まれのヤマトとドイツのライプツィヒ動物園生まれのジーマです。国際的な交流を視野に入れ、繁殖を目指しました。
雄の子1頭が順調に成長しています。インドやモンゴルでユキヒョウの保全に取り組んでいる京都大学との共同研究として、子の体長などを計測しました。薄いグレーと黒の体毛、瞳のブルー、大きな手足…動かなければ絵に描いたようなぬいぐるみです。子の成長を母親ジーマと共に見守っていきたいと思います。