2022年3月のしいくのぶろぐの記事
サル舎近況
気温が上がってきてサルたちが外で過ごす時間が長くなってきた今日この頃です。
サル舎で暮らす3種のサルたちは寒さに強くないので、冬期は基本的には「展示していません」なのですが、放飼場にはヒーター付き出窓があるのでコロブスとブラッザは冬の間もほぼ毎日放飼することができました。気温・天気・サルたちの様子を見つつ短時間の放飼でしたが、ずっと出窓にいるわけでもなく、体が温まると動き回ったりと外でも元気に過ごしていました。
(ワオは体温調節が上手ではないので放飼しない日が多く、放飼中もシュートを開放していつでも室内に入れるようにしていました)
<出窓でくつろぐ兄妹>
7月に生まれたコロブスの「アクイラ」と10月に生まれたブラッザのこども(まだ性別確定できず、名前を決めかねています…)は順調に成長しています。それぞれ1歳年上の姉・兄がいて、きょうだいで楽しそうに遊んでいます。
<ブラッザのこども>
冬の間に、古くなった丸太を交換したり、台を増やしたり、消防ホースを編んだ遊具を設置したりしてきました。
個人的には遊具がなかなかのヒットで、ワオとコロブスに同じものを設置してみました。最初、ワオの遊具の下のほうにエサかごを付けたら横の台の上からエサかごをひっぱり寄せていたので高い位置に付け替えました。コロブスは主にあんずとアクイラが使って遊んでいます。
<アクイラ、アクロバティックな遊び方です>
<そうじゃない…>
<正しい(?)使い方>
あとは、体重測定を行いました。
こどもたちとワオは以前から量っていましたが、もっと重たい個体も量れるようにいつもと違う体重計を借りてきました。見慣れない体重計でもコロブスたちはあまり警戒せずに乗ってくれて、無事に量ることができました。ブラッザは警戒心が強く、どうにか体重計に触れずに大好きな落花生を取ろうとします。マキャベリはこどもの頃に経験したことがあったそうなので何回か試すうちに乗れるようになったのですが、モモはいまだに乗ってくれません。
今後は定期的な測定を継続しつつ、モモの練習を続けます。
<ギガース、10.8kgでした>
<マモル、慣れたものです>
最後におまけの写真を。
父のしっぽに自分のしっぽをからませるマモル。夕方、電気を消しに行くとよく見られる光景です。
<仲が良い父と息子>
サル舎・北海道産動物担当:佐藤 和加子
2022年3月19日 | しいくのぶろぐ
まゆだま と 植物たち
【まゆだま と 植物たち】
大西です。
いまや盛り上がっている私の担当動物をご紹介します。
さっそく生まれた子の写真からご覧いただきましょう!
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じゃじゃーん!
ウガンデンシスオオツノカナブンの幼虫です。
昨年4月に購入した成虫ペアは夏に死亡し、昨年10月に購入したペアもメスが死に、現在生きている成虫はオス1頭だけです。
エメラルドに輝く成虫オス。美しいです。
でもご心配なく!4月ペアの幼虫世代が成長し、とうとう繭玉(まゆだま)を作りました。
カナブンの繭玉です
カナブンはカブトムシと同様に地中で蛹になりますが、周囲の土をカチカチに固めます。
「繭玉」と呼ばれるそうで、私もはじめてお目にかかりました。想像以上にカチカチで、簡単には壊れなさそうです。
計6頭が繭玉を作っています。待望の羽化までもう少しです。
10月ペアの幼虫も大量に生まれています。彼らが成虫になるのは秋~冬でしょうか。
このように羽化時期が異なるふたつのサイクルの個体群を飼育することで、成虫を展示できる期間を増やそうという試みです。果たしてうまくいくか、乞うご期待!
マダガスカルゴキブリ(以下マダゴキ)の水槽には「ゴキゴキルーペ(要は虫メガネ)」を再設置。マダゴキたちの姿をじっくりと観察できます。
また、マダゴキ水槽にはマダガスカル原産の植物たちを植えてあります。
奥にひっそり植えてあるのはパキポディウム・ゲアイー。観葉植物マニアから愛される珍奇植物。鋭いトゲをもつ特異な姿はマダゴキにもキャラ負けしません。
鉢植えしてあるのはマダガスカル・ジャスミン。きれいな白い花をつけます。つる植物で、伸びた新芽に次々と花を咲かせる・・・はずなのですが、新芽が出たそばからマダゴキに食べられてしまい、一向に伸びませんでした。
樹液に弱毒があるはずなのですが、マダゴキたちは気にせず葉を食べます。おそるべき生命力。
しかしここに来て急に新芽が伸びてきました。
待望の新芽が。
このままマダゴキに食べられずに生長すれば、念願の開花をご覧いただけるかもしれません。
まだまだご紹介したい点はたくさんありますが、今回はこのへんにしておきます。
見どころいっぱいのアフリカ水槽、みなさんお見逃しなく!
P.S.私のもう一つの担当動物(白くて危険なヤツ)も繁殖がうまくいってるらしいです。そちらが気になる方は公式YouTubeの方をチェックしてみてください。
(アフリカ水槽 ホッキョクグマ担当:大西 敏文)
2022年3月9日 | しいくのぶろぐ
ジェンツーペンギンが来園しました
箱、箱、箱。
動物の移動たびに悩むことがあります。今回は移動用の輸送箱はどうしようかと。
輸送箱の条件ですが、まずは動物園にはいろいろな大きさの動物がいるので、それぞれの大きさに合った箱でなければいけません。そして当たり前ですが輸送中に動物が逃げないようにすることが重要です。そして、輸送中にある程度中で自由に向きを変えられたり、横になったりできる広さがいります。ただし、あまり広過ぎるのもよくありません。
例えば鳥などはあまり広いと、翼を中で広げることで怪我する可能性もあります。限られた時間での移動ですから、少し窮屈かもしれませんが怪我をさせないための広さということも考えないといけません。猫やイヌを飼っているかたはキャリーケースを想像してもらうと良いかもしれませんね。動物の大きさに対してそんなに大きくないと思います。
大体の大きさが決まったら次は箱の調達です。大体調達方法は三つ。
一つ目は特定動物といわれる飼育に登録が必要な動物たちを移動する場合。このときは許可を受けた檻を使う必要があること、動物の大きさが様々なため、動物輸送業者や他の動物園から借りることが多いです。最近だとライオンの移動に使った檻は業者に借りました。
2つ目は、園にストックされている各種大きさの輸送箱でなんとかなる場合。
そして3つ目は、園で自作する場合です。自作だと大きさは自由に作れるので良いのですが、輸送中に絶対に壊れないことが必要なので、なかなか気を遣います。他園から輸送用に送られてきた箱に補強をすることもあります。
動物の移動は箱のことが気になるお仕事でもあるのです。
箱のストックはありますが、なかなか合うものはありません
主幹:池谷優子