旭山にゅーす・ぶろぐ

【しいくのぶろぐ】一覧

このページでは「しいくのぶろぐ」の記事のみを掲載しています。

「しいくのぶろぐ」飼育展示スタッフによる日々の出来事や想いなどを綴ったブログです。

2023年11月のしいくのぶろぐの記事

エゾシカまるごと体験レポート

10月29日に旭山動物園でエゾシカのイベントを開催しました。
北海道におけるエゾシカの現状や課題、魅力を参加者の皆さんにお伝えするのが目標でしたが、堅苦しいイベントにならないよう座学だけではなく、飼育場でのエゾシカガイドやエゾシカ肉のしゃぶしゃぶ試食会!を折り込み「エゾシカまるごと体験」と名付けました。
参加者は環境系イベントにも関わらず満席!これがお肉のパワーか...

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いやいや、参加者の皆様はお肉だけでなく座学もガイドも熱心に 聞いてくださいました。
アンケートからもエゾシカについて考えを深めていただけた様子が分かり、大変嬉しかったです。エゾシカ肉しゃぶしゃぶはもちろん大好評で、臭みはなくやわらかくて味もしっかり、ラムしゃぶより個人的には好きでした。

最近、全国的に注目を集めている「クマの問題」とは対照的にあまり注目されていませんが、実は同じくらいかそれ以上に大きい影響が毎年出ているのが「シカの問題」です。
特に北海道では、野生鳥獣による農林業の年間被害額約55億円のうち、約45億円をエゾシカが占めているほか、エゾシカに起因する交通事故は年間約4500件で、ここ5~6年で約2倍に増加しています。結果として毎年10万頭を超えるエゾシカが駆除され、その多くが有効利用されることなく廃棄されてしまっています。それでも、直接人を襲うことが少ないシカの話題は、おそらくクマほどニュースになりにくい側面もあるのではと感じています。
一方で驚くほど美味しいお肉や高品質の皮、角を持つエゾシカは、資源としての価値は素晴らしいものがありますし、春夏秋冬で大きく変化する姿や臆病でまっすぐ性格など魅力も満載です。

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そんな中、こうした動物や環境の話題をしっかりと発信することは動物園にとって極めて大切な役割だと考えています。「かわいい」しか伝えないのなら、動物園以外でもできることでしょう。わたしたち動物園が、さまざまな現場や専門家と一般市民との架け橋のような存在になり、動物や地球環境などの難しい課題を市民目線・市民感覚に落とし込んで一緒に考えていく機会を作り出すことで、人間にとっても動物にとっても居心地の良い世界に向かっていけたら良いなぁと考えています。次回はもっとパワーアップしたイベントをやりたいです!お楽しみに!

                                                                                                                                                   (エゾシカ・教育担当 上江)

シンリンオオカミのアオイの近況

 非公開施設で飼育しているシンリンオオカミのアオイ(メス)について、11月13日頃から後肢を引きずって歩く様子が見られたため、11月18日に麻酔下で検査を行ったところ、加齢による変形性脊椎症と、これによる脊髄の圧迫を認めました。
 痛みと炎症を抑える薬を与えており、歩き方に改善が見られ、現在は後肢を引きずることなく歩いています。
 食欲は旺盛でパートナーのヌプリ(オス)と一緒に元気に過ごしていますが、引きずった足が地面に擦れてケガをしてしまわないように放飼場に落ち葉や乾草を敷いたり、放飼場にあった台を低くするなど、安心して過ごせるように対策をしています。
 検査後もヌプリがアオイを気にする様子や、アオイがヌプリにじゃれていく様子などが見られ、関係性は良好です。
 今後も注意深くアオイの体調と2頭の様子を観察していきたいと思います。

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以前の台
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低くした台で眠るヌプリ
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エサを完食するアオイ
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現在はしっかり歩いています

オオカミの森担当:原田佳

冬のこども牧場、新たな仲間との出会い 

雪が降り始め、外の空気もすっかり肌寒くなってきたこの頃、こども牧場の動物たちも冬支度を始めます。旭川の寒さに耐えられないクジャクは冬季開園の間暖房の効いた屋内でお休み、ニワトリは羽毛を膨らませ暖かい空気を溜め込みます。カイウサギにヤギも冬毛に換毛して本格的な冬の寒さに備える中でも、普段通り過ごしているのがヒツジです。
元々寒い地域に適応していたヒツジは体内に脂を蓄えやすく、ふわふわのウールも相まって寒さにはめっぽう強い動物です。座り込んで溶けた雪が体毛に染み込むのを嫌がるので、 夏よりも立って歩き回る姿をよく観察できるようになります。
今回の冬季開園からこども牧場に新しく2頭のヒツジが仲間入りしました。ロシア原産のロマノフ種とまだら模様が珍しいジェイコブ種の血を継いだ雑種のメスのヒツジです。旭山動物園に来てからそれぞれイツカ、リッカと名付けられました。

