旭山にゅーす・ぶろぐ

【しいくのぶろぐ】一覧

このページでは「しいくのぶろぐ」の記事のみを掲載しています。

「しいくのぶろぐ」飼育展示スタッフによる日々の出来事や想いなどを綴ったブログです。

2022年11月のしいくのぶろぐの記事

シロザケの卵のお話

 日ごとに冬を訪れを感じる中、冬期開園しました。
 そんな中、私がお伝えするのは、12月中旬頃からほっきょくぐま館で、今年も展示するシロザケの卵のお話です。
 卵から孵化して仔魚から稚魚までの成長を観ていただけます。
 そして、4月には成長したシロザケの放流イベントも行われます。
 今年は、卵を展示している水槽の隣の水槽に前回、展示していた卵から孵化して成長を続けているシロザケを展示しています。
 皆さんもご存知の通り、シロザケは河川で孵化して、河川を降り、海に出て、3年から4年ほどかけて成長して産卵のために孵化した河川に戻って来ます。
 その習性を母川回帰と言います。
 前回、孵化したシロザケを展示している水槽は、海で成長している間の変化を観察出来るように海水に近づけた濃度の水で展示しています。
 実は、去年も同じ試みをしていたのですが、データ等も少なく、手探りでの展示で10月を越える事が出来なかったのですが、昨年の経験を活かし、今年は10月を無事に越えて、今も成長しています。
 皆さんにも河川を降り、遠い海で成長しているシロザケを少しでも感じていただけたら嬉しいです。
 そして、シロザケは陸上養殖が難しいとされており陸上養殖に成功出来たら、世界初の出来事になります。
 そこで、この水槽で展示しているシロザケを立派に成長させて、その難しいと言われているシロザケの陸上養殖の壁を打ち破る何かを得られたらと思っています。
 それでは、冬の旭山動物園にご来園の際には、暖かい服装と滑りづらい靴でお越し下さい。
 そしてぜひ、ほっきょくぐま館内で展示しているシロザケの卵とシロザケを観察してみてください。


シロザケ

ぺんぎん館:高橋太郎

2022年11月14日 しいくのぶろぐ

サル舎近況

サル舎近況

 先月しいくにゅーすでお伝えしたとおり、10月20日にブラッザグエノンのモモが出産しました。3年連続の出産です。
 しばらくはしっかり抱いて離さないので性別がわからなかったのですが、生後1週間くらいからときどき離して遊ばせるようになり、オスだと判明しました。
 兄たち同様なかなかやんちゃで、出窓ではよく母から離れて遊んでいます。

 あかちゃんの毛は金色で数年かけてだんだんと大人の色になっていきます。2020年生まれの「マモル」はだいぶ大人の色に近づいてきました。こどもたち3頭の毛色の違いにも注目して見てみてください。(まだ名前は考え中です)

モモとこども

モモとこども(10月31日撮影)


 8月に生まれたアビシニアコロブス(オス)は「あたる」という名前にしました。
 まっ白だった毛は黒い部分が増え、大人の配色に近づいてきています。
 最近はあたるが鳴くとあんずがだっこしようと近づき、あたるは手を伸ばして自分から抱きつくようになりました。

あたる

あたる(11月11日撮影)


 これからどんどん寒くなり、サル舎のサルたちは短時間の放飼が基本になります。出窓のヒーターがついていたら放飼のサインです。

 日々の様子はSNSにアップするのでそちらもチェックしてみてください。

 サル舎・狸狐担当:佐藤和加子

獣医のおしごと 麻酔編

 動物園の獣医には様々なおしごとがあります。その中でも今回は麻酔についてお話ししたいと思います。皆さんは麻酔と聞いてどんなイメージを思い浮かべますか?もしかすると、麻酔の注射を刺したら、すぐにバタッと倒れてグーグー寝始める。と思う方も多いと思います。でも実際はちょっと違います。

 先日ホッキョクグマのホクトを搬出するために麻酔をかけたので、それを例に説明すると、まずはじめに吹き矢で麻酔その(1)を刺します。ホクトの体重は400kgだろうと推測したのですが(実際は386kgでした)、麻酔(1)の量は13mlもあります。15分くらい経つと、立っているけどボーっとしてる様子になりました。そこからさらに10分経つとうつ伏せで寝ている様子になりました。ここでさらに麻酔(2)を24ml注射して深い麻酔状態にします。そこからさらに5分経つとかなり深く麻酔がかかりここでやっとホクトと同じ部屋に入ることができます。麻酔中は獣医がつきっきりで呼吸、心拍数などの状況をチェックします。今回の麻酔は問題なくスムーズに寝てスムーズに起きたので、ホッとしています。

 皆さんの中には吹き矢は痛いからかわいそうとか、麻酔自体がかわいそうと思う方がいらっしゃるかもしれません。しかし、動物の移動をするとき、検査をするとき、手術をするとき、様々な場面で安定した麻酔が必要になります。麻酔をしている所は中々見ることは無いかと思いますが、獣医の大事な仕事の一つです。

