2017年5月のしいくのぶろぐの記事
2017年5月31日 | しいくのぶろぐ
しいくのぶろぐ「シマフクロウの繁殖結果と園内の野草園の紹介」
しいくのぶろぐ「シマフクロウの繁殖結果と園内の野草園の紹介」
皆さんこんにちは。
園内も桜を始めどんどん花が咲き、新緑にも包まれてきた春(初夏になりかけていますが)はいいなとしみじみ思っているミカンの国出身のフクロウお世話人です。
さて、以前のブログでシマフクロウの繁殖についての情報をおしらせしていました。
その結果がどうなったか。勘のよい方、すでに動物園に来られた方は知っておられるとは思いますが、遅くなりましたがブログでもお知らせしておきます。結論から言うと、今年のヒナ誕生はありませんでした。シマフクロウの雌はしっかりと卵を抱いていましたが、羽化予定日を過ぎても雛の誕生が見られなかったので、仕方なく卵を取って確認したところ無精卵でした。残念でしたが、初めての旭山での繁殖期に、雌は初めての産卵だったのに、期待以上の母性を見せてくれたので来年につながる結果だったと思っています。ペアの仲も昨年とは段違いに良くなっています。これからまた一年かけて、来年の繁殖へ向けて体制を整えていきたいと思います。
「写真1」仲良くこちらをにらみつけるモコとロロ(笑)
私は北海道の春は3度目なのですが、本当にこちらの春は短い間にいっぺんに花が咲くのだなとびっくりします。園内でも、桜に続き、今はエゾノコリンゴが真っ白の花を満開にしていますし、ツツジもオレンジの花をきれいに咲かせています。野草たちもあちらこちらで花を咲かせています。春から初夏に向かっている園内で動物たちののびのびとした姿と、長かった冬が終わり、春を迎えて生命の力を花と緑で表現しているような植物たちを見ていると、春のすばらしさを実感します。
「写真2」満開のエゾノコリンゴ
「写真3」満開の野草
植物といえば、実は園内にスタッフが野草を育てている場所がそこかしこにあります。地元で見られる野草たちとともに表示や特徴を書いた葉っぱ型の看板を建てていますので、動物たちを見る合間合間に、ちょっと視線を下に向けてみてください。普段何気なく見ていて名前もわからなかった野草のことを知ることができたり、食用にしているギョウジャニンニクが食用にする時期を過ぎたらどうなっていくかも継続して観察できたりと、ちょっとした発見があるかもしれませんよ。
「写真4」小道にある野草園
では、またね~。
2017年5月31日 | しいくのぶろぐ
しいくのぶろぐ「春の自然観察会を行いました」
しいくのぶろぐ「春の自然観察会を行いました」
少し前の話になりますが、5月6日(土曜日)に旭山動物園の自然観察会「旭山で春を感じよう!野草・草花観察会」を行いました。
当日はちょうど桜が満開で多くの方がお花見を楽しんでいましたが、観察会散策路の足下にもカタクリやエゾエンゴサクをはじめとした春植物が満開で、短い間のきれいな花を咲かせていました。
観察会では春植物のお話や、動物の巣穴や食痕の観察、キビタキやオオルリなどの野鳥の観察、プラナリアの観察などを行い、参加者の皆さんも五感を使って観察していました。
少し肌寒い日ではありましたが、春を感じる良い観察会になりました。
「写真」 プラナリアの観察に大人も興味津々
次回の自然観察会は「まだ見ぬ夜の自然を探しに行こう!」 日時;7月1日(土曜日)18時半~です。 詳細は市民広報誌「あさひばし」や当園HPのイベント案内をご覧下さい。
みなさまのご参加お待ちしてます!
2017年5月14日 | しいくのぶろぐ
しいくのぶろぐ「アムールヒョウ ペアリング日記」
しいくのぶろぐ「アムールヒョウ ペアリング日記」
1月からペアリング中の、アムールヒョウのキン♂とルナ♀。
なんと5月7日に交尾を確認しています!
10分に1回、1日になんと数十回。これはアムールトラの発情期も同じでした。
<写真1>キンは今年で13才。高齢の域に入っています。
<写真2>ルナはもうすぐ5才。まだまだ若い。
2月は、ルナはキンに近寄りアピールするものの、キンが追い払い、ルナに生傷が絶えない状態でした。しかしここで別居させては今後の進展が望めません。「ここはガマンどころ」と、同居を継続しました。
3月にはルナの寝室に産箱も設置しましたが、ペアの関係は進展が無いまま4月もすぎ、残念ながら今年の繁殖はなさそうだな、と判断していました。
<写真3>トラ・ユキヒョウのノウハウを活かした、「こだわりの」アムールヒョウ産箱。
そこから急転直下、5月に入って2頭の交尾確認! ←いまココ!
