2021年8月のしいくのぶろぐの記事
2021年8月31日 | しいくのぶろぐ
【雛がおおきくなりました】
雛が大きくなりました
今年ととりの村で生まれたキンクロハジロと、保護できたマガモ・オシドリが大きくなってきたので、それぞれを成長に合わせた場所へ移動しました。
保護で来たオシドリは左目が見えません。一羽で育雛していた時は、いつも鳴き声が聞こえてきて、掃除をするたびに逃げ回り、壁に衝突するなどの心配があったのですが、ちょうど同じ時期に生まれたキンクロハジロと同居したところ、キンクロハジロがオシドリにくっついて歩きました。
オシドリは最初は動揺していた様子でしたが、一日も経つとくっついて寝たり一緒に行動し、鳴くことも少なくなり落ち着いて日常を過ごすようになりました。
また、保護で来たマガモも、同じくらいの大きさのキンクロハジロの雛と同居しました。最初はクチバシで攻撃するなど落ち着かない様子でしたが、間に仕切りを入れ同じ育雛箱の中でしばらく育雛したところ、広いスペースに移動した頃にはすっかり馴染んでおり、一緒に泳いだり餌を食べるようになりました。
雛の頃であれば、違う種類でも一緒に過ごすことで少し落ち着くんだなと新たな発見でした。
大きくなったマガモとキンクロハジロは水禽舎の裏にある繁殖棟というところで秋まで過ごします。
そこは大きなプールと土の陸があり植物も生えています。外敵から守られ一日中外で過ごせる場所です。
2羽は最初、初めての景色と音の中で座って動かず陸からプールをじっと眺めていましたが、餌を置くとしっかり食べに来たので安心しました。
ここでたくさん運動して体力をつけて、冬には大人のカモたちと合流するのが目標です。
マガモとキンクロハジロ
クチバシも羽も立派になりました
オシドリとキンクロハジロ については、まだ綿羽なためマガモたちがいた育雛スペースで過ごすことになります。
育雛箱の中より日光が入り広い場所で、さっそくパン箱プールに入り泳いでいました。
外に出て一日中過ごせるような大きさに成長し、幼鳥の羽が生えるまでここで過ごします。
オシドリとキンクロハジロ
今年は保護された2羽の雛を育雛することになりましたが、人工育雛には人が手を加えたことにより本来の動物としての行動ができなくなったり、野生に帰れないなどのリスクがあります。
母鳥は卵に直接触れて、温めたり、回転させたり、時には卵から離れたりしてお世話をするのに対し、孵卵器でふ化させる場合は、同じ温度・湿度を保ち同じ時間に回転させることはできても、卵の状態を感じ取りながら調整することはできません。また自然の中で育った雛と人工育雛では成長の度合いも違うことを考えると、やはり自然の力に任せることが一番です。
飼育下においても、どこかのタイミングでその動物の生きる力を信じて手を離していく作業があります。
目の前にいる動物を守りたいという優しい心を持っている人がいることを嬉しく思うと同時に、野生動物についてどこまで人が介入するのか、その前にできることはないのか、もっと考えていかなければいけないと思いました。
(ととりの村・オオカミの森担当:原田 佳)
2021年8月29日 | しいくのぶろぐ
イワトビペンギンのヒナが巣立ちしました
サル舎近況
お盆が終わり、夜の動物園が終わり、夏の終わりを感じる旭川です。
今年の夏は北海道らしくない暑さが続き、旭川も30度を超える日が続きました。
さて、サル舎は今年は2頭の赤ちゃんが誕生し、元気に成長しています。
3月14日に生まれたワオキツネザルは昨年の双子以上に大胆な性格で、おとなたちに負けない勢いでおやつを取りに来ます。体重計にもひとりで乗れるようになり、現在は1kgを超えています。性別はまだ確定できていませんが、ホワイトデー生まれということで「マカロン」という名前にしました。そうそう、昨年の双子の名前を公表していませんでした。2頭ともオスで「レジー」と「ロジー」です。ナスカの娘が「リン」「ルー」なのでレとロがつく名前…と考えて、です。