写真1

麻酔の薬が入った吹き矢がホクトの右太ももに刺さっています。

写真2

麻酔中のホクト

写真3

麻酔から醒めたホクト

獣医師・くもざる・かぴばら館担当:佐藤伸高

ライオンの子どもの愛称が決まりました

 毎年11月に入ると今年が後2ヶ月しかないことに驚いていますが、今年もしっかりと驚いている今日この頃です。

 ここ最近SNSで随時更新しているライオン一家ですが、子どもたちの愛称が決まりましたのでお披露目したいと思います。

 「フウ」「レイ」「イト」です。


フウ

フウ


レイとイト

左がレイ 右がイト


 それぞれの見分け方としては、

 「フウ」

 耳が大きい。目が丸い。今のところ1番大きい。と比較的パッと見でわかりやすいかと思います。

 「レイ」

 顔が細め。顔が少し引っ張られたような顔?疲れ顔?(職員たちの感覚的なものなのであしからず)

 「イト」

 つり目。毛の色が薄い。

といった感じで「フウ」以外は分かりにくいかと思います。私たちもなんとかじーっと見てこっちか?というような感じではあります。。。

 今回の名前の付け方は「響き」「2文字」「親しまれている歌の中にある言葉」的なところで考えました。

 カタカナ表記にはしていますが漢字では「風」「麗」「糸」となります。

 いくつかの候補の中からかなり悩み決めました。他の候補は秘密です。

 いよいよ冬期開園がスタートしますが、ライオンの子どもたちに関しては天候や体調を見て、不定期の展示になりますので、その時のお楽しみです。

 子どもの見た目や成長に目が行きがちですが、それだけではなく群れで生活し、オスも子育てに参加するというライオンらしい営みや、群れとしての成長を見ていただけると嬉しいです。

 これからも随時SNSで発信していきますので、引き続き暖かく見守っていただければと思います。

もうじゅう館・フラミンゴ担当:若山晃暉

好きな動物は何ですか?

 現在SNSを大多数の人が使うようになり、『推し』という存在の情報もかなり得やすくなったと思います。

 推しの対象はもちろん人間だけでなく、動物にも当てはまるもので、マヌルネコの『グルーシャ』だけを見に旭川まで来られる方も一定数いらっしゃいます。

 私はヘビのガイドで、贔屓目を無くすため「私はヘビが好きなわけではありません」と言うのですが、営業トークではなく本音です。

「好きな動物は何ですか」と聞かれれば、レッサーパンダともマヌルネコとも両生類とも答えません。

 私が好きな動物は『オカピ』と『オオアリクイ』と『ラティメリア(現生のシーラカンス)』です。

 少しでもシーラカンスに興味がある方は、沼津港深海水族館を訪れてみてください。

 冷凍された本物のシーラカンスを見ることが出来ますし、展示物も分かりやすくオススメです。

1

これがラティメリア

「自分の担当動物=好きな動物」ではないことに驚かれることが多いのですが、飼育員としてはそんな珍しい事では無いと思います。

 そもそも担当動物は変わるので、自分の好きな動物の仕事だけが出来るわけではありません。

 ただ、勘違いして欲しくないのは、好きな動物にその種が挙がらないだけで、個体に関しての気持ちはそれぞれの飼育員が一番に持っていることと思います。

 砕いて言うと、好きな動物がレッサーパンダではないけれど、本園のレッサーパンダは一頭残らず好きです。

 他の動物園にレッサーパンダを見に行っても、レッサーパンダそのものではなく旭山動物園のレッサーパンダのために、施設やエンリッチメント等を見ている時間の方が圧倒的に多いです。

2

マヌルロックに憧れた

 我々飼育員は、好きな動物じゃなくても、苦手な動物だろうと、その個体のよりよい生活や命のために、知識や観察力を身につけ、様々な技術も磨いていかなければなりません。

 とは言うものの、私は動物そのものが好きなので、8年経った今でも毎朝仕事に行くのが楽しみです。

 こんなにも色々な体験や新しい発見を与えてくれる動物にはしっかりと恩返しをしていきたいですね。

3

発見だらけの日々

(小獣舎・両生は虫舎担当:鈴木 達也)

2022年11月1日 しいくのぶろぐ

ホクト

【ホクト】

 しいくにゅーすでお伝えしている通り、ホッキョクグマのホクトが札幌・円山動物園に移動することになりました。

 最近しばしば来園者から「きょうはホクトを見られますか?」と質問されます。今回の繁殖成功で、ホクトとピリカはちょっとした「有名グマ」になったようです。

 ホクトはサツキ&ルルと入れ替えで半日展示しています。

 先日、園内の「どうぶつ図書館」にご家族連れが来園され、お子さんが絵を2枚渡してくれました。「ホクトに渡してください」と言伝があったそうです。

1

     ね

     ら

     か

ほ    く

く    い

とまたあいに

「ホクトまた会いに行くからね」。ちょっと前に流行った「縦読み」みたいですね。

2

 こちらは妹さんが描いてくれたそうです。兄妹でホクトへの似顔絵付きメッセージを描いてくれたのですね。

 ホクトに渡すとビリビリにされちゃうと思うんで、ほっきょくぐま館2F、階段を上がったところにある掲示板に貼らせていただきました。

3

 ホクトは今後、吹き矢で麻酔をかけ、鉄製の輸送箱に入れられて移動。円山動物園の施設に入ったらすぐにメスとのペアリングを試みられるでしょう。その運命を知らぬは本人(熊)ばかりなり。

4

 ホクトには試練となりますが、まずは無事に札幌に移動すること。さらには繁殖に成功することを、旭川の地から祈っております。

 ホッキョクグマ繁殖成功は、間違いなく私の飼育係人生で最高実績でしょう。ホクトとピリカには特別な思い入れがあります。

 ホクト感動をありがとう!札幌でもがんばれよ!

(ホッキョクグマ・アフリカ水槽担当:大西 敏文)