旭山にゅーす・ぶろぐ

【しいくのぶろぐ】一覧

このページでは「しいくのぶろぐ」の記事のみを掲載しています。

「しいくのぶろぐ」飼育展示スタッフによる日々の出来事や想いなどを綴ったブログです。

2020年4月のしいくのぶろぐの記事

【ご挨拶とカバの続報】

 4月7日、冬期開園が終わり3週間ほどのお休みをいただき夏期開園準備に入ります。

 新型コロナ対策に翻弄されたシーズン後半でしたが、こればっかりはしかたがありません。

 ただ園内に輝くみなさんの笑顔と子どもたちの歓声、そして動物たちの生き生きとした表情に変わりはなく、「大丈夫!頑張ろう」と強く思っています。

 たくさんのご来園、本当にありがとうございました。


 さて、1月に生まれたカバの赤ちゃんの続報です。

 日々順調に成育し、生まれた時の2倍になったと感じております。最近は旭子とのバナナ争奪戦が熱く、チビカバの成長に目を細める毎日です。冬期開園中に一般公開とはいきませんでしたが、この閉園期間中に屋内外の放飼場に慣らし、春の開園からは生でお見せできるよう進めていきます。

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バナナゲット!

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でも主食はお乳


 先の見えない状況の中、皆様の健康、そして無事開園を迎えられることを願い、スタッフ一同夏期開園に向けて準備を整えていきますので、開園した際はまた笑顔でお会いできればうれしいです。よろしくお願いいたします。

(副園長 かば館・フラミンゴ担当:中田 真一)

ワオベビー

 先日「しいくにゅーす」でお伝えしましたが、3月5日にワオキツネザルのナスカ(双子)とリン(1頭)が出産し、計3頭の赤ちゃんが生まれました。

 残念ながらうち1頭が死亡してしまったのですが、2頭はあいかわらずナスカのおなかにくっついています。


 3月9日からナスカがリンの仔も一緒に抱いて過ごし、赤ちゃんたちは交代でおっぱいを飲んでいるようでしたが、3月26日に1頭がナスカから離れてしまいました。

 ナスカは仔から離れずまた抱こうとしていたのですが、仔はうまく抱きつけずにいました。

 体が冷えてしまうので一度回収しましたが、ナスカはずっと気にしていていたので再度ナスカの元へ連れて行ったところ、仔がうまく抱きつけたのでそのまま様子を見ることにしました。

 一度は戻れたもののやはり衰弱していたようで、翌日の朝、亡くなっていました。


 解剖の結果、腸には便がありましたが胃に内容物はなく、おそらくおっぱいを十分に飲めず徐々に衰弱していったと思われます。

 3頭になってからの様子を見ていると、ベテラン母さんのナスカなら3頭同時に育てられるのでは、と期待していたのですが、亡くなった個体はほかの2頭と比べると少し小さく、成長するにつれてすこしずつ体格差ができ、飲み負けてしまったようです。

3頭くっついて

<3頭でくっついていたとき>


 最近は天気がいい日には外に出ていて、新しくできたヒーター付き出窓では至近距離でナスカ親子の姿もご覧いただけていました。

 生後1ヶ月を過ぎ、だんだんと大人たちが食べているものにも興味を持ってきているようです。また、おなかにくっついているだけでなく、ときどきおんぶの体勢にもなっています。

 昨年の春から担当になり、ワオの子育てをじっくり観察するのは初めてなので、これからどんなふうに成長していくのかが楽しみです。

 いまは春の休園期間なので、ワオたちの様子はSNSでお伝えできればと思っています。

ひなたぼっこ

<ひなたぼっこ>


カメラ気になる

<カメラも気になる?>

サル舎・北海道産動物舎担当:佐藤和加子

【トラの赤ちゃん成長中】

 2月1日にアムールトラのザリアが出産して、はや2カ月。3頭の子が順調に生育しています。

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 当初は7頭もの子を出産しました。1頭は死産でしたが6頭が生存しており、異例なほどの子だくさんに、担当者としても喜んでいました。

