旭山にゅーす・ぶろぐ

【しいくのぶろぐ】一覧

このページでは「しいくのぶろぐ」の記事のみを掲載しています。

「しいくのぶろぐ」飼育展示スタッフによる日々の出来事や想いなどを綴ったブログです。

2021年10月のしいくのぶろぐの記事

クジャクのヒナ

 日に日に冷え込む中初雪も観測され、冬の訪れを間近に感じるこの頃ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
動物にはそれぞれ生活に適した環境があります。クジャクのような本来温かい地域で暮らす動物は、季節の変化に応じて飼育する環境を大きく変えることがあります。クジャクといえば7月に雛が生まれていたことをご存じでしょうか。


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生まれて間もないクジャクの雛の様子。頭の飾り羽もまだ生えそろっていない


 孵化からおよそ3ヵ月経った2羽のクジャクの雛ですが、大きく成長しました。生まれた当初は親鳥の足元を走り回って、危うく踏まれてしまいそうな小さい体でした。最近は自力で高い止まり木にも飛んでいけるようになり、羽毛も大人のそれに生え変わって見た目の大きさ以外はほとんど同じ姿になりました。それでもまだヒヨコのようにヒヨヒヨと鳴き、母親について歩くのは変わっていません。


写真2
現在の雛の様子。構造色で緑色に見える大人の羽毛が生えている


 11月4日からの一週間ほどの準備期間を経て、11月11日から旭山動物園は冬季開園期間に入ります。寒さが苦手なクジャクは外放飼のままでは旭川の冬に耐え切れないため、暖房のきいたクジャク舎の室内に入ります。そのため、冬季開園期間中クジャクの姿を見ることはできませんが、その間にも雛は成長を続け、春が来る頃には立派な大人のクジャクになっていることでしょう。
 親鳥の後ろをついて回るクジャクの若鳥が見られる期間もあとわずかです。動物園にお越しになった際は、ぜひクジャク舎に足を運んでみてください。

こども牧場担当:堀川草太

【臨時休園中のできごと】

 みなさまこんにちは。こども牧場担当鎌上です。長かった臨時休園が終わり、園内にお客さんの賑やかな声が戻ってきて、心から「よかったなあ」と思っています。

 さて、こども牧場では、臨時休園中も再開園に向けて土木作業を続けていました。なかでも大きく変わったのが、ヤギが渡る架け橋です。ヤギ、ヒツジの放飼場とヒツジの寝室を仕切っていた柵を、一部ヒツジの寝室側に移動させて、放飼場を拡大。放飼場が広くなったので、ヤギの架け橋を延長し、その終着点にお立ち台を作りました。これで、ヤギの橋は放飼場をぐるっと一周することになります。

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<ヤギとヒツジの放飼場 どこが変わったかわかりますか?>

 私が飼育員になる前、お客さんとして動物園に来たときは、こども牧場の柵や橋は、すべて業者さんが作っていると思っていました。動物園に異動してきてすぐ、こども牧場の飼育員さんに「丸太を立てるために深さ40cmの穴を掘ってくれ」とたいした説明もなく言われたときには、「何言ってんだこの人・・・」と不安になったものです。それが今では、私が新人の飼育員さんに、「柱を立てたいからここを50cm掘って」と言っているのですから、人は変わるものだなとしみじみ感じます。きっと、私に穴を掘れと言われた新人さんも、「こいつはイカれてるぜ・・・」と思ったことでしょう。

 再開園の少し前に完成した架け橋ですが、今年の春にこども牧場にやってきた3頭のヤギたちは、できあがったその日に走って渡っていったそうです。苦労して作った展示を動物たちが使ってくれたときはとてもうれしい気持ちになるのですが、一番うれしいのは、お客さんがそれを見て「ヤギすごい!」と歓声をあげているのを見たときです。これからも、こども牧場は、作って、壊して、作って、壊してを繰り返して、動物たちもお客さんも楽しめる放飼場を作っていきますので、動物園を訪れた際には、放飼場のどこが休園前と変わっているか、探してみてください。

(こども牧場担当:鎌上 塁)

キングペンギンのヒナが死亡しました

 6月26日に生まれたキングペンギンのヒナ(No.52)が9月23日に死亡しました。生まれて間もない頃から体調を崩すことがたびたびあり、治療をしながら人工育雛をしていました。