<体重測定中>
7月7日に生まれたアビシニアコロブスはまだほぼ真っ白ですが、日に日にやんちゃになっています。しばらくはずっと母親にだっこされていましたが、最近は遊ぶときに母親から1メートル以上離れることも。自分から兄・姉のもとへ行くこともありますが、基本は母親と一緒にいます。どうやら母の食事中はわりと自由に遊んでいいらしく、朝イチや午後のおやつの時は活発に動いている姿をご覧いただきやすいです。性別はオスで名前は「アクイラ」にしました。七夕生まれ→彦星→アルタイル→ワシ座→「アクイラ」です。
これからだんだんと黒い部分が増えて、「小さいコロブス」になるのは生後4か月ころです。毛色が変わっていく様子もSNSでおしらせできればと考えていますので、ぜひチェックしてくださいね。
昨年5月生まれの「あんず」もまだまだこどもで、相変わらずのおてんばっぷりを見せてくれています。もう少しアクイラが大きくなったらあんずと遊ぶ様子も見られるかな?と楽しみです。
<生後3日目>
<7月16日 母仔とあんず>
<8月19日 左目の上のほくろ(?)がチャームポイント>
昨年7月生まれのブラッザグエノンのマモルも元気いっぱいです。1歳になりましたが、こちらはまだこどもの毛色です。ゆっくりおとなになっていくのでこれからも成長の様子を見守っていただけたら嬉しいです。
<キュウリをたべるマモル>
サル舎・北海道産動物担当:佐藤和加子
2021年8月20日 | しいくのぶろぐ
ニワトリのヒナが順調に成長中!
ニワトリのヒナが順調に成長中!
6月に2羽、7月に1羽、ニワトリのヒナがふ化し、順調に成長しています。現在は大人のニワトリたちと暮らせるように、同じ部屋で徐々に慣れさせています。ニワトリは闘争が激しく、ヒナが攻撃される事もあるため慎重に様子を見ていく必要があります。私も掃除の際に蹴られることがあるのですが、鋭い爪が当たると、とても痛いです。
ニワトリといっても、こども牧場にいるのはハクショクレグホンという種類のニワトリで、卵をたくさん産むように改良された家畜種の動物です。そのため毎日卵を産みます。ですが、卵にはヒナが生まれる有精卵と、ヒナにならない無精卵があります。交尾がなければ有精卵を産むことはありません。私達がスーパーで手に取る卵はほとんど無精卵といわれています。
こども牧場では、オス2羽、メス7羽を飼育しています。なので交尾があると有精卵を産む可能性があるため、ニワトリがお腹の下で卵を温めている様子が確認されると、有精卵かもと予想し、人工的に孵化させます。その際、卵に光を当てて卵の中の様子を確認する「検卵」をして有精卵か無精卵かを判断します。もちろん予想が外れ無精卵という事も多々あるのですが、その場合なぜニワトリはこの卵を温めていたんだろうと、私は疑問に思います。ニワトリが卵を温めるのは冷たくて気持ちがいいからなんて言われたりしますが、不思議ですね。
ふ化したばかりのヒナは黄色く、フワフワしていてとてもかわいいです。しかし、そのかわいさは一瞬で、1週間も経つと、翼が生えはじめ、色もだんだん白くなり、お尻には尾羽が目立つようになり、かわいいというより立派なニワトリに成長していきます。ぜひ成長中の様子を見ていただけると嬉しいです。
私の子どもの頃はお弁当に毎日のようにたまご焼きが入っていました。私たち人間の食卓にとても馴染みのあるニワトリの卵ですが、ふ化するのを見ると卵=食べ物ではなく、卵=命なんだなと実感する瞬間でもありました。卵だけでなく、私達が命をいただいている動物たちはたくさんいます。美味しくいただく前に「いただきます」と感謝の気持ちはとても大切にしたいなと思いながら、日々ヒナの成長を見つめています。