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 しかしその後、3頭が衰弱し死亡してしまいました。多産すぎて、それぞれが虚弱だったのかもしれません。

 残りは3頭。当初の喜びから一転、「彼らだけでも生き残ってほしい!」という焦りの気持ちに変わりました。

 死亡した子の亡骸は一頭だけ回収できましたが、ほかはザリアが食べてしまいました。

 残酷に感じる人もいるかもしれませんが、肉食獣が育児中に死んでしまった子を食べるのは、しばしば見られることです。

 亡骸が残っていれば腐敗し、生き残った子にまで悪影響があるかもしれませんし、天敵を引き寄せてしまうかもしれません。「子の死を悲しむより、今生きている子の命を最優先する」、厳しい野生を生きるため身に着けた合理的な習性というわけです。


 ザリアの懸命な育児もあり、3頭の子たちは順調に生育しています!

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 子育ての様子は暗視カメラのモニターで来園者向けにも展示しております。

「なんだ白黒じゃん!カラーテレビ買うお金もないの?」なん言われることもしばしばですが(汗)、産室は本当は真っ暗。赤外線カメラで撮影しているため、色が映らないのです。悪しからず。(むしろハイテクなのですよ・・・)

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「超ハイテクの」トラ産室モニター展示です!


 出産からこれまでの成長の様子を動画にも編集してみましたので、よろしければご覧ください。↓

www.youtube.com/watch(新しいウインドウが開きます)

 人間社会は色々騒がしいですね。そんな中でもトラの子たちは元気に育っています。

 目の前の出来事に動揺せず、今を生きることに集中するトラの母子。

 そんな彼らの生きざまから、私たち人間も学ぶべきものがあるのかもしれません。

 5月頃にはちびトラたちも巣から出て、みなさんにお披露目できるでしょう。

 そのころには人間の「巣ごもり」も解除され、たくさんの来園者でにぎわっていることを期待しましょう!

(もうじゅう館・フクロウ担当:大西 敏文)

【ゴマフアザラシ3頭の出産と仔1頭の死亡について】

 ゴマフアザラシのまめが3/21に、ぽちゃ丸が3/23にそれぞれ出産しました。

 どちらの仔も元気がよく、順調に生育中で泳いでいる姿もみられます。

 授乳も確認でき、母親たちも自分の仔をしっかりと世話しています。

 まめとぽちゃ丸は2年連続の出産・仔育てとなります。

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↑ぽちゃ丸の仔

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↑まめの仔

 昨年のまめの仔、あずきは生まれた当初から体が小さく、授乳を受けつつも、ミルクの量が少ないのか体重が増えていかないという状況があり、飼育員が補助的に給餌を行うという形をとりました。結果としてあずきは元気に育ち、今も成長中です。

 今年のまめの仔はあずきに比べサイズも大きく、授乳でしっかりミルクも飲めているようです。このままいけば、まめの仔、ぽちゃ丸の仔どちらも母親による自然哺育で育つことになりそうです。なお仔の性別はまだ確認できていないため不明です。


 まめとぽちゃ丸に続き、3/27の夕方にカムイも仔を出産しました。

 出産後すぐに自身の仔を認識し、寄りそい、他の個体が近づかないように守り、仔に授乳をうながすなどの行動が見られ、カムイにとっては10年ぶりの自然哺育が期待されました。

 3/28にもカムイの様子は変わらずあきらかに授乳する意思がみられたものの、仔の反応がにぶく、授乳が確認できませんでした。念のため、夕方に人工ミルクを与えて母親の元へもどしました。

 3/29朝、仔の呼吸に異常が認められたため、治療を開始しましたが、そのまま死亡しました。

 死因は胸部圧迫による肺の損傷と診断されました。原因としては他の個体が仔の上にのってしまった可能性が考えられます。

 カムイにとって「ちょぼ(6歳)」以来の生育が期待できる仔でしたが、残念な結果となってしまいました。

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↑出産当日のカムイの仔

(くもざるかぴばら館・あざらし館担当:中野 奈央也)