旭山にゅーす・ぶろぐ

【しいくのぶろぐ】一覧

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「しいくのぶろぐ」飼育展示スタッフによる日々の出来事や想いなどを綴ったブログです。

2023年4月のしいくのぶろぐの記事

オランウータン舎改修

 冬期開園の間、オランウータン舎周辺は大がかりに工事を行っていました。
 何ができたかというとこれです。

動物側からみた感じ
(動物側から見た場合)
園路側から
(園路側から見た場合)

 サンルームが増築されました。チンパンジーの森でも同様にサンルームがつきました。

 これによりどんな良いことがあるかと言うと、上部にヒーターが付いているので寒い日にオランウータンが屋外でも暖がとれるようになるのです。屋根とガラスの壁で囲われているので雨よけにもなります。これによりオランウータンたちにとって屋外展示中の快適さが大きく改善されるはずです。オランウータンは野生だとボルネオ島とスマトラ島という温暖な環境で生きているので、寒さが苦手であり、雨に濡れるのも嫌います(体が冷えるので)。なので雨の日や、秋が深まった寒い時期はあまり外に出たがりません。気温があまりに低かったり、激しい雨などの悪天候の場合は放飼しなかったり、途中収容なども行います。しかしちょっと寒いとか、小雨が降っている様な状況なら屋外で過ごすことに問題はないので、動物たちの体調次第ではありますが、基本的に屋外に放飼します。彼らも屋外で過ごすのは好きなので最終的には出ていきますが、外へ向かう最初の一歩がなかなか出ないようで、出入り口の近くでウロウロしたりとどまってしまうことがよくあります。しかしサンルームは暖かくて雨が当たらないと気付けば、屋外でも快適にすごせることを学習し、最初の一歩が出やすくなると考えられます。担当としてはなるべく屋外の空気の中で過ごしてほしいので、この改修が良い効果があることを期待しています。

 来園者の方にとっても良いことがあって、それは動物との近さです。オランウータンの屋外放飼場は大きな檻状になっており、また絶対に動物と来園者が触れることがないように、檻と人止め柵の間隔が広くとられています。どうしても観察距離が遠めになってしまうのですが、サンルームは檻では無くガラス張りなのでかなり近い距離で観察することが出来るようになっています。サンルームに入るのは寒い日や雨の日が多くなると思いますので、天気の悪い日は、より近くでオランウータンを観察できるチャンスになるかもしれませんね。

オランウータン舎担当:中野奈央也