ペアリングによって展示パターンも変わり、適応するまで動物にはストレスがかかったことでしょう。でも過保護に扱うだけが正解じゃありません。時には動物が環境に適応するまで、我慢強く見守ることも必要なのです。
こうした微妙な「さじ加減」も、飼育係12年もやってりゃ慣れたものです。
思い返せばシンリンオオカミやアムールトラのペアリングも、前途多難なスタートからの繁殖成功だったなぁ(しみじみ)。
神経質なルナ。3年前にロシアの動物園からあさひやまに来ました。当初は展示場に出しても来園者から全く見えない位置に隠れて「あれ?この部屋に動物いないの?」と言われていました。そのルナが今、キンとの交尾までこぎつけたのは感慨深いです。
アムールトラ、ユキヒョウ、そしてアムールヒョウ。もうじゅう繁殖「ハットトリック」達成なるか?
今後の経過を慎重に見守りたいと思います。
(もうじゅう館担当・ 大西 敏文)
2017年5月7日 | しいくのぶろぐ
【グローバル動物園】
【グローバル動物園】
旭山動物園には外国人の方々もたくさん訪れてくださいます。
飼育係も手書き看板に英語を交えたり、「外国の方にもより深く動物のことを伝えよう!」という機運が(ようやく)高まっています。良いことだと思います。
あさひやまの開園は1967年ですが、日本の動物園は戦前からありました。
しかし戦争末期には「空襲で檻が壊れて動物が逃げ出しては大変だ」と、猛獣やゾウなど多くの動物園動物が殺処分されました。
上野動物園でもライオンのオス「アリ」とメスの「カテリーナ」が毒物により殺処分されました。メスは苦しみながらも死にきれず、見かねた担当者が心臓を突いてとどめを刺したそうです。
<写真1>ライラと・・・
<写真2>・・・レイラを見に世界中の方が訪れます。
一方、東山動物園では、同様にゾウの殺処分令が下され、園の敷地は軍馬の訓練場とされました。しかし飼育係がひそかに軍馬用の飼料をゾウに与え続け、戦後まで生きながらえることができました。
「エルド」と「マカニー」2頭のゾウは、戦後日本の多くの子どもたちに夢を与える存在になったそうです。
その後日本は高度経済成長期を迎え、まるで戦後復興の象徴のように、全国各地に市営の動物園がつくられる中で、1967年、北海道の田舎町・旭川にも「動物園をつくろう!」という機運が高まり、開園したのが(われらが)旭山動物園、というわけです。
・・・なにが言いたいかというと「平和なくして動物園は存在しえない」ということです。
動物園が使命として「保護」や「研究」を挙げられるのも、日本がある程度豊かで平和だからです。国民が貧しかったり、戦争で自分の命も危うい情勢だったら「野生動物を保護しよう」とか「研究しよう」なんて機運にはならないでしょう。
動物園は、その国の豊かさと平和の象徴ともいえます。だからこそ、動物園は老若男女、人種国籍問わずすべての人を迎え入れ、楽しめる場所であるべきだ、と思っています。(あくまで個人の感想です)
なんてエラソーな事言ってますが、ぼくにできるのは外国人来園者に向けて、中学卒業レベルのカタコト英語で動物の解説をすることだけです。
でもね、語学力なんて本当はそんなに必要ないと思ってます。I have a pen だけで世界中を笑わせたピコ太郎さんを見習って、ぼくもカタコト英会話がんばります!
(もうじゅう館担当:大西敏文)
2017年5月3日 | しいくのぶろぐ
しいくのぶろぐ「祝・50周年」
しいくのぶろぐ「祝・50周年」
ごぶさたしております。大西です。
毎年4月の閉園期間。「伝えるのは命」のスローガンのもと、職員たちの命を削るほどの開園準備作業、今年も無事終えることができました。
そして今年はあさひやま開園50周年なのですね!
ぼくの担当・もうじゅう館でも、閉園中にいくつかの“新兵器”を用意しました!
50周年特別アイテムです(言ったもん勝ち?)
詳しくは来園して直接ご覧ください。ブログではその一端をご紹介しましょう!
<写真1>
今年の看板コンセプトは「阿修羅男爵」(え?阿修羅男爵をしらないって??)
<写真2>
むむ、これは一体・・・?
<写真3>
早くも子供たちに大好評。もうじゅう館のどこかにあります!
<写真4>
丸太のテラス。トラたちも気に入ってくれるかな?
<写真5>
ヒグマ放飼場につけた給餌器。開園直後にご覧ください!
もうじゅう館のみならず、閉園中に各担当者が凝らした工夫をご覧いただける5月。
(飼育:もうじゅう館担当 大西敏文)