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[写真、小屋の前に座るイツカ(右)とリッカ(左)] 

どちらもまだ若く、非常に動きが素早いです。見慣れない同居人に容赦なく頭突きをかますヤギを避けて、草食動物本来の優れた脚力を披露してくれます。一方で先にこども牧場にいたサフォークとの生活には早くも順応し、来園してわずか二週間で同じ餌台に並んで食事をとるまでに仲を深めてくれました。品種間で文字通り毛色の異なる4頭ですが、群れで暮らして生きるヒツジの仲間意識の強さを垣間見ることができます。

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[写真2、並んで乾草を食べるヒツジたち]
 

本格的に雪が降り積もると園内の風景も大きく変わります。白一色に染まった放飼場の中で一層目立つ黒いヒツジがこれからどんな行動を見せてくれるか、ぜひこども牧場にて観察しに来てくださると幸いです。
(こども牧場担当 堀川草太)

五感にブチ込め

 この言葉は、閉園期間中にいつも心の中で掲げているスローガンです。

 ただいま本園は閉園期間中です。
 閉園期間中は飼育員にとって大忙し。休みは一切なく言葉通りの無休で働きます。
 その間に動物の床材を取り変えたり、新たにパネルや展示物を作成したりやることはつきません。
 今回は、そんな展示物についてのお話。

 私は2015年から旭山動物園で働いていますが、最初の3年間は飼育員ではなく園内班という、主に来園者の対応や、委託業者の統括をするような仕事をしていました。
 その経験もあり、おそらく飼育員全体の中でもかなり来園者と接することの多い飼育員だと思います。

 その中でも特に印象に残っているのが、3年前にいらしたレッサーパンダを視ていた女性。
 その女性は目が不自由な方でした。
 お声がけをしたものの、「レッサーパンダってどんな動物なのかしら?」と尋ねられ、生態こそスラスラ出てくるものの、そのような方への『茶色』の伝え方さえ私には分かりませんでした。
ただ、その方は「動物が直接見えなくても、鳴き声だったり匂いだったり、周りの人の反応から、動きや命を感じることは出来る」とお話をしてくれました。
 本園のパンフレットの表紙に書いてある言葉は【伝えるのは、命】。
 このままじゃいかんな。と心に決めた一日でした。
まずは、どれだけ忙しくても、必ず自分の担当舎(旧小獣舎・は虫類舎)のガイドは一つずつやると決め、展示物も工夫を凝らしていかなければと思いました。
 これは来園者全てに言えることでもありますが、我々飼育員にとって当たり前の毎日でも、来る人にとっては最初で最後の旭山動物園の場合がほとんどです。
 たとえ目が不自由でも、もっともっとレッサーパンダの生き方や命を感じられるべきです。

 そこで私の中で沸いてきた言葉が、「五感にブチ込め」です。
 もし、何か五感に不自由があっても、他のもので補えるような展示物がなければいけないと。
ということで、現在設置してある展示物のうちいくつか紹介します。


生うんち

 当日に出たうんち。子どもと高校生のテンションがブチ上がる。
 レッサーパンダ特有の体のつくりも説明できる。
 視覚と嗅覚にうったえる展示物。


毛
 看板に貼ってあるのは、その動物の本物の抜けた毛。
 野鳥が巣材用にほぼ持っていきがち。
 触覚と嗅覚にうったえる展示物。


脱皮の皮
 普段はじっくり見られない総排泄腔が見られる。
 世間ではお財布に入れとくとお金持ちになるらしいので、衣装ケース一つ分保存してある私は大富豪になる予定。
 触覚と視覚にうったえる展示物


 動物を見るというのは視覚を最大限に使っており、その動物が出す音や動物舎の匂い、角などの展示物、いろいろなところで無意識に感覚を使っていることと思います。
 動物園に動物を『見に来る』のはもちろんのことですが、他の感覚もほんの少しだけ意識してみると、新しい発見があるかもしれません。

ただ一つだけ、味覚についてのアプローチがなかなか出てこないので、何かアイデアがある方はこっそりと私個人に教えてくださいね。

レッサーパンダ舎・マヌルネコ舎・両生類は虫類舎担当:鈴木達也

ペンギンも食欲の秋

 旭川も初雪が降り、そろそろ秋も終わりですね。秋といえば「食欲の秋」!旭山のペンギンもこの時期は冬に備えてエネルギーを蓄えているようで、食べる量が増えてきています。最近はエサの魚がバケツに入りきらなくなってきました。
 秋ですから・・と、私もついつい食べ過ぎてしまいますが、皆さんはいかがですか?

ホッケ

エサのホッケ

残り2匹
残りあと2匹

ぺんぎん館・ダチョウ担当:田中千春