 今まで生まれたなかで一番小さな個体でしたが、体重は10キロくらいまでに成長していました。

 元気に育ってくれると思っていたので残念です。死因は現在調査中です。

 キングヒナ

ぺんぎん館・ダチョウ担当:田中千春

【小さくて大きな出来事(グルーシャ編)】

 突然ですが、飼育員というのは担当動物にとってどういう存在であるべきなのか。

 この考えは、動物園ないし、飼育員個人でも答えが違うと思います。


 今回はマヌルネコのグルーシャのお話。

 小獣舎の担当になって今年で3年目。

 ここ1.2年でマヌルネコの知名度が飛躍的に上がったなと感じることがとても多くなりました。

 最近では「マヌルネコのうた」も話題になりました。

 かくいう私はマヌルネコが旭山動物園にやってくるまで名前すら聞いたこともなく、3年間マヌルネコの飼育をしていても、まだまだ分からないことだらけです。

 一般の人が飼っているイエネコは、人間が飼いやすいように長い長い年月を経て改良を繰り返され現在の姿となっています。

 なので、世界最古の猫とも言われるマヌルネコは、イエネコのようにエサが欲しかったり、撫でて欲しくてすり寄ってくるなんてことはありませんし、近づこうとすると逃げていきます。

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隠れながらこちらの様子をうかがう

 とは言うものの、グルーシャなりに心のセーフティゾーンはしっかり決めているようで、来園者が檻越しに見る分にはリラックスしています。が、私が来園者と同じ位置で見ていると警戒されてしまいます。

 毛づくろいや、うたた寝の途中でも、ひとたび私が視界に入ると大慌てで高台の岩場に逃げ込み、体をかがめて警戒モードに入ります。

 私が見ている間は、エサも食べないし、収容の時間になっても帰ってきません。

 なので、私は担当者でありながら、いまだにグルーシャの欠伸や、砂浴びなんか見たことがありません。

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目が合っている間は帰ってこない

 そんなこんなで、私よりも来園者の前の方がリラックスしているので、「あぁ、グルには格別嫌われているんだなぁ」と思っていました。

 実際、飼育員は動物に好かれていると思われている方が多くいますが、飼育員ではなくて、エサの入ったバケツや、鍵の音に反応していることがほとんどです。

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毛づくろいを見られていたことに動揺して固まる


 話は進みますが、今年の春はマヌルネコの放飼場を一新しました。

 3メートルを超える丸太などは一人で運べるわけもなく、チェーンソーで切り分けて運んでいたので、グルーシャにとっては相当騒がしかったと思います。

 当のグルーシャは寝室内のいつもいる高台の定位置からじっとこちらを見ていました。

 同期間に小獣舎の扉の改修工事を業者が行ってくれました。

 いざ業者の方を獣舎に入れるとグルーシャの姿がどこにもありません。

 結果的にはグルーシャは、寝室にある小屋の中にひっそりと隠れていました。

 確かに寝室に小屋はあるのですが、今まで全く使っていたことも、使った形跡も全くなかったので、グルーシャが小屋に入っていたことにとても驚きました。

 先ほど述べたように、私がどれだけ目の前でチェーンソーを回していても、丸太をガタガタ運んでいても高台から見ていただけなのに、知らない人が建物に入るだけで、小屋の中に逃げ込むグルーシャ。

 そんな姿を見て、実は誰よりも信頼できる存在になれているんだなと勝手に嬉しくなりました。


 冒頭に述べた、飼育員のあり方。

 飼育員になった時から変わらない私個人の回答は、「たとえ嫌いな人間という種の中でも、最も信頼される存在でなくてはならない」です。

 私は、旭山動物園の飼育動物はペットではなく、あくまで野生動物の延長であると考えているので懐かれる必要はないですし、人間を避けるのも当たり前のことだとも思っています。

 今までそういった信念をもって取り組んできた仕事で、自分の目指していた姿になれていたと感じさせてくれた、小さくて大きな出来事でした。


 これから冬になり、毛変わりもしてより丸々ずんぐりとする季節です。

 今年は放飼場にも雪がたくさん入るようになっているので、雪の中を探索するグルーシャも見れるかもしれません。

 先述した通り私はそんな姿は見れないと思うので、見れた方はぜひ教えてくださいね。

(小獣舎・両生類ハ虫類舎 担当:鈴木達也)