ふ化して数日のヒナ
成長中のヒナ
こども牧場担当:大河原沙織
2021年8月13日 | しいくのぶろぐ
【旭山、暑い夏。タンチョウは・・・】
【旭山、暑い夏。タンチョウは・・・】
7月13日から続いた旭川の連続真夏日。観測史上初の18日間連続をこえ8月8日までの27日連続で途絶えました。
この間、猛暑日も10日を数えました。内陸の上川盆地にある旭川は夏は短くてほどよく暑く、冬は雪が降り寒くてしばれるところです。
私も旭川で生まれ育ったので体の感覚も自然と四季を感じながら調整できるのですが今回の暑い日々が続いたのはさすがに堪えるものでした。
おそらく旭山の動物たちにとっても気が滅入るものだったと思います。担当動物のタンチョウも湿原地帯を拠点に生息していますので真夏日期間はプールに脚をつかって涼んでいる様子がいつもより頻繁にみられました。
涼んでいるタンチョウ
旭山ではメスの個体1羽飼育しています。2020年2月にオスに先立たれ寂しくなりましたが元気に過ごしています。
しかし、昨年からのタンチョウ舎前での施設工事がはじまったり、1羽になってから仲間を呼ぶような声を出したり、羽毛や羽を頻繁に羽繕いをして肌が見えるまでになってしまったりしてしまいました。
新たなオスの導入には少し時間がかかりそうなので、何か解消してあげたいと昨年夏の期間だけマガモ2羽を同居させたところ羽がはえて一定の効果がありました。
今年も昨年に続きマガモのメス3羽を夏の間同居させております。ぜひ見にください。
タンチョウとマガモたち
(チンパンジー・タンチョウ担当:高井 正彦)
2021年8月9日 | しいくのぶろぐ
【エゾユキウサギの仔が生まれています】
【エゾユキウサギの仔が生まれています】
7月18日にゆっくりロードで飼育しているエゾユキウサギに2頭の仔が生まれていることを確認しました。どちらの仔もここまで元気に過ごしています。
隠れている仔ウサギ
エゾユキウサギはノウサギの仲間であり、カイウサギ(家畜化したアナウサギ)とは違い、生まれたときから毛が生えそろい、目は開き、耳も聞こえ、数時間のうちに動き回れるようになります。そして、親は仔からは離れたところにいて、授乳の時以外は基本的に仔に近づきません。仔も草の根元やかげになる場所で、じっとしてほとんど動きません。ほったらかしに近い状況に見えますが、これはエゾユキウサギの生存戦略と考えられます。
捕食者に対して隠れる、逃げる以外の対抗策を持たないユキウサギにとって、敵に見つからないことが生き残る上で最も重要です。親が常に仔に寄り添っていると敵に見つかりやすくなってしまうので、仔は動かずに自らの痕跡と気配を最小限にし、親も授乳の間の短い時間だけ仔の元へ行くことで、敵に見つかるリスクを減らしているのです。
ふとみると小さなウサギの仔が置き去りにされているように見えるので心配になりますが、ユキウサギの仔育てはこれで正解なのです。もちろん野生でもこのような仔育てをするので、仔ウサギが育児放棄されたと思われて、人に保護されてしまうことがあるようです。もし野生の仔ウサギが草むらにポツンといても、むやみに手を出さないようにしてください。離れたところに親ウサギがいるはずです。
エゾユキウサギの仔育てはあっという間で生後3~4週目で離乳、その後親離れとなります。仔ウサギたちは日に日に大きくたくましくなり、すでに赤ちゃんというよりこどもウサギという感じになっています。とはいえまだまだ小さく、目立たないところで隠れてじっとしていますので探してみてくださいね。
(エゾユキウサギ担当 中野 奈央也)
2021年8月3日 | しいくのぶろぐ